競馬データ分析

中山芝1600mを徹底解剖

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こんにちは。編集部のUです。

今回はタイトルのとおり中山芝1600mの傾向を徹底的に分析したいと思います。まずは、コースの特徴から整理していきましょう。なお、データ集計期間は2010年1月1日~2018年12月17日としています。

中山芝1600mの特徴

コースの概要

ゲートが置かれるのは1コーナー横のポケット地点。このスタート地点は高低差5.3mの最高地点になっています。“おにぎり型”とも例えられる外回りコースの2コーナーはおにぎりの頂点付近にあたり、スタートからは約240mと短いために外枠は距離のロスを強いられます。その区間は緩やかな下り、さらに2コーナーを過ぎて向正面から3~4コーナーにかけては約4.5mの下り坂。3コーナーからは内回りコースと合流するので、内回り・外回りの表記がありながらも最後の直線の距離がともに310mである点は中山競馬場の特徴のひとつ。短い直線ですが、残り200mを過ぎた付近から高低差2.4mの急勾配が待ち構えており、道中のペースによってはゴール前で様相が一変することもあります。

[ミニ] レコード・平均タイム[/ミニ]

中山芝1600mのレコードは2012年京成杯オータムハンデでレオアクティブがマークした1分30秒7です。1200mのレコードと同じ年に記録されており、同様に速いタイムの出やすい野芝施行の9月(4回中山)開催でした。このタイムは芝1600mの日本レコードでもあります。GⅠが行われる東京・京都・阪神ではなく、中山のGⅢで記録されていることからも、9月の開催は速いタイムが出やすいと言えますね。なお、集計期間中の平均タイムは1分36秒4、平均上がり3ハロンタイムは35秒8です。

[ミニ] クラス別ライム・平均ラップ[/ミニ]

(クラス別タイムとラップタイムの表が入る)

クラス別タイムは2歳新馬戦が1分37秒34で古馬オープンが1分33秒54となっており、概ねクラス順での並びとなっています。なお、3歳500万下のタイムが2歳500万下を下回っているのは、速いタイムの出やすい9月開催に番組がないことが影響していることが要因でしょう。

2歳、3歳の限定戦では1分35秒台の勝ちタイムで通用するケースもありますが、古馬戦になると1分34秒台の勝ちタイムが必要となります。なお古馬重賞では馬場コンディション次第で1分32秒前後の決着も見られます。

中山芝1600mの平均ラップでは12.58-11.38-11.77-11.99-12.13-11.95-11.66-11.98となっています。3~4F目が下り坂の区間にあたる向こう正面なので流れが遅くなりにくいのが特徴で、緩急の差がつきにくいのが特徴的です。京都や阪神と比べて、持続力が問われる舞台であるとも言えます。

後半の3Fでは2F目が最も速く、急勾配の上り坂に差し掛かる最後の1Fではラップが落ちます。1200mと同様に、この落ち込みはクラスが上がるほど大きくなっており、道中のペースが速くなりやすい上級条件ほど、後続勢にチャンスが生まれやすくなるといえます。

[ミニ] 上位人気の成績・馬券種別平均配当・三連複万馬券率[/ミニ]

1番人気は勝率31.5%、連対率49.0%、複勝率59.1%。1番人気の平均値を僅かに下回る程度の成績を残しています。また4番人気こそ平均を上回っていますが、2・3・5番人気も勝率・連対率では平均を下回っています。

人気 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
1番人気 32% 49% 59% 79% 79%
2番人気 17% 34% 51% 74% 84%
3番人気 12% 25% 39% 73% 79%
4番人気 11% 21% 32% 95% 78%
5番人気 8% 18% 28% 79% 83%

※上位人気の成績2010年以降の集計結果

続いては馬券種別のデータです。単勝の平均配当は1089円。対象531レース中258レースが500円未満、384レースが1000円未満の配当であり、1000円から2000円が90レース、単勝万馬券は4レースのみでした。

