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こんにちは。競馬予想家の川田信一です。
2012年に『見るだけで「単勝」が当たる“単撃”リスト(東邦)』という著書を上梓。以降も積極的に競馬書籍を出版し、ウェブやメルマガなどで活動しております。
みなさんは予想をするときに『枠番』を気にしますか?
初心者のころは「1000m以上の距離を走るのだから、どの枠からスタートしても差はないだろう」と思いがちです。しかし枠番がレース結果に与える影響は想像以上に大きいことを知ってください。
たとえば3歳馬の頂点を決めるダービーは、2006年から2014年までの9年間で、1枠に入った馬が6回も優勝しました。偶然と呼ぶには極端な偏りです。そして実際、これは偶然ではなく、ダービーには内枠が有利になりやすい明確な理由があるのです。
有馬記念も内枠有利が有名なGⅠです。それを示すかのように、有馬記念の公開抽選会では、内枠を引いた騎手や調教師が嬉しそうな顔をし、外枠を引いた関係者は苦笑いをしているの姿を、覚えている方もいることでしょう。
というわけで、今回のテーマは『枠順』。
レース結果に大きな影響を与える、枠順について徹底解剖したいと思います。
目次
枠順の概要
枠順の色のルール
まず日本の競馬には2つの番号、馬番と枠番があります。
馬番とは、競走馬1頭ごとに与えられた番号のことです。もっとも内ラチに近い最内枠に入った馬が1番で、そこから外に出るにつれて2番、3番……と昇順で並びます。枠連以外の馬券は馬番で購入します。
枠番とは、競走馬を1~8枠に割り振ってつけられた番号です。現在は多種多様な馬券が存在しますが、平成3年までは「単勝式・複勝式・枠番連勝複式(枠連)」の3種類しか馬券を販売していませんでした。枠番はこの枠連を買わせるために使用されています。
枠連を買わない人にとって枠番は関係のない番号なのですが、レースを見るときには欠かせません。枠ごとに色が決まっており、騎手は枠色に応じた帽子をかぶるからです。つまり枠色を覚えておけば、レースが見やすくなるのです。
1枠=白、2枠=黒、3枠=赤、4枠=青、5枠=黄、6枠=緑、7枠=橙、8枠=桃
これが枠色です。競馬だけでなく、他の公営ギャンブルもこの枠色に準じています。初心者の方は覚えておきましょう。
枠順の発表時間
レース結果を左右する枠順。これは公正な抽選で決まります。
ただし、ごく一部のレース(有馬記念など)を除き、JRAのコンピュータが自動的に枠順を決めているため、本当に公正かどうかは定かではありません。そのため「枠順にはJRAの作為がある」「枠番に馬券のヒントが隠されている」といったことを主張するファンや評論家もいます。私自身は、作為はないと思っています。
枠順が決まる手順は以下のような流れになります。
①木曜日15時に週末レースの出馬投票が締め切られる。
②木曜日16時すぎにレースの出走馬を発表
③金曜日10時すぎに土曜日のレースの枠順を発表
④土曜日10時すぎに日曜日のレースの枠順を発表
※GⅠレースなど例外あり
基本的に枠順が決まるのは、レース前日の午前10時過ぎです。
ここで豆知識。競馬新聞のシルシは枠順が決まる前に打たれていることが多いのをご存知でしょうか。
枠順が決まるのが金曜日の10時過ぎで、競馬新聞は金曜日の11時には印刷が開始されます。枠順発表を待ってシルシを打つと物理的に間に合わないので、トラックマンの多くは木曜日16時に出走馬が発表された時点でシルシを打っているのです。
そのため上から下まで◎が並んでいる馬が不利な大外枠に入ったり、まったくのノーマークが楽に逃げられそうな枠に入ったり、といった例もよく見られます。
外枠発走について
一度抽選で決定した枠順は、基本的にその後に変更されることはありません。ただし、レース直前にアクシデントが起こった場合には、外枠発走になることもあります。
ゲート入りするときに競走馬が大暴れした、スタート前にゲートの扉を潜り抜けてしまったり突き破ってしまったり、またゲート扉が破損した際には、外枠発走の処分が下されます。
外枠発走になると大外枠の2つ外側のゲートからスタートすることになります。つまり16頭立だと、18番ゲートからの発走になるのです。
外枠発走はそのほとんどが馬券発売を締め切ってからの処分になるため、「外枠発走がイヤだから馬券を買い戻してほしい」という要求は通りません。少し理不尽な気もしますが、こういったアクシデントまで含めての馬券です。
枠順の有利不利
冒頭でダービーは内枠有利という話をしました。
なぜダービーが内枠有利かというと、その理由は主に3つあります。
理由① スタートから1コーナーまでが平坦で、距離も350mと短いため、内枠から好スタートを決めるとスムーズに好位が取れる。
理由② しかも内ラチ沿いの好位が取れるので、道中はコースロスなくレースができる。前に馬を置いてレースができるので、折り合いもつきやすい。
