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香港スプリントの取扱説明書

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こんにちは。編集部のJです。

今回取り上げるのは、香港国際競走のレースのひとつ、香港スプリントです。

12月にシャティン競馬場を舞台に4つのG1が1日で行われる香港国際競走の中で、一番距離の短い芝1200mで争われます。

9月のスプリンターズSが終わったスプリンターたちにとって大きな目標の一つのなるのが、この香港スプリント。毎年のようにスプリンターズSをステップに香港へ向かう馬がいます。

そんな香港スプリントでの日本馬の活躍と言えば、何をおいてもロードカナロアでしょう。同馬が2018年にJRAの顕彰馬となったことで、改めてその偉業がクローズアップされています。

日本の短距離路線を考える上でも、外すことができないレースになってきた香港スプリントのレース概要をおさらいしつつ、馬券の傾向を探っていきましょう。

香港スプリントの基礎知識

まずは、香港スプリントの概要をおさえておきましょう。

香港スプリントの歴史

香港スプリントは1999年12月に創設されました。当時の距離は直線コースを使った芝1000mで、4レースからなる香港国際競走のうち、最も新しいのが香港スプリントです。

第一回は重賞ではなかったものの、翌年の安田記念に優勝する香港のフェアリーキングプローンが制したことで、レースの価値を高めました。

二回目の2000年に国際G3となり、01年には国際G2に昇格を果たします。このG3、G2時代はオーストラリアのファルヴェロンが連覇を達成しました。

02年に国際G1になり、一日に4レースのG1が行われる香港国際競走のかたちが完成します。

2006年からは、芝1000の直線コースから芝1200mの右回りコースに変更。グローバルスプリントチャレンジ(18年から休止)の最終戦にもなっていました。

歴代の優勝馬には日本のロードカナロアはもちろん、サイレントウィットネスやエアロヴェロシティなど日本でもG1を勝った馬たちの名前も並んでいます

香港スプリントの賞金

2017年の香港スプリントの賞金総額は、1850万香港ドル。およそ2憶6000万円です。1着賞金は1054万5000香港ドルで、およそ1憶5000円です。

香港スプリントも他の香港国際競走と同様に2018年は賞金アップが決まっていて、賞金総額は2000万香港ドル、およそ3憶円になります。

香港スプリントの観客数

香港スプリントを含む香港国際競走の開催日の観客は、2017年がおよそ9万5000人。16年には10万人を超える観客数を記録しています。

香港スプリントがスタートした99年の香港国際競走の観客数がおよそ6万7000人ですので、19年でおよそ42%も伸びたことになります。

香港スプリントのレコード

香港スプリントのレコードタイムは、2006年にアブソリュートチャンピオンがつくった1分7秒80です。その年に芝1200mになって、1分7秒台が出たのはその一回だけです。距離が1000mの時代のレコードは02年オールスリルズトゥの56秒40でした。

シャティン競馬場・芝1200mのコースレコード1分7秒50。香港スプリントを07年と09年に二度勝っているセイクリッドキングダムがつくった記録です。

香港スプリントの一次登録について

香港国際競走の一次登録の締め切りの時期は、毎年10月半ばから後半にかけて。香港カップを含めた香港国際競走4つのレースから、出走したい第一希望と第二希望を選んで登録することができます。

一次登録の登録料は無料です。毎年、日本からも多くの馬がエントリーしています。

ちなみに、2017年の香港スプリントに一次登録したのは、9ヶ国から56頭です。最多は香港の18頭で、日本は2番目の多い13頭が登録を行いました。

また、仮に一次登録が締め切られた後でも、追加登録の登録料も賞金総額の1%(2017年の香港スプリントの場合は、23万香港ドル=およそ320万円)を支払えば、11月後半まで追加登録が可能です。

香港スプリントの出走条件とは!?

香港スプリントの出走条件は、3歳以上。セン馬も出走は可能です。

登録馬の中から香港ジョッキークラブが選出を行い、その招待を受諾した馬が出走可能になります。フルゲートは14頭です。

香港スプリントの遠征費用

香港スプリントを含めた香港国際競走では、出走馬の輸送費と関係者の渡航費を香港ジョッキークラブが負担をしてくれます。こうしたサポートがある点も多くの日本馬が香港国際競走に挑戦する大きな要因と言えるでしょう。

香港スプリントの日本馬の挑戦歴史

日本馬が香港スプリントに初めて出走したのは、国際G2になった2001年です。この年は香港ヴァーズをステイゴールド、香港マイルをエイシンプレストン、香港カップをアグネスデジタルが優勝して、シャティン競馬場に日本旋風が吹き荒れました。

