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血統(系統)の基礎知識②(ナスルーラ系・ネイティヴダンサー系・その他の系統)【血統の専門家が監修】

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三ツ木ケイ
三ツ木ケイ
「競馬は儲かってこそ」をモットーに実践的な血統馬券術を開発。著書には「A・B・O型血統馬券術~血統型種牡馬図鑑~」がある。血統を用いて適性を見抜くだけではなく、馬の性格を見抜くことに成功した新世代の血統馬券師。地味だけど期待値の高い種牡馬を見抜くのが得意。

こんにちは。三ツ木ケイです。

今回は「血統(系統)の基礎知識」の第2弾。前回のターントゥ系・ノーザンダンサー系に引き続き、ナスルーラ系・ネイティヴダンサー系・その他の系統を解説していきます。

ナスルーラ系の特徴

ナスルーラ系とは?

ナスルーラ系は、ノーザンダンサーが台頭するまで世界を席巻していた大系統です。

ナスルーラ自身は激しい気性とスピードを武器にしていましたが、母系からスタミナを補って欧州でも活躍する馬も輩出し、世界中にその血を広げました。

日本では軽いスピードを発揮するタイプ、米国ではダートで活躍するタイプ、欧州ではスタミナを活かすタイプなど、あらゆる特徴を伝えています。

日本でも70~90年代中盤まで大活躍していましたが、サンデーサイレンスの登場によって勢力図は一気に塗り替えられてしまいました。

欧州ではノーザンダンサーが主役の座を奪い、血統は時代とともに淘汰される宿命であることを感じさせます。

エーピーインディ系

エーピーインディは、父に米国三冠馬シアトルスルー、母父にも米国三冠馬セクレタリアトを持つ超良血馬です。

自身もベルモントステークスやブリーダーズカップ・クラシックを制するなど、一流の成績を残しています。

種牡馬となってからも優秀で、プルピットやタピットといった後継種牡馬が奮闘しています。

抜群のダート適性を誇り、ミスタープロスペクター系に比べて距離の融通も利きやすいのも特徴です。

日本のダート界では、エーピーインディ系とフォーティナイナー系が2大勢力です。ただ、フォーティナイナー系が短距離の下級条件を主戦場としているのに対し、エーピーインディ系は重賞クラスでも活躍馬を多く輩出しています。底力という点では、エーピーインディ系のほうが上といえそうですね。

エーピーインディ系は英語表記になっている種牡馬も多く、あまり馴染みがないため、人気にならないことも多々あります。もちろんそんなときこそ狙い目です。

ボールドルーラー系

エーピーインディの先祖でもあり、米国を代表する名種牡馬がボールドルーラーです。

日本ではボールドルーラー系の種牡馬は少なく、父系としてはほとんど活躍していません。

しかし、米国ではスピードを持続する能力を競うため、ボールドルーラーの血を持つ馬は持続力に秀でます。

そのため日本でも、芝の高速馬場で持続力が問われるレースでは、ボールドルーラーの血を持つ馬が激走することもたびたびあります。

サンデーサイレンス系ではアグネスタキオンやマツリダゴッホなどがこの血を持ち、直系でなくとも強い影響力を与えるほど、凄まじい種牡馬だといえます。

プリンスリーギフト系

プリンスリーギフトは、1950年代にイギリスで走ったナスルーラの直仔です。

競走成績・種牡馬成績ともに超一流とまではいえません。しかし産駒のテスコボーイ、ファバージらが日本に輸出されることになり、これが日本で大成功。結果、日本ではプリンスリーギフトの血を持つ馬を次々と輸入することになります。

そのため、プリンスリーギフト系は日本で一時代を築くほど繁栄しましたが、世界的にはプリンスリーギフトの血を持つ馬がほとんどいなくなりました。

日本ではテスコボーイからトウショウボーイ・テスコガビー・サクラユタカオーなど名馬が続々と誕生。その活躍ぶりから、競走成績がよくない馬でも種牡馬となったために、その血は飽和状態となり、次第に衰退していきました。皮肉なものですね。

