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異常オッズの入門講座【オッズの第一人者が監修】

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蘆口 真史
蘆口 真史
2005年に「朝一オッズ」という言葉で競馬界へ電撃デビュー。今では朝一オッズといえば蘆口真史とまで言われるようになる。6年間で数百人を超える勝ち組を輩出し、オッズ界の巨匠と呼ばれるようになる。出版社からは書籍の監修を頼まれるなど名実ともにオッズ界のトップ。

こんにちは。蘆口真史です。

「競馬はオッズを見るだけで勝てる」。これが私の持論です。

ただし、オッズ画面をただぼーっと眺めるだけでは勝てません。「分析」が必要です。

今回は、蘆口オッズ理論の根幹をなす「異常オッズ分析」の入門編をご紹介します。

「異常オッズ」とは何か?

「いくら買われたか」は随時公開される

JRAは、「どの馬に何票入ったか(いくらのお金が投じられたか)」を、ほぼ5分間隔でリアルタイムに公開しています。

たとえば「午前9時20分、馬番1番の単勝10万円・複勝5万の馬券が買われた」という具体的な投票金額や、その購入によるオッズの推移も、時系列でわかるようになっています。

どう見てもおかしい「異常な投票」

時系列でオッズを見ていくと「これは明らかに異常だ!」と思える「異常なオッズ」に出会うことが頻繁にあります。

たとえば下記は、2014年の菊花賞における、勝ち馬トーホウジャッカルの時間ごとの単勝人気の推移です。

金16:15 6人気

金16:25 1人気

土12:00 2人気

日12:04 3人気

確定 3人気

トーホウジャッカルは最終的には単勝3番人気で落ち着きました。しかしその推移を見ると、金曜日16時25分の時点で急激にオッズを上昇させ、6番人気から1番人気に浮上しています。明らかに異常です。このような、オッズに異常が起こる現象を「異常オッズ」と定義しています。

オッズは発売開始から投票金額によって変動していきますが、最終的に3番人気になる馬でも、発売開始から締切まで3番人気をキープする馬もいれば、今回のように一時的に1番人気になる馬もいます。前者はオッズに異常がないと判断できますが、後者はオッズに異常があったと判断することができます。

何者かの「大量購入」が異常オッズを生む

異常オッズが発生するのは「誰かがその馬の馬券を大量に購入している」からです。実際に金曜日16時25分前後、トーホウジャッカルの単勝に約200万円の投票が行われた形跡があります。

一般的な馬券の売れ方は、発売開始からパドック開始前までおおよそ一定の売れ方をし、パドック開始あたりから締切直前にかけて急激に売れるという流れです。

しかし菊花賞のトーホウジャッカルは、そのような流れとはまったく異なり、天気も馬場も読めない前々日16時25分の時点で単勝に200万円もの大金がつぎ込まれているのです。いかに異常であるかはおわかりいただけるでしょう。

そして、通常の一般投票とは別に、「何者か」が馬券を大量に購入した場合、今回のケースのように「異常オッズ」として検知”することが可能なのです。

ちなみに、今回は単勝にフォーカスを当てましたが、異常オッズはさまざまな券種で発生しています。

2007年に施行された中山金杯では、1着8番と2着9番の馬連と馬単の配当が同じになるというような現象も起きています。これも何者かが馬単8番→9番に大量投票を行った結果と考えることができます。

そのほかにも、単勝は5番人気なのに複勝では3番人気になっていたり、単勝では2番人気-3番人気の組み合わせなのに馬連では1番人気になっていたりと、その中身はさまざまです。

いずれも、何者かが大量購入をした跡が「異常オッズ」として残っているということなのです。

「異常オッズ」はなぜ発生する?

「大量投票」には2種類ある

オッズはJRAが決めるものではなく、馬券購入者がつくるものです。

異常オッズが発生するということは「誰かがその馬の馬券を大量に購入している」ということです。前述した2014年菊花賞のトーホウジャッカルも、最終的に単勝3番人気に収まる馬が金曜日時点で1番人気になっていたのは、金曜日の夕方に約200万円の大量購入があったことが要因でした

異常オッズは、何者かの「大量投票」によって発生するわけですが、その「大量投票」は、「一般人による大量投票」「関係者による大量投票」の2つに分けることができます。

一般人による大量投票

一般人による大量投票の中には、グリーンチャンネルのパドック推奨馬や人気予想家・評論家の推奨馬などの「メディアによる異常オッズ」、会員が多数いる一口馬主クラブの馬や白毛馬などの「応援による異常オッズ」、非常に優秀な馬券師や馬券生活者などによる「馬券の勝ち組による異常オッズ」と、さまざまなものがあります。また、お金持ちの気まぐれなどにより異常オッズが起きることもあります。

関係者による大量投票

競馬法により、競馬関係者(=騎手・調教師・厩務員・JRA職員)は馬券の購入を禁止されています。しかし、馬主など競馬関係者の近くにいながら合法的に馬券を購入できる人は数多く存在し、競馬新聞からは決して読み取ることができない内部情報を入手することが可能です。そのような、「競馬関係者の側近による異常オッズ」も考えられます。

「異常オッズ」の馬は走る

上記をまとめると、「メディアによる異常オッズ」「応援による異常オッズ」「馬券の勝ち組による異常オッズ」「競馬関係者の側近による異常オッズ」と、異常オッズには4つの発生要因があるということになります。

このうち、「メディアによる異常オッズ」「応援による異常オッズ」は、「馬券の勝ち組による異常オッズ」「競馬関係者の側近による異常オッズ」と比べて、必ずしも信頼できる異常オッズとはいえません。

