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こんにちは。三ツ木ケイです。
競馬の魅力の大きな要素。それは遙か100年以上前から脈々と受け継がれる「血統」です。
名馬のみが自らの血を残すことを許され、その子が走ってまた名馬となり、血を残す。こうしてサラブレッドという品種はどんどん改良され、より速く、より強くなってきました。
今回の記事は、遺伝子研究の学者をも魅了する「血統」のお話です。
目次
競馬の「血統」とは?
「ロマンの結晶」は予想にも役立つ
競馬は「ブラッドスポーツ」とも呼ばれます。
血統は、競走馬の生産に携わる関係者にとってはもちろんのこと、競馬予想にも適したファクターであり、ファンにとっても重要なものです。
ただ、競馬初心者にとって、血統はどうしてもとっつきにくいもの。「血統はマニア向けの予想要素」と感じている人もいるかもしれません。
しかし、安心してください。
血統は、本当に大事な「ポイント」さえ押さえれば大丈夫。血統表の隅の隅まで網羅しなければならないような、難しいものではありません。
この記事では、その「ポイント」を簡潔に紹介していきます。
血統は「種牡馬」で見るのが基本
血統の基本は、種牡馬(繁殖用の牡馬)を見ることです。
競走馬の「父」と「母の父」をチェックすることで、その馬が潜在的に持っている特徴を推し量ることができます。
仔の能力に最も影響を与えやすいのが種牡馬であり、父の現役時代の特徴を引き継ぐ産駒もよく出現するのです。
種牡馬は、産駒が獲得した賞金順にランク付けされます。1年間における産駒の獲得賞金ランキングで1位になった馬は「リーディングサイヤー」としてたたえられます。近年は日本が誇る名馬・ディープインパクトが絶対王者として君臨しています。
血統の「系統」とは?
影響力の大きな種牡馬
血統を見ていると、よく「〇〇系」という言葉が使われます。
これは、競馬の歴史の中で強い影響力を与えてきた種牡馬の系統を指します。
たとえば日本競馬では、1990年代中盤にサンデーサイレンスという種牡馬が登場し、日本競馬の勢力図を一変させるほどの影響を与えました。そのため、サンデーサイレンスの血を引く馬を「サンデーサイレンス系」と呼んだりします。
サンデーサイレンス自身は、祖父にヘイルトゥリーズンという名種牡馬を持ち、「ヘイルトゥリーズン系」と分類されていました。
ただし、系統については厳密な分類が定められているわけではなく、「どの先祖で分類するか」は人によって違いが生じることもあります。この点を頭に入れておいてください。
系統ごとに「特徴」がある
血統を競馬予想に活かすには、系統ごとの特徴を把握する必要があります。
現在、父系の祖先として大きな影響を与えているのは、ナスルーラ、ヘイルトゥリーズン、ノーザンダンサー、ミスタープロスペクター、サンデーサイレンスの5頭です。今回はこの5頭を網羅すべく、ヘイルトゥリーズンやサンデーサイレンスの源流である「ターントゥ系」、そして全世界で繁栄している「ノーザンダンサー系」「ナスルーラ系」、ミスタープロスペクターの源流である「ネイティヴダンサー系」の4系統と、その他の主要系統である「ハンプトン系」「セントサイモン系」「ヘロド系」「マッチェム系」「マイナー系」を、2回に分けて紹介していきます。
まずは日本の血統図を塗り替えた大種牡馬サンデーサイレンスの源流「ターントゥ系」と、サンデーサイレンス登場以前に隆盛を誇っていた「ノーザンダンサー系」です。
ターントゥ系の特徴
ターントゥ系とは?
1990年代中盤以降、日本で急激に繁栄したのがターントゥ系です。
リアルシャダイ、ブライアンズタイム、サンデーサイレンスと、ターントゥの血を引く種牡馬たちの産駒が日本競馬を席巻。それまでノーザンダンサー系全盛だった日本競馬の血統勢力図は瞬く間に塗り替えられました。
ターントゥ系の中で大きな勢力となっているのはサンデーサイレンス系、ディープインパクト系、ブライアンズタイム系です。
サンデーサイレンス系
サンデーサイレンス系は、現在の日本競馬で主流となる系統です。
その特徴は、瞬発力に秀でた馬が多いこと。
日本競馬では、芝の中距離で行われるレースの価値が高いとされています。それらのレースでは、道中はゆったりと進み、最後の直線でどれだけスピードを発揮できるかが問われます。
そのため、瞬発力に秀でたサンデーサイレンス系が活躍しやすくなっていますが、反面、そのような馬は、ダートや短距離には適性が低いケースが多いといえます。
1990年代中盤から日本でサンデーサイレンス産駒が走るようになりましたが、その影響力は凄まじく、今ではサンデーサイレンス系の種牡馬が非常に多くなっています。
ディープインパクト系
サンデーサイレンスの特徴を最も引き継いでいるのがディープインパクトです。
ディープインパクト系は父譲りの末脚を武器に、重賞レースで大活躍。その強さの源は、他の追随を許さない瞬発力にあります。
距離は1600m~2400mがベストで、1200mや3000mを超えるレースでは成績は今一つです。
また、重賞まで進むディープインパクト系は一流ですが、産駒数も多いために条件戦でくすぶっている馬が多いのも事実です。
ディープインパクト系ということだけで人気になりやすく、実は条件戦の回収率は標準を大幅に下回ります。
クラス | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回収 | 複回収 |
---|---|---|---|---|---|
新馬 | 25% | 43% | 55% | 80% | 94% |
未勝利 | 16% | 30% | 39% | 87% | 80% |
500万下 | 10% | 20% | 30% | 58% | 72% |
1000万下 | 10% | 19% | 28% | 62% | 67% |
1600万下 | 11% | 21% | 34% | 52% | 75% |
オープン特別 | 11% | 16% | 24% | 35% | 45% |
重賞 | 11% | 20% | 30% | 76% | 77% |
※ディープインパクト産駒2016年以降の集計結果
基本的に人気になる馬が多く、穴馬を狙うよりも人気馬を消すことが、馬券的に有効な戦略になります。
最近では京都の成績が落ちてきていることもあり、以前のようにディープインパクトは京都が得意と信頼すると、痛い目に遭うかもしれません。
ブライアンズタイム系
1970年代初頭のイギリス最強馬・ブリガディアジェラードをここ一番で破った「大物喰い」ロベルトの直仔であるブライアンズタイム。種牡馬としてもその底力を伝えています。
ブライアンズタイム系の特徴は、豊富なスタミナとダートをこなすパワーにあふれ、根幹距離よりも非根幹距離で強さを発揮する馬が多いこと。この点、サンデーサイレンス系やディープインパクト系と上手に棲み分けができています。
瞬発力はサンデーサイレンス系に劣るため、軽い馬場のスロー勝負には向きません。
タフな馬場やハイペースでの消耗戦で強く、大舞台では母方にロベルト系の血を持つ馬が頻繁に活躍します。
とくに、中山競馬場では注目したい血統です。
ノーザンダンサー系の特徴
ノーザンダンサー系とは?