プリンスリーギフト系の特徴は、スピード能力が高いことです。

スタミナやパワーはあまりないので、単純に軽い馬場でのスピード勝負に強く、坂のあるコースでは成績は落ちる傾向にあります。

代表種牡馬は、いわずと知れた名スプリンターのサクラバクシンオー。直仔こそ少なくなりましたが、今後は母父として短距離戦では存在感を示し続けることでしょう。

グレイソヴリン系

グレイソヴリンは1950年代にイギリスで走り、競走成績は平凡なものでした。

半兄にダービー馬がいたため、当初はその血統が評価されての種牡馬入り。大きな期待はされていないようでした。

しかし、種牡馬としては兄を上回る成績を残します。芦毛の馬で、現在の芦毛の祖を築いた馬とまでいわれるようになりました。

日本では80~90年代にタマモクロスやビワハヤヒデなどが活躍。その後、凱旋門賞馬のトニービンが日本で種牡馬として活躍し、グレイソヴリン系の代表格となります。

グレイソヴリン系の特徴は、豊富なスタミナを持つ馬が多いことです。

また、欧州型のなかでは最も日本に適応している系統といえるでしょう。

代表種牡馬はジャングルポケット。トニービン産駒らしく東京競馬場で大活躍しました。しかし、ジャングルポケットの産駒は案外東京が得意ともいえない成績となっています。

父系としては、スピード不足により活躍の場が少ないのですが、母系としてスタミナを伝え、大レースでの激戦で底力を発揮する系統として注目されています。

サンデーサイレンス系の中では、ハーツクライが母父トニービンでその特徴を強く受けていることもあり、激戦に強い種牡馬として有名です。

グレイソヴリン系のなかでも、コジーンから繋がるラインは少し特殊で、短距離向きの快速馬を多く出しています。

レッドゴッド系

レッドゴッドは1950年代にアメリカで生まれますが、2歳時にはイギリスで走り、その後再びアメリカへ戻って競走生活を送ります。

競走成績は今ひとつでしたが、種牡馬としてはブラッシンググルームやイエローゴッドを輩出し、とくにブラッシンググルームが種牡馬として大成功を収めます。

ブラッシンググルームからは凱旋門賞馬のレインボウクエスト、母父としても神の馬と呼ばれたラムタラを輩出。日本でもテイエムオペラオーやマヤノトップガンなどの母父として、大レースで底力を与える存在となりました。

レッドゴッド系の特徴は、欧州型ノーザンダンサー系と同じようにスタミナが豊富なことです。

しかし、父としてはやはりスピード不足で、当時の現役最強馬とまで呼ばれたサクラローレルも、種牡馬として活躍する馬を出せませんでした。

ネヴァーベンド系

ネヴァーベンドは1960年代にアメリカで走った、ナスルーラのラストクロップ(最後の世代)です。

競走成績も一流でしたが、それ以上に種牡馬として成功。欧州三冠を制した代表産駒ミルリーフは、20世紀の名馬トップ10に数えられるほどの名馬です。

ミルリーフからはマグニテュードを経て、「坂路の申し子」ミホノブルボンが日本で活躍。しかし、異端血統でもあるため、ミホノブルボンも種牡馬としては活躍できませんでした。

ネヴァーベンド系の特徴も、欧州型ナスルーラらしくスタミナが豊富でスピード不足な点。父としては通用しづらく、馬券的に狙い目を探すのは難しいところです。

ネイティヴダンサー系の特徴

ネイティヴダンサー系とは?

ネイティヴダンサーは、1950年代のアメリカを席巻した歴史的名馬です。生涯成績は22戦21勝。唯一の敗戦も、大きな不利を何度も被ったケンタッキーダービーの2着というもの。芦毛の雄大な馬体を持ちながら、ゲートが開くと難なく好意に取り付き、いつの間にか勝っているその姿は「グレイ・ゴースト(灰色の幽霊)」の異名をとりました。

種牡馬として、現役時代に大活躍をする仔を輩出したわけでもなく、やや「期待外れ」の声も聞かれていましたが、孫の世代で活躍馬が続出。後述の通り、直仔レイズアネイティヴからはミスタープロスペクターが生まれ、一大系統を築き上げましたし、同じく直仔のエタンもシャーペンアップを輩出するなど、その血は広がりを見せていきました。今となっては、世界中で活躍している名馬の血統表に「ネイティヴダンサー」の文字がない馬のほうがレアです。

ダート向きのパワーを持ちながら、キングカメハメハのように芝で安定した力を発揮するタイプの種牡馬も送り出しています。

フォーティナイナー系

フォーティナイナーはミスタープロスペクターの直仔で、日本の短距離ダート界で最も勢いがある系統といえるでしょう。

その特徴は、仕上がりが早いスピードタイプであること。2歳戦では芝の短距離でも活躍します。

気分屋といわれるタイプも多く、原因不明の惨敗をしたり、前走惨敗からいきなり巻き返したりするので、必然的に穴馬券が多くなります。

代表種牡馬はサウスヴィグラスで、ダートの1400m以下ではとにかくよく走ります。

2015年以降、ダートの1400m以下で前走3角5番手以内の馬を買い続けるだけで、単勝・複勝回収率が両方とも100%を上回るほどです。

3角位置 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
1~5番手 14% 29% 39% 141% 123%
6~10番手 4% 8% 15% 36% 51%
11番手以下 3% 6% 8% 28% 34%

※2015年以降の集計結果

3角で先頭集団にいる馬は、それだけである程度のスピード能力を持っている証拠となるので、展開一つで馬券になる可能性を秘めています。

逆に、後方にいる馬の中にはまったく通用する気配のない馬も含まれるため、前走先行している馬のほう成績がよくなる傾向があります。

ただし、今後も必ずプラスになる保証があるわけではないので注意してください。

フォーティナイナー系のなかでも、アドマイヤムーンは芝向きの異端児です。

基本的には短距離で強く、1400m以下が狙い目。とくに、短縮ローテが得意なので、距離短縮、もしくは前走が延長ローテからの今回同距離ローテの馬を狙うと、おいしい馬券が取れるかもしれません。

