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ドバイゴールデンシャヒーンの取扱説明書

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こんにちは。編集部のJです。

今回はドバイワールドカップデーに行われるダートの短距離戦ドバイゴールデンシャヒーンを取り上げます。舞台はメイダン競馬場のダート1200mです。

まだナドアルシバ競馬場だった頃は直線のレースで行われていて、初めてそのレース映像を見た時には、日本ではお目にかかれないダートの直線競馬に新鮮味を感じたことを覚えています。

JRAでは行っていないダート1200m戦ということもあり、日本馬が苦戦しているイメージがあるレースですが、そんな日本馬にとって明るいニュースが一つありました。それは17、18年のドバイゴールデンシャヒーンを連覇したマインドユアビスケッツが19年から日本で種牡馬になることが決まったことです。

ドバイゴールデンシャヒーンの優勝馬が日本で種牡馬になるのは、マインドユアビスケッツが初めてです。17年にはアメリカのスプリント王に輝いたドレフォンも日本に導入されていて、ダート短距離で活躍した輸入種牡馬が増えてきています。

もしかしたら、数年後にはその子供たちが日本馬としてドバイの地に立っているかもしれませんね。そんな期待を抱きつつ、その日のためにドバイゴールデンシャヒーンを概要と傾向をここでチェックしておきましょう。

ドバイゴールデンシャヒーンの基礎知識

まずは、ドバイゴールデンシャヒーンの概要からです。

ドバイゴールデンシャヒーンの歴史

ドバイゴールデンシャヒーンは、93年に始まったガルフニュースSが元になっています。12月にダートの直線1000mで行われていたレースで、翌94年からレース名がナドアルシバスプリントに変更されます。ドバイワールドカップの創設により、96年から3月に開催時期が移って、距離は200m延びて直線のダート1200mに変更。00年からレース名がドバイゴールデンシャヒーンに変わりました。

01年にG3になると、02年にG1へ昇格。同じ年にG1に上がったドバイシーマクラシックとドバイデューティフリー(現在のドバイターフ)はG2を経てのG1昇格でしたが、ドバイゴールデンシャヒーンはG2を飛び越えて一気にG1になりました。

メイダン競馬場が新設された10年からはオールウェザーの1200mになり、コースも直線から左回りに変更になりました。15年からは馬場改修によってオールウェザーからダートに戻っています

ドバイゴールデンシャヒーンの賞金

2018年のドバイゴールデンシャヒーンの賞金総額は、200万ドル。およそ2憶2000万円です。優勝賞金は120万ドルで、およそ1憶3200万円になります。

ドバイワールドカップや芝のシーマクラシック、ターフに比べると、安く感じてしまいますが、ドバイワールドカップデーのレースに組み込まれた96年の賞金総額が20万UAEディルハム(およそ600万円)だったことを考えれば、伸び率はなかなかのものがあります。

さらに、ドバイゴールデンシャヒーンは19年から賞金総額が250万ドル、およそ2億7500万円に増えることになっていて、このカテゴリーでの世界一のレースとも言えます。

ドバイゴールデンシャヒーンの観客数

ドバイゴールデンシャヒーンを含むドバイシーワールドカップデーが開催された日のメイダン競馬場の観客数は、2017年がおよそ6万人。11年にはおよそ8万1000人の観客数を記録しています。

ドバイゴールデンシャヒーンのレコード

ドバイゴールデンシャヒーンのレコードタイムは、18年にマインドユアビスケッツがつくった1分10秒12です。このタイムはメイダン競馬場のダート1200mのコースレコードでもあります。

ナドアルシバ競馬場で行われていた時は、直線コースだったため、1分10秒を切るタイムが当然のように出ていました。当時のレコードはビッグジャグが00年につくった1分08秒10です。

ドバイゴールデンシャヒーンの一次登録について

ドバイゴールデンシャヒーンデーの一次登録の締め切りの時期は、毎年1月中旬。一次登録の登録料は無料です。

仮に一次登録が締め切られた後でも、3回に分けて追加登録を受け付けていて、2月中旬までは賞金総額の0.1%(2018年のドバイゴールデンシャヒーンの場合は、2000ドル=およそ22万円)、3月中旬までは賞金総額の1%(同2万ドル=およそ220万円)、直前のレース1週間前までが賞金総額の10%(同20万ドル=およそ2200万円)で追加登録が可能です。

ドバイゴールデンシャヒーンの出走条件とは!?

