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UAEダービーの取扱説明書

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こんにちは。編集部のJです。

今回取り上げるレースは、ドバイワールドカップデーで唯一、馬齢制限があるレース、3歳馬によるUAEダービーです。メイダン競馬場のダート1900mで争われるUAEの3歳ナンバーワンを決める一戦になります。

UAEダービーは、日本馬が世界で一番本気で勝ちを狙いに行っている海外G2と言えるかもしれません。

日本馬が海外のG2を使う場合は、その後に続くG1への前哨戦の意味合いが強いことが多いのですが、ダートを主戦場にする3歳馬にとって3月と言えば、これといった目標レースがない空白時期。UAEダービーの賞金が高額ということもあって、G2でもその本気度が全然違うはずです。

ちなみに、UAEではUAE2000ギニー、アルバスタキヤ、UAEダービーの3つを勝って三冠とされていて、過去には07年にアジアティックボーイがこの三冠を達成しています。

それでは、UAEダービーの基礎知識をおさえつつ、馬券攻略のヒントを探っていきましょう。

UAEダービーの基礎知識

まず、UAEダービーの概要をおさえておきましょう。

UAEダービーの歴史

UAEダービーが創設されたのは、00年です。最初はナドアルシバ競馬場のダート1800mで行われていました。

2年目の01年にG3になり、G2になった02年からは距離が2000mに変更されます。しかし、04年には再び1800mに距離が戻されることになりました。

メイダン競馬場に替わった10年からはオールウェザーの1900mで行われ、15年からは馬場がオールウェザーからダートに変わっています。

また、アメリカのケンタッキーダービーが出走する馬を独自のポイントで決めるようになった13年からは、UAEダービーがそのポイントの対象レースになっていて、UAEダービーに優勝すれば、ケンタッキーダービーへの出走が確実になるほど、大きなポイントが稼げるレースになっています。

UAEダービーの賞金

2018年のUAEダービーの賞金総額は、200万ドル。およそ2憶2000万円です。優勝賞金は120万ドルで、およそ1憶3200万円になります。

G2でありながら、ドバイワールドカップデーに行われるG1のアルクオーツスプリントよりも高い賞金になっていました。

UAEダービーの観客数

UAEダービーを含むドバイシーワールドカップデーが開催された日のメイダン競馬場の観客数は、2017年がおよそ6万人。11年にはおよそ8万1000人の観客数を記録しています。

UAEダービーのレコード

UAEダービーのレコードタイムは、18年にメンデルスゾーンが記録した1分55秒18です。

これはUAEダービーが1900mになった10年以降のどの年よりも2秒以上速い驚愕のタイムです。もちろん、これがメイダン競馬場のダート1900mのコースレコードにもなっています。

ちなみに、ナドアルシバ競馬場のダート1800mで行われていた時のベストタイムは、01年のエクスプレスツアーが記録した1分47秒01です。

UAEダービーの一次登録について

UAEダービーデーの一次登録の締め切りの時期は、毎年1月中旬。一次登録の登録料は無料です。

仮に一次登録が締め切られた後でも、3回に分けて追加登録を受け付けていて、2月中旬までは賞金総額の0.1%(2018年のUAEダービーの場合は、2000ドル=およそ22万円)、3月中旬までは賞金総額の1%(同2万ドル=およそ220万円)、直前のレース1週間前までが賞金総額の10%(同20万ドル=およそ2200万円)で追加登録が可能です。

UAEダービーの出走条件とは!?

UAEダービーの出走条件は3歳限定。3歳であれば、牝馬でもセン馬でも出走が可能です。

また、UAEでは北半球産馬は北半球の馬齢基準(1月に加齢)、南半球産馬は南半球の馬齢基準(7月に加齢)で馬齢が表記されるので、3歳馬であれば北半球産でも南半球産でも出走できる珍しいレースです。

例えば、UAEダービーに出走した南半球産の馬が、同じ年の日本ダービーに出走したいと言っても、その南半球産の馬は、北半球の馬齢基準である日本では4歳として扱われてしまうため、出走が叶わないのです。

UAEダービーの遠征費用

UAEダービーを含めたドバイワールドカップデーの諸競走では、出走馬の輸送費と関係者の渡航費をドバイレーシングクラブが負担をしてくれます。高額の賞金に加えて、遠征費も負担してくれるので、日本馬にとっては格好の海外遠征先と言えそうです。

