レース回顧

宝塚記念2018のレース回顧

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川田 信一
川田 信一
1978年、東京都出身。単撃理論の提唱者・ 趣味で始めたメルマガが、人気薄の単勝を的確に当てることで評判に。わずか半年で2,000人を超える読者が口コミだけで集まる。グリグリの人気馬を迷わず消し、穴馬の単勝を的中し続けている生粋の単勝馬券師。

6月24日(日)に阪神競馬場で行われた宝塚記念は7番人気の伏兵ミッキーロケットが勝利。鞍上の和田騎手は17年ぶりのG1制覇となり、ゴール板通過後の男泣きが印象に残るレースとなった。コンビを組んで一時代を築いたテイエムオペラオー以来となるビッグタイトル獲得ゆえに、さぞ感慨深かったことだろう。

1番人気で復活が期待されたサトノダイヤモンドは直線で見せ場を作るも馬群に沈み6着に敗退。2番人気のキセキは伸びを欠きこちらも8着に惨敗し、終わってみれば7番人気→10番人気→12番人気で3連単は49万馬券と波乱の決着に終わった。

なぜミッキーロケットは勝てたのか? さらには、香港から乗り込んできたワーザーが2着に好走した理由やいかに? 上位好走馬、上位人気馬の次走以降に向けての狙いどころを探りつつ、レース全体を回顧していきたい。

宝塚記念2018のレース分析

スピードが重視される近代競馬において、宝塚記念はスタミナを含めた総合力が問われるレースになりやすい。特殊な適性が問われる舞台だからだろうか、近年は中距離路線の有力馬の分散化が進み、レベル低下が顕著になってきている。

今年の前半1000mの通過は59秒1。馬場状態を考えればハイペース寄りの展開となった印象だが、これくらいのペースは宝塚記念ではよくあることで、例年通りのレースレベルだったと判断したい。

それでは、レース結果と各種データを照らし合わせながら、各馬の勝因・敗因について振り返っていこう。

宝塚記念2018の各馬の勝因・敗因・次走展望

1着:ミッキーロケット

7番人気の低評価を覆して勝利したミッキーロケットだが、「頑張っても2着まで」と思っていた方も多いのではないだろうか。しかし、事前に紹介したデータ分析による見解では4項目に合致しており、十分に買える馬と判断できた。単複回収率がともに100%を超えている5歳馬という条件にもピタリ該当。4~6歳馬が強いというデータは来年も有効だろう。

また、好走率の高いノーザンファーム生産馬という条件も満たしており、10年中9年で馬券圏内に入ったこのデータは今年も継続となった。毎年出走数が多いので、来年の継続も濃厚と言えそうだ。

ミッキーロケットは穴パターンとして指摘した前走天皇賞(春)敗退組にも該当。春の天皇賞を勝たずにここに挑んだ馬の成績は例年良いので、出走があれば来年も積極的に狙っていきたい。他にも、前走上がり3ハロン3~5位というプラスデータにも当てはまっていた。「瞬発力が足りずに前走では負けているタイプの巻き返し」というこのレースの好走パターンに、見事に合致していたということだ。

和田騎手は今年の5月17日にこの世を去ったテイエムオペラオーに捧ぐG1勝利となったことで、今後はさらに注目を集めることになるだろう。また、相棒のミッキーロケットも次走以降人気の上昇が確実視される。問われる適性の変わる秋競馬では、もしかしたら危険な人気馬になり得るかもしれない。

ただし、仮に秋緒戦で負けることがあっても、宝塚記念と成績のリンクする有馬記念で再び巻き返せる能力を持っていることが今回のレースで証明されただけに、その一度の敗戦だけで見限るべきではないということを付け加えておく。

2着:ワーザー

外国馬で取捨の判断が難しく、さらには馬体重がマイナス27キロということもあって、馬券的に拾いづらい印象の強かったワーザーだが、下馬評を覆し2着に激走してみせた。7歳以上の馬が苦戦を強いられているというデータを突破したように思えるものの、実はこの馬は南半球生産ゆえに正確にはまだ6歳(南半球産馬は7月1日に年齢がひとつ増加)。南半球産馬このデータの落とし穴になる可能性があるため、来年以降は注意して見ておきたい。

