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こんにちは。競馬予想家の川田信一です。
2012年に『見るだけで「単勝」が当たる“単撃”リスト(東邦)』という著書を上梓。以降も積極的に競馬書籍を出版し、ウェブやメルマガなどでも活動しております。
子供のころは誕生日が嬉しかったし、20代のころは友人や彼女にお祝いしてもらうのが楽しかったのですが、30代を過ぎると誕生日を迎えるのが憂鬱になってきました。また一年、人生の終わりに近づいたのか……と。大げさですかね?
その点、競走馬はうらやましい。誕生日がないのですから。いや、厳密にいうと誕生日はあるのですが、誕生日に歳をとりません。日本にいる競走馬は、みな1月1日に年齢を重ねると決まっています。人間もこのシステムにしてくれればいいのにと思います。正月のお屠蘇気分で、歳を取ったことなんて忘れてしまいますから。
与太話はこのあたりにして、そろそろ本題に入りましょう。今回の講座は競走馬の年齢、馬齢についてです。
馬齢の定義・基礎知識
馬齢の計算方法(数え方)
まず、競走馬の年齢のことを馬齢と呼びます。そして馬齢の数え方は、人間の年齢の数え方とは少し違います。
生まれた瞬間が0歳なのは人も馬も同じです。しかし誕生日に歳をとるのではなく、翌年の1月1日になると1歳になります。それ以降も、競走馬は1月1日を迎えるごとに1歳ずつ歳をとっていきます。
たとえば2020年4月1日に生まれた馬がいたとしましょう。この馬は2020年12月31日までは0歳、そして2021年1月1日になった瞬間に1歳になります。誕生日を迎えていないので厳密にいうと0歳9カ月なのですが、馬齢は1歳です。そして2022年1月1日になると2歳。22年6月からレースに出走することができるようになり、2023年の3歳クラシックを目指します。
2歳戦は早生まれが有利といわれるのは、この翌年の1月1日に加齢するシステムに起因しています。
たとえば、1月1日生まれの競走馬Aと、6月1日生まれの競走馬Bは、同じ年齢です。この2頭が6月の2歳新馬戦に出走してきたとすると、Aの生後日数は2年5カ月、Bは2年0カ月。Aの方が5カ月分早く成長しています。この5カ月分の成長が2歳戦では有利にはたらくのです。
競走馬の種付けシーズンが春に集中しているのも、3歳クラシックから逆算して生産されているからです。牝馬は春から秋にかけて発情を催します。理論上は8月や9月に種付けを行なうことも可能ですが、それでは3歳クラシックに生後3年未満で挑むことになってしまいます。経済動物である競走馬を、わざわざ不利な条件で生産する意味がない。そのため、7~12月に生まれの競走馬はほとんどいないのです。
南半球諸国の馬齢について
早生まれは不利になるので、日本生産馬に7~12月生まれはほとんどいません。しかし南半球の生産馬はおおむね7~12月生まれです。なぜなら南半球は、北半球と季節が逆になるから。馬の繁殖期である春が9~10月にあたるため、このような誕生日になります。繁殖期にあわせて南半球の3歳クラシックは、おおむね秋に行なわれています。
7~12月生まれの南半球産馬の不利を補うため、JRAの平地競走(ハンデ戦を除く)では斤量に優遇措置を設けています。レースの時期と距離によって、2歳戦は3~4キロ、3歳時は1~3キロ、4歳春~夏にかけては1キロ、同世代の北半球産馬よりも斤量が軽くなります。
しかし斤量にメリットを設けても、2~3歳戦で活躍する南半球産馬はまれです。キンシャサノキセキ、ロックドゥカンプといった重賞馬はいますが、南半球産馬が本格化するのは3歳夏以降であることが多いようです。
馬齢のルール変更について
若い競馬ファンの方は、過去のレース名を見て、違和感を抱くことがあるかもしれません。阪神JFに前のレース名は阪神3歳牝馬S、朝日杯FSの前名は朝日杯3歳S、どちらも2歳馬の頂点を決めるレースなのに、なぜタイトルに「3歳」が入っているのだろう? 昔は新馬戦が始まるのが1年間遅かったの? と。
これは2001年に行なわれた馬齢表記のルール変更が影響しています。2000年まで日本では馬齢に「数え年」を採用していました。数え年とは、生まれた瞬間、1歳になる年齢の数え方です。つまり競走馬はこの世に生を受けた瞬間1歳になり、翌年の1月1日で2歳、そして翌々年の1月1日に3歳になるという計算方法だったのです。
ルールが変更されたのは、世界基準に合わせたためです。1990年代から競走馬の国際取引が活発になったため、国内外での年齢表記に違いによる混乱を避ける目的で、2001年から現行のルールになりました。余談ですが、このルール変更の狭間に活躍したテイエムオーシャンは、2000年と2001年に「JRA賞最優秀3歳牝馬」のタイトルを二度獲得しています。もちろん2000年のタイトルは、現在の「最優秀2歳牝馬」です。
馬齢を人間に換算すると何歳か?
