レース回顧

小倉記念2018のレース回顧 

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川田 信一
川田 信一
1978年、東京都出身。単撃理論の提唱者・ 趣味で始めたメルマガが、人気薄の単勝を的確に当てることで評判に。わずか半年で2,000人を超える読者が口コミだけで集まる。グリグリの人気馬を迷わず消し、穴馬の単勝を的中し続けている生粋の単勝馬券師。

8月5日(日)に小倉競馬場では、第54回・小倉記念が行われた。1番人気に支持されたトリオンフが、道中2番手で進み、直線で早めに先頭へ立つと、2着のサトノクロニクル(2番人気)に3馬身差をつけて圧勝。これで小倉大賞典に続き、小倉重賞の連覇となった。3着は逃げたマウントゴールド(5番人気)が入り、今年の小倉記念は例年と比べて平穏な決着になったと言えるだろう。

勝ちタイムは1分56秒9で、従来のレコードタイム1分57秒1から0.2秒も更新し、負け続けていた1番人気としても13年ぶりの勝利となった。当日の小倉競馬場はフリーパスや俳優の竹内涼真さんの来場などもあり、入場者レコードも更新。入場者数は4万196人で前年比202.5%を記録したそうだ。

波乱傾向の強い小倉記念のはずだが、今年は一変して平穏決着になったのはなぜなのか?  上位着順馬好走の理由や、レース全体について振り返っていこう。

小倉記念のレース分析

揃ったスタートからマウントゴールドが枠なりで先頭へ。それを追ってトリオンフが並びかける。その後ろにはエーティーサンダーやサトノクロニクルが続く展開に。1000mの通過タイムは60秒ジャストで、小倉記念にしてはゆったりとしたペースになった。その後もペースが上がらず、隊列は変わらないまま4コーナーへ。

抜け出しを図るマウントゴールドをトリオンファンが早めに捕らえると、その差はグングンと開くばかり。後ろの隊列も変わらず、4コーナーで先団グループにいた馬たちがそのまま上位で入線した。差し馬にとっては厳しいレース展開になったと言えるだろう。

勝ったトリオンフは、上がり3ハロン33秒5のタイムで鋭い切れ味を見せたが、過去10年の小倉記念を振り返っても、勝ち馬の上がり3ハロンタイムは平均して35秒台になることが多い。今年は例年に比べてペースが極端に落ち着き、瞬発力比べになった。

ここからは上位着順馬や上位人気各馬の走りを振り返り、次走以降の狙いについても考察していきたい。

小倉記念2018の各馬の勝因・敗因・次走展望

1着:トリオンフ

前走の鳴尾記念では1番人気に支持されながらも、差し脚届かずストロングタイタンの2着に敗れていた。それでもファンはトリオンフの小倉適性を評価したのか、1番人気での出走となった。

好スタートを決めると、マウントゴールドに併せるように先頭争いへ。それでもお互いにけん制しあうこともなく、ペースを落ち着かせることができた。532キロの雄大な馬体は、併せるマウントゴールドと比べても一目瞭然。直線を早めに抜け出し、後続を完封する競馬内容は、キタサンブラックを思い出させる走りだったと言える。

G1初挑戦となった3走前の大阪杯ではスタートが決まらず、消化不良に終わってしまったが、それさえなければ更に上位争いは出来ていたことだろう。とにかくコーナー4つの競馬では崩れない。馬券内を外したのは、大阪杯と、札幌2歳ステークスの2回のみ。新潟大賞典では脆さを見せたように、直線の長い舞台や、コーナー4回未満の競馬ではまだ不安が残っている。これを克服できるかどうかが、今後の飛躍に大きく影響してくることだろう。

それでも、走りがうり二つだったキタサンブラックのように成長すれば、秋以降も強い競馬を見せてくれるのではないだろうか。これだけのパフォーマンスを引き出した武豊騎手とのコンビで今後も出走してくれば、古馬中距離路線の中心になっていくだろう。

データ分析では、マイナス材料をいくつも抱えての出走だった。今回は、1番人気のジンクスや、大型馬の不振データも突破。ただし、これは異例とも言えるスローペース競馬だったことが影響している可能性を秘めているため、来年の予想には、今年の結果をどのように組み込むか、慎重に判断するようにしたい。

2着:サトノクロニクル

好走と凡走を交互に繰り返しており、今回はその特性通り2着に好走したサトノクロニクル。2番人気かつ大幅な距離短縮と過酷な条件のなか、あれだけのパフォーマンス発揮したトリオンフの2着であれば十分に力を示したと言えるだろう。

デムーロ騎手のコメントでは「距離が短い」とのことだったが、果たしてそうなのだろうか。この馬は上がり3ハロンが速くなるような瞬発力戦が苦手。今回の負けは、そのような展開になったことが原因であるのではないだろうか。ハーツクライ産駒で、母方はロベルトやニジンスキーを持つように、タフな血統構成をしている馬。キレ味よりもスタミナの問われる中山や阪神での巻き返しを期待したい。

また、今回もデムーロ騎手が騎乗して馬券圏内を外さなかった。彼が騎乗する際は条件問わず軽視しないように注意しよう。

3着:マウントゴールド

5番人気ながら3着と、初めての重賞でも力を示したマウントゴールド。今回好走出来た要因としては、自身の得意スタイルとレース展開がかみ合った印象だ。ペースにも恵まれ、軽ハンデということでもあった。また、最低人気のエーティーサンダーが6着に残れたように、先行馬が明らかに有利なレース。展開による恩恵は大きかったはず。

次走以降は人気を集めることがあっても、マークされる展開で力を出し切れるのか。決め手勝負では分が悪い馬なので、展開次第では持ち味を発揮できない可能性も秘めている。レースの性質や、鞍上も含めて次走以降は慎重に判断すると良さそうだ。

4着:レイホーロマンス

8番人気ながら4着と、久しぶりに人気以上の着順となったレイホーロマンス。今回の競馬で、ひとつはっきりしたことがある。瞬発力戦への適性だ。福島牝馬ステークスからの3戦はいずれもミドルからハイペースで、持久力が問われる競馬だった。今回のようなスローペース戦で、道中脚を溜めることができるとパフォーマンスを上げる。愛知杯や中山牝馬ステークス、御室特別もそうだった。

次走以降は改めて人気を集める可能性があるが、メンバーの性質やコースの性質で、道中脚を溜めることが出来るかを基準に、取捨選択すると良さそうだ。

7着:サンマルティン

3番人気に支持されながら、7着と結果を残せなかったサンマルティン。しかし敗因ははっきりとしており、今回の競馬はノーカウントでいいだろう。

先行馬だけが上位に絡んだレース展開と、5年ぶりに小倉での騎乗になった池添騎手で、不利な点が多かった。それでも上がり3ハロンでは3位のタイムを出していたように、展開が変われば上位に食い込んできていたことだろう。力は出せていた。

次走以降は鞍上のエスコートできる競馬場であること。つまり前走でも結果の出ていた京都コースなら改めて見直したい。

12着:ストロングタイタン

レース途中に心房細動を発症したストロングタイタンは大差の最下位入線となった。

心房細動ならば、今回はノーカウント。次走以降、陣営が立て直してくれば本来の力を発揮するはず。あくまで状態次第になるが、この大敗だけで見限らない方が良さそうだ。

まとめ

上位入線を果たした馬や、人気を裏切った馬たちにも、それぞれ好走・凡走の理由がはっきりと出ている。次走以降も各馬の適性に合ったレース選択であれば、今回負けている馬でも上位候補としてピックアップできるはずだ。

その際にはこのレース回顧記事を参考に狙いを立てて欲しい。

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