馬連の平均配当は6257円で、1000円位以上2000円未満が129レース、2000円以上5000円未満が134レースでボリュームゾーンとなっています。

平均配当が2万1609円である3連複では1000円以上5000円未満の配当が199レース、シェアにして37.3%でしたが、5000円以上1万円未満は99レースで18.6%。対して万馬券配当は201レースでシェアにして37.7%、うち1万円以上5万円未満が141レースでシェア26.5%となっており、ボリュームゾーンが二分されています。

3連単配当は1万円以上5万円未満が207レースでシェア38.5%、10万円以上50万円未満が111レースでシェア20.7%となっています。なお100万馬券の出現は15レースで、シェアでは2.8%となっています。モノは言いようかもしれませんが、万馬券にならないことよりも10万馬券以上の決着の方が多いのです。

(馬券種別平均配当の表が入る)

中山芝1600mのデータ・傾向

枠別成績

[ミニ] 有利な枠、不利な枠[/ミニ]

中山芝1600mの枠別成績を見ていきましょう。

枠番 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
1枠 7% 13% 21% 55% 63%
2枠 8% 17% 25% 64% 81%
3枠 7% 14% 20% 65% 69%
4枠 8% 16% 23% 125% 82%
5枠 5% 11% 18% 50% 64%
6枠 7% 13% 20% 80% 65%
7枠 7% 14% 20% 81% 66%
8枠 6% 12% 19% 69% 80%

※中山芝1600mの枠順別成績2010年以降の集計結果

かつては外枠不利の代名詞のようなコースでしたが、近年は馬場整備の手法も変わっており、実は内・外の差は以前と比べて改善されています。また、2014年に行われた路盤改修も大きな効果を生んでいると考えられます。

コース形態そのものの改修は行われていないので、ファンの印象は外枠不利と内枠有利が根強く残っており、そのせいか、8枠の複勝回収率はやや高くなっています。対照的に1枠は以前ほど有利ではないので、好走率は下がっているにも関わらず単複ともに回収率が辛くなっています。

好走率と回収率のバランスが最も良いのは4枠で、15頭立て以上に限っても最多勝。1番人気の安定感も高いです。5枠の好走率が最も低いので単純に中枠が有利であるとは言いにくいですが、内枠有利と外枠不利が以前よりもマイルドになった結果、最もレースをしやすいのが4枠あたりになりやすいのかもしれません。

回収率こそ足りませんが、複勝率が最も高いのは2枠。最内の1枠よりも連対率・複勝率ともに約4%上回っています。

今回は全データを揃えるために2010年以降を集計対象としていますが、中山芝コースの路盤改修が行われた2014年5回中山開催以降に限れば、1枠の複勝率が最も低く、2~4枠が複勝率でも安定。また、外枠不利は以前に比べてマシになっています。この3点を押さえておきましょう。

脚質別成績

[ミニ] 有利な脚質・不利な脚質[/ミニ]

次に脚質別の有利、不利を見ます。

脚質上り 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
平地・逃げ 14% 26% 34% 171% 132%
平地・先行 11% 23% 32% 117% 108%
平地・中団 7% 13% 21% 62% 67%
平地・後方 2% 4% 7% 28% 31%
平地・マクリ 22% 39% 50% 83% 96%

※中山芝1600mの脚質別成績2010年以降の集計結果

逃げた馬は勝率13.8%、複勝率33.6%で回収率も単勝が171%、複勝は132%。単勝オッズ10倍未満の馬が逃げた場合であれば勝率は25%・複勝率57.2%です。ただし、この点も2014年5回中山以降に限れば、逃げた馬全体の勝率は10.5%で回収率は単勝が127%・複勝が138%。小回りコースらしく、逃げという戦法にはアドバンテージがありますが、路盤改修以前ほどではないのでその点は注意が必要です。

