レース回顧

エルムステークス2018のレース回顧 

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川田 信一
川田 信一
1978年、東京都出身。単撃理論の提唱者・ 趣味で始めたメルマガが、人気薄の単勝を的確に当てることで評判に。わずか半年で2,000人を超える読者が口コミだけで集まる。グリグリの人気馬を迷わず消し、穴馬の単勝を的中し続けている生粋の単勝馬券師。

8月12日(日)に札幌競馬場では、第23回・エルムステークスが行われた。2番人気に支持されたハイランドピークが、道中を3番手で進み、直線入口で先頭のドリームキラリを捕えると、ラスト1ハロンで突き放し1馬身1/4差をつけて優勝。2着は逃げたドリームキラリ(3番人気)が粘り込み、3コーナーで最後方にいたミツバ(1番人気)が3着にハナ差追い込んだ。

勝ったハイランドピークに騎乗した横山和生騎手は、重賞挑戦34戦目にして嬉しい初重賞制覇。今年初めての重賞騎乗できっちりと結果を残して見せた。また、横山和生騎手の今回の勝利は、同期のなかで最も早く平地重賞を勝ったこととなった。(障害重賞は森一馬騎手が勝利している)

勝ちタイム1分42秒0は重馬場にしては遅い決着となったが、馬場が乾いている部分も多く、良馬場に近い馬場だったのではないだろうか。

終わってみれば1~3番人気に支持された馬が上位を独占し、平穏な決着となった今年のエルムステークス。ここからはレースの流れや各馬の走りについて振り返っていこう。

エルムステークスのレース分析

揃ったスタートからドリームキラリが先頭に立つと、ブラゾンドゥリスやハイランドピークが続き1コーナーへ。逃げることも多かったハイランドピークは、ドリームキラリの行きっぷりをみると、競りかけずに3番手に控えた。結果的には、この判断が後に好結果をもたらすことになる。

向こう正面に入ると、先頭はドリームキラリ。それを追ってブラゾンドゥリス、ハイランドピーク、アンジュテジール、ディアデルレイが続く。ここでもハイランドピークはインでロスのない位置取りを選び、レースは前半1000mを59秒6で通過する。エルムステークスにしてはハイペース寄りのミドルペースといったところだろうか。どの馬にもチャンスがある展開になったと言えよう。この時、人気のミツバはいまだに最後方に待機し、脚を溜めていた。

3コーナーに入ると、ブラゾンドゥリスの手ごたえが怪しくなり後退し始める。4番手からロンドンタウンが追い上げを開始するが、差は詰まらないまま直線へ。直線に向くと、ドリームキラリをハイランドピークが捕えて先頭に躍り出る。逃げたドリームキラリが2番手で粘りを見せるところへロンドンタウンが襲い掛かるが、伸び脚はいまひとつ。すると、大外からミツバがものすごい脚を見せて3着争いに加わってくる。しかし先頭を行くハイランドピークの勢いは衰えず、そのまま押し切り優勝。2着には逃げたドリームキラリが残り、追い込んだミツバが3着へ滑り込んだ。

4番人気に支持されたリッカルドは終始見せ場なく6着に敗退。唯一の牝馬で出走となったアンジュテジールが5着と好走してみせた。

ここからは上位着順馬や上位人気各馬の走りを振り返り、次走以降の狙いについても考察していこう。

エルムステークス2018の各馬の勝因・敗因・次走展望

1着:ハイランドピーク

前走のマリーンカップでは、今回以上に厳しいペースを先行し、2着と粘りを見せていたハイランドピーク。今回はドリームキラリをきっちりとマークし、道中もロスのない理想的な競馬ができた。エルムステークスは逃げ馬が好走できても勝てていなかったように、今回の騎乗は100点満点といっていいのではないだろうか。

鞍上、厩舎ともに、近年は結果を残せていなかったコンビであったが、この重賞という舞台で見事な勝利を飾ってみせた。平成最後ということも影響しているのか、今年はとにかく初モノが多い年。福永騎手のダービー制覇や、直近では小崎騎手の初重賞制覇などに続く今回の勝利となった。

