レース回顧

東京スポーツ杯2歳ステークス2018のレース回顧

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川田 信一
川田 信一
1978年、東京都出身。単撃理論の提唱者・ 趣味で始めたメルマガが、人気薄の単勝を的確に当てることで評判に。わずか半年で2,000人を超える読者が口コミだけで集まる。グリグリの人気馬を迷わず消し、穴馬の単勝を的中し続けている生粋の単勝馬券師。

11月17日(土)に東京競馬場で行われた第23回東京スポーツ杯2歳ステークス(東京芝1800m・G3)は、勝浦正樹騎手騎乗の8番人気ニシノデイジーが勝利。勝ちタイムは1分46秒6(良)、これは昨年の勝ち馬ワグネリアンとまったくの同タイム。ゴール前では4頭が接戦を演じたように、この世代をけん引する出世レースとなりそうだ。

ここからはレース結果をもとに各馬の好走理由や敗因を探りつつ、次走への狙いなどを解析していこう。

東京スポーツ杯2歳ステークス2018の各馬の勝因・敗因・次走展望

1着:ニシノデイジー

新馬戦こそラブミーファインの2着に敗れたが、未勝利戦を快勝すると、前走の札幌2歳ステークスを人気薄で勝利。重賞勝ち馬でありながら、今回も8番人気と低評価だったが、並居る良血馬を相手に接戦を勝利してみせた。

先週からムーア騎手やビュイック騎手が参戦し、外国人騎手騎乗馬にファンは期待を寄せた形と言っていいだろう。ニシノデイジーよりも人気を集めていた7頭のち、日本人騎手が騎乗していたのは、3番人気のカテドラル(福永騎手)のみ。残りの6頭はすべて外国人騎手だった。

外国人騎手だけが過剰に売れていた印象で、日本人騎手騎乗馬のなかでは上位の評価だったとはいえ、あまりにも人数が多く、結果は8番人気と札幌2歳ステークスよりも人気を落とすこととなっていた。

札幌2歳ステークスと東京スポーツ杯2歳ステークスの両方を制したのは、2012年のコディーノぶりとなる。その後もクラシック戦線では上位争いをした馬で、ニシノデイジーも、コディーノに次ぐ活躍を見せてくれることだろう。

ニシノデイジーは美浦の高木登厩舎所属で父はハービンジャー。東京芝1800mで行われた重賞としては、府中牝馬ステークスをディアドラが制しており、同産駒の連勝となった。先週はマイルチャンピオンシップでもハービンジャー産駒のペルシアンナイトが2着に好走しており、再び好調モードを伺わせている。

西山オーナーの所有馬かつ、日高の生産馬。そうなれば外国人騎手にスイッチすることはないと考えたいが、これだけ勢いのあるノーザンファーム生産馬を退けているだけに、相当な能力、競馬センスのある馬と言える。勝浦騎手で、これだけ走るなら、外国人騎手に乗り替わればと期待してしまうのは私だけではないだろう。

今では外国馬ではなく外国人騎手ばかり注目されているが、この馬は池添騎手にしか敗れていない。ぜひともコンビを継続させ、外国人騎手キラーとして活躍していって欲しいものだ。

レース内容としては、東京変わりでパフォーマンスを上げる格好となった。上がり3ハロンタイムも、メンバー中2位の33秒9を記録。33秒台の脚も使えるとなれば、クラシック路線でも十分に勝負になる。また、今回は最後の直線で馬群を縫って勝利したように、かなりの勝負根性も兼ね備えている。洋芝での重い馬場もこなし、東京の高速決着にも対応できたとなると、今後の期待も高まる存在だろう。

ハービンジャー産駒なら、来年は凱旋門賞も? と想像するのは早いだろうか。現実になり、日本馬が勝てるなら、こういう血統馬なのかもしれない。

2着:アガラス

6月の東京芝1800mの新馬戦を圧勝したアガラス。前走のコスモス賞ではナイママの後塵を拝したものの、東京変わりできっちりと巻き返した。

ルメール騎手の継続騎乗こと叶わなかったが、結果的にはマイルチャンピオンシップを制すこととなるビュイック騎手を確保し、陣営の期待は高かった馬と言える。

レース内容を振り返ってみると、上がり3ハロンタイムはメンバー中最速の33秒7を記録。大型のブラックタイド産駒だけあって、小回り札幌では取りこぼした形になった。広いコースで行われる東京では引き続き狙っていっていい馬と言えるだろう。

