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こんにちは。競馬予想家の川田信一です。
2012年に『見るだけで「単勝」が当たる“単撃”リスト(東邦)』という著書を上梓。以降も積極的に競馬書籍を出版し、ウェブやメルマガなどで活動しております。
競馬予想には様々なファクターがあります。成績、タイム、ラップ、展開、血統、騎手、調教師……。これほど予想要素が多いギャンブルは他にないと思います。いったいどのファクターを使えば儲かるのだろうか? と悩んでいるライトな競馬ファンもいるのではないでしょうか?
私見ですが、<強2>これさえチェックすれば儲かるという予想ファクターはありません。各々の予想ファクターが、綿密にレースの結果に関わってきます。だからといって、数多くのファクターをフォローすれば回収率が上がるとかというと、そうでもない。このあたりが、競馬の難しいところですね。
ただし、比較的、馬券利益につながりやすいファクターというのは存在します。私の単撃理論でも、これらのファクターについ話を書いておりますので、興味がある方は読んでみてください。
今回は数ある競馬予想ファクターの中から、『脚質』を徹底解剖したいと思います。先に結論を書いておきますが、『脚質』は利益につながりやすいファクターですよ。
目次
脚質の定義について
TARGET に準じて定義
少しでも馬券を買った方なら「脚質」という言葉を聞いたことがあると思います。しかし脚質に明確な定義は存在しません。たとえば4角10番手から1着になった馬は、「差して1着」、「追い込んで1着」、どちらの表現もできます。競艇などの決まり手とは違って、JRAも公式発表していません。
ここでは競馬ソフトTARGETの定義に準じることにしました。以下の定義はTARGET frontierJVの用語解説から定義を抜粋したものです。
逃げ……2~4角で一度でも先頭を走った馬
追込……まず頭数を3で割り、その数分の頭数(最大でも5頭)で先頭から3つのグループに分けます。そして4角で3番目のグループに位置している馬。
差し……4角で2番手のグループにいる馬。ただし最高でも4角5番手以下。
先行……4角で1番手にいる馬。
マクリ……2角や3角で後方に位置し、4角で1番目のグループにいる馬。
文字で読むと複雑に感じるかもしれませんが、おおむねファンの感覚に合った結果になっているので心配しないでください。
では、脚質ごとの攻略情報に入りましょう。
以下、このページで利用するデータは2015年~2017年の平地競走のものを利用しております。
逃げ馬の攻略情報
逃げ馬を買い続けた場合の成績
ご存知の方も多いと思いますが、JRAにおいて逃げは圧倒的に有利な脚質です。最強の戦法といっても過言ではありません。
脚質上り | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回収 | 複回収 |
---|---|---|---|---|---|
平地・逃げ | 17% | 29% | 38% | 192% | 137% |
※2015~17年の集計結果
この表は2015年~17年の平地競走で逃げた馬の成績です。勝率17%、連対率29%、複勝率38%、これはどの脚質よりも優秀な数字です。
さらに単勝回収率が192%、複勝回収率も137%。つまり、ただただ逃げる馬を買い続けるだけで大儲けすることが可能なのです。
逃げ馬を買い続ければ競馬は儲かる。この事実は、JRA-VANが稼働しデータ集計ができるようになった1986年以降、一度も覆ったことのない事実です。おそらくデータ集計ができない1986年以前も、逃げ馬の回収率は100%を超えていたと思われます。それくらい、逃げ馬の成績は絶対的で、有利なのです。
逃げ馬の平均上がり3Fタイム
約1万頭いた逃げ馬のうち、最速の上がりを使った馬は約300頭。上がり5位まででも約2000頭。レースの前半で脚を使っているため上がり3Fタイムが遅くなることが多いのが逃げ脚質の特徴です。
≪芝・距離別の平均上がり3Fタイム≫
芝1000m~1300m 35秒5
芝1400m~1600m 36秒0
芝1700m~2000m 36秒5
芝2100m~2400m 36秒8
芝2500m以上 37秒6
≪ダート・距離別の平均上がり3Fタイム≫
ダ1000m~1300m 37秒8
ダ1400m~1600m 38秒5
ダ1700m~2000m 39秒6
ダ2100m以上 39秒8
逃げ馬の最速上がり3Fタイム
距離別で最速の上がりタイムもまとめてみました。上位馬のレース、時計の速い馬場、スローペースなど、条件がそろうと、逃げ馬であっても速い上がり、芝で32秒台、ダートで35秒台の脚を使うこともあります。
≪芝・距離別の最速上がり3Fタイム≫
芝1000m~1300m 31秒9
芝1400m~1600m 32秒7
芝1700m~2000m 32秒8
芝2100m~2400m 33秒6
芝2500m以上 34秒4
≪ダ・距離別の最速上がりタイム≫
ダ1000m~1300m 34秒2