なお、重賞で逃げた馬の勝率は10.0%、複勝率は18.0%です。

単勝回収率117%、複勝回収率108%と堅調なのが「先行」です。こちらは路盤改修の前後で大きなブレもありません。やはり直線の短い中山コースなので、逃げ馬を見ながら好位で競馬を進める戦法が有効ということでしょう。

重賞での勝率は7.6%、複勝率が25.9%。下級条件と比べるとやや低くなっています。

いっぽう「中団」は勝率6.6%、複勝率20.7%。先行に比べると安定感では劣ります。ただし重賞では勝率8.9%、複勝率は23.6%と先行と互角の成績を収めています。全体で見ると、新馬・未勝利で能力の足りない馬が含まれるために数字上は低く出てしまいますが、オープンクラスまで上がる能力のある馬ならば、不利な脚質ではありません。

同様に「後方」も新馬・未勝利では能力の足りない馬が大半なので、全体の成績は良くありませんが、1000万・1600万・オープン特別の合算では勝率3.5%になります。また、路盤改修後に最も上昇したのは後方からレースを進めた馬の好走率でもあります。ただし、重賞では勝率1.5%・複勝率8.1%。好走は力のある馬になるので、回収面も振るいません。

大雑把に言えば、勝負圏内は中団までと見ていいでしょう。

前走距離別成績

前走距離別成績では、同距離が勝率9.0%、複勝率24.6%、距離延長が勝率4.6%、複勝率15.8%、距離短縮が勝率6.2%、複勝率20.6%となっています。

大まかに言えば、同距離>距離短縮>距離延長と見ていいでしょう。

同距離のうち、前走も同コース(中山芝1600m)だった馬は単勝回収率61%、複勝回収率67%なのに対して、東京芝1600mだと97%・80%、阪神芝1600mだと121%・71%、京都芝1600mだと67%・89%。好走率には大きな差がないものの、回収率の面では他の中央場を走っていた馬の方が高く出ています。

前走上がり3F順位別成績

前走上がり3F順位別成績では、順位と今走成績に相関性があるといえます。

前走脚質 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
3F1位 13% 23% 34% 73% 83%
3F2位 14% 23% 30% 113% 73%
3F3位 8% 18% 27% 67% 74%
3F~5位 9% 16% 23% 104% 80%
3F6位~ 5% 10% 16% 57% 67%

※中山芝1600m2010年以降の集計結果

前走上がり3F1位は複勝率トップの34%ですが、勝率は前走上がり3F2位の14%がトップ。単勝回収率も113%と、2位が大きく上回っています。

この点については、芝1200mの記事でも説明したのと同様に、1位と2位の価値に大きな差がないのに、馬券的な注目度で1位が目立ち過ぎるからこその逆転現象でしょう。

なお芝1200mとは異なり、前走上がり3F6位以下は、前走が先行脚質でも上昇が見込めません。つまり、芝1200mよりも1600mの方が決め手を問われる戦いであることの裏返しとも取れます。先行馬でも4~5位の上がりをマークしている馬を狙ったほうが的中に繋がりやすいので意識しておくべきでしょう。

重・不良馬場になった時の注意点

まずデータ対象の531レース中、重馬場での施行は19レース、不良馬場は16レースでした。重・不良馬場時を合算して見ていくと、1番人気の勝率は22.9%、複勝率が60%であり、複勝率こそ良馬場と比べて大差がないものの、勝率は大幅に下がります。

対して、2番人気は勝率25.7%、複勝率51.4%。3番人気は複勝率こそ34.3%ですが、勝率は20%。つまり、道悪では2~3番人気による逆転が起こりやすくなっています。