競走馬の4歳は、人間に換算するとだいたいいくつなのか?
これに関しては諸説あります。しかし競走馬4歳=人間20歳と考えるのが主流のようです。4歳馬を古馬と呼ぶのも、大人になったと考えられているからでしょう。
ちなみに0~3歳時は、馬齢を6倍すると人間年齢に換算できます。1歳馬は小学校に入学した6歳児、2歳馬は12歳の中学生、3歳馬は18歳の高校生です。朝日杯FSや阪神JFは難関中学への受験、クラシックは名門大学への受験のような感じです。
そして5歳以上になると、「10+馬齢2.5倍」が人間年齢に近い数字になるといわれています。つまり5歳馬は22.5歳、6歳馬は25.0歳、7歳馬は27.5歳、8歳馬は30.0歳というイメージです。
種牡馬の馬齢は? 何歳まで種付けをするのか?
現役時代に優秀な成績を残した競走馬は、種牡馬としてスタッドインします。現役を経験せずに種牡馬入りする馬はまれなので、おおむね4~6歳以降に種馬になることが多いです。過去には故障で引退したフジキセキが3歳春から種牡馬なった例もありましたが、これはそれまでの競走成績が抜群だったことに加え、当時はサンデーサイレンスの血が希少だったからという理由がありました。
何歳まで種付けできるかについてですが、20歳くらいで体力に衰えが出るといわれています。しかしこれに関しても個体差があり、「性豪」と呼ばれたチャイナロックは29歳で種付けをした記録がありますし、日本競馬の血を塗り替えたノーザンテーストも28歳まで現役でした。年齢的な体力の衰えで引退する種牡馬よりも、成績が残せずに引退する種牡馬が大多数を占めます。
馬齢の国際表記とは?
前述の通り、日本では2001年から馬齢の国際表記を導入しました。生まれた日からその年の12月31日までが0歳、それ以降は1月1日を迎えるたびに1歳ずつ加齢するのが国際表記です。
競走馬の繁殖シーズンが違う南半球では、ローカルルールで馬齢表記をしている国もあります。南半球の南アメリカ諸国は7月1日に加齢、オセアニアや南アフリカでは8月1日に加齢、香港では競走馬の出生国によって加齢日が変わります。
競走馬のピークの馬齢は?
