レース見解

ジャパンカップ2018復活の兆しを見せたサトノダイヤモンド

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川田 信一
川田 信一
1978年、東京都出身。単撃理論の提唱者・ 趣味で始めたメルマガが、人気薄の単勝を的確に当てることで評判に。わずか半年で2,000人を超える読者が口コミだけで集まる。グリグリの人気馬を迷わず消し、穴馬の単勝を的中し続けている生粋の単勝馬券師。

2016年の有馬記念では、キタサンブラックを破りグランプリホースの座を手に入れたサトノダイヤモンド。しかし、その後の海外遠征をきっかけに狂い始めた歯車は簡単には元に戻らず、長く続くスランプのトンネルへと入ってしまっていた。

そのような状況のなか、約1年7ヶ月ぶりに掴んだ京都大賞典での勝利は、完全復活と手放しで喜べるものではないにせよ、かつての輝きを取り戻すために一筋の光が差し込んだと言えるのではないか。

国内外から一流馬が参戦するジャパンカップとなると、たとえ本調子であっても一筋縄ではいかないが、復調の気配が感じられるサトノダイヤモンドは、もう一花咲かせることができるのだろうか。

ここからはデータ分析を交えながらサトノダイヤモンドについて検証していこう。

[騎手]世界的名手の適応能力

東京芝2400mにおけるJ.モレイラ騎手の成績は、勝率33%、連対率33%、複勝率67%となっているが、【1-0-1-1】と述べ3頭による成績のため、データ的に得手不得手の判断することは難しい。

総合的に評価するならば、短期免許で来日している約4か月半で64勝を挙げる力は本物で、リーディング1位のC.ルメール騎手が勝率27%ということを考えると、J.モレイラ騎手の勝率37%の凄さが認識できるのではないか。(ここで言う勝率はいずれも2018年の成績。)

11月11日(日)に行われたエリザベス女王杯では、リスグラシューでJRA・G1初制覇を達成しており、世界の様々な場所で活躍している名手の環境適応能力の高さは感嘆に値する。

あえて不安点を挙げるとすれば、右回りコースと比べて左回りコースの勝率が落ちていることか。それでも、ブラジルやシンガポールを拠点としていたのであれば、左回りコースが苦手というわけでもなさそう。どちらかと言うと前々で競馬をすることが得意な騎手なので、東京競馬場の瞬発力勝負に慣れていないのかもしれない。しかし、それもJ.モレイラ騎手ほどの名手であれば、時が経つにつれて解決されていくのではないか。

騎手 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
戸崎圭太 18% 37% 46% 91% 84%
C.ルメール 26% 38% 50% 57% 75%
蛯名正義 16% 24% 31% 139% 70%
M.デムーロ 21% 35% 56% 52% 100%
柴田大知 7% 16% 23% 23% 63%
内田博幸 7% 13% 25% 64% 88%
川田将雅 23% 46% 50% 69% 90%
吉田豊 10% 19% 23% 81% 60%
田辺裕信 7% 13% 20% 38% 41%
岩田康誠 14% 21% 24% 207% 91%
池添謙一 25% 31% 38% 178% 78%
松岡正海 5% 17% 22% 47% 79%
石橋脩 9% 16% 31% 55% 176%
北村宏司 6% 9% 15% 23% 55%
福永祐一 11% 11% 32% 82% 73%
柴山雄一 5% 18% 26% 142% 76%
三浦皇成 6% 16% 31% 15% 64%
吉田隼人 13% 25% 31% 49% 80%
武豊 11% 11% 17% 38% 24%
H.ボウマン 25% 25% 38% 186% 58%
J.モレイラ 33% 33% 67% 83% 40%

※東京芝2400m 2015年以降の集計結果

[厩舎]ジャパンカップは未勝利

東京芝2400mにおいて池江泰寿厩舎は、勝率11%、連対率26%、複勝率32%という成績で、出走を予定している厩舎のなかでは3位に位置している。

池江泰寿厩舎というとオルフェーヴルのイメージが根強いが、そのオルフェーヴルも2012年ジャパンカップではジェンティルドンナにハナ差で敗れており、現行コースで行われたジャパンカップは【0-2-2-5】と優勝例がない。

サトノダイヤモンドに関しては2016年東京優駿でハナ差2着のコース実績がある。また、余談ではあるが、そのときの勝ち馬マカヒキとは約2年6ヶ月ぶりにジャパンカップで顔を合わせることになるようだ。

