レース回顧

函館記念2018のレース回顧 

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川田 信一
川田 信一
1978年、東京都出身。単撃理論の提唱者・ 趣味で始めたメルマガが、人気薄の単勝を的確に当てることで評判に。わずか半年で2,000人を超える読者が口コミだけで集まる。グリグリの人気馬を迷わず消し、穴馬の単勝を的中し続けている生粋の単勝馬券師。

7月15日(日)に函館競馬場では、第54回・函館記念が行われた。5番人気の伏兵、エアアンセムが直線で早めに抜け出すと、後続を振り切って優勝。見事に初重賞制覇を飾った。2着にはサクラアンプルール(7番人気)が入り、3着には超人気薄エテルナミノル(13番人気)が激走したことで3連単は50万超え。今年もの大波乱の決着になった。

1番人気に支持されたトリコロールブルーは6着に敗れ、2番人気のブレスジャーニーも3着とハナ差の4着に敗退。3番人気のスズカデヴィアスも直線で鋭い脚を見せたが、掲示板を確保するのが精いっぱいだった。

終わってみれば今年も荒れた函館記念だが、なぜトリコロールブルーは人気を背負って負けたのか? エアアンセムやエテルナミノルはなぜ好走できたのか? レース全体と各馬の走りについて振り返っていこう。

函館記念2018のレース分析

揃ったスタートからクラウンディバイダ、マイネルハニー、カレンラストショーが先団へ。1コーナーに入るとカレンラストショーが先頭に立ち、ペースは落ち着いていく。前半1000m通過タイムは60秒3と、平均ペースでレースは進んだ。

3コーナーから4コーナーにかけて、エテルナミノルやエアアンセムが手ごたえよく進むと、カレンラストショーは失速し後退していく。同時に、トリコロールブルーやブレスジャーニーも外を回って進出を開始。直線を向くとエテルナミノルが先頭に立ち、押し切りを図ろうと試みた。しかし、外へ出したエアアンセムのほうが手ごたえは抜群。猛然と追い込んだサクラアンプルールの追撃を振り切り、7歳にして初重賞制覇を達成した。

函館記念で今回のような平均ペースになると、そうそう前は止まらない。小回りの函館ゆえに、コースロスなく立ち回った馬が上位を独占する結果となった。藤岡騎手はトーセンキャプテンで制した2008年以来2度目の勝利。今年の函館で好調だった勢いがここでも現れた格好だ。

1~3番人気馬が揃って敗れたが、3頭とも最後の直線では見せ場を作っていたように、コース形態が向かなかった可能性が高い。ここからは各馬の走りを振り返り、次走以降の狙いについても考察していこう。

函館記念2018の各馬の勝因・敗因・次走展望

1着:エアアンセム

長期休養明けとなった2017年10月の八坂ステークス以降、この馬が敗れたレースには共通点があった。東京や京都といった広いコースで負けている一方、小回りの中山では好走できていたのである。負けても近走は堅実に走れており、7歳ながら充実期を迎えていると考えていい。

今回は初めての函館競馬場だったが、小回りコースは得意としているように、まったく問題にしなかった。また、鞍上の藤岡佑介騎手も今年の函館では絶好調の騎乗ぶりを見せており、鞍上の好判断も光った印象だ。好スタートを決め、自分のリズムで楽に道中を進むと、スムーズに直線を迎えた。最後は得意の粘り強さを見せての勝利だったことからも、多くの要素がかみ合ってのいたのではないだろうか。

晴れて重賞勝ち馬の仲間入りを果たしたエアアンセムだが、好走条件が絞られているだけに、次走以降の過信は禁物だ。速い上がりが問われる舞台には適性がない。今回のような小回りで狙うといいだろう。

2着:サクラアンプルール

トップハンデや、間隔のあいたローテーションが嫌われたのか、7番人気の低評価にとどまっていたサクラアンプルールが2着に入った。人気がなかったことで、レース中にかかるプレッシャーも少なかったのだろう。昨年の札幌記念勝ち馬で、洋芝も問題なかった。加えて4コーナーでも、勝ったエアアンセムの真後ろを通り、スムーズに直線を向くことができていた。内枠を引いてロスなく競馬ができたことも、大きかったと考えられる。

不利のあった有馬記念では、最下位に沈んだものの、それ以降は実績上位馬を相手にしても良い競馬ができている。勝ったエアアンセム同様に、7歳ながらも元気いっぱいだ。札幌や東京、中山であれば今後も狙える馬と判断していい。

3着:エテルナミノル

今回唯一の牝馬で出走となったエテルナミノルは、13番人気ながら3着に入り、波乱の立役者となった。好スタートを決めると、道中もプレッシャーのない位置で4コーナーを迎える。直線に向き早めに抜け出すと、粘り強さを見せ、追い込んだブレスジャーニーをハナ差しのいでみせた。

もともと暑い時期に良績がなく、今年は涼しい函館への滞在を陣営は選択。これがうまくいったのだろう。愛知杯でもコンビを組んでいた四位騎手に手が戻り、上手くエスコートした印象だ。馬の適性とコース適性をうまくリンクさせた騎乗だったように感じる。今後も四位騎手とのコンビであれば好走してくるのではないだろうか。

4着:ブレスジャーニー

2番人気に支持されたブレスジャーニーは、前走に引き続き、今回も差し届かない惜しい競馬になってしまった。上がり3ハロンタイムは、メンバー中1位と力は出せている。それでも、もう少しだけ届かないのは競馬場の作りが大きく影響しているのだろう。レース後の騎手談話では、「右回りは走りにくそう」とコメントが出ていたように、左回りや最後の直線が長い競馬場になったときに巻き返せる可能性が高そうだ。

また、ブレスジャーニーの事前分析記事でも触れたが、柴田善騎手は函館での騎乗がほとんどないという不安要素があった。それでも4着だったのだから、今回は「好走できた」という判断を下していいかもしれない。コースが変われば、次走以降も引き続き狙っていくことを推奨したい。

5着:スズカデヴィアス

ブレスジャーニー同様、スズカデヴィアスも差し届かず5着に敗退した。前走の新潟大賞典はスローの展開で、十分に脚を溜めることができていた。今回は前走に比べると前半のペースが速く、スタート後の行き脚もいまひとつ。道中は追走するのに苦労していた印象だっただけに、小回り競馬も向かなかったのだろう。

今後も、最後の直線が長い競馬場では巻き返す可能性が高い。もし、人気を落とすようであれば、必ず馬券に加えるようにしたい。

6着:トリコロールブルー

1番人気に支持されたトリコロールブルーは、最後の直線も伸びを欠き6着でレースを終えた。道中は、中団やや後ろからレースを進めると、3コーナーから4コーナーでは手ごたえがいまひとつ。手ごたえを失った先行馬が壁になり、外へ進路をとったものの間に合わなかった。

ルメール騎手らしくない競馬で、今回は明らかな消化不良なレース。人気を落とし、マークが薄くなれば、次走以降で巻き返してくる可能性は高いだろう。

まとめ

展開のかみ合った馬たちが上位を独占し、上位人気馬3頭は、適性の差で敗れたのが今年の函館記念と言える。今回のメンバーは、条件が変われば大幅に着順も入れ替わることが想定されるので、この結果に左右されずに、次走以降も例年通りのスタンスで臨みたい。

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