ただし、春のトライアルでは、中山で評価を下げたい。少頭数では問題ないかもしれないが、皐月賞ではこの切れ味は生きない。過去の東京スポーツ杯2歳ステークス勝ち馬で言うと、ディープブリランテやワグネリアンとイメージを重ねるとわかりやすいだろう。

この2頭はともにダービーを勝つことになるのだが、ともに皐月賞では敗れている。東京では強い競馬を見せても過大評価しないようにしよう。あくまで狙うのは東京だ。

話は変わってアガラスの血統表を見ると面白いことが見えてくる。昨年の勝ち馬ワグネリアンは父ディープインパクト、母父がキングカメハメハだった。アガラスは、父ブラックタイド、母父はブラックホークである。この4頭の共通点は、すべて金子真人オーナー所有馬なのだ。

ディープインパクトとブラックタイドこそ兄弟であるが、まったくの別馬の組み合わせから、またしても有力馬が誕生している。近年ではワンアンドオンリーを除くと、ディープインパクト産駒やキングカメハメハ産駒がダービーを制している。この馬もその仲間に入る可能性は高そうだ。

3着:ヴァンドギャルド

9月の阪神1600mの新馬戦を快勝し、ここへ挑んできたヴァンドギャルド。200mの距離延長になったが、このメンバーに着差なしの3着と収穫が多かった印象だ。

上がり3ハロンタイムはニシノデイジーと並んでメンバー中2位の33秒9を記録。2戦続けて33秒台を出せたということはプラスに評価したい。新馬戦にいたっては、重馬場で33秒台と中身の濃い競馬だった。

新馬戦を勝っただけにも関わらず4番人気と高評価だった背景は、藤原英厩舎かつC.デムーロ騎手の騎乗だったことも影響しているはず。現段階ではC.デムーロ騎手によってここまでのパフォーマンスになったと評価しておきたい。この厩舎の場合は、戸崎騎手や、福永騎手への乗り替わりも十分に考えられる。ただ、そうなったときはマイナスだろう。ムーア騎手はじめ、追える騎手でこそ狙いたい馬だ。

この馬もアガラス同様、高いパフォーマンスを発揮したのは、直線の長い東京や阪神だった。中山をはじめとする小回りコースでは減点としたい。

うまくクラシック路線に乗れなかったとしても、毎日杯や青葉賞では馬券に絡んでくる馬だろう。

9着:ルヴォルグ

並居る有力馬が名を連ねたレースながら、2.5倍と1番人気の支持を集めたルヴォルグ。スタートでの出遅れがあったとはいえ、9着と見せ場なく終わってしまった。

勝ち馬からは0.7秒差もついており、出遅れがあったとはいえ物足りないレース内容だったように感じる。中2週のローテーションかつ、当日の馬体重はプラス4キロと、中間はセーブ気味の調整だったのだろう。

賞金を重ねらえなかったことで一旦は休養に入るだろうか。新馬戦で見せた走りは強烈なものがあった。立て直してくれば、十分に重賞でも勝負になるだろう。

また、この馬はパカパカファーム系の新興一口馬主のフクキタル所有馬。看板馬としての露出も必要になるため、無理なローテーションを強いられるようであれば、引き続き軽視していきたい。藤沢流の仕上がりならば、素材は十分なものを感じる。巻き返しにも期待していこう。

まとめ

今年の東京スポーツ杯2歳ステークスは、ここ数年になかった多頭数で行われ、ゴール前でも4頭が接戦を演じるハイレベルな一戦になった印象だ。

勝ち馬だけでなく、負けた馬からも条件次第では重賞に手が届く馬も出てくることだろう。勝ち馬のニシノデイジーも、そういったレースを制しており、レベルは相当な域まで達していると考えられる。

今年の東京スポーツ杯2歳ステークスに出走した各馬に関しては、その後の動向にも注目していきたい。

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