レース回顧

新潟2歳ステークス2018のレース回顧 

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川田 信一
川田 信一
1978年、東京都出身。単撃理論の提唱者・ 趣味で始めたメルマガが、人気薄の単勝を的確に当てることで評判に。わずか半年で2,000人を超える読者が口コミだけで集まる。グリグリの人気馬を迷わず消し、穴馬の単勝を的中し続けている生粋の単勝馬券師。

8月26日(日)に新潟競馬場では、第38回・新潟2歳ステークスが行われた。1番人気に支持されたケイデンスコールが、外から豪快な末脚を見せ優勝。重賞初制覇を飾った。

2着には番人気のアンブロークン、3着には人気薄のスティルネスが入り、馬連は1番人気決着。3連単は15950円で、比較的平穏な決着になったと言えるだろう。最後の直線は3頭の壮絶な叩き合いになり、ケイデンスコールが底力を示した形となった。

4着には3番人気のジョディーが入り、5着には4番人気のエイシンゾーンと上位も人気馬が好走し、少頭数らしい結果とも言えるだろう。

勝ちタイムの1分35秒5(稍重)は、ここ10年で最も遅いタイム。エルモンストロが飛ばしていたように映ったが、前半3ハロンは36秒3と、前半のペースもスローだった。これは昨年に次いで2番目に遅いタイム。それなのに上位3頭は更に遅いペースで道中は待機策をとっていた。稍重であったものの、それにしても遅いペースだった。

ケイデンスコールやスティルネスが好走できた理由や、アンブロークンの足りなかった要素とは? ここからはレース全体と各馬の走りについて振り返っていこう。

新潟2歳ステークスのレース分析

少しバラついたスタートから、エルモンストロがロケットスタートを決め一気に先頭へ。それを追ってロードアクアやエイシンゾーンが続いて行く。アンブロークンやケイデンスコールはダッシュがつかずこの段階で後方の位置取りになった。

続いてエイカイキャロル、スティルネスが中団グループの先頭へ立つと、出負けしたアンブロークンがかかり気味に上がっていく。その外からはジョディーが追走し、インコースからはエンパイアシュアーが続いた。

このあたりで前半600mを通過し、タイムは36秒3とスローペース。エルモンストロが後続を突き放しての逃げだったので、勝ったケイデンスコールは更に遅い37秒台後半のタイムで前半を通過していた。

3コーナーから4コーナーにかけては、雨の影響で荒れた内側を避け、全馬が外目を通り直線コースへ。徐々にエルモンストロのリードがなくなると、内目を通りエイシンゾーンが先頭へ出ようとしてくるが、伸びはいまひとつ。400mを過ぎた辺りからは、外を選んだ馬たちの脚色がいい。100mを切ってケイデンスコールが抜け出しをはかるがアンブロークンも食い下がり、スティルネスももうひと伸びを見せる。それでも差は縮まらず、ケイデンスコールが1着でゴールした。

石橋騎手は新潟2歳ステークス初制覇。安田隆厩舎は2009年のシンメイフジに続き2勝目。ここからは上位着順馬や上位人気各馬の走りを振り返り、次走以降の狙いについても考察していきたい。

新潟2歳ステークス2018の各馬の勝因・敗因・次走展望

1着:ケイデンスコール

新馬戦は2着に敗れたものの、未勝利と連勝する形になったケイデンスコール。これで3戦続けて上がり3ハロンタイムは最速で、今回もその切れ味を披露した。

ロードカナロア産駒の重賞勝ち馬は、ステルヴィオとアーモンドアイに続き3頭目。今年のクラシック戦線に新たなヒーロー候補が誕生したと言っていいだろう。スローペースだったとはいえ、上がり3ハロンタイムは33秒1と強烈な末脚を見せ、渋った馬場への対応を出来たことは、今後にもアドバンテージになる。

その馬場を石橋騎手も見抜いていたと、コメントが出ていたように、こういったところが最近の石橋騎手の強さ。出遅れ気味も、それをプラスに捉えて馬場の良いところを追走。馬のペースに合わせ、最適なタイミングでのスパートと、今回がテン乗りだったとは感じさせない落ち着いた騎乗ぶりが目立っていた。

