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香港マイルの取扱説明書

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こんにちは。編集部のJです。

世界の競馬において12月の大きなイベントと言えば、その年のカーニバル開催の締めくくる香港国際競走です。

シャティン競馬場を舞台にして香港カップ、香港マイル、香港スプリント、香港ヴァーズの4つのG1が1日で行われる香港国際競走は、9月にシーズンがスタートする香港では、シーズン最初のG1にもなります。

その香港国際競走で準メインに位置するのが、今回取り上げる香港マイルです。かつてモエイシンプレストンなどが輝かしい栄光を掴んだレースですが、一方で数々の日本のトップマイラーが涙を飲んできたレースでもあります。

それでは、香港マイルのレース概要と馬券の傾向を探っていきます。

香港マイルの基礎知識

まずは、香港マイルの概要をおさえておきましょう。

香港マイルの歴史

香港マイルは1991年12月に、香港招待ボウルとして始まりました。この年にアジア競馬会議が香港で開催されたのを記念して創設されたもので、当時の距離は芝1400m。香港では香港招待カップ(現在の香港カップ)に次ぐ2番目の国際競走でした。

2回目にレース名が香港国際ボウルに変更。だたし、2回目だけは馬インフルエンザの発生のために、開催時期は12月から変更されて、93年4月に行われました。

94年から国際G3になり、95年には国際G2へ昇格を果たします。99年に距離が芝1600mになり、レース名が香港マイルに変更。2000年からは国際G1として行われています。

2007~09年には、香港のグッドババが香港国際競走で初めてになる三連覇を成し遂げています。香港国際競走での三連覇は、グッドババ以降もまだ達成した馬が現れていない大偉業です。

香港マイルの賞金

2017年の香港カップの賞金総額は、2300万香港ドル。およそ3憶2000万円です。1着賞金は1311万香港ドルで、およそ1憶8000円になります。

この賞金は、マイル戦では世界一高い賞金です。賞金総額2憶3860万円の安田記念とマイルチャンピオンシップはもちろん、オーストラリアのドンカスターマイル(賞金総額およそ2憶4000)、アメリカのBCマイル(賞金総額およそ2憶2000)よりも上です。

また、香港カップ同様に2018年は賞金総額2500万香港ドル、およそ3憶5000万円にアップが決まっています。クイーンエリザベス2世カップの賞金総額を抜いて、香港全体では、2年ぶりに香港カップに次ぐ高賞金レースになります。

香港マイルの観客数

香港マイルを含む香港国際競走の開催日の観客は、2017年がおよそ9万5000人。2016年には10万人を超える観客数を記録しています。

2017/2018シーズンのシャティン競馬場の平均観客数が、およそ1万5000人ですから、香港国際競走当日がいかに盛り上がるか、よくわかる数字です。

香港マイルのレコード

香港マイルのレコードタイムは、1分32秒71。2008年にグッドババが二連覇を達成した時に記録したタイムです。香港マイルが芝1600mになった99年以降で32秒代のタイムが出たのは、まだ1回のみ。それ以外の年は33~34秒台で決着しています。

1分32秒71はシャティン競馬場・芝1600mのコースレコードにもなっていて、もう8年以上破られていません。

香港マイルの一次登録について

香港国際競走の一次登録の締め切りの時期は、毎年10月半ばから後半にかけて。香港カップを含めた香港国際競走4つのレースから、出走したい第一希望と第二希望を選んで登録することができます。

一次登録の登録料は無料です。毎年、日本からも多くの馬がエントリーしています。

ちなみに、2017年の香港マイルに一次登録したのは、10ヶ国から81頭。そのうち日本馬は24頭で、国ごとでは香港の28頭に次いで2番目の多い登録頭数になっていました。

また、仮に一次登録が締め切られた後でも、追加登録の登録料も賞金総額の1%(2017年の香港マイルの場合は、23万香港ドル=およそ320万円)を支払えば、11月後半まで追加登録が可能です。

香港マイルの出走条件とは!?

香港マイルの出走条件は、3歳以上。セン馬も出走は可能です。

登録馬の中から香港ジョッキークラブが選出を行い、その招待を受諾した馬が出走可能になります。フルゲートは14頭です。

香港マイルの遠征費用

香港マイルを含めた香港国際競走では、出走馬の輸送費と関係者の渡航費を香港ジョッキークラブが負担をしてくれます。こうしたサポートがある点も多くの日本馬が香港国際競走に挑戦する大きな要因と言えるでしょう。

香港マイルの日本馬の挑戦歴史

日本馬が香港マイルに初めて挑戦したのは、まだレース名が香港国際ボウルだった1993年。馬インフルエンザの影響で4月開催になった第2回目です。ホクセイシプレーが挑みましたが、最下位の14着に敗れています。93年12月の第三回にはトモエリージェントが出走しますが、こちらも最下位14着に惨敗。日本馬の挑戦は厳しいスタートから始まりました。

