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6月24日(日)に“春のグランプリ”宝塚記念が開催される。かつては年度代表馬を争うトップホースが出走し、ハイレベルなレースが展開されてきたが、G1レースが増えるなど番組が多様化した現在はレベル低下が顕著。バリバリのG1馬が1番人気で快勝するケースが減り、伏兵による一発が多く見られるようになってきた。
今年も、出走してくれば確実に有力視されていた昨年のダービー馬レイデオロ、昨年の皐月賞馬アルアインが早々に回避を表明。加えて、大阪杯を制したスワーヴリチャードが安田記念に矛先を向けたことにより、いっそう混戦ムードが強まってきている。
1番人気が予想されるサトノダイヤモンドも海外遠征後は勝利から遠ざかり、盤石とは言いがたい状況。馬券はどこからでも入れそうで、攻略しがいのある一戦であることは間違いない。果たして、例年通りの波乱決着を見るのか? それとも……。過去10年の結果をもとにデータ面から今年の宝塚記念の構造をひも解いていく。
目次
中心は4~6歳でG1連対牝馬が特注!
3歳馬はそもそも出走するケースが少ないので例外とすると、好走例は6歳以下に集中している。7歳以上の高齢馬の馬券絡みはここ10年なし。いかに波乱傾向が強いレースとはいえ、ピークを過ぎたベテランには手を出しづらい。今年は登録の時点で4頭が該当。レースの格や舞台を問わず相手なりに堅実に走るステファノスが穴人気するかもしれないが、7歳ゆえにこの項目に引っ掛かってしまう。
また、G1連対実績を持つ牝馬が強いのもこのレースの特徴。2013年3着のジェンティルドンナ(1番人気)、2014年3着のヴィルシーナ(8番人気)、2015年2着のデニムアンドルビー(10番人気)、3着のショウナンパンドラ(11番人気)、2016年1着のマリアライト(8番人気)、2017年3着のミッキークイーン(4番人気)と、なんと5年連続して馬券になっている。今年はG1タイトルを2つ持っているヴィブロスに注目だ。
1番人気は及第点の安定感!
荒れるレースだが、1番人気は過去10年中8回で馬券に絡んでおり、まずまずの安定感を誇る。アタマ鉄板というわけではないが、3着までの軸としてなら比較的信頼できる。ちなみに、1番人気を裏切ったのは2015年のゴールドシップ(15着)と2017年のキタサンブラック(9着)で、両者には「前走天皇賞(春)勝利」という共通点があった。G1を勝ってここに臨んで1番人気に支持された馬については、目に見えない反動に注意したい。
12番人気以下の馬券絡みはここ10年ないが、11番人気まではまんべんなく好走しているので、手広くカバーしておいたほうがいいだろう。「1番人気×穴馬」という組み合わせを買うのが、最も効率の良い攻め方と言えそうだ。
ルメールとの相性が最悪!
過去10年で馬券に絡んだ騎手、馬券に絡めていないリーディング上位騎手を一覧にしてみた。全体的に関西騎手が優勢ではあるが、横山典、蛯名、柴田善といった関東のベテラン騎手の活躍が目立つ。ここ一番で輝きを放つ彼らの意外性は怖い。ほか、ルメール騎手が【0-0-0-3】とすべて圏外に敗れているのが気になるところ。
しかも、2015年のラキシス(2番人気8着)、2017年のシャケトラ(2番人気4着)と、人気馬を飛ばしており、同騎手にしては珍しく不振。苦手意識を持っているかもしれないので、過信はしないほうがいいかもしれない。騎乗予定のサトノダイヤモンドにとっては歓迎できないデータだ。
騎手ではなく、馬の東西別の成績を比較すると、過去10年で関西馬の7勝に対し、関東馬は3勝。一見すると西高東低のように思えるが、全体的には大きな差はない。それどころか、回収率の面では圧倒的に関東馬が優勢。
「関西馬のほうが強い」という印象を持っているファンが多いことが、この現状を生み出していると考えられる。ここ2年は関東馬が勝利していることからも、今後さらに盛り返してくる可能性もありそう。人気薄の関東馬には警戒しておいたほうがいいだろう。
ステゴ&ディープ&ノーザンFを素直に信頼!