このあとはマイルだけでない距離への対応が鍵となりそうだが、母父がハーツクライと、スタミナ面も秘めていそう。このスローペースでも、かからず追走できていた点から考えれば、距離が伸びても対応できそうである。心配な点を挙げるとすれば、脚の溜まらないハイペースになった時に対応できるか、ということになりそうだが、2歳戦のうちはスローペースも多く、心配しないでいいのではないだろうか。

関東圏での次走であれば、引き続き石橋騎手の方が良さそうであるが、乗り替わりが元の福永騎手ならば心配いらないだろう。

2着:アンブロークン

新潟2歳ステークスで不利な距離短縮ローテーションに、スタートは出遅れ。向こう正面では引っかかり、ロスの多い競馬となったアンブロークン。それでもクビ差の2着なら、負けて強しのレース内容だったと評価したい。

とにかくスタートが悪かった。それでいて促すと、一気にスピードが乗ってしまう。逆に言えば、この脚を無駄に使うことがなければ直線では弾けていた可能性も秘めている。1800mからの距離短縮も、これだけのスローペースだったことで対応出来た。本来は新馬戦も勝利しているように、1800m以上が良さそうだ。この世代で好調なヴィクトワールピサ産駒。重賞を勝つチャンスはそう遠くなくやってくることだろう。

東京スポーツ杯2歳ステークスがレースとしてはピッタリな印象で、暮れのホープフルステークスは合わなさそう。今回は敗れてしまったが、勝っていてもおかしくなかったレース内容では、次走乗り替わりも起こるかもしれない。デムーロ騎手やルメール騎手に変わるようであれば今回以上のパフォーマンスが期待出来そうだ。素質を秘めているだけに、乗り替わりのタイミングを次の狙い目としたい。

3着:スティルネス

8番人気と低評価ながら3着に好走したスティルネス。兄は新潟2歳ステークスを勝利しているロードクエストで、兄妹制覇が期待されていたがわずかに及ばなかった。

兄と違ってスティルネスはゴールドヘイロー産駒で、それでもここまで走る馬を出すあたり、母のマツリダワルツは極めて優秀。1200mから400m延長にも対応し、選択肢が広がった。兄も1200mから1800mと幅広く走れていたように、2歳から3歳戦で距離の心配は出てこないことだろう。新馬戦では1200m戦を先行することが出来ていたように自在性も感じられる。秋のアルテミスステークスでは中心的な存在になりそうだ。

4着:ジョディー

3番人気に支持されたジョディーは、直線入口から伸びを見せたが4着まで。最後は内に刺さっていたように、未完成な部分を見せていた。もしかしたら1400mまでのほうが良いのかもしれないうえに、根本的に速い上がりにも対応出来なかった可能性がある。切れ味の問われない、先行力の生きるレースでは一変があってもおかしくない。

5着:エイシンゾーン

中京2歳ステークスから挑んだエイシンゾーンは4番人気で5着に敗れた。データ分析記事でも触れたが、中京2歳ステークスからのローテーションで結果を出した馬は過去10年でおらず、そのデータにも阻まれた印象だ。

新馬戦では良い末脚をみせていたが、距離は長そうである。ジャスタウェイ産駒は平坦競馬場では結果が出ておらず、タフな競馬に強い傾向も出ている。

阪神や中山で1200mから1400m戦に出れば見直してみたい。

まとめ

今年の新潟2歳ステークスは上がり3ハロンの直線比べとなった印象で、その流れに向いた馬と、そうでなかった馬が綺麗に分かれる結果となった。差し脚比べが期待されるレースでは次走も今回の上位馬を信頼していいだろう。先行力や、粘り強さの問われるレースではジョディーやエイシンゾーンの逆転もあり得る。逃げたエルモンストロも、あのスタートを毎度見せることがあればどこかで逃げ切りを決めることがありそうだ。

この振り返りを参考に、次走以降も判断して馬券戦略を立てていこう。

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