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ドバイターフの取扱説明書

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こんにちは。編集部のJです。

今回取り上げるレースはドバイターフです。メイダン競馬場の芝1800mで行われ、アラブ首長国連邦(UAE)ではドバイシーマクラシックと双璧をなす芝の最高峰のレースです。

マイルを得意にする馬たちと、中距離を主戦場している馬たちが世界から集結して、ハイレベルなレースこともよくあります。

日本馬の活躍については、後ほど詳しく書くとして、個人的に印象に残っているのは、07年のアドマイヤムーン。このレースでの鮮やかな勝利もさることながら、その勝利をきっかけに、後日40憶円という超破格のオファーでゴドルフィンに移籍したことが、当時は大きな話題になりました。

あれから10年以上が経ち、アドマイヤムーンも立派なG1馬のお父さんになって、種牡馬としても奮闘中。ファインニードルやセイウンコウセイに続く、いい子を出してほしいものです。

それでは、ドバイターフの概要と、馬券攻略のためのレース傾向を探っていくことにしましょう。

ドバイターフの基礎知識

まずは、ドバイターフの概要からです。

ドバイターフの歴史

ドバイターフは、ドバイデューティフリーのレース名でドバイワールドカップと同じ1996年に創設されました。当時はナドアルシバ競馬場のダート2000mという条件で行われていて、創設時はまったく同じ条件で行われていたドバイワールドカップに出走できなった馬たちによるアンダーカード(前座)のような存在でした。

第四回目の99年にG3になり、00年にはダート2000mから芝1800mのレースへと移行。この年には創設当初から50万ドルだった賞金総額が、200万ドルへとアップしました。G2になった01年からは距離が1777mに変更されて、翌02年にG1に昇格を果たしました。

06年にドバイシーマクラシックとともに、賞金総額が500万ドルになり、賞金総額はさらに2015年に今の600万ドルに上昇します。

10年からはメイダン競馬場で行われるようになり、その年から距離も芝1800mになりました。15年にはレース名がドバイデューティフリーからドバイターフに変更されて現在に至ります。

ドバイターフの賞金

2018年のドバイターフの賞金総額は、600万ドル。およそ6憶6000万円です。優勝賞金は360万ドルで、およそ4憶円になります。これはドバイシーマクラックと並んでUAEでは、2番目に賞金が高いレースです。

ちなみに、UAEで一番賞金が高いのは、19年から賞金総額が1200万ドル、優勝賞金720万になるドルドバイワールドカップ。ドバイターフ、ドバイシーマクラシックの2倍になります。

ドバイターフの観客数

ドバイターフを含むドバイシーワールドカップデーが開催された日のメイダン競馬場の観客数は、2017年がおよそ6万人。11年にはおよそ8万1000人の観客数を記録しています。

ドバイターフのレコード

ドバイターフのレコードタイムは、14年に日本のジャスタウェイがつくった1分45秒52です。このタイムはメイダン競馬場の芝1800mのコースレコードでもあります。

芝1777mだったナドアルシバ競馬場時代のレコードが、2008年にジェイペグがつくった1分46秒20ですから、ジャスタウェイのレコードそれより速いタイムになります。

ドバイターフの一次登録について

ドバイターフデーの一次登録の締め切りの時期は、毎年1月中旬。一次登録の登録料は無料です。

仮に一次登録が締め切られた後でも、3回に分けて追加登録を受け付けていて、2月中旬までは賞金総額の0.1%(2018年のドバイターフの場合は、6000ドル=およそ66万円)、3月中旬までは賞金総額の1%(同6万ドル=およそ660万円)、直前のレース1週間前までが賞金総額の10%(同60万ドル=およそ6600万円)で追加登録が可能です。

ドバイターフの出走条件とは!?

ドバイターフの出走条件は、北半球産が4歳以上。南半球産は3歳以上が出走できます。セン馬の出走も可能です。

登録馬の中から招待馬が選出されて、招待を受諾した馬が出走可能になります。フルゲートは16頭です。

ドバイターフの遠征費用

ドバイターフを含めたドバイワールドカップデーの諸競走では、出走馬の輸送費と関係者の渡航費をドバイレーシングクラブが負担をしてくれます。高額の賞金に加えて、遠征費も負担してくれるので、日本馬にとっては格好の海外遠征先と言えそうです。

ドバイターフの日本馬の挑戦歴史

ドバイターフに日本馬が初めて出走したのは、まだドバイデューティフリーとして行われた2001年。G2に昇格したその年にイーグルカフェが挑戦して9着に敗れました。

その後05年までの4年は日本馬の出走がなく、06年にはハットトリックとアサクサデンエンが挑戦して12着と15着に敗れています。日本馬の活躍がなかなか見られない時期が続きましたが、07年に初めての歓喜が訪れます。

