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香港カップの取扱説明書

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こんにちは。編集部のJです。

世界の競馬において12月の大きなイベントと言えば、その年のカーニバル開催の締めくくる香港国際競走です。

シャティン競馬場を舞台にして香港カップ、香港マイル、香港スプリント、香港ヴァーズの4つのG1が1日で行われる香港国際競走は、毎年のように日本からも多くの馬が参戦して、日本の競馬ファンの間でもすっかりお馴染みではないでしょうか。

今回は香港カップを取り上げて、その基本情報を踏まえつつ、馬券攻略のヒントを探っていきたいと思います。

香港カップの基礎知識

まずは、香港カップの概要をおさえておきましょう。

香港カップの歴史

香港カップは1988年1月に、香港招待カップとして始まりました。当時の距離は芝1800m。招待馬はシンガポールとマレーシアからに限られていました。3回目からは今と同じ12月に開催時期が移されて、招待馬の枠がオーストラリアとニュージーランドにも広げられています。

その後に招待枠が徐々に世界各国に広げられ、国際G3になった1993年に、レース名も香港国際カップに変更されました。94年にG2に昇格。99年に距離が2000mになるとともに、レース名も今の香港カップへと変更されて、香港で初めての国際G1となりました。

また99年からは、ワールドレーシングチャンピオンシップ(2005年を最後に廃止)のシリーズ最終戦にもなっていました。

香港カップの賞金・売上

2017年の香港カップの賞金総額は、2500万香港ドル。およそ3憶5000万円です。1着賞金は1425万香港ドルで、およそ2憶円になります。

これは香港のすべてのレースで一番高い賞金です。香港招待カップとして創設された1988年の賞金総額が147万香港ドルだったので、30年で賞金がおよそ17倍になった計算になります。さらに2018年には賞金総額が2800万香港ドル、およそ4億円に、1着賞金も増えることが決まっています。1着賞金は、すでに天皇賞・秋(1億5000万円)や大阪杯(1憶2000万円)を上回っているのです。

次に売上を見てみましょう。

香港国際競走開催日の一日の売上は、毎年のように記録更新を続けていて、2017年の売上は16億香港ドル、およそ225億円。4つのG1レースを含む10レースの合計のため、香港カップ単独での売上は不明ですが、推測するとおよそ40憶円ほどでしょうか。

ちなみに、日本で海外馬券として発売された香港カップの馬券売上は、およそ11憶9000万円でした。

日本を代表する国際レースであるジャパンカップと比べてみると、2017年のジャパンカップ当日における東京競馬場の一日の売上は、およそ311憶円(そのうちジャパンカップが206憶円)でした。

香港カップの観客数

香港カップを含む香港国際競走の開催日の観客は、2017年がおよそ9万5000人。2016年には10万人を超える観客数を記録しています。

こちらもジャパンカップを例にすれば、2017年の観客数はおよそ8万9000人。2017年に限っては、香港国際競走の方に軍配が上がっています。

香港カップのレコード

香港カップのレコードタイムは、2015年にエイシンヒカリがつくった2分00秒60です。自らが逃げて樹立したレコードだけに価値があります。

香港カップが2000mの距離で行われるようになった1999年以降で、二番目に早かったのが2003年ファルブラヴの2分00秒90。三番目が2016年モーリスの2分00秒95です。

シャティン競馬場・芝2000mのコースレコードは、2017年の香港ゴールドカップでタイムワープが記録した1分59秒97。香港の芝2000mで初めて1分代に突入しました。

香港カップの一次登録について

香港国際競走の一次登録の締め切りの時期は、毎年10月半ばから後半にかけて。香港カップを含めた香港国際競走4つのレースから、出走したい第一希望と第二希望を選んで登録することができます。

一次登録の登録料は無料です。毎年、日本からも多くの馬がエントリーしていることが納得できますね。

仮に一次登録を行わなかったとしても、11月後半に追加登録が可能です。追加登録の登録料も賞金総額の1%(2017年の香港カップの場合は、25万香港ドル=およそ350万円)ですから、高額な賞金を考えれば、さほど高いハードルではありません。

香港カップの出走条件とは!?