ダ1400m~1600m 35秒1
ダ1700m~2000m 35秒3
ダ2100m以上 35秒2
逃げ馬の見つけ方・狙い方
逃げ馬の見分け方
逃げ馬を買い続けるだけで大儲けが可能なのですが、そのレースで実際に逃げる馬を見つけるのは意外に難しい。同じレースに逃げ馬が複数いる、騎手も逃げ有利を熟知しているので隙さえあれば逃げる、さらに枠順やスタートのアヤも関係してくるからです。
逃げ馬を見つけるとき、けっこう役立つのは厩舎コメント。調教師や助手の「逃げたい」といった談話が乗っている馬は、ほぼ間違いなく騎手にも「逃げろ」と指示が出ています。必ず指示どおりに乗れるワケではないですが、逃げる確率は高いと考えていいでしょう。
また、前走で前へ行って好走した馬や、逃げたレースの成績が優秀な馬なども、他の馬に比べると逃げる確率は高い。
複数の逃げ馬がいる場合は、内枠にいる馬がハナを切る確率が高いのもセオリーです。
ほかにも、ブリンカーやチークピーシーズ着用、減量騎手起用など、様々なパターンがあります。逃げ馬を見つけるだけで単純に儲けることができますし、展開予想をする際にも、どれが逃げるのかを見定めるのは重要になります。
逃げ馬馬券の狙い方
どんな条件でも勝率が高い逃げ馬ですが、さらに勝率が高くなる条件があります。
まず、スローペースは逃げ馬が有利。レースの前半で脚を消耗せずにリードを保つことができれば、後半でも脚を使って押し切ることができます。
また、下級条件戦は逃げ馬有利というセオリーもあります。低クラスのレースで走っている馬は、上級クラスの馬より、トップスピードも瞬発力も劣ります。つまり下級条件戦ほど、前に行くアドバンテージが大きいのです。
これも基本ですが、芝よりもダート、長距離戦よりも短距離戦、坂よりも平坦コースの方が、逃げ馬が有利です。芝に比べてダートは瞬発力が発揮しづらい、短距離戦や平坦コースは後方馬が巻き返しづらいので逃げ馬にアドバンテージがあります。
もちろん例外もたくさんあります。しかし例外のレースを狙うときでも、結局は基本の応用編になります。逃げ馬馬券の狙い方の基本はかならず押さえておきましょう。
逃げ馬が有利な条件・不利な条件
逃げ馬が有利なコース
競馬場によって、逃げ馬の成績がいい場、優位性が下がる場が存在します。下表は芝コースにおける逃げ馬成績です。
場所 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回収 | 複回収 |
---|---|---|---|---|---|
札幌 | 17% | 26% | 37% | 169% | 136% |
函館 | 20% | 34% | 40% | 161% | 117% |
福島 | 16% | 29% | 38% | 160% | 140% |
新潟 | 16% | 26% | 33% | 177% | 121% |
東京 | 12% | 21% | 30% | 145% | 120% |
中山 | 10% | 22% | 30% | 131% | 133% |
中京 | 14% | 24% | 33% | 162% | 135% |
京都 | 16% | 28% | 37% | 211% | 138% |
阪神 | 14% | 24% | 33% | 253% | 147% |
小倉 | 14% | 23% | 30% | 178% | 119% |
※逃げ馬・芝・2015年~2017年の集計結果
逃げ馬の成績が優秀な競馬場(芝)は、勝率20の函館、それに次ぐのが勝率17%の函館。小回りコースの北海道は逃げ馬有利というデータが出ています。
逆に、中山や東京は逃げ馬の優位性が少し低下します。中山は直線の急坂が、東京は長い直線とダラダラ続く坂が、逃げ馬の脚を止めるのです。
下表はダートコースにおける逃げ馬の成績です。
場所 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回収 | 複回収 |
---|---|---|---|---|---|
札幌 | 17% | 26% | 37% | 169% | 136% |
函館 | 20% | 34% | 40% | 161% | 117% |
福島 | 16% | 29% | 38% | 160% | 140% |
新潟 | 16% | 26% | 33% | 177% | 121% |
東京 | 12% | 21% | 30% | 145% | 120% |
中山 | 10% | 22% | 30% | 131% | 133% |
中京 | 14% | 24% | 33% | 162% | 135% |
京都 | 16% | 28% | 37% | 211% | 138% |
阪神 | 14% | 24% | 33% | 253% | 147% |
小倉 | 14% | 23% | 30% | 178% | 119% |
※逃げ馬・ダ・2015年~2017年以降の集計結果
やはり成績がいいのは北海道。直線は長くても平坦コースである新潟や京都などでも優秀な成績が出ています。
逃げ馬に有利な枠は内枠・外枠!?
