レース見解

宝塚記念2018サトノダイヤモンドの見解

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川田 信一
川田 信一
1978年、東京都出身。単撃理論の提唱者・ 趣味で始めたメルマガが、人気薄の単勝を的確に当てることで評判に。わずか半年で2,000人を超える読者が口コミだけで集まる。グリグリの人気馬を迷わず消し、穴馬の単勝を的中し続けている生粋の単勝馬券師。

今年の宝塚記念では、ファン投票1位のサトノダイヤモンドが1番人気に支持される公算が高そうだ。3歳時には菊花賞と有馬記念を制した経験のある断然の実績馬。ファンからの人気は根強く、復活を望む声も多く聞かれる。ただし今回は文句なしの1番人気ではなく、押し出された格好の1番人気であることを忘れてはならない。

4月にG1の大阪杯を制し、古馬中距離戦線の主役の座に躍り出たスワーヴリチャードは安田記念に路線変更。昨年春に皐月賞、日本ダービーのタイトルを獲得したアルアインにレイデオロ、さらには天皇賞(春)の上位組らが相次いで回避やリタイアを表明し、強力なライバルたちが戦わずして去っていった状況にある。

これを「サトノダイヤモンドにとっては大チャンス」とみるか、それとも「今のサトノダイヤモンド程度の馬が1番人気になるくらいなのだから波乱が起こっても不思議はない」と考えるか?

この馬の扱いをどう判断するかが、馬券攻略の最大のカギを握ると言ってもいいだろう。そんなキーホースの取捨に迫るべく、血統、厩舎、騎手、ローテなど、あらゆる角度から可能性を探っていった

[血統]ディープの安定感は文句なし!

宝塚記念と言えばステイゴールド。加えて、ディープインパクト。このレースを迎えるにあたっては、過去に圧倒的な実績を残している両種牡馬ががぜんクローズアップされる。とりわけディープに関しては、牝馬のほうが活躍は顕著。ではあるのだが、宝塚記念単体ではなく阪神芝2200mというコースでデータをとると、牡馬も遜色のない成績を記録していることがわかる。

血統的なコース適性は文句なし。牝馬に良績が集中しているのはたまたまと割り切ってしまえば、ディープの牡馬であることを理由にサトノダイヤモンドを軽視することはできない。2006年にはディープ自身がこのレースを制し、さらに2013年にはディープ産駒の牡馬ダノンバラードが単勝43.8倍の低評価ながら2着に健闘しているので、「そろそろ牡馬も」と考えるのはおおいにアリだろう。

[厩舎]レースもコースも池江厩舎は大得意!

出走を予定していたステイインシアトルの回避はあったが、それでもサトノダイヤモンド、ストロングタイタンという有力馬2頭を送り込む池江泰寿厩舎。レース1カ月ほど前の時点では、このほかにアルアイン、サトノノブレス、サトノクロニクルらも出走候補として名前が挙がっており、もはや宝塚記念ならぬ「池江記念」と言ってもいいような状況が生まれようとしていた。

過去にはドリームジャーニー、オルフェーヴル、ラブリーデイと3頭でこのレースを制しており、相性の良さは抜群。勝ち方を完全に熟知していると考えてもいいだろう。事実、古馬のG1のなかでは出走数が多いだけでなく成績も突出して良く、データ面からも巧者ぶりがうかがい知れる。

池江厩舎を後押しするデータはまだまだある。宝塚記念のみならず、阪神芝2200mそのものを得意としており、複勝率は53%とトップの成績を収めているのだ。ご覧のように、阪神の芝中距離にめっぽう強い。好走率と期待値のバランスもとれており、人気でも穴でも買いやすいことがわかる。このデータはサトノダイヤモンドを買いたいファンにとっては頼もしい限りだ。

今年の宝塚記念出走予定メンバーの横の比較でも、池江厩舎は上位にランクされる。厩舎という切り口で見る限り、サトノダイヤモンドをマイナスに評価する要素は皆無。逆に言うと、得意条件で勝ち負けできる状態に仕上げてくる可能性が高いことを裏付ける材料しかないということだ。

[騎手]信じがたいほどの苦手条件!どうしたルメール!?