香港スプリントに出走したダイタクヤマトとメジロダーリングは12着と13着に惨敗していますが、メジロダーリングは1番人気になるほど注目を集める存在でした。馬場などの条件こそ違ますけど、アイビスサマーダッシュで記録した芝1000m=53秒9の持ち時計は、香港馬にとって相当な脅威だったに違いありません。

国際G1に昇格した02年は、その年の高松宮記念の覇者ショウナンカンプとスプリンターズS優勝馬のビリーヴで挑んだ日本馬でしたが、ショウナンカンプが10着、ビリーヴが14着に敗れました。

その後も、高松宮記念優勝のサニングデールやスプリンターズS優勝のカルストンライトオが挑戦しましたが、好結果を残せず、06年にコーナーのある芝1200mに変更されてからも日本馬の結果は振るわない時期が続きました。日本馬にとって香港スプリントは「鬼門」とも言うべきレースとして浸透していくことになります。

そんな苦しい状況に光明が差したのが、11年にカレンチャンが5着に入ったことです。最後のコーナーで不利を受けながらも健闘を見せて、香港スプリントでは日本馬が挑戦して11年目で初めての5着以内でした。

そして、12年にロードカナロアが日本馬として初めてとなる香港スプリント制覇を果たします。当時も「大偉業」として大きく報道をされたことをよく覚えています。翌13年には1.8倍の1番人気に応えて連覇を達成。13年の5馬身差というのは、レース史上で最大の着差でした。

その後も14年にストレイトガールが3着に食い込むなど近年になって日本馬も惨敗を続けたことからは、徐々に成績が上向いている印象を受けます。

香港スプリントの攻略情報

ここからは、香港スプリントの馬券攻略ポイントを探っていきましょう。

香港スプリントは荒れやすい!?香港スプリントのレース波乱度

2017~2008年の過去10年における1~3着までの人気を見てみましょう。

 

1着 2着 3着
2017 1人気 7人気 8人気
2016 4人気 2人気 7人気
2015 2人気 1人気 3人気
2014 2人気 1人気 13人気
2013 1人気 11人気 3人気
2012 3人気 5人気 10人気
2011 2人気 3人気 10人気
2010 6人気 2人気 1人気
2009 1人気 4人気 8人気
2008 11人気 4人気 1人気

 

過去10年で1番人気が3勝、2着が2回で、2番人気も同じく3勝、2着が2回になっていて、比較的堅くおさまっています

特に、単勝が2.5倍以下の1番人気は、過去10年で7頭いて、すべて3着までに入っています。つまり2.6倍より高いオッズの1番人気は信頼度が一気に下がるという訳です。

7番人気以下の人気薄も過去10年で、2着に2頭、3着には6頭絡んでいて、波乱の要素を含んでいます。

香港スプリントの斤量の決め方・有利な斤量は!?

香港スプリントの斤量は馬齢定量です。4歳以上の牡馬、北半球産の3歳牡馬が126ポンド(キロ換算で57キロ)。南半球産3歳牡馬が117ポンド(53キロ)。牝馬は4歳以上牝馬と北半球産3歳牝馬が122ポンド(55.5キロ)、南半球産が113ポンド(51.5キロ)になります。

次に2017~2008年の過去10年における1~3着までの性齢を見てみましょう。

 

1着 2着 3着
2017 セン5 セン5 セン6
2016 セン8 セン5 セン5
2015 セン4 セン6 セン5
2014 セン6 セン3 牝5
2013 牡5 セン6 セン4
2012 牡4 セン7 セン5
2011 セン4 セン5 セン8
2010 セン6 セン5 セン7
2009 セン6 牡5 セン6
2008 セン5 セン5 セン6

 

過去10年の勝利数では、4歳、5歳、6歳が3勝ずつで並びますが、連対率の高さは2着(同着を含む)が7回ある5歳が他を引き離しています。

4歳馬が挙げた3勝は、12年のロードカナロアを含めてすべて北半球産4歳によるものです。南半球産の4歳は出走数が少ないこともあって結果を出せていませんが、さかのぼればフェアリーキングプローン、サイレントウィットネス、セイクリッドキングダムなど4頭が優勝していて、出走がある場合には注意した方がよさそうです。

香港スプリントで有利な脚質は!?