UAEダービーの日本馬の挑戦歴史

日本馬のUAEダービー挑戦が始まったのは、7回目の開催になった06年です。フラムドパシオンとガブリンの2頭が出走して、ディスクリートキャットの3着と7着という結果でした。この年のUAEダービーは4着だったインヴァソールがその年のアメリカ年度代表馬になり、翌年のドバイワールドカップに優勝。11着のウェルアームドは3年後の09年にドバイワールドカップに優勝するなど、振り返ると大変に豪華なメンバーでした。

ナドアルシバ競馬場で行われていた頃には、そのほか07年にビクトリーテツニーが5着、08年にイイデケンシンが8着に敗れています。

メイダン競馬場になってからは、11年にレーザーバレット、続く12年はゲンテン、13年のケイアイレオーネが出走しましたが良績を残せず。15年は日本から3頭が出走して、ゴールデンバローズがフラムドパシオン以来の3着に健闘をしたものの、タップザットが5着、ディアドムスが8着という結果でした。

16年は出走馬7頭と少ない中で、日本馬が3頭という好機でした。そして、そのチャンスを生かしたのがラニです。向こう正面で後方から徐々にポジションを上げたラニが、直線でも最後まで伸びて日本馬待望の初勝利を手にしました。そして、ダート初出走のユウチェンジが3着、オンザロックスも5着にがんばりました。

翌17年にはエピカリスが逃げて日本馬の連覇目前かと思われましたが、直線でサンダースノーが襲い掛かり、二人の“クリストフ”の勝負はスミヨン騎手のサンダースノーに軍配が上がりました。ルメール騎手のエピカリスは小差の2着に敗れて涙を飲みました。

UAEダービーの攻略情報

次に、UAEダービーの馬券攻略ポイントを探っていきましょう。

ただし、ドバイのあるUAEでは宗教上の理由から賭博が禁止されているため、馬券の発売は行われていません。したがって、人気などのデータは、イギリスのものを参考にしました。

もう一つ注意点として、JRAでは海外G2の馬券を発売した実績がないので、「どうしてもUAEダービーの馬券を買いたい!」という人は、イギリスのブックメーカーなど合法的に海外の馬券を発売している国で購入する必要があります。

UAEダービーは荒れやすい!?UAEダービーのレース波乱度

2018~2009年の過去10年における1~3着までの人気を見てみましょう。

1着 2着 3着
2018 3人気 2人気 4人気
2017 1人気 2人気 4人気
2016 4人気 1人気 5人気
2015 1人気 4人気 1人気
2014 4人気 3人気 7人気
2013 5人気 9人気 1人気
2012 3人気 9人気 1人気
2011 1人気 6人気 2人気
2010 1人気 3人気 2人気
2009 4人気 1人気 4人気

過去10年で1番人気は4勝を挙げていて、2着も2回、3着も3回。15年は同オッズでの1番人気が2頭となっていますが、それを差し引いても信頼度の高さは上々と言って良いでしょう。

それと、健闘を見せているのが4番人気の馬。過去10年でラニを含む3頭が優勝していて、2着1回、3着3回という好結果を残しています。

6番人気以下の伏兵陣はやや影が薄く、過去10年で2着が3回、3着が1回という結果です。それも6番人気以下の馬が3着までに来た年はすべてオールウェザーで行われていた年(10~14年)でしたので、ダートでは上位人気馬を信頼して馬券を組み立てるのが良策なようです。

UAEダービーの斤量の決め方・有利な斤量は!?

UAEダービーの斤量は3歳限定の定量戦です。出走条件のところでも書いたように、北半球産、南半球産の3歳が出走可能なため、両者で斤量が異なります。

およそ半年早い生まれとなる南半球産の3歳馬が59.5キロ、北半球産の3歳が55キロになり、牝馬はそれぞれ2キロ減になります。

南半球産の3歳馬が出走していない場合は、牡馬が57キロ、牝馬は2キロ減の55キロになります。

次に18~09年の過去10年における1~3着までの性齢を見てみましょう。表内の黄色は南半球産馬を表しています。

1着 2着 3着
2018 牡3 牝3 牡3
2017 牡3 牡3 牡3
2016 牡3 牝3 牡3
2015 牡3 牡3 牡3
2014 牡3 牡3 牡3
2013 牡3 セ3 牡3
2012 牡3 セ3 牡3
2011 牝3 牡3 牝3
2010 牡3 牝3 牡3
2009 牡3 牡3 牡3

過去10年では北半球産の有利が一目瞭然です。ナドアルシバ競馬場で行われていた09~00年は、南半球産馬が10年で4勝と、北半球産と南半球産の勝利数が拮抗していました。しかし、メイダン競馬場になってからというと、南半球産は18年までの9年でわずか1勝。近年になって傾向が大きく変わってきています。

牝馬は11年のカウラーがUAEダービー唯一の勝利ですが、16年と18年には牝馬が2着になっていて、少ない出走頭数の中で善戦を見せています。

UAEダービーで有利な脚質は!?

