レース見解

富士ステークス2018エアスピネルがG1制覇に向けて復帰

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川田 信一
川田 信一
1978年、東京都出身。単撃理論の提唱者・ 趣味で始めたメルマガが、人気薄の単勝を的確に当てることで評判に。わずか半年で2,000人を超える読者が口コミだけで集まる。グリグリの人気馬を迷わず消し、穴馬の単勝を的中し続けている生粋の単勝馬券師。

エアスピネルは、読売マイラーズカップ(京都芝1600m外・G2)を使った疲れが回復していないということで、目標にしていた安田記念(東京芝1600m・G1)を回避。

それ以来は休養に充てていたため、今回は自身最長のブランクとなる中25週での出走となる。その復帰戦は連覇の掛かる富士ステークスが選ばれた。

鞍上には新パートナーとして福永祐一騎手を迎えることに。次走、予定しているマイルチャンピオンシップ(京都芝1600m外・G1)で悲願のG1制覇を成しとげるためにも、ここでは目途が立つ競馬をしておきたいところだろう。

ここからはデータ分析を交えながら、エアスピネルについて検証していこう。

[騎手]福永祐一騎手は可もなく不可もなく

東京芝1600mにおける福永祐一騎手の成績は勝率12%、連対率25%、複勝率29%、栗東所属騎手で騎乗機会自体が少ないことを考えればマズマズの成績といったところか。

富士ステークスの通算成績は【0-2-0-6】、ファイナルフォーム(2012年 2着)とサイドワインダー(2003年 2着)で連対例はあるものの、まだ優勝経験はない。

やはり東京芝1600mという舞台では、これといった強調材料に欠ける印象だ。それでも、集計期間中で見れば、勝利数は全騎手の中でも12位という成績なので悪くはないだろう。また、栗東所属騎手に限定すれば、C.ルメール騎手、M.デムーロ騎手に続いての3位に位置している。

騎手 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
C.ルメール 28% 46% 59% 103% 95%
戸崎圭太 17% 31% 39% 86% 80%
内田博幸 8% 17% 24% 73% 63%
M.デムーロ 19% 30% 45% 126% 90%
横山典弘 11% 16% 25% 58% 51%
田辺裕信 7% 15% 30% 103% 100%
三浦皇成 12% 20% 25% 117% 76%
柴山雄一 12% 19% 24% 71% 68%
北村宏司 7% 14% 17% 28% 38%
大野拓弥 7% 13% 19% 69% 88%
蛯名正義 8% 16% 28% 61% 93%
福永祐一 12% 25% 29% 71% 70%
石橋脩 9% 16% 22% 57% 71%
柴田善臣 7% 13% 18% 32% 47%
武豊 13% 22% 30% 67% 61%

※東京芝1600m 2015年以降の集計結果

[厩舎]出走例は少ないが好走率高い

笹田和秀調教師は栗東所属の調教師なので、管理馬が東京コースへ出走すること自体が少ない。

そこで、東京芝1600mにおける笹田和秀調教師の全成績を集計してみたところ、勝率21%、連対率21%、複勝率38%、という成績だった。これは勝率10%、連対率18%、複勝率26%、という笹田和秀調教師の全成績を考えると相性が良いコースと言えそうだ。

昨年の勝ち馬エアスピネルの他にも、2015年の富士ステークスでは12番人気のシェルビーが4着に激走している。また、東京芝1600mというコースに限れば、レディアルバローザによる2011年ヴィクトリアマイル(東京芝1600m・G1)3着という実績もある。