ドバイゴールデンシャヒーンの出走条件は、3歳以上。セン馬の出走も可能です。

登録馬の中から招待馬が選出されて、招待を受諾した馬が出走可能になります。フルゲートは14頭です。

ドバイゴールデンシャヒーンの遠征費用

ドバイゴールデンシャヒーンを含めたドバイワールドカップデーの諸競走では、出走馬の輸送費と関係者の渡航費をドバイレーシングクラブが負担をしてくれます。高額の賞金に加えて、遠征費も負担してくれるので、日本馬にとっては格好の海外遠征先と言えそうです。

ドバイゴールデンシャヒーンの日本馬の挑戦歴史

日本馬によるドバイゴールデンシャヒーンへの挑戦が始まったのは、G1になった02年。当時、ダートでも芝並みの末脚を使うことで人気を集めたブロードアピールが挑むも5着でした。

04年のマイネルセレクトも5着に終わり、06年のアグネスジェダイは6着。07年は二年連続出走のアグネスジェダイが10着、シーキングザベストが11着と日本馬は苦戦を続けます。

それでも、ナドアルシバ競馬場での最後の開催になった09年にはバンブーエールが日本馬最高着順の4着にがんばりを見せます。

メイダン競馬場のオールウェザーに舞台を移した10年には芝のスプリントG1春秋連覇を達成したローレルゲレイロが4着に入って、日本馬にもチャンスありかと思われましたが、そう簡単でないのが競馬というもの。

13年のタイセイレジェンドは12着に敗れ、17年に3歳で果敢に出走したディオスコリダーの挑戦も11着という結果ではね返された。18年にはマテラスカイは5着に入る健闘を見せたものの、18年までで日本馬が3着以内の馬券圏内に食い込んだケースはありません。

ドバイゴールデンシャヒーンの攻略情報

次に、ドバイゴールデンシャヒーンの馬券攻略ポイントを探っていきましょう。

ただし、ドバイのあるUAEでは宗教上の理由から賭博が禁止されているため、馬券の発売は行われていません。したがって、人気などのデータは、イギリスのものを参考にしました。(2018年は日本の海外馬券を参考。)

ドバイゴールデンシャヒーンは荒れやすい!?ドバイゴールデンシャヒーンのレース波乱度

2018~2009年の過去10年における1~3着までの人気を見てみましょう。

1着 2着 3着
2018 3人気 2人気 1人気
2017 1人気 12人気 5人気
2016 4人気 1人気 10人気
2015 2人気 8人気 3人気
2014 1人気 2人気 8人気
2013 4人気 9人気 4人気
2012 4人気 1人気 4人気
2011 1人気 2人気 4人気
2010 3人気 1人気 4人気
2009 2人気 1人気 4人気

過去10年で1番人気は3勝して、2着も4回と好成績を収めています。3着も1回あり、その信頼度はなかなかのものがあります。

5番人気以下の優勝もなく、オールウェザーだった10~14年を含めて実力馬がしっかりと力を発揮していると言っていいでしょう。

ただし、メイダン競馬場がダートになった15年以降は人気薄が2、3着に絡んでくるケースも増えてきている点に注目です。

ドバイゴールデンシャヒーンの斤量の決め方・有利な斤量は!?

ドバイゴールデンシャヒーンの斤量は馬齢定量です。3歳以上が出走可能ですが、斤量は北半球産の3歳馬が出走している場合と、出走していない場合で異なります。

北半球産の3歳馬が出走している場合は、4歳以上が59.5キロ、南半球産の3歳が58.5キロ、北半球産の3歳が55.5キロになり、牝馬はそれぞれ2キロ減になります。

北半球産の3歳馬が出走していない場合は、全体の斤量が少し抑えられて、4歳以上が57キロ、南半球産の3歳が56キロ、牝馬がそれぞれ2キロ減になります。

次に2018~2009年の過去10年における1~3着までの性齢を見てみましょう。

1着 2着 3着
2018 牡5 セ6 セ6
2017 牡4 セ4 セ7
2016 セ7 セ4 セ6
2015 牡6 セ6 セ7
2014 セ5 セ6 牡5
2013 セ7 セ5 セ5
2012 セ4 セ6 セ5
2011 セ5 牡7 セ8
2010 セ5 セ4 牡5
2009 牡4 牝4 牡6

過去10年の年齢ごとの成績を見ると、5歳が優勝回数(4回)、3着までの入着回数(9回)でトップ。優勝回数3回、入着回数7回の4歳が続いて、6歳は優勝回数1回ながら入着回数は8回となっています。

注目は優勝回数2回、入着回数5回の7歳馬です。6歳以下に比べれば出走頭数自体が少ない中、健闘しているので、ベテランも簡単には見限ることができません。

牝馬は過去10年で2着が1回あるだけで、ドバイワールドカップ同様に苦戦の傾向にあります。

ドバイゴールデンシャヒーンで有利な脚質は!?