理由③ 東京コースは広いので4コーナーで馬群がバラける。そのため、そのままインを突いて伸びることができる。
逆にダービーの外枠は、好位が取りづらく、折り合いに心配があり、4コーナーでも外を回らされるリスクがある。こういった理由があるため内枠が強いのです。
内枠と外枠のデメリットをまとめると以下のようになります。
≪内枠のメリット≫
・スタートが決まれば逃げ・先行しやすい。
・好位の内目でコースロスなくレースができる。
・馬群の中でレースができるので折り合いがつきやすい。
≪内枠のデメリット≫
・スタートで後手を踏むと外から被せられる危険性がある。
・馬群の中でレースをすることが多いので揉まれ弱い馬は力が出せない。
・直線で前が詰まるリスク、脚を余して負けるリスクがある。
≪外枠のメリット≫
・内枠の馬のレースぶりやペースを見ながら自在にレースを進めることができる。
・馬群の外でレースをすることが多くなるので、道中でも動きやすい。
・4コーナーで外を回すことが多くなるので包まれるリスクが低い。
≪外枠のデメリット≫
・第1コーナーまでに内枠の馬よりも前へ出る必要があり逃げ・先行しづらい。
・馬群の中に馬を入れるのが難しく外々を回るのでコースロスがある。
・馬群の中に馬を入れるのが難しいので折り合い難の馬は掛かることもある。
一般的に内枠が得意なのは器用で小脚が使える馬、外枠が得意なのは不器用だが豪快な脚が使える馬といわれています。
内枠の狙い方
内枠の定義
何をもって内枠というか明確な定義はありません。ここでは枠番の1枠と2枠を内枠と定義することにします。
内枠の成績
下表は芝とダートの内枠の成績を示したものです。
枠番 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回収 | 複回収 |
---|---|---|---|---|---|
1枠(芝) | 7% | 14% | 22% | 67% | 72% |
2枠(芝) | 8% | 15% | 22% | 62% | 72% |
1枠(ダ) | 6% | 12% | 19% | 62% | 68% |
2枠(ダ) | 7% | 13% | 20% | 75% | 76% |
※2015年~2017年の集計結果
芝はコースロスなく進めるメリットが大きく内枠の成績が良く、ダートは包まれたり砂を被るリスクがあるため内枠の成績が悪い。芝は内枠有利、ダートは内枠不利、という傾向が見られます。
内枠が有利なコース・不利なコース
内枠の複勝率が30%以上ある内枠有利なコースは――。
・札幌芝1800m 複勝率36%
・小倉芝2600m 複勝率33%
・札幌芝1500m 複勝率32%
・京都芝2400m 複勝率31%
・福島芝2600m 複勝率30%
札幌のような小回り競馬場、小倉や福島2600mのようなコーナーの回数が多いコース、札幌芝1500mのようなスタート直後にコーナーがあるようなコースで、内枠有利が顕著になります。
逆に内枠の複勝率が低いコースは――。
・新潟芝1000m 複勝率9%
・新潟芝2000m 複勝率14%
・中山芝2200m 複勝率16%
・東京ダ1600m 複勝率16%
・新潟芝1200m 複勝率16%
新潟芝直線1000mのようにあきらかに内枠不利なコースに加えて、中山芝2200mのような早目にレースが動き出すコース、東京ダート1600mのようなコーナー2回のコースは、内枠のデメリットがでることがあるようです。
内枠と脚質の関係
内枠で力を発揮しやすいのは、逃げ・先行馬。内ラチに近い場所にいるので、好スタートを決めれば、そのまますんなり先行できるからです。
もうひとつ鋭い瞬発力を持っている馬も面白い存在です。内ラチ沿いで脚をためて、一瞬の脚で馬群を抜け出す競馬ができる馬は、内枠が有利にはたらきます。
差し・追込馬は、腹をくくって一旦後方に下げるレースをします。スローペースになると厳しいですが、ミドルからハイペースになるとイチかバチかの作戦がハマることもあります。
内枠が向いていないのは、不器用な馬です。内枠を生かすためには、ある程度のスタート力と瞬発力が必要になります。出遅れ癖がある、加速に時間がかかる、揉まれ弱い、といった馬は、内枠では軽視すべきです。
内枠と馬場の関係
開催が進むと馬場の内ラチ沿いが荒れてくるので内枠が不利になる。こういった説を聞いたことがあると思います。
JRAの馬場は進化しており、昔に比べると馬場は荒れにくくなりました。20世紀の競馬は、開催後半になると外枠だけ買っていれば当たるということもありましたが、今はもうおとぎ話です。
内枠が不利になるということはありませんが、馬場が整っている開催前半は内枠が有利という事実はあります。
芝コースにおいて、開幕週(1日目&2日目)の内枠複勝率は24%、これが2~4週目(3日目~8日目)になると22%に下がり、さらに5週目以降(9日目以降)は複勝率が20%を割り込みます。
中枠の狙い方
内枠の定義
何をもって内枠というか明確な定義はありません。ここでは枠番の3~6枠を中枠と定義することにします。