07年に日本から遠征をしたのは、アドマイヤムーンとダイワメジャー。レースでは最後の直線に向いてダイワメジャーが先頭に立とうとするところを、外からアドマイヤムーンが一気に抜け出して優勝。ダイワメジャーも3着に残る健闘を見せました。

08年はウオッカとアドマイヤオーラが出走して4着と9着。ウオッカは09年にも二年連続で挑戦しましたが、7着に着順を下げてしまいました。そして12年にはダークシャドウが挑み9着に敗れています。

日本馬2勝目を挙げたのは、14年のジャスタウェイです。この年の日本馬はジャスタウェイのほかにも、ロゴタイプとトウケイヘイローが出走。速いペースでトウケイヘイローが引っ張ったレースは、後方につけていたジャスタウェイが直線で外から突き抜けて、2着に6馬身以上をつける圧勝でした。ジャスタウェイはこの勝利でレーティング130ポンドを獲得して、その年のワールドランキングで1位の座に輝いています。

その後は堰を切ったかのように、日本馬が大活躍を見せます。16年は国内ではなかなかG1に手が届かなかったリアルスティールがR.ムーア騎手に導かれてG1初制覇。翌17年もJ.モレイラ騎手の神騎乗でヴィブロスが勝ち、日本馬の二連覇になりました。5頭で挑んだ18年は勝利を挙げることができなかったものの、前年の覇者ヴィブロスが2着、2年前の優勝馬リアルスティールとディアドラが同着で3着に入りました。

ドバイターフの攻略情報

次に、ドバイターフの馬券攻略ポイントを探っていきましょう。

ただし、ドバイのあるUAEでは宗教上の理由から賭博が禁止されているため、馬券の発売は行われていません。したがって、人気などのデータは、イギリスのものを参考にしました。(2017年以降は日本の海外馬券を参考。)

ドバイターフは荒れやすい!?ドバイターフのレース波乱度

2018~2009年の過去10年における1~3着までの人気を見てみましょう。

1着 2着 3着
2018 2人気 4人気 1人気・7人気
2017 5人気 7人気 2人気
2016 4人気 7人気 1人気
2015 2人気 1人気 5人気
2014 1人気 3人気 4人気
2013 3人気 6人気 3人気
2012 3人気 2人気 11人気
2011 1人気 3人気 2人気
2010 13人気 6人気 6人気
2009 5人気 4人気 14人気

過去10年で1番人気は2勝していて、2着が1回、3着が2回。勝率は20%、連対率は30%にとどまっています。

勝率は以下、2番人気と3番人気と5番人気も1番人気と同じく20%で、13番人気が買った10年を除けば、1~5番人気の中からまんべんなく勝ち馬が出ていることになります。

連対率では、3番人気の40%を最高にして、1番人気~7番人気までが40~20%になっていて、こちらは7番人気までばらつきなく出ています。

人気から軸をしぼり込むのは難しそうですが、馬連で1万1640円の万馬券が出た17年のように、組み合わせ次第では高配当も見込めます。7番人気までの馬の中から4、5頭を選んだボックス買いという選択肢が有効になってきそうです。

ドバイターフの斤量の決め方・有利な斤量は!?

ドバイターフの斤量は馬齢定量です。北半球産は4歳以上、南半球産は3歳以上が出走可能で、セン馬を含めて性別による出走制限はありません。斤量は北半球産4歳以上の牡馬が57キロ、南半球産3歳牡馬が54.5キロ。牝馬はそれぞれ2キロ軽くなります。

次に2018~2009年の過去10年における1~3着までの性齢を見てみましょう。

1着 2着 3着
2018 牡4 牝5 牡6・牝4
2017 牝4 牡4 牡4
2016 牡4 牝5 セ5
2015 セ5 牡4 牡5
2014 牡5 牡4 牝5
2013 牝6 牡5 牝5
2012 牡6 牡4 セ6
2011 セ7 牝7 セ4
2010 牡6 牡6 セ5
2009 牡4 セ5 牡4

過去10年の年齢ごとの優勝頭数は4歳が4頭、5歳が2頭、6歳が3頭、7歳が1頭で、8歳以上は勝っていません。

2着は4歳と5歳が4頭で並び、6歳と7歳が1頭ずつ。若い4歳がもっとも活躍しているというデータが出ています。

牝馬は過去10年で2勝を挙げて、2着が3回、3着も3回。芝のドバイシーマクラシックと同じく牝馬の活躍が目立っています。

ドバイターフで有利な脚質は!?