前者と後者を比較して大きく異なるのは「投票の内訳」です。前者の場合、メディアの推奨や応援により「大人数×少額の投票=大量投票」となるのに対し、後者の場合は「少人数×多額の投票=大量投票」となります。

「メディアによる異常オッズ」「応援による異常オッズ」の場合は大人数が各々の時間帯で少額ずつ購入していくためオッズに大きな変動は起きません。一方で、「馬券の勝ち組による異常オッズ」「競馬関係者の側近による異常オッズ」の場合は少人数が多額の投票を行うため、その都度順位が上昇する形になり、オッズの変動が大きくなります。

ただし、「メディアによる異常オッズ」や「応援による異常オッズ」は信頼できないケースも多くありますが、それらを含めても「異常オッズがあった馬」と「なかった馬」を比較すると「異常オッズがあった馬の方が圧倒的に走る」ことが過去データからもわかっています。異常オッズの信頼度がいかに高いかを裏付ける結果といえるでしょう。

「異常オッズ」はどう見つける?

3つの分析手法

「異常オッズ」を見つけるには、3つの分析手法があります。

・時系列オッズ分析

・時間帯別比較

・馬券種間比較

それぞれの方法に長所と短所があり、使い方もさまざまです。詳しく見ていきましょう。

時系列オッズ分析

JRAではおよそ5分間隔でオッズの推移、各時間帯の投票金額を公開しているため、時系列にどの馬にどれだけの金額が投じられたかを調べることが可能です。

最も正統派の手法で効果も絶大ですが、時系列にオッズを分析できるシステムが必要なため、予想をするまでに時間や手間が掛かるというデメリットがあります。

これから紹介する「時間帯別」や「馬券種間」で比較をして異常が確認できた馬のみ時系列オッズを確認することで、すべての馬の時系列オッズを見るよりも効率的に予想をするということも可能です。

時間帯別比較

時系列オッズ分析を簡略化したのが時間帯別比較です。

たとえば、「直前では単勝5番人気の馬が朝一では単勝1番人気だった」というような時間帯別の順位の変化から異常オッズを検知します。

すべての時間帯をチェックする時系列オッズと比較すると、2~3個の時間帯のオッズを確認するという手間で済みます。

馬券種間比較

上記2つの手法は、同じ馬券種のみを確認し、異常オッズがないかを検知する方法でした。これとは別に、馬券種ごとのオッズを比較して異常を検知するという方法もあります。

たとえば、単勝では5番人気なのに複勝では1番人気になっているというような馬を示します。

馬券種間比較の手法で最もオススメできるのが、「馬連順位と単勝順位」、そして「馬連順位と複勝順位」を比較して異常を検知する手法です。

ただし、ここで問題になってくるのが「馬連順位」です、単勝や複勝は1頭の馬に対して1つのオッズしかないので順位を出すことが可能ですが、馬連オッズは相手もかかわってくるため、純粋な順位は存在しません。

そこで、最も効率的かつ簡単に馬連順位を作成する方法を説明します。

(1)馬連上位2組のオッズを取得し、どちらの組み合わせにも出現している馬番を馬連1位とする。

②-④ 3.4

②-⑦ 9.8

④-⑦ 11.2

②-⑨ 12.3

→馬連1位は②に決定

(2)馬連1位馬からの各馬の馬連オッズを確認し、人気上位順に馬連2位・3位……と順位を決定する。

②-④ 3.4

②-⑦ 9.8

②-⑨ 12.3

②-③ 14.5

→馬連1位は②、2位は④、3位は⑨、4位は③……と決定

馬連でも大量に馬券が購入されることがありますが、単複と違い1頭に投じる形ではありません。また、単複と比較して投票母数も多くなっています。そのため、馬連順位に関しては比較的早い時間帯から発売締め切りまで大きな変化が起きにくくなっているので、「馬連順位=その馬が本来あるべき順位」と考えることができます。

そのような「本来あるべき順位」を示す馬連順位と比較して単勝もしくは複勝順位が上昇を見せていれば「異常オッズ」であると判断することが可能です。

3つの「異常オッズ」パターン

異常オッズの「中身」を吟味する

蘆口流オッズ分析では、異常オッズを3つに分けています。

朝一に大量投票が入る「①朝一過剰馬」、直前に大量投票が入る「②直前過剰馬」、そして朝一から直前にかけて断続的に大量投票が入る「③断続過剰馬」の3種類です。

同じ異常オッズでも種類に分けて分析を進めることで、馬券の精度を高めることが可能です。

オッズは発売開始から締め切りまで生き物のように変化していきます。同じ単勝5番人気の馬でも、発売開始から締め切りまでずっと5番人気付近をキープしているケースもあれば、1番人気になったり8番人気になったりを繰り返しながら最終的に5番人気になる馬もいます。

単勝5番人気という確定オッズだけを見れば「同じ単勝5番人気」に見えてしまいますが、その中身はまったく違うのです。

どのパターンが最も信頼できるか

出現頻度が少なく、時系列に推移を確認する必要があるため発見がしにくいのですが、大量投票が断続的に入っている「③断続過剰馬」の成績が最もよくなります。

続いて、アナログで分析するのに活用できるのが「①朝一過剰馬」です。

威力自体は「朝一過剰」も「直前過剰」もどちらも有効的ですが、通常、馬券は発売開始後よりも締切直前に投票が集中するため、朝一過剰の方が見つけやすくなっています。

ぜひ「朝一オッズ」で「異常オッズ」を見つけてみてください。

【まとめ】

何者かの大量投票により、オッズがゆがみ「異常オッズ」が発生します。「なぜこの馬がこんなに人気をかぶっているんだ?」という馬を見つけたら、時系列オッズを分析する価値ありです!

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