血統、厩舎ともに、バックボーンにはケチの付けようがないサトノダイヤモンドだが、実は鞍上に大きな不安要素を抱えている。ルメール騎手が阪神芝2200mを不得手にしているのだ。一定期間、たまたま勝利から遠ざかってしまった、という話ではない。とにかくこのコースでは勝てないでいる。いや、勝てないどころか3着に持ってくることさえ少ない。回収率に至っては、単勝10%、複勝16%という体たらく。

ほかの阪神芝コースが苦手というわけでは決してないので、なんとも解せない話ではあるが、これが事実なのだから受け入れるしかないだろう。宝塚記念に関しても【0-0-0-3】と不振で、2番人気を2回馬券圏外に飛ばしている。通常なら最強の援軍になってくれるルメール騎手。しかし、このレース(このコース)に関しては、馬の脚を引っ張る存在になりかねないのである。

ただし、ルメール騎手にまったく光明がないわけではない。視点をコースやレースではなく、厩舎&馬主に向けると明るい材料も確認できる。サトノダイヤモンドを所有するサトミホースカンパニーにおける「騎手×厩舎」の成績では、ルメール騎手と池江厩舎のコンビはかなり上位にランクされるのだ。勝利数では「川田×池江」に次ぐ第2位。複勝率は90%と圧巻の数値で、当然のごとくトップに立っている。信頼度の高さは文句なし。

サトノダイヤモンドの今回の乗り替わり(戸崎騎手からルメール騎手へのコンビ復活)からは、陣営の本気度の高さが感じ取れる。「池江」と「サトノ」の後ろ盾を得たルメール騎手は、苦手な阪神芝2200mを克服できるのか? 要注目である。

[ローテ]休み明けは苦にしないが状態面に疑問符が!?

サトノダイヤモンドの前走は大阪杯で、レース間隔は3カ月弱。3歳秋の神戸新聞杯、4歳春の阪神大賞典を勝っているように、休み明けは苦にしないタイプである。よって、レース間隔が空いたことは大きなマイナス要素にはならないだろう。しかし、それは海外遠征前の話。凱旋門賞に挑戦し、帰国したあとは明らかに走りに精彩を欠いている。1週前追い切りもギリギリ及第点という動きで、全盛時のデキにはないという印象を受ける。

海外遠征は心身ともに馬に大きな負担が掛かり、受けるダメージは相当なもの。80%の力でも勝ち負けに持ち込めそうなメンバー構成だが、状態面に関しては、やや割り引いて評価するのが妥当かもしれない。ちなみに、前走距離別成績を見ると、短縮組が優勢。延長ローテもあまり歓迎はできない。

[その他]人気、馬体重は好走パターンに合致!

宝塚記念は過去10年で1番人気が8回馬券に絡んでおり、信頼度はまずまず。前走G1で1着だった馬を除けばパーフェクトだ。また、阪神芝2200mというコース自体も、1番人気の成績は高いレベルで安定している。1番人気確実のサトノダイヤモンドにとっては心強いデータと言えよう。

馬体重面での後押しもある。阪神芝2200mは大型馬の成績が優秀で、500キロ前後の馬が高い勝率をキープしている。よほどのことがない限り、サトノダイヤモンドの当日の馬体重は網掛けで強調した範囲に収まりそう。20キロを超えるような大幅な増減がない限り、馬体重に関しては心配する必要はないだろう。

[まとめ]プラス要素とマイナス要素が見事に混在!

血統、厩舎(馬主)に関しては不安要素なし。宝塚記念で1番人気が安定している点もプラスに評価できる。その一方、ルメール騎手の信じられないほどのコース相性の悪さが気になるところ。状態面も万全とは言えないので、よもやの凡走があってもまったく驚けない。各種データは吉と出るか、凶と出るか……。サトノダイヤモンドの走りによって、今年の宝塚記念の価値や意味合いが大きく変わってくることになりそうだ。

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