直感的には、スタートダッシュで他馬を出し抜き内へ切れ込む必要がある外枠よりも、距離ロスなく内ラチが確保できる内枠が逃げ馬に有利な気がします。
この直感は半分正解で、半分間違っています。
まず、そのレースで逃げることが多いのは内枠に入った馬です。2015年~2017年の3年間で、枠別の逃げ馬頭数と出現率を計算してみました。その結果は――。
1枠 逃げ馬1611頭 出現率15%
2枠 逃げ馬1420頭 出現率14%
3枠 逃げ馬1378頭 出現率13%
4枠 逃げ馬1293頭 出現率12%
5枠 逃げ馬1259頭 出現率12%
6枠 逃げ馬1152頭 出現率11%
7枠 逃げ馬1104頭 出現率11%
8枠 逃げ馬1239頭 出現率12%
約3割の逃げ馬は1枠&2枠から出現します。どの馬が逃げるか迷ったときは、内枠から前へ行けそうな馬を探すのが正解です。
しかし実際に逃げた馬の枠番別の勝率は以下のようになります。
1枠から逃げた馬 勝率16%
2枠から逃げた馬 勝率16%
3枠から逃げた馬 勝率17%
4枠から逃げた馬 勝率17%
5枠から逃げた馬 勝率18%
6枠から逃げた馬 勝率17%
7枠から逃げた馬 勝率19%
8枠から逃げた馬 勝率16%
このとおり、いったんハナを切ってしまえば、どの枠から逃げていても勝率にほとんど差はないのです。
逃げ馬は内枠から出やすいが、いったんハナを切れば枠は成績に関係ない。
これが逃げ馬と枠番の結論です。
逃げ馬は不良馬場で走る!?
最近は聞かれなくなりましたが、昔は「雨の逃げ馬」という競馬格言がありました。ぬかるんだ芝コースの馬場は、瞬発力が発揮しづらい、トップスピードが落ちる、といった影響が出るため、先にリードを取っている逃げ馬が有利という話なのでしょう。
そこで、馬場状態別の逃げ馬データを集計してみました(下表)。
馬場状態 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回収 | 複回収 |
---|---|---|---|---|---|
芝・良 | 14% | 25% | 33% | 167% | 130% |
芝・稍重 | 16% | 26% | 33% | 198% | 130% |
芝・重 | 16% | 26% | 33% | 277% | 154% |
芝・不良 | 15% | 26% | 36% | 220% | 155% |
ダ・良 | 19% | 34% | 43% | 194% | 140% |
ダ・稍重 | 20% | 32% | 41% | 257% | 146% |
ダ・重 | 22% | 33% | 43% | 194% | 140% |
ダ・不良 | 21% | 36% | 46% | 182% | 147% |
※馬場状態別・逃げ成績・2015年~2017年の集計結果
芝コースに関しては、良馬場よりも、稍重・重・不良と馬場が渋った方が、逃げ馬の勝率は高くなります。単勝回収率も馬場が渋ると上がります。
ダートコースも、馬場が渋った方が、逃げ馬の勝率は上がります。こちらは脚抜きが良くなるため、スピードが落ちにくいという点が逃げ馬有利にはたらくようです。
昔から使われている競馬格言ですが、今でも雨は逃げ馬は通用するようです。
逃げ馬は距離短縮・距離延長で走る!?
前走よりも今回のレースの距離が短くなった(距離短縮)の逃げ馬の成績がいいのか? それとも、前走よりも今回のレースの距離が延びた(距離延長)の逃げ馬の成績がいいのか? データを調べてみると一目瞭然。
前走距離 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回収 | 複回収 |
---|---|---|---|---|---|
同距離 | 19% | 32% | 42% | 214% | 136% |
今回延長 | 12% | 22% | 29% | 157% | 129% |
今回短縮 | 18% | 31% | 40% | 190% | 138% |
※逃げ馬2015年~2017年の集計結果
当たり前といえば当たり前だが、好走率が高いのは前走と同じ距離の逃げ馬でした。
それに続くのが距離短縮。逆に前走から距離が延びて逃げた馬は勝率を12%に落としています。買えないわけではないですが、複勝率も30%を割り込んでいるので、距離延長の逃げ馬には注意した方がよさそうです。
まとめ
・逃げはもっとも有利な脚質
・逃げる馬を見つけることができれば馬券は儲かる
・スローペースや下級条件戦は逃げ有利
・小回りや平坦コースは逃げ有利
・逃げ馬は内枠から出やすい