これに関しても諸説あります。競走馬の成長度合にもよりますが、おおむね4~5歳にピークがくると考えていいでしょう。2001年~2018年春までの古馬G1レースの勝率をみても、3歳馬が勝率6.8%、4歳馬が8.3%、5歳馬が7.4%、6歳馬が4.6%になっています。競走馬の4~5歳は人間にたとえると20代前半。人間も体力的なピークは20代前半ですよね。
ただし最近は競走馬の育成技術が進歩しました。成長スピードが早くなり、ピークの持続期間も長くなっています。かつては3歳馬が古馬重賞を制すことは少なかったのですが、最近では珍しくないし、6歳馬や7歳馬が息長く活躍することもよくあります。
馬齢による負担重量(斤量)の違い
馬齢重量戦・定量戦について
2歳限定戦や3歳限定戦、同世代の馬同士が戦うレースは、おおむね馬齢重量戦で行なわれます。2歳の9月までは牡・牝ともに負担重量は54キロ、2歳10月~12月は牡馬が55キロで牝馬が54キロ、3歳9月までは牡馬が56キロで牝馬が54キロ、3歳10月~12月は牡馬が57キロで牝馬が55キロを背負います。
定量戦は馬の性別と年齢のみで負担重量が決まる競走です。JRAのG1レースは定量戦か馬齢重量戦で行なわれています。
別定戦について
そのレースごとに負担重量を決定する基準が設けられているレースが別定戦です。「3歳以上」や「4歳以上」のように3~4歳馬と5歳以上の馬の両方が出走できる古馬戦では、馬齢と時期と距離によって基本重量から以下の表にある斤量をマイナスします。
(※馬齢エクセルの「別定」表を挿入)
南半球産馬の負担重量
北半球産馬に比べて生後日数が短くなる7月1日~12月31日生まれの南半球産馬には、斤量の減量措置が取られています。馬齢と時期と距離によって、負担重量から下表の斤量がマイナスされます。
(※馬齢エクセルの「南半球」表を挿入)
馬齢別的中率・回収率データ
馬齢別データ
「3歳以上○○」や「4歳以上○○」など古馬混合レースにおける馬齢別の成績をまとめたものが下表です。
年齢 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回収 | 複回収 |
---|---|---|---|---|---|
3歳 | 9% | 16% | 24% | 74% | 76% |
4歳 | 8% | 17% | 24% | 75% | 76% |
5歳 | 7% | 13% | 20% | 76% | 74% |
6歳 | 4% | 9% | 15% | 78% | 76% |
7歳 | 3% | 7% | 11% | 61% | 59% |
8歳 | 1% | 5% | 9% | 28% | 55% |
※2015年~2017年の平地集計結果
もっとも勝率が高いのは3歳馬。近年は競走馬の育成レベルが上がり、3歳時から古馬に通用する馬が増えています。さらに3歳馬には斤量の軽減措置もある。この両面から3歳馬の勝率が高くなっています。
それに次ぐのが4歳馬で、その成績はほぼ3歳馬と変わりありません。古馬混合戦の中心になるのは3~4歳馬です。
そして6歳以上になると成績が低下します。6歳馬といえば、人間に例えると20代半ば。これ以上の成長は望めないし、そろそろ体力の衰えがみえてくる時期です。7歳以上になるとさらに成績は落ちます。7歳以上の現役馬は、馬房を埋められない下位厩舎が出走手当や着賞金目当てで管理しているケースもあるため、あまり馬券にからみません。成績だけでなく回収率も低下しています。
馬齢別データ(1番人気)
古馬混合レースにおける1番人気の馬齢別成績をまとめたものが下表です。
年齢 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回収 | 複回収 |
---|---|---|---|---|---|
3歳 | 33% | 50% | 60% | 84% | 82% |
4歳 | 29% | 48% | 62% | 72% | 83% |
5歳 | 29% | 46% | 59% | 79% | 80% |
6歳 | 20% | 40% | 54% | 62% | 76% |
7歳 | 13% | 37% | 47% | 36% | 66% |
8歳 | 0% | 50% | 50% | 0% | 77% |
※2015年~2017年の平地集計結果
やはり1番人気の信頼度が高いのは3歳馬。勝率は33%あり、回収率も80%を超えています。なかでも古馬混合戦のレースに慣れてきた、10~12月の3歳馬はより信頼度が高く、回収率も高めに出ています。
4~5歳馬の1番人気は3歳馬に比べると信頼度はやや下がりますが、年齢で嫌うほどの成績ではありません。割引が必要なのは6歳以上の1番人気です。上積みのない6歳以上の古馬が1番人気になるようなレースは、イキのいい3~4歳の有力馬がいない場合が多く、波乱が生まれやすいので覚えておいてください。
馬齢別データ(穴馬)
つづいて、古馬混合レースにおける穴馬(単勝オッズ10.0倍~49.9倍)の馬齢別成績をまとめたものが下表です。
年齢 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回収 | 複回収 |
---|---|---|---|---|---|