2018~2009年におけるドバイゴールデンシャヒーン優勝馬のラスト400mでのポジションは、

・1~3番手…6勝

・4~6番手…2勝

・7~9番手…1勝

・10番手以下…1勝

1~3番手のうち、単純な逃げ切りは直線コースだったナドアルシバ競馬場での2009年だけで、いわゆる好位から抜け出す、という戦法が王道になっています。

7番手より後ろから追い込んで勝ったのは、17、18年に連覇したマインドユアビスケッツの2回だけ。ゴール前の直線は400mありますが、後方からの逆転は難しく、先行有利の傾向にあります。

ドバイゴールデンシャヒーンで内枠・外枠のどちらが有利!?

こちらはドバイゴールデンシャヒーンがメイダン競馬場で行われるようになった2010年からの枠ごとの成績です。

1着 2着 3着
1 1回 1回 1回
2 0回 1回 1回
3 0回 1回 0回
4 1回 0回 1回
5 2回 0回 1回
6 0回 3回 1回
7 3回 0回 1回
8 1回 0回 0回
9 0回 0回 1回
10 0回 0回 0回
11 0回 0回 0回
12 0回 2回 1回
13 0回 1回 1回
14 1回 0回 0回

メイダン競馬場に替わって9回しか行われていないこともあり、データに極端な偏りは見られません。外に比べて内が有利なように見えるのは、10頭以下での開催が9回のうち4回あったので、それによるものと考えられます。

ちなみに、14頭のフルゲートになったのは17年の1回のみで、その時は大外のマインドユアビスケッツが優勝しています。

日本馬のドバイゴールデンシャヒーンでの相性は?

日本馬は2018年までにのべ10頭が出走して、まだ優勝はありません。日本馬の挑戦歴史でも書いたとおり、ここまでの最高着順はバンブーエールとローレルゲレイロの4着になっています。

日本馬が活躍できない最大の要因は、JRAでダート1200mのG1が行われていないからでしょう。地方にはJBCスプリントがありますが、JRAの出走頭数が制限される上に、競馬場によって距離も違ってしまいます。日本はダート短距離の一流馬が育ちにくい土壌ではあるものの、チャレンジを続けてほしいものです。

ドバイゴールデンシャヒーンに強い国とは!?

ドバイゴールデンシャヒーンは、ドバイワールドカップデーに行われるようになった96年から18年までに23回行われて、最も多く勝利しているのがアメリカの12勝です。2番目がUAEの7勝で、以下サウジアラビア、バーレーン、香港、シンガポールが1勝で続いています。

出走馬の数もアメリカとUAEが非常に多く、これまでにアメリカがおよそ60頭、UAEがおよそ120頭を出走。3番目に多い香港が20頭ですから、その二国が他を圧倒しています。

メイダン競馬場がダートになった15年から18年を見ても、4回のうちアメリカが3勝で、UAEが1勝。18年にはアメリカ馬が1着から3着までを独占してダート王国の実力を世界に見せつけました。

まとめ ダート王国アメリカ馬が中心!レースは固く収まる傾向に

18年までの過去10年で1番人気が7回連対していて、過去10年の優勝馬がすべて4番人気までという人気上位の馬が強いレース。ここ数年は2、3着に人気薄が入るケースが増えていて、1番人気を馬券の軸に据えるにしても、相手が人気サイドか人気薄かで、金額に差をつけるなど買い方に一手間かけるのが良さそうです。

脚質はデータから先行有利と出ていて、スプリント戦らしくスピードのある馬がその能力を発揮しています。ダートということもあって追い込みは決まりにくいのですが、むやみに軽視するのは危険。17、18年に連覇したマインドユアビスケッツのようなケースがあることにも注意を払っておく必要があります。

馬齢は5歳が強く、4歳、6歳を含めた層が活躍馬の中心ながら、7歳が健闘している点は要チェック。牝馬は劣勢です。

調教国では、何と言ってもダート王国のアメリカ。その次に続くのが地元のUAEですが、これまでの出走頭数を含めて考えれば、アメリカ馬がダートでその強さをいかんなく発揮しています。

日本は残念ながらまだ馬券圏内に入った馬がおらず、厳しい戦いが続いています。これまでも触れたように、JRAでダート短距離のG1を行っていないので、なかなか世界で活躍できる馬が出現しにくい状況です。馬券を買うにしても応援馬券などで少額に抑える方がよいでしょう。

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