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10月13日(土)に東京競馬場で行われた第66回府中牝馬ステークス(東京芝1800m・G2)は、C.ルメール騎手騎乗のディアドラが1番人気の支持に応えてみせた。勝ちタイムは1分44秒7(良)、過去の同レースと比較すると時計の速い決着となった。
ディアドラの走りは圧巻だった。カワキタエンカが後続を離す単騎逃げの展開も、2番手以下はスローペース。比較的、前有利な流れにもかかわらず、後方2番手から上がり3ハロン32秒3という極限の末脚を繰り出して全馬を差し切った。さらに、この勝利で手綱を取ったC.ルメール騎手は、史上42人目、現役20人目となる、JRA通算900勝達成させている。
2着には2番人気のリスグラシュー、3着には7番人気のフロンテアクイーンが入り、配当的にも3連単4,290円という堅い決着に。また、3番人気に支持されたソウルスターリングは10着に敗れた。
ここからはレース結果をもとに各馬の好走理由や敗因を探りつつ、次走への狙いなども立ててみよう。
目次
府中牝馬ステークス2018の各馬の勝因・敗因・次走展望
1着:ディアドラ
府中牝馬ステークスは、秋のG1戦線に向けて実績馬の叩き台的な意味合いも強いレース。単勝1番人気の勝利となると2005年ヤマニンアラバスタ以来、実に13年ぶりとなる。
もちろん、ディアドラにとっての最大目標は年末の香港カップ(沙田芝2000m・G1)なので、余裕残しの仕上げだったに違いない。それは前走より+8㎏という馬体重にも表れていた。それにもかかわらず、決して展開に味方された訳でもなく勝ち切るのだから、ここでは一枚も二枚も上手だったということだろう。
前走クイーンステークス(札幌芝1800m・G3)に続いて重賞2連勝となったが、海外遠征をこなし、ドバイターフ(メイダン芝1800m・G1)を経験したことで一皮剥けた印象を受ける。デビュー当時は452㎏だった馬体重も500㎏近くまで成長しており、まさに充実一途といえるだろう。
2着:リスグラシュー
相手が悪かったとしか言いようがない。通算でも自身最速となる上がり3ハロン32.6という脚を繰り出しながら、それを上回る上がり3ハロン32.3という脚を使われて差されてしまっては御手上げだ。同じ4歳馬のディアドラが56㎏を背負っていたことを考えると、54㎏だったリスグラシューは完敗という形だろう。
ただし、輸送減りしやすいリスグラシューが前走より+12㎏で出走していたとなると、かなり馬体に余裕をもって栗東を出発していたのではないだろうか。中間は480㎏近くまで体が増えていたとのことなので、休み明けを一叩きされた次走はキッチリと上積みが見込めそうだ。
その次走は当初予定していたJ.モレイラ騎手とのコンビでエリザベス女王杯(京都芝2200m外・G1)を狙う。シルバーコレクターの汚名を返上するためにも、そろそろG1タイトルが欲しいところである。
3着:フロンテアクイーン
例年の府中牝馬ステークスであれば、勝っていてもおかしくなかった。道中はラチ沿いピッタリに卒なく運び、直線も進路を上手く外に切り替えて、ラスト200mでは勝ったと思わせる完璧な立ち回りだった。それを今年の上位2頭はポテンシャルの違いで差し切ってしまったのだから致し方ないだろう。
前走のクイーンステークスは心房細動明けの影響で騙し騙しの調整だったが、近2走を見る限りレースに対しての不安は感じられない。良く言えば相手なりに走れる、悪く言えば勝ち身に遅い。この手のタイプは、G1のような格上のレースになるとガクッと人気を落としやすいが、常に警戒しておくべきだろう。いつか高配当の立役者となる日が来るかもしれない。
4着:ジュールポレール
前走ヴィクトリアマイル(東京芝1600m・G1)を制し、G1馬の仲間入りを果たしたジュールポレール。その実績から今回は56㎏を背負ってのレースとなったが、逃げるカワキタエンカを真っ先に捕らえに行く強気の競馬。結果的に、早目に仕掛けたことで後続勢のいい目標となってしまったが、ヴィクトリアマイルの好走がフロックでないことは証明できた。
ディープインパクト産駒といってもスパッと切れる脚を使うイメージはなく、淡々とレースが流れる中でも、しっかりと上がりをまとめられることがセールスポイントだろう。このことについては、2018年と2017年のヴィクトリアマイルのレースラップを比較してみるとわかりやすい。今回はカワキタエンカが作るペースも嵌った印象だ。
休み明けでも差のない競馬ができているのは、去年と比べて脚元の不安がなくなっていることも大きな要因ではないだろうか。次走は2012年に半兄サダムパテックも制したマイルチャンピオンシップ(京都芝1600m外・G1)を予定とのこと。元々、使って良くなっていくタイプなので、兄妹制覇なるか注目の一戦だ。
10着:ソウルスターリング
Frankel産駒ということを考えると、気性面に課題を抱えるのは予想できる範囲。とはいえ、最近のソウルスターリングは以前にも増して扱いづらそうな印象を受ける。
前走のクイーンステークスは小回りコースということもあって誤魔化せていたが、それでも舌を出しながらの集中力を欠く走り。今回に限れば上手くスタートを出て行く気になっていたにもかかわらず、ポジショニングを考慮し抑え込んだことで少し喧嘩をしてしまっていた。
この手の気性難の馬を、当たりの柔らかい手綱さばきでサラッと乗りこなせるのが、C.ルメール騎手の名手たる所以。もちろん、北村宏司騎手が騎手として下手という訳ではなく、単純に馬との相性の問題なのだ。
Frankel産駒の牝馬を早熟とする説もあるが、どちらかというと気性のコントロールが難しくなってしまうのが原因だろう。こうなってくると距離を持たせるのは至難の業なので、ソウルスターリングも今後どういうレース選択をしていくのかは気になるところだ。
まとめ
今年の府中牝馬ステークスは、例年と比べると非常にハイレベルな一戦だったと言える。
本番に向けて余裕残しの実績馬が上位に来てしまうほど低調なレースだったという訳ではない。本来ならば勝ちパターンだったフロンテアクイーンを、きっちりと差し切れるだけの力があったのがディアドラとリスグラシューなのだ。両馬ともに今後のG1戦線でも中心的存在になっていくことは疑いようがない。
オークスの時とは立場が変わり、上位2頭とは水をあけられる形になってしまっているソウルスターリングも条件次第では見限り早計か。また、適正外の舞台だったという意味ではミスパンテールも参考外の一戦だろう。
いよいよ秋本番、G1レースも始まり益々競馬が盛り上がっていく季節。思いっきり競馬を楽しむためにも、レースの復習は怠らないようにしたい。