3歳 | 4% | 9% | 17% | 72% | 78% |
4歳 | 4% | 10% | 17% | 75% | 77% |
5歳 | 4% | 10% | 18% | 87% | 83% |
6歳 | 4% | 10% | 16% | 93% | 79% |
7歳 | 4% | 10% | 16% | 80% | 76% |
8歳 | 1% | 9% | 16% | 31% | 79% |
※2015年~2017年の平地集計結果
穴馬に関しては7歳馬までなら成績差はほぼありません。3歳馬であろうと、7歳馬であろうと、似たような確率で馬券にからみます。そして、高齢馬は人気になりづらい分だけ、5~7歳馬の回収率が高くなっています。
5歳以上の穴馬は、普段は凡走を続けているものの、適性にあった条件や展開になると、突如として激走する馬がいます。近走成績よりも、過去にどのような条件で好走していたかを注意してみましょう。
馬齢×キャリア&時期データ
馬齢×キャリア別データ
古馬混合戦における、馬齢ごとのキャリア(出走数)データもまとめてみました。基本的にキャリアの多い馬ほど信頼度は下がっていきます。
5歳以上でキャリアの浅い馬は高回収率を記録しています。能力はあるのに故障などの影響で加齢した馬が大半であり、レースに出走すると力を発揮することが多いようです。
3歳馬・キャリア | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回収 | 複回収 |
---|---|---|---|---|---|
3~5戦 | 10% | 18% | 26% | 87% | 77% |
6~10戦 | 9% | 17% | 24% | 66% | 76% |
11~15戦 | 7% | 14% | 21% | 86% | 80% |
16~20戦 | 4% | 11% | 17% | 53% | 66% |
21~30戦 | 6% | 13% | 19% | 46% | 49% |
※2015年~2017年の平地集計結果
4歳馬・キャリア | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回収 | 複回収 |
---|---|---|---|---|---|
3~5戦 | 10% | 20% | 27% | 67% | 73% |
6~10戦 | 10% | 18% | 26% | 83% | 78% |
11~15戦 | 9% | 17% | 25% | 74% | 80% |
16~20戦 | 7% | 16% | 23% | 76% | 73% |
21~30戦 | 6% | 12% | 18% | 61% | 64% |
※2015年~2017年の平地集計結果
5歳以上馬・キャリア | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回収 | 複回収 |
---|---|---|---|---|---|
3~5戦 | 14% | 20% | 30% | 137% | 116% |
6~10戦 | 10% | 19% | 28% | 63% | 74% |
11~15戦 | 9% | 17% | 24% | 79% | 77% |
16~20戦 | 7% | 13% | 21% | 78% | 73% |
21~30戦 | 5% | 10% | 17% | 73% | 74% |
※2015年~2017年の平地集計結果
馬齢×時期別データ
古馬混合戦における、馬齢ごとの時期別データもまとめました。馬券の参考にしてみてください。
3歳 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回収 | 複回収 |
---|---|---|---|---|---|
夏競馬 | 9% | 17% | 25% | 67% | 73% |
秋競馬 | 8% | 16% | 23% | 78% | 78% |
※2015年~2017年の平地集計結果
4歳馬 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回収 | 複回収 |
---|---|---|---|---|---|
春競馬 | 8% | 16% | 23% | 73% | 77% |
夏競馬 | 9% | 18% | 26% | 79% | 72% |
秋競馬 | 8% | 16% | 24% | 75% | 77% |
※2015年~2017年の平地集計結果
5歳以上馬 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回収 | 複回収 |
---|---|---|---|---|---|
春競馬 | 6% | 12% | 19% | 76% | 76% |
夏競馬 | 5% | 10% | 16% | 72% | 69% |
秋競馬 | 4% | 9% | 15% | 68% | 69% |
※2015年~2017年の平地集計結果
まとめ
・競走馬の馬齢表記は人間とは違う
・4歳馬は人間に例えると20歳
・競走馬のピークは4~5歳
・馬齢と距離と時期によって斤量が変わる
・古馬混合戦は3~4歳馬の好走率が高い
・5歳以上の馬でもキャリアの浅い馬は好走率が高い