- 【勝ち組ノート】2024年4月2週目 - 2024年4月15日
- 【勝ち組ノート】2024年4月1週目 - 2024年4月8日
- 【勝ち組ノート】2024年3月4週目 - 2024年3月25日
- 【勝ち組ノート】2024年3月3週目 - 2024年3月18日
- 【勝ち組ノート】2024年2月2週目 - 2024年2月12日
こんにちは。競馬予想家の川田信一です。
2012年に『見るだけで「単勝」が当たる“単撃”リスト(東邦)』という著書を上梓。以降も積極的に競馬書籍を出版し、ウェブやメルマガなどで活動しております。
突然ですが、あなたはどんな脚質の競走馬が好きでしょうか?
正式にデータを取ったわけではなく川田調べなのですが、大半の競馬ファンは差し馬や追込馬が好きなことが多いようです。
4コーナーでは絶対に届かないような位置にいた馬が、直線だけで前の馬をすべてゴボウ抜き。それは観戦しているだけでも興奮するシーンですし、ましてや追込馬の馬券を持っていたらその興奮度は何倍にもなります。
世界では様々なレースが行なわれていますが、競馬のような差し・追込が決まるレース形態はそうそうありません。陸上競技やモータースポーツで最後方からの追込はありえませんし、比較的追込が決まりやすい自転車競技にしても最後方からの追込勝利はまれです。追込が決まるというのは、競馬の魅力のひとつなのかもしれません。
しかし、ファンの夢を壊すわけではないですが、差し馬・追込馬で儲けるのは難しい。人気を背負っているときは、疑ってかかるのが正解なのです。
これから、差し・追込脚質の馬を分析しながら、その理由を説明していきます。
目次
脚質の定義について
TARGET に準じて定義
当サイトの脚質は競馬ソフトTARGETの定義に準じています。以下はTARGET frontierJVの用語解説から定義を抜粋したものです。
逃げ……2~4角で一度でも先頭を走った馬
追込……まず頭数を3で割り、その数分の頭数(最大でも5頭)で先頭から3つのグループに分けます。そして4角で3番目のグループに位置している馬。
差し……4角で2番手のグループにいる馬。ただし最高でも4角5番手以下。
先行……4角で1番手にいる馬。
マクリ……2角や3角で後方に位置し、4角で1番目のグループにいる馬。
文字で読むと複雑に感じるかもしれませんが、おおむねファンの感覚に合った結果になっているので心配はいりません。
以下、このページで利用するデータは2015年~2017年の平地競走のものを利用しております。
差し馬の攻略情報
差し馬を買い続けた場合の成績
まずは差し馬から解説していきたいと思います。
下表は差し馬の成績と回収率をまとめたものです。
脚質上り | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回収 | 複回収 |
---|---|---|---|---|---|
平地・差し | 5% | 11% | 18% | 59% | 67% |
※2015年~2017年の集計結果
勝率は5%、複勝率が18%、回収率は単勝・複勝ともに70%を下回っています。逃げ・先行馬は買い続けるだけでプラスになりましたが、差し馬を追いかけ続けると負ける確率が高いことがわかります。
なぜ差し馬を追い続けると負けるのか? それには2つの理由があります。
ひとつは差し馬は展開に左右される面が大きい点です。中団から後方に位置して、33秒台の鋭い末脚を使ったとしても、先行馬に同じような脚を使われてしまうと、差し切ることはできません。差し馬が届く展開というのは、大なり小なり、逃げ・先行馬のが止まってくれるからという面があるのです。
もうひとつは中団から後方に位置取る馬には能力の劣る馬が含まれている点です。本当は前へ行きたいのに先行力がないため、仕方なく中団から後方に位置する。レースにはこういった競走馬がたくさんいます。中団に位置する馬を「差し馬」と表現しますが、現実的には差すことすらできない馬が多くいるわけです。