今回の走りで国際G1馬たる実力を見せつけたワーザーだが、この結果を受けて次走以降も日本の競馬で信頼するのは危険だ。好走したのは特殊な舞台で行われる宝塚記念であり、直線の長い東京や京都ではスピード勝負に屈する可能性は十分にある。体調面のみならず、馬場への適性なども含めて慎重に判断したほうがいいだろう。

3着:ノーブルマーズ

12番人気で3着に激走したこの馬も、カバーしづらい1頭だった。データで振り返ってプラス条件に該当するのは5歳馬ということくらい。全5勝のうち3勝がいわゆる非根幹距離なので、2200mに対する適性が高かったということだろう。

2着に健闘した前走の目黒記念も非根幹距離かつタフさの問われる2500m戦だったことから、宝塚記念でやれる可能性は十分に見せていたと言える。今後に関しては出走するレースの距離によって評価を変えたほうが良さそう。秋に中山芝2200mのオールカマーを選択するようであれば、中心視したい1頭に数えられる。

4着:ヴィブロス

3番人気のヴィブロスは、前半かかりながらも最後は追い上げて4着に入った。内容的には好走の部類に入るかもしれない。1800m戦に良績の目立つタイプで、2200mへの適性もあったと思われる。おそらく、ドバイ仕様に作られた馬体を2200m仕様に作り直すのが間に合わなかったのだろう。「負けて強し」の競馬だっただけに、再び距離を短縮するようであれば警戒は怠れない。

5着:ダンビュライト

人気通りの着順となったダンビュライトは、可もなく不可もなくといった印象。データ分析では2200m戦への適性を示していたが、今回はさらに適性のあった上位馬に屈した格好と言える。これまで同様G1はまだ敷居が高そうで、さらなる成長がなければ秋も厳しいだろう。

6着:サトノダイヤモンド

4コーナーの時点では楽勝するかと思わせるような手応えだったが、結果は6着と人気を裏切ってしまったサトノダイヤモンド。データ面から見ると、不安要素だったルメール騎手がマイナスに働いたとしか考えられない。あの乗り方は間違いなく早仕掛けであり、明らかにペース判断も誤っていた。名手らしからぬ凡騎乗だ。

ただし、ここで負けたからといって見限るわけにはいかないだろう。今回の4コーナー前後の動きを見るに、秋に復活する可能性は十分にありそう。さすがに次は人気を落とすと思うので、美味しい狙い目になってくれるかもしれない。絶対能力が高く、G1をあっさり勝ってもおかしくない実力馬。次走以降も、いや、次走にこそ注目だ。

8着:キセキ

レース前に公開したデータ分析では最も期待の大きかったキセキ。上がり3ハロンはメンバー中3位と最後に見せ場は作ったものの、結果は8着と人気を裏切る結果になってしまった。特殊な馬場で勝利した菊花賞以降の成績が振るわない現状を見るに、そもそもの能力の高さが疑問視される。もうG1では厳しいのかもしれない。

また、サトノダイヤモンドやヴィブロスにも共通していた、レース間隔に関するマイナスデータに引っかかってしまっていた点も見逃せない。10週以上間隔が開き、順調さを欠いた馬は不振傾向。奇しくも上位人気馬はみなこのデータに該当していた。一方、上位3頭はいずれもこの項目をクリアしていたように、このデータの信頼度は相当高そう。当然、来年も要チェックである。

9着:パフォーマプロミス

適性のある種牡馬ステイゴールド産駒唯一の出走となったパフォーマプロミスは9着に敗れた。これまで好走したのはハンデ重賞が中心で、今回は乗り替わりも良くなかったと判断できる。G1戦線では足りない印象だが、G2以下ではノーマークにはできない存在である。

宝塚記念2018のまとめ

波乱決着ではあったが、データ的に攻略の糸口は多々存在し、まったくお手上げというレースではなかった。来年も各種データを精査しつつ、しっかり取捨をジャッジしていきたい。出走すれば上位人気確実のルメール騎手は割り引き。ローテーションでは10週以上間隔の開いた馬を過信禁物。この2点も覚えておく必要があるだろう。

今年の宝塚記念で上位に好走した馬たちはみな、非根幹距離に適性のある馬だった。加えて、「天皇賞(春)で少しだけ足りずに負けた馬」という穴パターンに当てはまるミッキーロケットが勝利した。G1好走馬だからといって安易に飛びつかず、それ以外の強調材料を持つ馬から入るべきレースであることを、1年後にしっかり思い出すようにしたい。

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