1996年にはドージマムテキが2着に入り、初の連対を果たします。95年にも挑戦してモノポライズの5着に敗れていたドージマムテキでしたが、2度目の挑戦ではディフェンディングチャンピオンのモノポライズを相手に大健闘を見せました。

国際G1になって2年目の2001年に日本馬待望の初勝利を迎えます。この年は日本からエイシンプレストンとゼンノエルシドが出走。マイルチャンピオンシップを勝って向かったゼンノエルシドは見せ場なく惨敗したものの、同2着だったエイシンプレストンが直線で外から豪快な差し切りを決めました。

エイシンプレストンはその後も香港で翌年と03年のクイーンエリザベス2世カップ(G1)を連覇して、香港G1を3勝という輝かしい記録を残しました。

さらに2005年はマイルチャンピオンシップでG1初制覇を飾ったハットトリックと安田記念を制したアサクサデンエンの両マイルG1馬が揃った豪華な布陣で挑み、ハットトリックがその勢いのままに香港マイルも連勝します。

ハットトリックの勝利後は勝利から遠ざかっていた日本馬でしたが、10年と時を経てモーリスが日本馬として3頭目の優勝。安田記念とマイルチャンピオンシップを連勝した日本のマイル王が、実力を見せつける勝利でした。

モーリスもその翌年に香港でチャンピオンズマイル(G1)と香港カップ(G1)を制して、エイシンプレストンに並ぶ香港G1・3勝を挙げています。

香港マイルの攻略情報

次に香港マイルを馬券攻略ポイントの観点から解析していきましょう。

香港マイルは荒れやすい!?香港マイルのレース波乱度

まずは、2017~2008年の過去10年における1~3着までの人気を見てみましょう。

1着 2着 3着
2017 6人気 13人気 2人気
2016 4人気 8人気 9人気
2015 2人気 5人気 1人気
2014 1人気 2人気 8人気
2013 4人気 1人気 5人気
2012 2人気 1人気 11人気
2011 12人気 10人気 1人気
2010 6人気 7人気 3人気
2009 2人気 1人気 3人気
2008 2人気 7人気 3人気

過去10年で1番人気がわずかに1勝だけで、2着も3回にとどまっていて苦戦をしています。2番人気は4勝、2着が1回。過去10年では、勝率、連対率でも1番人気を上回っています。

また注目すべきは、1番人気、2番人気ともに連対を外している年が過去10年で4回もあることでしょう。10番人気以下の伏兵の台頭も目立っていて、波乱になる傾向が強いレースです。それを裏付けるように、2017年の香港マイルでは、海外馬券初となる三連単100万馬券がさく裂しました。

香港マイルの斤量の決め方・有利な斤量は!?

香港マイルの斤量は馬齢定量です。4歳以上の牡馬が126ポンド、北半球産の3歳牡馬が125ポンド、南半球産3歳牡馬が113ポンド。牝馬はそれぞれ4ポンド軽くなり、4歳以上牝馬が122ポンド、3歳牝馬は北半球産が121ポンド、南半球産が109ポンドになります。

これをキロ換算した表記では、4歳以上の牡馬が57キロ、北半球産の3歳牡馬が56.5キロ、南半球産の3歳牡馬が51キロになり、牝馬は4歳以上牝馬が55.5キロ、3歳牝馬は北半球産が55キロ、南半球産が49.5キロとなります。

次に2017~2008年の過去10年における1~3着までの性齢を見てみましょう。

1着 2着 3着
2017 セン5 セン5 牡5
2016 セン5 牡4 セン4
2015 牡4 セン4 セン6
2014 セン5 セン5 牡6
2013 セン6 セン4 セン5
2012 セン6 セン5 セン6
2011 セン9 牡5 牡4
2010 セン5 牡3 牝5
2009 セン7 セン5 セン7
2008 セン6 セン6 セン7

過去10年で活躍が目につくのが、5歳牡馬もしくはセン馬。4勝を挙げて2着にも5回入っています。その前後の4歳、6歳を含めた世代が中心を担っていることがわかります。

3歳は、日本でほぼ同時期に行われるマイルチャンピオンシップと同様に劣勢気味です。香港では南半球産馬が多いことも3歳不振の原因の一つでしょう。南半球産にとって12月と言えば、3歳になってまだ半年足らず。斤量の恩恵があったとしても、古馬に打ち勝つのは生易しいことではありませんから、香港の3歳馬が出走すること自体、ほとんどありません。

香港マイルで有利な脚質は!?