ノーザンダンサー系は、芝で走る「欧州型、ダートで走る「米国型」、短距離のレベルが高い「豪州型」に大きく分けられます。これだけでわかるように、世界中で活躍している大きな系統です。
欧州の競馬場は自然の環境をそのまま利用して作られており、日本より起伏の激しいタフな馬場でレースが行われます。そのため、そこで走るためのスタミナや馬力に優れます。
米国で走るタイプはダート適性の高い馬が多く、ミスタープロスペクター系と双璧を成す系統となっています。
豪州ではノーザンダンサー系のダンチヒ系が勢力を持ちます。優れたスピードを持つダンチヒ系は代を経るごとに距離をこなすようになり、欧州の中距離でも活躍馬を多数輩出するようになりました。
サドラーズウェルズ系(欧州)
サドラーズウェルズは欧州を代表する大種牡馬で、スタミナ血統の代表格です。
日本ではメイショウサムソンやローエングリンが活躍しました。
2016年には欧州最強馬と呼ばれたフランケルの産駒がデビューし、初年度産駒のソウルスターリングがいきなりG1を勝利しています。
ソウルスターリングの活躍によって、フランケル産駒は日本でも通用するかと思われましたが、全体的に見るとやはりスピード・瞬発力の面ではやや劣るイメージです。
しかし、2018年にはモズアスコットが連闘で安田記念を制する快挙を達成。安田記念はノーザンダンサー系が走りやすい傾向があるとはいえ、名血の底力はさすがと言うべきでしょう。
リファール系(欧州)
リファール系は、欧州型のなかでは比較的日本向きのスピードを備えています。ディープインパクトの母父もこの系統になります。京都や東京の重賞レースでリファールの血を持つ馬が好走する場面がたびたびあります。
また、競馬の格言には「春のリファール」というものがあります。暖かくなってきたころに激走するシーンもあり、油断できません。
父系としては日本では厳しい勝負を強いられますが、母系に入っていると大舞台でも通用する底力を伝えます。
ニジンスキー系(欧州)
ニジンスキー系は、今では父系としてはほとんど日本で活躍していません。
しかし、ニジンスキー自身は英国の三冠馬で、種牡馬としても超一流だったので能力は高く、スタミナも豊富。そのため、母系に入ってよさが出ています。
また、直線が短く仕掛けが早くなるローカルの中長距離では、ニジンスキーの血を持つ馬がまとめて走ることも多く、血統予想には欠かせない存在です。
サンデーサイレンス系のスペシャルウィーク、ダンスインザダークは母系にニジンスキーの血を持っているため、同時に好走しやすいことも有名です。
ヴァイスリージェント系(米国)
ヴァイスリージェント系は中距離までこなすタイプも多く、芝のマイル重賞で活躍する産駒もいます。
日本ではクロフネが種牡馬としても活躍していますが、母系が芝血統だと芝馬に、ダート血統ならダート馬になりやすい特徴があります。
とくに牝馬では名スプリンターを輩出していますが、牡馬では目立った活躍がない特徴もあり、牝馬の活躍が目立つ種牡馬としても知られています。
ストームバード系(米国)
ストームバード系は短距離を中心に芝・ダートの両方で活躍しています。
母系としては、ディープインパクトとの配合で相性がよく、ダービー馬のキズナやドバイターフで圧勝したリアルスティールなどの活躍馬を輩出しています。
ストームバード系で今後注目される種牡馬が、ヘニーヒューズです。
これまではサウスヴィグラスやパイロなどがダートの穴血統として君臨していましたが、ヘニーヒューズの登場により、今後の勢力図は変わってくる可能性も高いのではないでしょうか。
ダンチヒ系(豪州)
ダンチヒ系は、基本的にはスピードに優れた馬が多く、ダートより芝向きの馬が出やすい血統です。
瞬発力はあまりないものの、スピードを持続させる能力が高く、高速馬場で一定のペースで走ると強さを発揮します。
もともとは短い距離を得意としていましたが、代を経るごとに距離適性が長くなる傾向が出てきました。ハービンジャー産駒は短距離よりもむしろ中距離以上で活躍しています。
サンデーサイレンス系よりパワーもあるため、坂のあるコースや洋芝などのタフな馬場でパフォーマンスを上げてきます。
【まとめ】
血統の「見方」を知ると、予想の奥深さがぐっと広がります。主流血統の特徴だけでも手の内に入れておきたいものですね。