レース見解

富士ステークス2018の最新見解・データ

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川田 信一
川田 信一
1978年、東京都出身。単撃理論の提唱者・ 趣味で始めたメルマガが、人気薄の単勝を的確に当てることで評判に。わずか半年で2,000人を超える読者が口コミだけで集まる。グリグリの人気馬を迷わず消し、穴馬の単勝を的中し続けている生粋の単勝馬券師。

昨年は雨が降るなか、不良の馬場コンディションで行われた富士ステークス。そんな馬場状態を物ともせず優勝したエアスピネルは、続くマイルチャンピオンシップ(京都芝1600m外・G1)でもペルシアンナイトと接戦を演じ、わずかに及ばずハナ差の2着。また、そのペルシアンナイトも富士ステークスに出走し、単勝2番人気に支持されていた馬だった。

過去にも、富士ステークスを使っていたダノンシャーク(2014年 1番人気 7着)、エイシンアポロン(2011年 1番人気 1着)が、次走でマイルチャンピオンシップ優勝を果たしており、以前よりも前哨戦としての役割が大きくなってきている。

今年もマイルチャンピオンシップに向けて有力馬が集う富士ステークスを、過去10年のデータを参考に紐解いていこう。

[人気]大穴による紐荒れ注意

過去10年の富士ステークスでは、単勝1~5番人気に支持されていた馬が9勝しており、残りの1勝も単勝6番人気だった2009年のアブソリュートなので、優勝する馬は比較的堅い傾向にあるといえる。

ただし、2着、3着となると話は変わってくる。なんと、過去10年で単勝10番人気以下の馬が8回も馬券に絡んでいるのだ。ここまで人気薄が定期的に走る重賞も珍しいので、高配当に期待して積極的に狙っていきたいレースだ。

ちなみに、過去10年の富士ステークスにおいて、単勝10番人気以下の複勝率回収率は149%。つまり、二桁人気馬の複勝をベタ買いするだけでもプラス収支になっている。

人気 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
1番人気 30% 40% 40% 104% 63%
2番人気 20% 20% 30% 112% 64%
3番人気 10% 20% 30% 56% 80%
4番人気 20% 40% 40% 212% 116%
5番人気 10% 20% 40% 110% 143%
6番人気 10% 20% 20% 112% 81%
7番人気 0% 0% 10% 0% 40%
8番人気 0% 0% 0% 0% 0%
9番人気 0% 10% 10% 0% 75%
10番人気 0% 0% 0% 0% 0%
11番人気 0% 10% 20% 0% 172%
12番人気 0% 11% 11% 0% 84%
13番人気 0% 0% 11% 0% 176%
14番人気 0% 11% 33% 0% 470%
15番人気 0% 0% 11% 0% 254%
16番人気 0% 0% 0% 0% 0%
17番人気 0% 0% 0% 0% 0%
18番人気 0% 0% 0% 0% 0%

※富士ステークス2008年以降の集計結果

[年齢]4歳馬を中心視

過去10年の富士ステークスにおいて、勝率18%、連対率32%、複勝率46%というハイアベレージを残しているのが4歳馬だ。また、6歳以上の馬からは優勝例がないので、基本的には若い馬のほうが勝ち負けをしやすいのだろう。

しかし、6歳以上でも複勝回収率では高い数字を示しているように、高齢馬でも人気薄の食い込みには注意しなければならない。例を挙げると、2009年には8歳馬のマイケルバローズが単勝15番人気で3着に激走している。

年齢ごとに狙い目となる着順を考えれば、馬券の組み立てはしやすい印象なので、フォーメーションなどを駆使して上手く買い目を作るといいだろう。

年齢 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
3歳 7% 10% 17% 65% 108%
4歳 18% 32% 46% 85% 132%
5歳 8% 15% 23% 62% 112%
6歳 0% 8% 8% 0% 85%
7歳以上 0% 0% 5% 0% 104%

※富士ステークス2008年以降の集計結果

[間隔]中3週以内は若い馬のみ重視

過去10年の富士ステークスにおいて、レース間隔による成績の差は見受けられない。

ただし、中3週以内で優勝した3頭は、いずれもキャリア15戦以下のフレッシュな馬たちだった。中3週以内かつキャリア16戦以上の馬は【0-0-1-27】と連対例がないので、キャリア豊富な古馬を選ぶ際は、レース間隔が詰まっている馬よりも、ローテーションに余裕を持って臨んでいる馬を評価しよう。

レース間隔 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
連闘 0% 0% 0% 0% 0%
中1週 10% 10% 20% 41% 144%
中2週 7% 7% 10% 53% 34%
中3週 0% 0% 40% 0% 118%
中4~8週 7% 17% 24% 29% 137%
中9~24週 3% 12% 14% 28% 87%
中25週以上 13% 20% 33% 141% 220%
中3週以内 7% 7% 15% 43% 66%
中4週以上 6% 15% 20% 43% 123%