ハイランドピークは重賞挑戦2戦目で結果を残したが、ミツバを基準に考えると更に上のステージで活躍するためには、まだまだ能力が足りない印象もある。まだ若手の横山和生騎手が引き続き重賞で勝負できるようになるには、人馬ともに成長が必要となるだろう。

今回のメンバーで、これだけの競馬ができるようであれば、地方交流重賞ならチャンスはありそう。それでも横山和生騎手が今回のようなパフォーマンスをみせることが出来れば、ということになる。この勝利だけで過剰評価をしないようにするといいのではないだろうか。

2着:ドリームキラリ

昨年の3着馬で、既にコース適性を示していたドリームキラリ。今年は1つ着順を上げて2着に入った。4コーナー付近の馬場を見ると、最内部分は白く乾燥していたように、1頭だけ別の馬場になっていた印象が残る。好スタートから終始マークされる展開で、ペースも緩まなかった。それでも2着に粘った強い競馬で存在感を示していた。

昨年のエルムステークスからブリンカーを着用すると成績が安定。距離問わず好走を続けている。昨年はエルムステークスの後に休養を挟むことになってしまったが、今年はここにきて充実著しい。引き続き使えるようであれば、これからも面白い存在になりそうである。テン乗りだった藤岡佑介騎手との相性も良さそうだ。

3着:ミツバ

過去10年で馬券に絡むことのなかった3枠からのスタートとなったミツバは、3コーナーで最後方グループに。最後に35秒8の脚を使って猛然と追い込んだが、ハイランドピークまでは届かず3着に敗れた。

「内枠が難しかった」と松山騎手がコメントしていたように、包まれない外へ持ち出すために、スタートから最後方まで下げる必要が出てしまった。1コーナーから2コーナーにかけて外を回らされ、厳しい流れのなか、「よく3着まで来た」と、むしろ評価したい。

松山騎手は札幌での騎乗数が少なく、カネヒキリ産駒も決してプラス評価とはならないコース。ロスの多い競馬で3着に入ったのだから、実力はこのメンバーでも上位であることは間違いないだろう。5番手以降から追いかけたリッカルドやロンドンタウンが伸びを欠くなか、最後の脚は目立っていた。松山騎手とのコンビは安定感がある。秋以降も引き続き舞台問わず好走してくる馬になるだろう。

4着:ロンドンタウン

昨年の勝ち馬ロンドンタウンは上位争いに加わったものの、最後はミツバの差し脚に屈して4着。低調な成績が続いていた近走から考えれば、掲示板確保は嬉しい結果と言えるだろう。

今回は決してプラスとはならない蛯名騎手への乗り替わり。それでも4着に入れたことで復調の気配を感じる。「まだ余裕のある馬体だった」と蛯名騎手もコメントしていたように、今回を使われて、次走以降変わってくることだろう。昨年の東京大賞典では5着に入っていた馬。今回がきっかけになったかどうかは次走わかるかもしれない。

6着:リッカルド

2016年の勝ち馬で、今回は地方所属馬としてエルムステークスに帰ってきたリッカルド。ルメール騎手を鞍上に配し、4番人気と支持を集めていたが、結果は6着に敗れた。帝王賞で4着に好走していたことで、復活の気配を漂わせていたものの、そこはやはり地方馬なのだろうか。矢野騎手との手が合うのか、地方の砂が合うのか、今回はルメール騎手でも結果が出なかった。

レースの様子を見ても、特にロスは見当たらないし、プレッシャーもかからない楽な競馬。完全に力負けのように感じる。また地方重賞に戻れば上位争いも、中央の重賞では厳しいだろう。7歳で高齢の域にも入っている。あくまで次走以降は地方競馬で矢野騎手なら。という条件付きで狙いたい。

まとめ

今年のエルムステークスは、ほぼ人気上位馬が上位の着順も占めていたように、実績通りの結果となった。上位着順の各馬については、秋以降、どのステージで競馬をするか、それによってパフォーマンスも変わってくるだろう。

今年もこれまでの傾向通りの固い決着になったが、よくよく見てみると、1番人気の連敗は継続している。「3着内に入っても勝ち切れない1番人気」というデータは来年も使えそうだ。

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