18~09年におけるUAEダービー優勝馬のラスト400mでのポジションは、

・1~3番手…10勝

・4~6番手…0勝

・7~9番手…0勝

・10番手以下…0勝

ナドアルシバ競馬場だった09年も含めて、先行馬に有利な傾向が出ました。実はこの結果はダート2000mで争われるドバイワールドカップとまったく同じ。最後の直線が400mありながらも先行有利なメイダン競馬場の傾向をはっきりと表しています。

ラニのような追い込みを得意にしている馬でも、最終コーナーまでには先行グループに取りつておかなければ、勝利することが難しくなってきます。

UAEダービーで内枠・外枠のどちらが有利!?

こちらはUAEダービーがメイダン競馬場で行われるようになった10年からの枠ごとの成績です。

1着 2着 3着
1 1回 1回 0回
2 0回 2回 1回
3 1回 1回 1回
4 2回 0回 1回
5 0回 0回 2回
6 0回 0回 1回
7 1回 0回 2回
8 1回 1回 0回
9 1回 3回 0回
10 0回 1回 0回
11 1回 0回 0回
12 0回 0回 0回
13 1回 0回 1回
14 0回 0回 0回
15 0回 0回 0回
16 0回 0回 0回

メイダン競馬場に替わって9回しか行われていないこともあり、データに極端な偏りは見られません。14番以降は3着までに入った実績がまだありませんが、9回中8回で出走頭数が14頭以内だったので、外枠だからダメということではなさそうです。

日本馬のUAEダービーでの相性は?

日本馬は2018年までに17頭が出走して、16年にラニが優勝したほか、17年にエピカリスが2着、06年のフラムドパシオンと15年のゴールデンバローズと16年のユウチェンジが3着に入っています。

日本馬のUAEダービー挑戦が始まった00年代は非常に苦戦をしていた印象ですけれども、メイダン競馬場がダートに変わった15年以降は日本馬の好走例が増えているように感じます。

そして日本馬17頭のうち、12頭が国内のステップレースとしてヒヤシンスSを使っていました。ヒヤシンスSを勝って臨んだフラムドパシオン、ゴールデンバローズ、エピカリスの3頭は本番でもすべて3着以内に入っているので、ヒヤシンスSを勝っているかも好走を占う上で重要になりそうです。

UAEダービーに強い国とは!?

UAEダービーがスタートした00年から18年までの19回で、最も勝利を挙げているのは、UAEの8勝。地元が意地を見せています。以下は南アフリカが6勝、アイルランドが3勝、日本とイギリスが1勝になっています。

また、UAEダービーは複数回優勝している調教師が多く出ているのも特徴の一つです。UAEの8勝はすべてS.ビン・スルール調教師によるものであるほかに、南アフリカの6勝はM.デコック調教師、アイルランド3勝はA.オブライエン調教師がすべて挙げています。

ドバイのダートレースと言えば、アメリカ馬が強いことが知られていますが、UAEダービーはアメリカ馬があまり活躍をしていません。アメリカの有力な3歳馬は、5月のケンタッキーダービーを見据えて、国内の前哨戦を戦っているためで、仮にUAEまで遠征してくるような馬は、アメリカ馬でも二線級と見た方がいいでしょう。

まとめ 近年は日本馬が善戦!海外で馬券が買えるなら日本馬狙いも

18年までの過去10年で1番人気が4勝を挙げていて、4番人気も同じく4勝。優勝馬は5番人気までで、10番人気以下の3着以内がない堅い印象が強いレースです。

以前は南半球産の3歳が活躍するケースが多かったものの、ここ最近は北半球産3歳が続いていて、18年までは北半球産3歳が8連勝しています。また、牝馬は出走頭数が少ないものの、近年も好走例があり軽視できません。

脚質は先行馬が有利で、過去10年のデータからは、優勝争いをするにはラスト400mまでに3番手までに上がっていることが絶対条件。この時点で中盤より後ろに位置しているようでは勝利が絶望的となってしまいます。

調教国別では、UAE、南アフリカ、そしてアイルランドの3ヶ国が3回以上勝っていて、それぞれの国を代表するUAEのS.ビン・スルール調教師、南アフリカのM.デコック調教師、アイルランドのA.オブライエン厩舎の馬には注意が必要です。

日本馬は近年3着までに来るケースが増えてきているので、国内で馬券発売がないレースだけに、海外で馬券を買うチャンスがあれば、日本馬から狙ってみるのも面白いかもしれません。

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