差し馬の平均上がり3Fタイム
差し馬の平均上がり3Fタイム(距離別)は以下のようになります。
≪芝・距離別の平均上がり3Fタイム≫
芝1000m~1300m 35秒1
芝1400m~1600m 35秒3
芝1700m~2000m 35秒7
芝2100m~2400m 35秒7
芝2500m以上 36秒3
≪ダート・距離別の平均上がり3Fタイム≫
ダ1000m~1300m 37秒7
ダ1400m~1600m 38秒0
ダ1700m~2000m 39秒2
ダ2100m以上 39秒1
注目すべきはダート戦の平均上がり3Fタイム。これは先行馬の平均上がり3Fタイムとほとんど差がありません。数字からもダートは差しが決まりにくいことがわかります。
差し馬の最速上がり3Fタイム
同じく最速上がりタイムも距離別にまとめました。
≪芝・距離別の最速上がり3Fタイム≫
芝1000m~1300m 31秒8
芝1400m~1600m 32秒0
芝1700m~2000m 32秒5
芝2100m~2400m 32秒3
芝2500m以上 33秒6
≪ダ・距離別の最速上がりタイム≫
ダ1000m~1300m 34秒1
ダ1400m~1600m 34秒5
ダ1700m~2000m 34秒6
ダ2100m以上 35秒3
こちらも、ダート先行馬の最速上がりタイムと、ダート差し馬の最速上がりタイムに(ダ1700~2000mを除くと)大きな差がありません。
やはり、ダートで能力のある馬はできるだけ前の位置を取りに行く。そのため
ダートで前へ行けない馬が、末脚の違いで差すのは難しいようです。
差し馬の見つけ方・狙い方
差し馬の見分け方
差し馬を見つけるのは簡単です。
近走で中団~後方のレースを続けている馬か、厩舎が「控える」とコメントしている馬が、差しに構える可能性が高い。逃げ・先行争いが激しくなることはあっても、中団~後方のポジション争いが激しくなることはありません。馬が引っ掛からない限り、中団~後方の位置は楽に取れます。
差し馬馬券の狙い方
差し馬が買えるのはミドル~ハイペース。基本的に、逃げ・先行馬の脚色が鈍らないと中団から後方にいる馬は届きません。能力が抜けて高い馬や、スローペースで差す展開が得意な馬、といった一部の例外を除いて、ペースが速くなりそうなレースで差し馬を狙いましょう。
ほかにも、上級条件戦ほど差しが決まりやすい、短距離よりも中長距離の方が差しが決まりや牛、ダートよりも芝の方が差しが決まりやすい、といった特徴もあります。
差し馬が有利な条件・不利な条件
差し馬が有利なコース
基本的に、芝のレースで直線が長いコースは差し馬の好走率が上がります。
具体的には、阪神芝2400m、京都芝2200m、東京芝2400m、京都芝2400m、中京芝2200m、などの好走率が高く、複勝率が25%を超えています。2000m以上の距離で、直線が長いコースならそこそこ馬券にからむようです。
不利なコースは芝の短距離戦とすべてのダート戦。馬券の軸は逃げ・先行馬から選ぶのが無難です。
差し馬に有利な枠は内枠・外枠!?
中団に位置してレースをするので、枠順の有利不利はそこまでありません。差し馬に関して枠を気にする必要はあまりなさそうです。
しいてあげるなら、芝の中長距離戦の内枠がやや有利。コースロスなく馬群の中で折り合って、直線で馬群をさばいて好走することがあります。人気薄の差し馬が穴をあけるパターンのひとつです。
差し馬は不良馬場で走る!?
馬場状態別のデータを取ってみたところ、ダートに関しては馬場状態による有利不利はほとんどなし。芝に関しても、良馬場と稍重馬場が複勝率21%で重馬場は複勝率20%とほとんど差がなかったのですが、不良馬場になると複勝率は18%に低下しました。差し馬は芝の不良馬場をやや苦手にします。
不良馬場の芝コースは、ほとんど脚元がぬかるんでいるような状態。差し馬は、逃げ・先行馬よりも速い上がりを出さなければ上位にくることはできません。しかし、不良まで馬場が悪化するとそれが難しいのでしょう。
差し馬は距離短縮・距離延長で走る!?