キングマンボ系

母ミエスクという欧州の超一流牝馬から産まれた良血馬が、キングマンボです。

その特徴は、持続力と馬力に優れたタイプが多く、日本では芝もダートもこなします。

しかし、芝をこなすのは一部の馬で、基本的にはダート寄り。

瞬発力も総じてサンデー系には劣るので、芝で活躍するのは一握りの種牡馬の産駒です。

キングマンボ系の代表種牡馬はダービー馬キングカメハメハ。芝もダートもどちらもG1馬を輩出するスーパー種牡馬です。

ディープインパクトよりダート適性は高く、サンデーサイレンスが持つ種牡馬のJRA1日最多勝記録を更新する快挙も達成。クラシック戦線では、ディープインパクトと互角に渡り合える数少ない種牡馬といえます。

ただし、芝の重賞クラスで通用するのはほとんど、母系がサンデーサイレンス系の馬です。

弱点としては、スタミナがそれほどないので、3000m以上のレースでは成績が急降下していることです。

今後はキングカメハメハ産駒であるルーラーシップ、ロードカナロアの産駒が多くなります。どちらも芝がメインにはなりますが、ダートでも走れるはずなので、ダート替わりで狙うと面白いかもしれません。

ミスタープロスペクター系

ネイディヴダンサーの仔であるレイズアネイティヴを父に持つミスタープロスペクターは、米国の主流血統として活躍馬を多く輩出。一方で、欧州でも活躍する馬を輩出し、日本の芝にも適応するなど、世界的に成功している種牡馬です。

米国型には2歳戦から活躍出来る完成度の高い(仕上がりの早い)産駒が多く、主にダートで活躍するタイプが多くいます。

欧州型は芝で走るタイプが多く、母系によってダートもこなします。瞬発力ではサンデー系に劣りますが、スピードの持続力やスタミナに優れる特徴があります。

その他の系統

ハンプトン系

ハンプトン系は、父系としては残っていませんが、母系に入ってスタミナを伝えています

ファイントップ系のディクタスからはサッカーボーイという快速馬が出ましたが、サッカーボーイは種牡馬としては系統本来の特徴であるスタミナ色が濃い産駒を輩出。ツボに嵌まると力を発揮する反面、人気でもアテにならないこともあります。

サッカーボーイの全妹ゴールデンサッシュとサンデーサイレンスの間に生まれたのがステイゴールドであり、大一番での強さと脆さにはファイントップ系の一面が見られます。

セントサイモン系

セントサイモンは1000~4000mで10戦10勝という成績を残し、英国競馬の至宝と呼ばれた名馬です。

種牡馬としても1890年から通算で9回、英国リーディングサイアーとなった歴史的大種牡馬であり、現在のサラブレッドのほとんどはセントサイモンの血を持つといわれています。

その特徴は豊富なスタミナと底力を伝え、大舞台で強さを発揮するようになることです。

セントサイモンがリーディングサイアーの座を譲ったのが自身の産駒であり、以降は産駒が種牡馬として次々と活躍し、セントサイモン系が急激に発展していきます。しかし、あまりにも反映し過ぎた結果、血の飽和が起こり、急速に衰退するようになりました。日本におけるプリンスリーギフト系と同じことが、かつてイギリスでも起こっていたのです。

現在は日本でサンデーサイレンス系が急激に発展していますが、今後はセントサイモン系と同じようなことが起こり得るということですね。

ヘロド系

ヘロド系は、三大始祖のうち、バイアリータークから派生して残っている系統です。

日本では90年代前半に、メジロマックイーンやトウカイテイオーといった名馬も輩出し、一時代を築いたといえるでしょう。

しかし、高速化が進むにつれて適性が合わなくなり、父系としては残っていませんが、三冠馬オルフェーブルやゴールドシップの母父はともにメジロマックイーンで、母系に入って一定の存在感を示しています。

マッチェム系

三大始祖のうち、ゴドルフィンアラビアンから派生した系統がマッチェム系です。

マッチェム系は三大始祖の中で最初に繁栄した系統で、今でも高いスピード能力と持続力を発揮しています。

新潟1000mの適性が高く、マッチェム系のカルストンライトオが記録したレコードは未だに破られていません。

その他のマイナー系統

ダート活躍するダマスカス系やヒムヤー系、ステイヤー血統のスターリング系など、マイナー系統の中にも一定の存在感を示す系統もあります。

欧州最強馬フランケルの産駒として注目を集めたソウルスターリングの母父モンズンも、スターリング系のスタミナ血統です。

【まとめ】

日本・米国・欧州。それぞれの馬場に独自の特徴があるため、父として活躍馬を多く出す馬は重宝されますが、それが行き過ぎると血が飽和状態となって配合に行き詰まり、やがて衰退していきます。馬券に直結する「特徴」とともに、流行・衰退の「流れ」をつかんでおくと、新種牡馬導入の意図が見えてきて、結果、馬券の回収率向上にもつながります。

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