同舞台で行われる2011年東京優駿および2015年優駿牝馬をオルフェーヴルとミッキークイーンで制しているが、やはり池江泰寿厩舎の実績を考慮すると全体的に物足りない成績なので、あまり過信はできないかもしれない。

調教師 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
(美)堀宣行 28% 36% 47% 100% 89%
(栗)友道康夫 23% 34% 49% 191% 174%
(栗)池江泰寿 11% 26% 32% 109% 62%
(美)国枝栄 4% 25% 29% 7% 199%
(栗)藤岡健一 8% 39% 39% 56% 93%
(栗)音無秀孝 13% 13% 25% 18% 32%
(栗)杉山晴紀 33% 33% 33% 503% 96%
(栗)庄野靖志 0% 33% 67% 0% 126%
(美)菊沢隆徳 0% 11% 11% 0% 21%
(栗)宮本博 0% 17% 17% 0% 66%
(栗)中竹和也 0% 0% 0% 0% 0%
(栗)松元茂樹 0% 0% 0% 0% 0%

※東京芝2400m 2015年以降の集計結果

[血統]明暗が分かれやすい

東京芝2400mおけるディープインパクト産駒の成績は、勝率15%、連対率24%、複勝率35%となっており、集計期間中の勝数においては2位のハーツクライ産駒8勝に対し、24勝とトリプルスコアを付けるほどの独走状態

今年の東京優駿もディープインパクト産駒のワグネリアンが制しており、舞台適性の高さは折り紙付きと言えそうだ。

ジャパンカップにおいても、現行コースで行われるようになってから【3-2-1-13】という成績で、ショウナンパンドラ(2015年)とジェンティルドンナ(2013&2012年)が勝利している。

ただし、優勝馬はどちらも牝馬であることがポイントとなりそうで、ディープインパクト産駒の牡馬はジャパンカップの成績が【0-1-1-7】と苦戦傾向。しかし、3番人気以内の支持を集めていたのが、2016年リアルスティール(2番人気5着)の一例しかないので、一概に性別で否定してしまうのも考えもの。

ちなみに、2014年ジェンティルドンナ(1番人気4着)&ハープスター(2番人気5着)、2015年ミッキークイーン(3番人気8着)と、上位人気に支持されていたディープインパクト産駒の牝馬でも凡走例はある。

ディープインパクト産駒の好走率が高い点については疑いようのない事実だが、意外と取捨選択が難しい印象も受ける。

種牡馬 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
ディープインパクト 15% 24% 35% 78% 68%
ハーツクライ 7% 14% 24% 71% 58%
ルーラーシップ 24% 33% 39% 76% 75%
キングカメハメハ 10% 21% 27% 56% 100%
ネオユニヴァース 8% 23% 30% 132% 75%
ジャングルポケット 5% 15% 22% 26% 56%
カンパニー 10% 20% 20% 151% 62%
トーセンホマレボシ 17% 17% 33% 70% 60%
ロードカナロア 33% 33% 33% 56% 36%
ナカヤマフェスタ 0% 0% 9% 0% 40%
Marju 0% 0% 50% 0% 105%
ローエングリン 0% 0% 0% 0% 0%
Galileo 0% 0% 0% 0% 0%

※東京芝2400m 2015年以降の集計結果

[脚質]淡々としたペースでレースが運べば

過去10年のジャパンカップにおいて、3着以内に好走した30頭中22頭が前走上がり3ハロン5位以内の脚を使えていた。東京競馬場で開催されることを考慮しても、末脚のしっかりしている馬の方が評価しやすい。

サトノダイヤモンドは前走上がり3ハロン1位なので、データ的には充分強調できる。また、同舞台で行われる東京優駿でも上がり3ハロン33秒4という脚を使えており、瞬発力勝負にも対応できる下地はありそうだ。

ただし、京都外回りコースを得意としていることから本質的には持続力を活かしたいタイプ。ジャパンカップも極端な瞬発力勝負になるよりは、ある程度ペースが流れてくれた方が競馬もしやすいだろう。

前走上がり3ハロンタイム 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
前走1位 10% 14% 29% 60% 73%
前走2位 6% 31% 31% 55% 73%
前走3位 33% 33% 42% 211% 79%
前走4~5位 10% 15% 30% 249% 162%
前走6位~ 2% 6% 9% 7% 37%
前走1~5位 13% 22% 32% 140% 100%