調教師 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
(美)手塚貴久 10% 22% 26% 35% 60%
(栗)藤原英昭 17% 27% 33% 131% 90%
(美)斎藤誠 6% 16% 25% 33% 59%
(栗)池江泰寿 14% 31% 45% 70% 77%
(栗)須貝尚介 13% 22% 26% 176% 80%
(栗)西園正都 15% 20% 35% 372% 128%
(栗)音無秀孝 20% 27% 33% 92% 62%
(美)堀井雅広 4% 8% 17% 37% 175%
(美)畠山吉宏 4% 6% 14% 47% 69%
(栗)藤岡健一 14% 21% 29% 60% 81%
(栗)荒川義之 11% 22% 22% 920% 355%
(美)清水英克 3% 5% 5% 131% 33%
(栗)高野友和 9% 9% 36% 52% 150%
(栗)笹田和秀 20% 20% 40% 78% 56%

※東京芝1600m 2015年以降の集計結果

[血統]上級戦での信頼度はイマイチ

東京芝1600mにおけるキングカメハメハ産駒の成績は、勝率9%、連対率17%、複勝率25%となっており、芝戦で一番勝ち星を挙げているコースとはいえ突出して成績が良いわけではない。

上級戦になるとディープインパクト産駒を筆頭に、サンデーサイレンス系の瞬発力が活きる舞台なので、キングカメハメハ産駒は格上のレースになると苦戦傾向にある。これが勝数の割に成績がパッとしない原因だろう。

エアスピネルも富士ステークスを制しているとはいえ、昨年は雨が降るなか不良の馬場コンディションで行われたことを考えると、一概にコース適性があったとは評価しづらい。

種牡馬 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
ディープインパクト 15% 29% 41% 61% 97%
ハーツクライ 11% 19% 25% 61% 67%
キングカメハメハ 9% 17% 25% 45% 64%
ステイゴールド 8% 14% 26% 75% 84%
ハービンジャー 9% 15% 28% 30% 52%
アドマイヤムーン 6% 15% 23% 35% 59%
メイショウサムソン 6% 17% 19% 233% 102%
ローエングリン 5% 23% 31% 118% 96%
スクリーンヒーロー 4% 10% 12% 9% 19%
スニッツェル 25% 25% 25% 123% 43%
Kitten’sJoy 40% 40% 40% 114% 52%
ゴスホークケン 0% 0% 0% 0% 0%

※東京芝1600m 2015年以降の集計結果

[脚質]スローペースを味方にできれば

過去10年の富士ステークスにおいて、上がり3ハロン2位以内の脚を使えていた馬が、勝率17%、連対率30%、複勝率48%と、非常に好走率が高い。しかし、勝ち馬に限れば10頭中6頭が上がり3ハロン3位以下の脚しか使えていなかったので、優勝するにあたっては単純に速い上がりだけ使えれば良いというわけではなさそうだ。

エアスピネルは芝1600mで【4-3-2-1】という安定感のある走りを見せているが、②②④①と、勝ったレースの4コーナー通過順はすべて4番手以内。また、2着以下に敗れているレースは、いずれも4コーナーの通過順が5番手以下だった。つまり、4コーナーを4番手以内で回ってくれば全勝しているのだ。

やはり広いコースで切れ味勝負になると分が悪いので、スローペースで前有利の流れになることが理想だろう。そういった意味では富士ステークスは悪くなさそうで、いかにも前哨戦らしい緩い流れになれば勝ち負けか。

上がり3ハロンタイム 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
1位 14% 21% 50% 100% 420%
2位 22% 44% 44% 124% 87%
3位 9% 27% 27% 35% 69%
4~5位 10% 24% 29% 63% 110%
6位~ 3% 5% 9% 26% 70%
1~2位 17% 30% 48% 109% 290%

※富士ステークス2008年以降の集計結果

[前走との間隔]大きく割り引く必要はなし

過去10年の富士ステークスにおいて、中25週以上(=半年以上)の間隔を空けて出走していた馬は、勝率13%、連対率20%、複勝率33%と、思いのほか好成績を収めている。

エアスピネルは一頓挫あっての出走となるので、半信半疑のオッズになることが予想されるだろう。しかし、過去のデータから長期休養明けはマイナスにならず、むしろ状態に関しての不安から人気を落とすことで馬券的な妙味が発生しやすいのだ。