2017~2008年における香港マイル優勝馬のラスト400mでのポジションは、

・1~3番手…3勝

・4~6番手…0勝

・7~9番手…4勝

・10番手以下…3勝

中位よりも後で運んだ馬の勝率が高いというデータが出ました。直線での爆発力がある馬が狙い目です。

1~3番手の馬が3勝して健闘していますが、これは6番人気、12番人気、6番人気での勝利です。2017年はビューティージェネレーションが見事に逃げ切りました。人気薄の先行馬にも注意が必要になります。

香港マイルで内枠・外枠のどちらが有利!?

距離が1600mになった1999年以降の香港マイルにおけるゲート番ごとの成績を見てみましょう。

1着 2着 3着
1 0回 2回 2回
2 0回 0回 1回
3 1回 1回 0回
4 1回 1回 1回
5 0回 4回 2回
6 1回 1回 0回
7 3回 1回 0回
8 1回 0回 0回
9 3回 0回 6回
10 3回 2回 1回
11 2回 1回 1回
12 0回 4回 4回
13 3回 2回 1回
14 1回 0回 0回

最も勝利を挙げているのが、優勝3回の7番と9番と10番と13番になります。それに続くのが優勝2回の11番。複数勝利を挙げている枠は、外の方に集まっています。

連対回数では、5回の10番、13番が最も多く、4回が5番、7番、12番です。こちらも内枠が少し不利なデータが出ています。

シャティン競馬場の芝1600mは、向こう正面のポケットからスタートして、序盤は向こう正面を使ってのポジション争いになります。枠の有利不利が出にくいコースに映りますが、希望のポジションにおさまりやすい外枠の成績が良く、馬群の中に閉じ込められる可能性がある内枠が不振なのかもしれません。

日本馬の香港マイルでの相性は?

日本馬は2017年までにのべ37頭が出走して、エイシンプレストン、ハットトリック、モーリスで3勝を挙げています。勝率はおよそ8%。単純計算で12頭に1頭の割合で勝利を挙げていることになります。日本からの出走が多い割には、なかなか勝利につながっていない印象です。

2着も1996年のドージマムテキを最後に出ておらず、苦戦が続いています。日本から4頭が出走した2014年もグランプリボスが3着に入るのが精一杯でした。

これまで香港マイルに勝利した日本馬3頭の共通点は、

国内でマイルG1に優勝していた。

前走はマイルチャンピオンシップのローテーション。

日本から2頭以上が香港マイルに出走。

10番より外の枠からスタート。

などがあります。今後もこれらの条件に当てはまる日本馬は、「買い」かもしれません。

香港マイルに強い国とは!?

香港マイルの優勝馬を国別で見ると、最多は香港の14勝。2017年まで27回のうち半数以上を占めています。次に日本とオーストラリアが3勝ずつで続いて、その後にイギリスの2勝。以下、アイルランド、アメリカ、ニュージーランド、フランスが1勝になっています。

特に顕著なのが、近年の香港馬の強さです。2006~17年の12年で香港馬は11勝もしています。そこに一矢を報いたのが、15年のモーリスでした。逆に、もはやモーリス級の馬でなければ、優勝争いに加わるのが厳しいということが言えるのかもしれません。

ちなみに、2017年は1着ビューティージェネレーション、2着ウエスタンエクスプレス、3着ヘレンパラゴンと上位は香港馬が独占。2006年以降で香港馬が1着から3着までを占めたのは、12回中6回もあります。香港のマイル路線の層の厚さを改めて認識させられるデータです。

まとめ 香港マイルは波乱含み!地元勢から攻めの馬券を

近年は人気サイドでの決着が少なく、一筋縄ではいかない香港マイル。日本馬はこれまでに3勝を挙げているものの、出走頭数が多いことを考えれば、苦戦していることがうかがえます。

馬券としては、地元の香港馬を中心に組み立てるのが、的中への近道です。過去10年の1番人気の実績を考えれば、ヒモ候補もしくは、思い切って馬券から外すのもアリなのかもしれません。

5歳を筆頭に、充実期にある4~6歳、そして脚質的には強力な末脚を持つ馬が狙うのが良さそうですが、海外競馬にあまり馴染みのない人には、「どの馬が差し、追い込みタイプの馬なのか?」と疑問を持つかもしれませんね。

でも大丈夫です。香港ジョッキークラブのHPではJRAと同じようにレース結果から映像を簡単に視聴することが可能です。近走のレースぶりをチェックしておけば、脚質の把握はそんなに難しいことではありません。

「英語や中国語のHPはチンプンカンプン」と言う人でも、JRAの海外馬券サイトにある前哨戦紹介から映像をみることもできますので、参考にしてみて下さい。

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