ドリームジャーニー、ナカヤマフェスタ、オルフェーヴル、ゴールドシップ連覇と、過去10年のうちに5勝を挙げているステイゴールド産駒が強いことはあまりにも有名。このレースに限らず、舞台となる阪神芝2200mに適性があることは統計上明らかなので、常にマークは怠らないほうがいい。
今年は目黒記念で3着だったパフォーマプロミスが該当。中位人気に支持されることが想定され、軸にするにしろ、ヒモとして押さえるにしろ、馬券的には絶好の狙い目になるかもしれない。このレースにめっぽう強いステイゴールド産駒が、新たな歴史をつくれるかどうかに注目だ。
また、「常に過剰人気」のイメージが強いディープインパクト産駒だが、宝塚記念に関しては例外。人気薄のディープの好走も多く、過去10年の回収率は単複ともに100%を大きく超えている。先述した2015年2着のデニムアンドルビー(10番人気)、3着のショウナンパンドラ(11番人気)をはじめ、とりわけ牝馬が大暴れしていることを忘れないようにしたい。
今年出走が予定されている2頭の牝馬、ヴィブロスとスマートレイアーはいずれもディープインパクト産駒。一方は上位人気、もう一方は超人気薄。いかなる結末になるのか、非常に楽しみだ。
生産牧場別では、ステゴ&ディープ産駒を多く送り出しているノーザンファームに注目。過去10年中9回で生産馬が3着以内に入っている。出走数が多いため当然と言えば当然なのだが、2008年3着のインティライミ(11番人気)、前出のデニムアンドルビーやマリアライトなど穴馬の該当例も少なくないので、むやみに嫌うのは賢明ではない。
毎年多数の生産馬が送り込まれながら98%という高い複勝(回収?)率をマークしている点は素直に評価しなければならないだろう。今年も5頭以上が出走を予定。人気サイドの該当馬も多く、上位独占も視野に入れておいたほうがいいかもしれない。
前走G1以外1着馬、天皇賞(春)敗退組に注目!
前走成績でチェックすべき項目をいくつか挙げていく。まずは着順。惨敗のからの巻き返しもたまに見られるが、基本的には前走3着以内好走馬が優勢。なかでも1着馬は単複ともに高い回収率を示している。
ただし、天皇賞(春)を勝った馬の連続好走例がない点には注意が必要。前走とこのレースを連勝した馬は、鳴尾記念、メトロポリタンステークス、金鯱賞など、G1以外からステップだった。G1の連勝は厳しい。勢いにのったG2以下の勝ち馬に注目すべきだろう。
今年はサイモンラムセス(グリーンステークス1着)、ストロングタイタン(鳴尾記念1着)の2頭が該当する。一方、勝ち馬こそ不振の天皇賞(春)組だが、負けた馬が巻き返して穴を提供するケースよく見られる。アルバート、スマートレイアー、ミッキーロケットの3頭が、穴パターンに合致する惑星候補だ。
もう一点、興味深いのは前走上がり3ハロンの順位別成績。前走で上がり最速のパフォーマンスを披露した馬の成績が悪く、逆に6位以下だった馬も振るわない。スイートスポットは前走上がり3ハロン3~5位(3位は成績が悪いような!?)。時期的に道悪になることが多い宝塚記念はパワーが重要で、切れすぎるタイプは適性的に合わない。
G1だけに末脚がだらしないタイプの好走も望めず、結果として“そこそこ切れる馬”に良績が集中しているのだ。前走、瞬発力勝負のレースでちょい届かず負けた馬の巻き返しに警戒したい。今年はミッキーロケット、パフォーマプロミスらがこの条件に該当する。
[まとめ]今年も波乱決着濃厚か!?
前走でG1を勝っていない1番人気の安定感は抜群で、1番人気が予想されるサトノダイヤモンドは前走7着と条件を満たす。しかしながら、ルメール騎手の不振や好走例の多い上がり3ハロンタイプから外れていることもあり、全幅の信頼は置きづらい。
穴パターンに該当する馬も多く、波乱の可能性は十分にあると判断するのが妥当だろう。人気馬を押さえつつも、穴狙いに軸足を置く戦略がベターと結論付けたい。