※ジャパンカップ 2008年以降の集計結果

[前走クラス]勢いのある京都大賞典組

過去10年のジャパンカップにおいて、3着以内に好走した30頭中27頭がJRAのG2以上に出走していた。日本馬でも海外のレースに出走していた馬は帰国初戦となるため分が悪いようだ。

近2年に限れば京都大賞典を使っていた馬が2連勝していたり、2016年は古馬G2戦から挑んだ馬が1~3着を独占していたりするので、傾向が少しずつ変わってきている雰囲気がある。

サトノダイヤモンドは、近年のトレンドとも言える京都大賞典からの参戦。ローテーションとしては何の不満もなく、傾向の変化を敏感に捉えるならば絶好の狙い目となり得るのではないか。

前走クラス 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
1600万下 0% 0% 0% 0% 0%
OPEN特別 0% 0% 0% 0% 0%
G3 0% 0% 0% 0% 0%
G2 9% 15% 18% 176% 54%
G1 9% 16% 26% 51% 86%
海外G2以下 0% 0% 0% 0% 0%
海外G1 0% 5% 7% 0% 22%

※ジャパンカップ 2008年以降の集計結果

[馬体重]500キロ以上は過信禁物

過去10年のジャパンカップにおいて、3着以内に好走した30頭中20頭が馬体重460~499キロの範囲で出走していた。

一方で、馬体重500キロ以上の大型馬は苦戦しており、優勝したのは小雨降るなか行われた2016年のキタサンブラック(536キロ)一頭だけ。ちなみに、2016年は2着サウンズオブアースも502キロだったことを踏まえると、例年とは少し異なる適性を問われたのかもしれない。

サトノダイヤモンドは、前走京都大賞典出走時の馬体重が512キロ。古馬になってから馬体重が500キロを下回ったことはなく、レース傾向を鑑みると評価を落とす必要がありそうだ。

馬体重 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
400~419kg 0% 0% 0% 0% 0%
420~439kg 0% 17% 17% 0% 85%
440~459kg 6% 12% 12% 54% 20%
460~479kg 19% 27% 31% 131% 62%
480~499kg 5% 10% 18% 79% 84%
500~519kg 0% 5% 13% 0% 39%
520~539kg 7% 7% 7% 27% 10%
540~ 0% 0% 50% 0% 60%

※ジャパンカップ 2008年以降の集計結果

[人気]人気先行も強みになる

過去10年のジャパンカップにおいて、1番人気は勝率30%、連対率60%、複勝率80%と好走率が高く、連軸としては頼りになる成績を収めている。

ただし、過去10年で1番人気は3勝しかできておらず、2~5番人気の馬が残り7勝のうち6勝を挙げていた。また、6番人気以下からの優勝となると、2008年スクリーンヒーローの一例しかないので、基本的には上位人気に支持されている馬を中心視して良さそうだ。

サトノダイヤモンドは、デビューから常に3番人気以内の支持を集めており、今回もJ.モレイラ騎手が手綱を取るとなると上位人気に推されるはず。ジャパンカップにおいては、人気を集めることも好走の指標となるので、悪い傾向ではないだろう。

人気 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
1番人気 30% 60% 80% 95% 102%
2番人気 10% 30% 50% 34% 72%
3番人気 10% 20% 20% 66% 49%
4番人気 30% 30% 30% 369% 74%
5番人気 10% 20% 20% 133% 48%
6番人気 0% 10% 40% 0% 143%
7番人気 0% 20% 20% 0% 89%
8番人気 0% 0% 10% 0% 53%
9番人気 10% 10% 10% 410% 71%
10番人気 0% 0% 0% 0% 0%
11番人気 0% 0% 10% 0% 122%
12番人気 0% 0% 0% 0% 0%
13番人気 0% 0% 0% 0% 0%
14番人気 0% 0% 10% 0% 166%
15番人気 0% 0% 0% 0% 0%
16番人気 0% 0% 0% 0% 0%
17番人気 0% 0% 0% 0% 0%
18番人気 0% 0% 0% 0% 0%

※ジャパンカップ 2008年以降の集計結果

[まとめ]展開が嵌れば

ここまでのデータを振り返ってみると、プラス要素とマイナス要素が混在しているため、勝つか負けるかハッキリした結果になる可能性が高い。

つまり、展開次第という評価になるので、サトノダイヤモンドが得意とするロングスパート勝負になれば勝算もあるか。出走メンバーを見渡して、どのような展開になるのか熟考を重ねる必要がありそうだ。

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