香港カップの出走条件は、3歳以上。セン馬も出走は可能です。

登録馬の中から香港ジョッキークラブが選出を行い、その招待を受諾した馬が出走可能になります。フルゲートは14頭です。

香港カップの遠征費用

香港カップを含めた香港国際競走では、出走馬の輸送費と関係者の渡航費を香港ジョッキークラブが負担をしてくれます。こうしたサポートがある点も多くの日本馬が香港国際競走に挑戦する大きな要因と言えるでしょう。

香港カップの日本馬の挑戦歴史

日本馬の香港カップ挑戦は、国際G3となった1993年が初めてでした。まだレース名が香港国際カップだったその時にナリタチカラが挑戦して7着に敗れました。

国際G2になった翌94年に挑戦したフジヤマケンザンは4着に終わりましたが、同馬は95年にもクイーンエリザベス2世カップ(10着)と香港国際カップに遠征。3度目の香港挑戦になった香港国際カップをレコード勝ちで飾り、見事に日本馬では1959年にアメリカのワシントンバースデイHを勝ったハクチカラ以来となる、海外重賞制覇の快挙を達成しました。

さらに98年にはミッドナイトベットがフジヤマケンザンのレコードを塗り替えて優勝。日本馬でも十分勝負になることが証明されたことで、ほぼ毎年のように日本からの参戦が続くことになります。

アグネスデジタルが勝った2001年は日本競馬にとって歴史に残る日となります。この年は、香港マイル(G1)をエイシンプレストン、香港ヴァーズ(G2)をステイゴールドが優勝して、日本馬が香港国際競走で3勝を挙げる金字塔を打ち立てたのでした。

それからしばらく勝利から離れていた日本馬ですが、2015年にエイシンヒカリが鮮やかな逃げ切りで優勝。2着にもヌーヴォレコルトが入って、日本馬のワンツーフィニッシュになりました。

さらに翌16年はモーリスが優勝。15年にも香港マイルを制していて、香港国際競走での二階級制覇となりました。

香港カップの攻略情報

次に香港カップの馬券攻略ポイントを探っていきましょう。

香港カップは荒れやすい!?香港カップのレース波乱度

香港カップは2017~2008年の過去10年では、1番人気が最多の4勝。以下3番人気が3勝、2番人気が2勝と続いて、3番人気までの人気上位が優勝しているケースが目立ちます。1番人気の連対率は60%と信頼度は比較的高めです。

その一方で2着と3着は人気薄が入ることが多くなっています。2着は4~6番人気が10年で6回。3着は7番人気以下が5回絡んでいます。

馬券を組み立てる時は、軸を上位人気にするとしても、相手は幅広く抑える必要がありそうです。

1着 2着 3着
2017 3人気 1人気 2人気
2016 1人気 5人気 3人気
2015 9人気 6人気 3人気
2014 1人気 2人気 10人気
2013 2人気 6人気 3人気
2012 1人気 9人気 8人気
2011 3人気 5人気 7人気
2010 1人気 4人気 11人気
2009 3人気 1人気 2人気
2008 2人気 4人気 8人気

香港カップの斤量の決め方・有利な斤量は!?

香港カップの斤量は定量です。4歳以上の牡馬が126ポンド、北半球産の3歳牡馬が123ポンド、南半球産3歳牡馬が112ポンド。牝馬はそれぞれ4ポンド軽くなり、4歳以上牝馬が122ポンド、3歳牝馬は北半球産が119ポンド、南半球産が108ポンドになります。

これをキロ換算した表記では、4歳以上の牡馬が57キロ、北半球産の3歳牡馬が55.5キロ、南半球産の3歳牡馬が50.5キロになり、牝馬は4歳以上牝馬が55.5キロ、3歳牝馬は北半球産が54キロ、南半球産が49キロとなります。

キロ換算では北半球産3歳牡馬と4歳以上牝馬が同じ55.5キロになっていますが、実際は1ポンド=およそ0.45キロの違いがあります。キロで表記されているJRAのサイトだけを見てしまうと、同斤量になっているので注意が必要です。

性齢で見ると、特に4歳の活躍が目につきます。一方で3歳は苦戦気味です。過去のすべての優勝馬を見ても3歳での優勝は、2004年のアレクサンダーゴールドランと2010年のスノーフェアリーだけ。どちらも3歳牝馬で、3歳牡馬もしくはセン馬の優勝はまだありません。

1着 2着 3着
2017 セン4 セン6 牡6
2016 牡5 セン6 牡5
2015 牡4 牝4 セン6
2014 セン4 セン6 牡4
2013 牡4 牡4 セン7
2012 セン6 牝4 セン8
2011 セン5 セン5 牡4
2010 牝3 セン4 セン8
2009 牡4 セン4 セン5
2008 牡4 牡5 牡6

香港カップで有利な脚質は!?