脚質別では逃げた馬の勝率が15.6%、複勝率が40.0%と良馬場時よりも高くなっており、中団より後ろからの馬の好走率が下がります。

また、枠順別成績の偏りが特に顕著になっています。

枠番 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
1枠 9% 19% 24% 69% 60%
2枠 10% 17% 22% 65% 77%
3枠 5% 10% 18% 32% 88%
4枠 11% 14% 21% 126% 45%
5枠 8% 12% 22% 110% 164%
6枠 6% 19% 21% 28% 90%
7枠 4% 9% 17% 153% 100%
8枠 3% 10% 17% 9% 60%

※中山芝1600m2010年以降の集計結果

サンプルこそ多くないものの、道悪では外枠の好走率が低くなっています。

中山芝1200mの馬券に生かせる前走コース別データ

前走好走馬の前走コース別成績

まずは前走好走馬(1~3着)の前走コース別成績を見てみましょう。

前走コース 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
中山・芝1600 15% 25% 37% 86% 73%
東京・芝1600 16% 28% 37% 132% 78%
東京・芝1400 10% 22% 32% 98% 84%
新潟・芝1600外 17% 34% 45% 76% 85%
新潟・芝1400 17% 37% 51% 70% 89%
中山・芝1800 19% 32% 48% 215% 113%
阪神・芝1600外 19% 31% 42% 147% 108%
東京・芝1800 17% 28% 37% 43% 68%
新潟・芝1800外 20% 30% 43% 76% 117%
中京・芝1600 15% 29% 38% 75% 73%

※中山芝1600m2010年以降の集計結果

好走率・回収率の両面から最も注目できるのは中山芝1800mを好走していた馬。芝1600mの前走好走馬に比べて人気になりにくいにも関わらず、好走率でも上回っています。加えて単勝回収率215%・複勝回収率113%。

阪神芝1600mも複勝率こそ僅かに劣るものの、単複ともに100%を超えており妙味は十分です。

複勝率トップは51%にものぼる新潟芝1400mの好走馬。複勝回収率89%も、まずまずで3連馬券には加えておきたい存在です。

同じ1800mでも東京芝1800mの好走馬は中山芝1800m・新潟芝1800mに大きく見劣る点は注意しておきたいポイントです。

前走凡走馬の前走コース別成績

続いては前走凡走馬(6着以下)の前走コース別成績です。

前走コース 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
東京・芝1600 6% 10% 17% 89% 85%
中山・芝1600 3% 8% 15% 42% 63%
東京・芝1400 4% 9% 15% 83% 81%
東京・芝1800 4% 9% 14% 31% 45%
中山・芝1800 4% 7% 13% 35% 41%
阪神・芝1600外 5% 9% 11% 110% 52%
新潟・芝1400 3% 7% 11% 55% 72%
中京・芝1400 8% 17% 17% 201% 130%
新潟・芝1800外 5% 9% 12% 47% 32%
新潟・芝1600外 2% 7% 12% 18% 48%

※中山芝1600m2010年以降の集計結果

やはり前走も中山芝1600mで凡走した馬は苦戦傾向にあり、勝率は3.1%しかありません。回収率の面からも、明確に前走から何か好転する材料や、前走にやむを得ない敗因があった場合でないと苦戦する可能性が高いでしょう。

変わり身を見せるケースが多いのは前走で中京芝1400mを走っていた馬。過去にファルコンSで6着以下に敗れていた馬がニュージーランドTで巻き返して勝った例が2回あります。

前走好走なら好成績の新潟芝1800m・中山芝1800mは前走が凡走だと大きく成績を落とすことが明らかです。対照的に、東京芝1600mは前走凡走から巻き返すケースがそこそこ見られます。総数が多い中での単勝回収率89%は上々と言える成績であり、1600万・オープン特別・重賞に限れば単複ともに回収率はプラス域です。

まとめ

最も注意すべきポイントは、かつての中山芝1600mのイメージほど、外枠が不利ではないことと、逃げ馬の好走率が下がっている点でしょう。

その他のポイントにも儲けのヒントが見え隠れしていますので、馬券戦略に役立てていただければ幸いです。

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