レース回顧

プロキオンステークス2018のレース回顧【マテラスカイが衝撃のレコード】

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川田 信一
川田 信一
1978年、東京都出身。単撃理論の提唱者・ 趣味で始めたメルマガが、人気薄の単勝を的確に当てることで評判に。わずか半年で2,000人を超える読者が口コミだけで集まる。グリグリの人気馬を迷わず消し、穴馬の単勝を的中し続けている生粋の単勝馬券師。

7月8日(日)に中京競馬場で行われたプロキオンステークスは、好スタートを切ったマテラスカイが後続に影を踏ませることなく逃げ切り、レコードタイムで圧勝。初重賞制覇を飾った。2着に馬群を割って追い込んだインカンテーションが入り、2番手から粘ったウインムートが3着に残った。

5番人気、1番人気、2番人気の順に入線する人気サイド決着になったものの、勝ったマテラスカイが5番人気だったことにより、3連単は25410円と好配当に。上位人気6頭が10倍以内と単勝オッズが割れ気味だった影響もあってか、馬連も2750円とそこそこの配当となった。

10番人気で5着に入ったブラゾンドゥリスを除けば、上位着順と上位人気がほぼ一致する。「人気馬が堅実に走る」というレース分析記事通りの結果になったと言えよう。

1番人気のインカンテーションは2着、2番人気ウインムートは3着と、1~2番人気馬がなんとか馬券圏内を死守したのに対し、一昨年の3着馬にして昨年の優勝馬である3番人気のキングズガードは、直線伸びを見せるも見せ場なく7着に敗退。上位人気の中では一番崩れた形となった。

5番人気ながらもレコードタイムで快勝したマテラスカイは、なぜこれだけ高いパフォーマンスを見せることができたのか? 連覇を狙ったキングズガードが崩れた理由は?その他、上位着順の馬を中心にレースぶりを振り返っていこう。

プロキオンステークス2018のレース分析

2013年にアドマイヤロイヤルが記録した1分21秒9のレコードタイムを1秒6も更新し、マテラスカイが圧勝してみせた。不良馬場でも水が浮いていたわけでなく、直線の外側は乾いて色が変わっていたことから、重寄りの不良馬場だったと考えられる。内を通った馬は特に、馬場に恵まれた印象が強い。

脚抜きが良く、前半600mは33秒5のハイペース。マテラスカイが逃げ、ウインムート、ブラゾンドゥリスがそれを追う。このペースに4コーナーで各馬が一斉に追い始めるが、マテラスカイは持ったままで抜群の手ごたえ。ラスト300mで軽く合図を送ると、さらに伸びを見せて後続を完封する「完璧」に等しい競馬を見せた。そんな、先行有利の流れのなか、差す競馬で2着に入ったインカンテーションは、実績馬らしい力を示したと言っていいだろう。

ここからは、上位に好走した馬や人気上位馬について、当日の傾向やデータ分析と照らし合わせて勝因・敗因を解析していきたい。

プロキオンステークス2018の各馬の勝因・敗因・ 次走展望

1着:マテラスカイ

1600万条件を勝利したばかりの身で挑戦したドバイゴールデンシャヒーンでも、5着に健闘したように、実績はこのメンバーに入っても上位だった。5番人気という評価は、まだ国内のダート路線上位組との対戦経験がなく、「所詮は昇級馬」という扱いを受けていたからかもしれない。これまで1200mでの勝利経験しかなかった点も、人気を落とした理由のひとつだったのではないだろうか。

逃げる競馬に転向して以降、負けたのはドバイでの一戦のみ。インカンテーションを物差しに考えると、G1でも通用する力があると評価できるかもしれない。しかし、気がかりな点もある。逃げて勝った直近4勝は、すべて脚抜きの良い馬場でのものだったのだ。パサパサに乾いたダートで逃げられるのか?また、逃げられなかったときに崩れず走れるのか?次走以降は当日の馬場やメンバー構成によって、慎重にジャッジしたほうがいいだろう。