香港では日本と同じように、レース途中の通過順位が発表されています。そのため、脚質はある程度、精度の高いデータを入手することができます。

2017~2008年における香港カップ優勝馬のラスト400mでのポジションは、

・1~3番手…3勝

・4~6番手…4勝

・7~9番手…1勝

・10番手以下…2勝

中位よりも前で運んだ馬が優勝する確率が高くなっています。1~3番手の3勝のうち、2015年のエイシンヒカリと2017のタイムワープの2頭が逃げ切りに成功して、2013年は逃げたトウケイヘイローが2着に粘りました。「逃げ」が、近年の好走条件のトレンドになりつつあるのかもしれません。

香港カップで内枠・外枠のどちらが有利!?

距離が2000mになった1999年以降の香港カップにおけるゲート番ごとの成績を見ると、最も勝利を挙げているのが、優勝3回の1番と5番と12番になります。連対回数の多いゲート番は3番の7回が最多で、1番、4番、5番、8番、10番が4回で続きます。

シャティン競馬場の芝2000mはスタートしてすぐにコーナーがあるコースレイアウトということもあって、内枠が有利な傾向が出ています。

1着 2着 3着
1 3回 1回 1回
2 0回 1回 2回
3 1回 6回 1回
4 2回 2回 2回
5 3回 1回 3回
6 0回 0回 1回
7 2回 0回 3回
8 2回 2回 1回
9 1回 1回 2回
10 1回 3回 1回
11 1回 1回 0回
12 3回 0回 1回
13 0回 1回 1回
14 0回 0回 0回

日本馬の香港カップでの相性は?

日本馬は2017年までにのべ29頭が出走して、フジヤマケンザン、ミッドナイトベット、アグネスデジタル、エイシンヒカリ、モーリスによる5勝。これは日本馬が最も勝利を挙げている海外重賞です。勝率はおよそ17%。6頭に1頭の割合で勝利をあげている計算になります。

2着もこれまで3頭(2006年アドマイヤムーン、2013年トウケイヘイロー、2016年ヌーヴォレコルト)いて、優勝馬5頭を含めた連対率はおよそ28%。4頭に1頭は2着までに入ることになります。

この数字ならば、香港カップは数ある世界のG1の中でも日本馬と相性がいいG1である、と見ていいでしょう。

では、なぜ香港カップで日本馬がここまで活躍できるのか?その理由として、以下のことが考えられます。

香港が地理的に日本から近く、馬にかかる輸送の負担が軽くて済む。

香港は短い距離ほど層が厚く、中距離はやや手薄(ただし、近年は中距離のレベルも向上しています。)。

2000mを得意にする馬にとって、12月は国内に適当なレースがなく、目標にしやすい。

香港カップに強い国とは!?

香港カップの優勝馬を国別で見ると、最多は香港の9勝。次に日本とイギリスが並んで5勝ずつで、その後にフランスとニュージーランドが3勝で続いています。

特に香港カップの勝ち馬を10年ごとに見ていくと、特徴が表れてきます。

1988~97年(89年のみ年2回開催)は、香港とニュージーランドが3勝ずつで、日本、オーストラリア、シンガポール、アメリカ、イギリスが1勝。レース創設当初は招待地域を限定していたため、地元とオセアニアの馬の活躍が目立ちます。

1998~2007年は、イギリスの3勝がトップで、日本、香港、フランスが2勝ずつ。アイルランドが1勝です。99年に国際G1になって、ヨーロッパの強豪が台頭していた時期です。

2008~17年は香港が5勝、日本が2勝、イギリス、フランス、南アフリカが1勝です。2011年以降の7年間は、香港馬と日本馬しか優勝しておらず、近年は香港VS日本の様相が色濃くなってきています。

まとめ

レース創設から30年以上を経て、今や天皇賞・秋をしのぐ賞金となった香港カップ。そして、日本馬がきちんと結果を残してきたレースですから、今後も日本からの参戦馬が質量ともに上がっていくことが予想されます。

香港と日本との時差はわずかに1時間。海外馬券の買いやすい時間にレースが行われるだけでなく、ウィンズや競馬場で映像の放映が行われています。コンスタントに日本馬が活躍しているので、海外競馬ビギナーにとっても楽しみやすいレースではないでしょうか。

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