まだ記憶に新しい話だが、昨年11番人気という低評価ながら3着に好走したクルーガーは、同じように読売マイラーズカップから富士ステークスに中25週で臨んでいた。

レース間隔 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
連闘 0% 0% 0% 0% 0%
中1週 10% 10% 20% 41% 144%
中2週 7% 7% 10% 53% 34%
中3週 0% 0% 40% 0% 118%
中4~8週 7% 17% 24% 29% 137%
中9~24週 3% 12% 14% 28% 87%
中25週以上 13% 20% 33% 141% 220%

※富士ステークス2008年以降の集計結果

[馬体重]適性馬体重なので問題なし

過去10年の富士ステークスにおいて、馬体重による成績の差異は見受けられないので、とりわけ気にする必要はない。

エアスピネルは馬体重470~490㎏での出走となりそうだが、好走馬を最も多く出している範囲に合致するため適性馬体重と言えるだろう。

馬体重 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
420~439kg 50% 50% 50% 120% 75%
440~459kg 0% 7% 7% 0% 24%
460~479kg 12% 14% 19% 97% 126%
480~499kg 2% 11% 20% 20% 95%
500~519kg 7% 7% 13% 29% 127%
520~539kg 6% 25% 31% 35% 136%
540~ 0% 0% 0% 0% 0%
470~490kg 10% 16% 22% 92% 92%

※富士ステークス2008年以降の集計結果

[人気]人気的には勝ち負け必至

過去10年の富士ステークスにおいて、優勝馬10頭中9頭が5番人気以内の支持を集めていた馬だった。10番人気以下の二桁人気馬も馬券に絡みやすいレースだが、優勝する馬に限れば比較的堅い傾向にあると言える。

エアスピネルが過去6番人気以下となった経験は、7番人気だった東京優駿(東京芝2400m・G1)と、6番人気だった菊花賞(京都芝3000m外・G1)の2回だけで、いずれも距離不安によるものだろう。

芝1600mに限れば、いずれも2番人気以内に評価されてきているので、今回も上位人気馬として扱われることは間違いないはず。どちらかというと、休み明けや乗り替わりを嫌って配当的な妙味が少しでも生まれる可能性があるか否かの方が気になるところだ。

人気 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
1番人気 30% 40% 40% 104% 63%
2番人気 20% 20% 30% 112% 64%
3番人気 10% 20% 30% 56% 80%
4番人気 20% 40% 40% 212% 116%
5番人気 10% 20% 40% 110% 143%
6番人気 10% 20% 20% 112% 81%
7番人気 0% 0% 10% 0% 40%
8番人気 0% 0% 0% 0% 0%
9番人気 0% 10% 10% 0% 75%
10番人気 0% 0% 0% 0% 0%
11番人気 0% 10% 20% 0% 172%
12番人気 0% 11% 11% 0% 84%
13番人気 0% 0% 11% 0% 176%
14番人気 0% 11% 33% 0% 470%
15番人気 0% 0% 11% 0% 254%
16番人気 0% 0% 0% 0% 0%
17番人気 0% 0% 0% 0% 0%
18番人気 0% 0% 0% 0% 0%

※富士ステークス2008年以降の集計結果

[まとめ]マイルチャンピオンシップに向けての叩き台が妥当か

ここまでのデータを振り返ってみると、気になるのはキングカメハメハ産駒という血統面だけだろう。

昨年は不良馬場ということで必然的に前有利の展開となったが、東京コースで勝ち負けをするにはスローペースにならないと厳しい。幸いなことに近年の富士ステークスは、後半の方が2秒近く速くなるようなスローの展開が多いので、位置取りのアドバンテージを活かせれば。

また、過去に富士ステークスを連覇した馬はいないため、違った側面からも注目となる一戦。エアスピネルの場合は前年と同じ斤量57㎏で出走できる点はプラスだが、あくまでも本番は次走予定しているマイルチャンピオンシップなので、長期休養明けということを考えても過度の期待は禁物かもしれない。

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