マテラスカイは、レース前のデータ分析記事で指摘した「前走1600万条件を勝利してきた馬はマイナス評価」に該当していたが、難なくこれを打ち破った。重賞で好走経験のある昇級馬なら、来年以降も狙って良いと判断できるかもしれない。また、この馬は今回のメンバーで唯一の距離延長組だった。中京ダ1400mで穴を開けるタイプにはこのローテーションが多く、2016年にはワンツーフィニッシュを決めている。来年以降も距離延長組への警戒は怠れない。

2着:インカンテーション

初の1400m戦のスピードに戸惑ったのか、前半は後方からの競馬を強いられたインカンテーション。4コーナーで1番手と2番手の馬が馬券圏内に残っているような展開で、後ろから差すのは明らかに不利で、昨年の覇者キングズガードですら伸びずに馬群へ沈んだが、それでもこの馬は2力を示して2着にまで追い込んだ。

この距離を経験したことは大きく、次走以降も短距離戦では期待が持てる。馬場がマテラスカイに味方し、インカンテーションは不利な展開での2着。条件次第では逆転は十分にあるだろう。負けて強しというのが、レースを見ての正直な感想だ。

レース前のデータ分析記事で指摘した、人気馬が堅実というプラスデータはしっかりと機能。関東騎手の成績が悪い傾向が出ていたものの、三浦騎手で2着に好走したように、上位人気の強さがそのマイナス要素を覆した感がある。次走の出走レースは未定だが、インカンテーションはG3では相変わらず崩れていない。条件を問わず、引き続き安定感を見せてくれるのではないだろうか。

3着:ウインムート

最終的に2番人気に支持されたウインムートは、いつもの競馬に徹して3着に粘って見せた。良馬場のダートで3勝しているように、乾いた馬場ならさらにパフォーマンスを上げられたかもしれないが、今回はマテラスカイとの差を考えると完敗と言うべき内容。ダートに路線変更して以降、最も速い前半600mの通過タイムだったように、これ以上のスピードが求められると厳しいかもしれない。

この馬にとってのベストは、やはり力の要る乾いた馬場。崩れていないない中京コースはもちろんのこと、京都や阪神の1400m戦なら、高確率で上位争いに加わってこられるだろう。常に過剰人気しない馬なので、相性の良い松山騎手に手綱が戻るようなら、必ずやマークが必要な存在になる。

7着:キングズガード

昨年の覇者で、3年連続の好走が期待されたキングズガードは、直線で伸びを欠いて7着に敗れた。レース前のデータ分析記事で取り上げた、差し馬が不利というデータに見事に阻まれた印象だ。昨年、この馬を勝利に導いた鞍上の藤岡騎手がうまく捌いてくれるという期待もあったが、残念ながら懸念していた通りの結果に終わってしまった。

ただし、これを受けて過度に悲観する必要はない。着順にすると7着と大きく負けているる印象を受けるものの、3着馬との着差はわずか0.1秒だった。上がり3ハロンは35秒2で、メンバー中2位。位置取りが後ろすぎたがゆえに、前が止まらない展開で馬群を捌けなかった格好だ。4コーナーから最後の直線では外を回す競馬になり、同じく差す競馬だったインカンテーションとは通ったコースの差が出たように感じる。

不利な位置取り、不利な馬場状態と、今回のキングズガードの敗因はハッキリしている。終いはきっちり伸びているように、能力的にはこのメンバーでも上位争いが可能。条件が変われば、あっさり巻き返してきてもなんら不思議ではない。

まとめ

今回のプロキオンステークスはマテラスカイの圧勝だったが、振り返ってみると不利な条件に阻まれていた馬も多く、着順の差がイコール実力差とは言えない。次走で見直しが必要な馬もいるので、ここで触れなかった馬についても敗因考察は怠らないようにしたい。

また、レース前に触れた「500キロを超える大型馬」が掲示板を独占した点も見逃せない。500キロ未満の馬は成績が落ちる傾向にあるという、データ通りの決着を見た。この不利なデータに反して2年連続好走していたキングズガードも、今年は7着に敗退。やはり、馬体重が500キロを切る馬にとってこのレースは、今後も鬼門になりそうだ。

上位人気が堅実に走るプロキオンステークスは、来年も堅い決着になる可能性が高い。大型馬が強いなど、それ以外のわかりやすいレース傾向も踏まえ、無駄のない買い目でしっかり的中を目指したい。

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