2018~2009年におけるドバイターフ優勝馬のラスト400mでのポジションは、

・1~3番手…9勝

・4~6番手…1勝

・7~9番手…0勝

・10番手以下…0勝

このデータだけでは明らかな先行有利に見えますが、これにラスト600mでのポジションも見てみると、

・1~3番手…4勝

・4~6番手…3勝

・7~9番手…0勝

・10番手以下…3勝

追い込み型の勝利も決して少なくないことがわかります。日本のジャスタウェイもラスト600mでのポジションは12番手。ヴィブロスも11番手からの勝利でした。

つまり、残り400m時点のポジションで1~3番手が多くなっているのは、この時点でほぼ勝負が決していたレースが多かったことのあらわれです。実際に過去10年で純粋な逃げ切りは、ナドアルシバ競馬場で最後の開催になった2009年のグラディアトールスだけ。メイダン競馬場になってからは、まだ逃げ切りで勝った馬は出ていません。

ドバイターフで内枠・外枠のどちらが有利!?

こちらはドバイターフがメイダン競馬場で行われるようになった2010年からの枠ごとの成績です。

1着 2着 3着
1 0回 0回 1回
2 2回 0回 0回
3 0回 0回 0回
4 0回 2回 1回
5 1回 1回 0回
6 1回 1回 1回
7 1回 1回 3回
8 2回 1回 1回
9 0回 1回 1回
10 0回 1回 0回
11 0回 0回 0回
12 1回 0回 0回
13 0回 0回 2回
14 1回 0回 0回
15 0回 1回 0回
16 0回 0回 0回

メイダン競馬場に替わって9回しか行われていないこともあり、データに極端な偏りは見られません。メイダン競馬場の芝1800mは向こう正面にあるポケットからスタートするいわゆるワンターンのコースです。スタート後は長い向こう正面が続くため、枠の有利不利が出にくいコースになっています。

その中で好成績をあげているのが6~8番の真ん中あたりの枠。ドバイシーマクラシックでも比較的好成績を残しているのが6~8番、というのは偶然かもしれませんが、しばらく注意をしてみてもいいかもしれません。

日本馬のドバイターフでの相性は?

日本馬は2018年までにのべ19頭が出走して、アドマイヤムーン、ジャスタウェイ、リアルスティール、ヴィブロスによる4勝。日本馬初出走となった01年から18年までで出走していない年を除けば、10年で4勝を挙げていることになります。

特にジャスタウェイが勝った14年以降は、出走がなかった15年を挟んで、16年にリアルスティール、17年にヴィブロスが制覇。18年もヴィブロスが2着に、リアルスティールとディアドラが3着に入っていて日本馬の好走が続いています。

これだけでも日本馬とこのレースの相性は良好だと言えるでしょう。

ドバイターフに強い国とは!?

ドバイターフは、2018年までに23回(04年が1着同着なので優勝馬は24頭)行われて、最も多く勝利しているのがUAEの9勝です。以下2番目が日本の4勝、3番目にイギリス、フランス、南アフリカの3勝、ドイツとオーストラリアが1勝になっています。

勝利回数だけならば、「さすがは地元」と敬意を表したくなりますが、9勝のうち4勝はダートで行われていた時の勝利です。

それに、18年までの出走頭数を見てみると、日本が19頭なのに対して、UAEは100頭以上ですから、勝率ならば格段に日本の方が上。日本の出走頭数はイギリス、フランス、南アフリカよりも少ないので、その優秀さが際立ってきます。

まとめ 14年以降は日本馬の信頼度が一気に上昇

14年にジャスタウェイが優勝してからは、毎年のように日本馬が出てくれば馬券圏内に入っていて、海外馬券が発売されるレースの中でも最も日本馬を狙えるレースと言ってもいいでしょう。

人気面では1番人気の活躍度が高くないものの、7番人気までの組み合わせておさまることが多く、大波乱は起こりにくい傾向にあります。連対馬の馬齢はシーマクラシック同様に4歳と5歳の活躍が目立ち、牝馬の活躍も顕著に表れています。

脚質は先行から追い込みまで幅があるものの、メイダン競馬場に替わってからは逃げ切ったケースはありません。ワンターンのコース形態から枠順による有利不利が出にくく、枠順によるデータにも大きな偏りはありません。

日本以外の調教国では、UAEのほか、イギリス、フランス、南アフリカが活躍しています。それでもここ最近の日本馬の勢いが一番です。日本馬を軸にした馬券を組み立てるのが的中への近道になることでしょう。

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