2017~2008年における香港スプリント優勝馬のラスト400mでのポジションは、

・1~3番手…4勝

・4~6番手…4勝

・7~9番手…2勝

・10番手以下…0勝

スピード競馬らしい先行馬が有利な傾向が見られます。シャティン競馬場の直線は430mありますが、ほぼ平坦ということもあって、追い込んでの勝利は厳しいと言えそうです。

ただ、過去10年で勝利がない追い込み馬ですが、ロードカナロアの2着に突っ込んだソールパワー、09年に最後方から2着に入ったワンワールドのように、連下として一考が必要になりそうです。

香港スプリントで内枠・外枠のどちらが有利!?

距離が1200mになった2006年以降の香港スプリントにおけるゲート番ごとの成績を見てみましょう。

 

1着 2着 3着
1 0回 0回 1回
2 1回 1回 4回
3 0回 1回 2回
4 1回 0回 2回
5 1回 4回 0回
6 3回 3回 1回
7 2回 1回 0回
8 1回 0回 0回
9 1回 1回 0回
10 0回 0回 0回
11 0回 0回 0回
12 1回 2回 0回
13 0回 0回 1回
14 1回 0回 0回

 

最も勝利を挙げているのが、優勝3回の6番、その後に2回の7番が続きます。2着は最多が5番の4回で、2番目に多いのが6番の3回です。

大きな偏りはありませんが、真ん中あたりの枠が好成績を残しています

また、3着は1~4番が9回も占めているのは興味深いデータです。シャティン競馬場の芝1200mは向こう正面からのスタートで、引き込みからスタートする芝1600mと比べて向こう正面を走る距離が単純に400m短くなります。コーナーまでの距離が短くなる分だけ、外枠は距離のロスがあるのだと考えられます。

日本馬の香港スプリントでの相性は?

日本馬は2017年までにのべ27頭が出走。勝利したのは12、13年に連覇したロードカナロアのみ。5着以内も11年のカレンチャン(5着)と14年のストレイトガール(3着)だけ。日本馬が出走した14回で2頭以上にとってかなり厳しいレースと言わざるを得ないでしょう。

日本馬がなかなか勝利できない。その最たる理由は、香港短距離界のレベルの高さでしょう。香港馬はイギリス、アメリカ、ドバイ、オーストラリア、シンガポールなど世界各国で短距離G1に優勝していて、その実力は折り紙つきです。日本でもスプリンターズS(G1)をサイレントウィットネスとウルトラファンタジーが優勝。高松宮記念もエアロヴェロシティが制しています。

世界でも戦える香港馬がホームで日本馬を迎え撃つのですから、厳しいレースになることは間違いないでしょう。

香港スプリントに強い国とは!?

香港スプリントは、2017年までの19回で香港馬が14勝。「日本馬と香港スプリントとの相性」でも触れたように、香港馬がその強さを見せつけています。以下は日本とオーストラリアが2勝、南アフリカが1勝しています。

なお、ブラックキャヴィアやテイクオーバーターゲットなど多くの一流スプリンターを出しているオーストラリアですが、17年からは検疫の問題から香港のレースに事実上、参戦ができなくなっています。

15年から3年続けて香港馬が4着までを独占している香港馬上位の流れはまだしばらく続くことになりそうです。

香港スプリントはリピーターレース!?

香港スプリントは2017年まで19回行われて、連覇を達成した馬がファルヴェロン(00、01年)、サイレントウィットネス(03、04年)、ロードカナロア(12、13年)の3頭。セイクリッドキングダム(07、09年)とエアロヴェロシティ(14、16年)も2回優勝を果たしています。

また、サイレントウィットネスは2着も1回、フェルヴェロンとセイクリッドキングダムも3着が1回あります。

その他にも06年優勝のアブソリュートチャンピオンが07年に2着、15年優勝のペニアフォビアは14年に2着に入るなど、前年に活躍した馬が一、二年後にも上位に来るケースが顕著に見られます。

まとめ 香港スプリントは地元香港の人気馬を狙い撃て

香港スプリントはデータ面からも、強い香港馬の前に日本馬苦戦の傾向が見て取れます。日本馬の応援は心の中にとどめて、馬券では香港馬から入るというスタイルが良さそうです。

データ上では、逃げ、先行の人気馬ならば信頼度は大。さらに枠も真ん中よりも内ならば期待度は高まりそうです。

そして、チェックを忘れたくないのが、前年の成績。リピーターが多いレースなので、前年の好走馬には注意が必要です。

基本的には大荒れが少ないレースですから、堅実な馬券を軸にして、小波乱を狙ってみるのがよいのかもしれません。

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