成績がいいのは、延長でも短縮でもなく、前走と同じ距離を走った差し馬。その勝率は6%、複勝率は20%あった。
ただし距離短縮の成績も悪くはなく、勝率5%、複勝率19%を記録している。
成績が悪いのは距離延長で、勝率4%、複勝率15%。さらに500m以上の大幅な距離延長になると勝率2%、複勝率10%にまで低下する。
追込馬の攻略情報
差し馬を買い続けた場合の成績
下表は追込馬の成績をまとめたものです。
脚質上り | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回収 | 複回収 |
---|---|---|---|---|---|
平地・追込 | 2% | 4% | 7% | 23% | 31% |
※2015年~2017年の集計結果
追込馬の勝率2%、複勝率7%、単勝回収率23%、複勝回収率31%。ハッキリって、大半の追込馬は無条件で消していいレベルの数字です。
なぜここまで成績が悪いのかというと、差し馬の成績が悪い理由と重複します。
まず、差し馬以上に、追込馬は展開に左右される面がさらに大きい。たとえメンバー中最速の脚を使ったとしても、それよりも前にいる馬がバテてくれないと、そうそう届きません。一部の怪物級の馬を除いて、ほとんどの追込馬は展開に左右されます。
もうひとつ、この追込馬のカテゴリーには箸にも棒にもかからないような馬がたくさん含まれます。先行はできないし、末脚もない、そんな「後方ママ」を続けているような馬もここに入るため、これだけ成績が悪くなっているのです。
追込馬の平均上がり3Fタイム
追込馬の平均上がり3Fタイム(距離別)は以下のようになります。
≪芝・距離別の平均上がり3Fタイム≫
芝1000m~1300m 35秒0
芝1400m~1600m 35秒2
芝1700m~2000m 35秒8
芝2100m~2400m 35秒8
芝2500m以上 36秒9
≪ダート・距離別の平均上がり3Fタイム≫
ダ1000m~1300m 37秒5
ダ1400m~1600m 37秒8
ダ1700m~2000m 39秒6
ダ2100m以上 39秒4
追込馬の平均上がり3Fは、芝・ダートともに差し馬の平均上がり3Fタイムとほとんど差がありません。つまり番手後ろになっている分だけ届かない。もちろん、「後方ママ」の馬が平均値を下げている面はあるのですが、ズバ抜けた末脚があるか、相当に展開が向かないと上位に来るのは難しいといっていいでしょう。
追込馬の最速上がり3Fタイム
同じく最速上がりタイムも距離別にまとめました。
≪芝・距離別の最速上がり3Fタイム≫
芝1000m~1300m 31秒5
芝1400m~1600m 31秒9
芝1700m~2000m 32秒2
芝2100m~2400m 32秒5
芝2500m以上 33秒4
≪ダ・距離別の最速上がりタイム≫
ダ1000m~1300m 33秒7
ダ1400m~1600m 34秒1
ダ1700m~2000m 35秒1
ダ2100m以上 35秒6
こちらも、差し馬の最速上がりタイムと、大きな差がありません。
追込馬の見つけ方・狙い方
追込馬の見分け方
超ハイペースが見込まれるような場合を除いて、わざわざ後方につけたいと考える騎手はいません。つまり追込馬には、前に行けない何らかの理由があります。
競走馬が後方に構えざるをえなくなる最大の理由は、気性難です。気性が激しすぎて馬群の中でレースができない、少しうながすと引っ掛かってしまうので前へ行けない、スタートで毎回出遅れてしまう。このような理由がある理由が、仕方なく追込戦法を取るのです。
つまり、直近レースで何度も後方に位置していた馬や毎回出遅れていた馬は、今回も追込みに回る確率が高いといえます。
追込馬の狙い方
追込馬が買えるのはハイペースが想定されるとき。平均ペースよりも遅い流れになると、よほど実力のある馬でないと届きません。しかも実力ある追込馬は人気になる。馬券妙味もありません。
ハイペースで、光る末脚があり、なおかつ人気薄の追込馬がいれば、少し狙ってみるのも面白いかもしれません。逆に、人気の追込馬は疑ってかかるのが正解です。
追込馬が有利な条件・不利な条件
追込馬のコース・枠・馬場の有利不利
基本的には買いづらい追込馬ですが、直線が長い中長距離戦は、それなりに好走の確率があります。もっとも勝率が高いのは、新潟2000m(外回り)で勝率8%で複勝率が20%。ほかにも、東京2400m、阪神2400mなどが複勝率15%を超えていました。
不利なのは小回りのダートコースやダート短距離戦。複勝率は5%以下なので、まず馬券にからまないと思っていいでしょう。
芝のレースに関しては、5枠より外に入った追込馬の好走率がやや高い。馬群をさばくのに手間取らない分だけ、外枠の好走率が高いようです。
レース数は少ないものの、不良馬場の追込馬はたまに激走します。先行争いが激しくなり、前にいる馬がバタバタになったとき、大外から追込馬がやってきて穴をあけるのです。
マクリ馬について
意外に高回収率のマクリ
道中は後方に位置しながら、3~4コーナーで一気に前にポジションを上げる戦法がマクリ。瞬発力はないがスタミナのある馬が、たまに決める戦法です。
脚質上り | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回収 | 複回収 |
---|---|---|---|---|---|
平地・マクリ | 18% | 35% | 49% | 164% | 139% |
※2015年~2017年の集計結果
マクリの成績は意外に良く、単勝回収率は164%をマークしました。ただ、初手からマクリを狙っている馬というのはそう多くはないので、ピンポイントで狙って取るのは難しい面があります。
マクリを決めることが多いのは、外国人騎手や地方出身騎手たち。彼らがスタミナのある馬に乗ったときは一考の余地があるかもしれません。
まとめ
・差し・追込馬が好走できるかどうかはペースに左右される
・好走できるのは、直線の長いコースや芝の中長距離戦
・短距離戦やダートでは狙いづらい
・人気馬が差し・追込脚質の場合は疑ってかかる
・マクリを決めることが多いのは外国人・地方出身騎手