中枠の成績
下表は芝とダートの中枠の成績を示したものです。
枠番 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回収 | 複回収 |
---|---|---|---|---|---|
3枠(芝) | 7% | 14% | 21% | 67% | 71% |
4枠(芝) | 7% | 14% | 22% | 74% | 72% |
5枠(芝) | 7% | 14% | 21% | 69% | 74% |
6枠(芝) | 7% | 15% | 22% | 75% | 72% |
3枠(ダ) | 6% | 13% | 19% | 76% | 73% |
4枠(ダ) | 7% | 13% | 20% | 62% | 68% |
5枠(ダ) | 7% | 14% | 21% | 82% | 76% |
6枠(ダ) | 7% | 14% | 21% | 82% | 74% |
※2015年~2017年の集計結果
中枠はレースがしやすい枠です。内枠はスタートで後手を踏むと巻き返すのが大変だし、外枠はコースロスを強いられる。中枠で騎手がうまく乗れば、内枠と外枠両方のメリットを得ることができます。その反面、大きな強調材料もありません。
中枠が有利なコース・不利なコース
飛び抜けて複勝率が高いコースは、函館ダート2400m(複勝率50%)。ローカル競馬場のダート2400m~2500m戦の複勝率が優秀でした。中団につけて、レースの流れを見ながら動けるメリットが生きるようです。
複勝率が低いのは、新潟芝直線1000m(複勝率16%)や、中京ダート1200m(複勝率17%)や中京ダート1400m(複勝率18%)。
ただ、どんなレースにも対応できるのが中枠なので、コースによって極端な有利不利が出ることは少ないようです。
中枠と脚質の関係
中枠はどんな脚質でも対応できます。基本的に枠で嫌う必要はありません。
成績がいい戦法はマクリです。道中で中団につけて、スローペースとみるや一気にまくっていく戦法がハマるケースがあります。出現回数は少ないので狙いづらいのですが、道中で動ける馬、長くいい脚が使える馬が中枠に入ったときは、チャンスがあるかもしれません。
中枠と馬場の関係
中枠は強調材料のない枠なので、馬場の影響を受けることも少ない。基本的に、中枠の馬券を買う際に、開催日や馬場状態は気にする必要はありません。
外枠の狙い方
外枠の定義
何をもって外枠というか明確な定義はありません。ここでは枠番の7~8枠を外枠と定義することにします。
外枠の成績
下表は芝とダートの外枠の成績を示したものです。
枠番 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回収 | 複回収 |
---|---|---|---|---|---|
7枠(芝) | 7% | 14% | 20% | 75% | 70% |
8枠(芝) | 7% | 13% | 20% | 65% | 66% |
7枠(ダ) | 7% | 15% | 21% | 81% | 76% |
8枠(ダ) | 8% | 15% | 22% | 82% | 76% |
※2015年~2017年の集計結果
芝のレースは外枠の複勝回収率が、内枠や中枠に比べるとやや低くなっています。コースロスがある分だけ複勝率もほんの少し低くなっています。一方、ダートは外枠有利。複勝率や回収率も内枠や中枠よりも高い数字が記録されました。
外枠が有利なコース・不利なコース
外枠が有利なコースはダートの長距離戦と1000m。具体的には、中山ダート2400m、京都ダート1900m、阪神ダート2000m、札幌&函館ダート1000mなど。もちろん外ラチ沿いのいい馬場を走れる新潟芝1000mも外枠有利です。
逆に外枠が不利なコースは芝の1200m戦。競走馬が息を入れるポイントがないため、外枠の馬が馬群の中に潜り込むのが難しく、外々を回らされる確率が高いからです。具体的には、中京・京都・中山・阪神芝1200m、いずれも低勝率になっています。
外枠と脚質の関係
内枠の馬よりも前に出て切れ込んでいく必要がある外枠は、逃げ・先行馬にとって望ましい枠ではありません。しかし、いったん前へ出てしまえば後は関係ない。人気落ちが見込める分だけ、外枠の逃げ・先行馬は回収率が高いというデータがあります。
外枠と馬場の関係
そこまで極端な差は出ませんが、開催日が進んで馬場が荒れてくると芝の外枠は少し好走率が上がります。内枠の有利性が下がる分だけ、外にチャンスが回ってくるのです。
また、ダートは馬場が湿ると外枠の好走率がやや下がります。ダートは馬場が渋ってスピードが落ちないコースになると、道中で外を回ることが多い外枠の馬が、前を捕らえづらくなるからです。
まとめ
・芝は内枠有利、ダートは外枠有利
・コーナーが多い芝コースはより内枠有利
・長距離ダートはより外枠有利
・器用な馬やゲートが得意な馬は内枠がプラス
・揉まれ弱い馬や不器用な馬は内枠がマイナス