※富士ステークス2008年以降の集計結果

[斤量]57~58㎏=重賞実績のある馬

過去10年の富士ステークスにおいて、好走率と回収率が優秀なのは57~58㎏の斤量を背負っていた馬たちだ。

別定戦で行われる富士ステークスで、4歳以上の牡馬が背負う基本負担重量は56㎏。57㎏以上を背負うということは、すでに何かしらの重賞実績を持ち合わせている馬ということになる。ちなみに、過去10年で富士ステークスが重賞初制覇となった古馬は、2010年のダノンヨーヨーのみ。そのダノンヨーヨーも4歳馬とはいえ、わずかキャリア10戦での参戦だったので例外的とも言える。

対照的に3歳馬は、54㎏【3-0-2-19】、55㎏以上【0-1-1-14】と、基本負担重量54㎏より重い斤量を背負う馬が勝ち切れていない。つまり、古馬と違って3歳馬は実績馬のほうが苦戦傾向にある。

斤量 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
52kg 0% 0% 0% 0% 0%
54kg 12% 15% 23% 103% 110%
55kg 0% 9% 18% 0% 174%
56kg 2% 7% 12% 10% 78%
57kg 17% 20% 27% 114% 143%
58kg 0% 43% 57% 0% 210%
59kg 0% 0% 0% 0% 0%

※富士ステークス2008年以降の集計結果

[馬体重]馬体重は関係なし

過去10年の富士ステークスにおいて、あえて馬体重による狙い目を挙げるならば、5勝を挙げている460~479㎏の範囲の馬だろうか。それでも、広範囲にわたって満遍なく好走していることを考えると、特に意識する必要はないだろう。

ちなみに、過去10年の優勝馬における最高馬体重と最低馬体重は、2016年ヤングマンパワーの524㎏と、2013年ダノンシャークの436㎏である。

馬体重 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
420~439kg 50% 50% 50% 120% 75%
440~459kg 0% 7% 7% 0% 24%
460~479kg 12% 14% 19% 97% 126%
480~499kg 2% 11% 20% 20% 95%
500~519kg 7% 7% 13% 29% 127%
520~539kg 6% 25% 31% 35% 136%
540~ 0% 0% 0% 0% 0%

※富士ステークス2008年以降の集計結果

[脚質]速い上がりは使えた方が良いが…

過去10年の富士ステークスにおいて、上がり3ハロン1~2位の脚を計測できた馬は、勝率17%、連対率30%、複勝率48%、単勝回収率109%、複勝回収率290%と、好走率もさることながら回収率でも単複ともにプラスという素晴らしい成績。

しかし、勝ち馬に限れば過半数が上がり3ハロン3位以下での優勝なので、末脚に自信のあるタイプは馬券の軸には最適かもしれないが、1着固定となると疑問が残る。

これは基本的に富士ステークスがスローペースで流れることに原因がある。つまり、前々で競馬をしていた馬も楽なペースで走れているぶん最後まで余力があり、後方待機から速い上がりを使おうとも物理的に届かない展開になりやすいのだ。

上がり3ハロンタイム 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
1位 14% 21% 50% 100% 420%
2位 22% 44% 44% 124% 87%
3位 9% 27% 27% 35% 69%
4~5位 10% 24% 29% 63% 110%
6位~ 3% 5% 9% 26% 70%
1~2位 17% 30% 48% 109% 290%

※富士ステークス2008年以降の集計結果

[前走距離]距離短縮馬でも対応可能

過去10年の富士ステークスにおいて、連対馬20頭中13頭が、前走でも今回と同じ1600mのレースに出走していた馬だった。マイルチャンピオンシップの前哨戦なので、基本的には1600mを中心に使われていた馬が集まり、好走するというのが自然な流れ。

しかし、前走1700m以上のレースから距離短縮で臨む馬が、勝率、連対率、複勝率のすべてにおいて、前走1600mだった馬の成績を上回っている。母数の違いがあるので一概には言えないものの、距離短縮組の成績が良いのは富士ステークスがスローペースになりやすいからだろう。同じ1600mでも時計が速く、ラップが厳しい流れになると、中距離質の馬では追走に苦労するぶん脚が溜まらない。その点、富士ステークスは前哨戦ということもあり、ハイペースで流れることは無いに等しいので、距離短縮で臨んでも対応しやすいのだ。

前走距離 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
距離延長 0% 0% 20% 0% 355%
同じ距離 6% 13% 17% 46% 87%
距離短縮 8% 14% 22% 48% 98%

※富士ステークス2008年以降の集計結果

[血統]Alzao≒ダンシングブレーヴ

過去10年の富士ステークスにおいて、3着以内に好走した30頭中13頭がLyphardの血を持つ馬だった。特にAlzaoやダンシングブレーヴといったSir Gaylordの血を併せ持つ馬が有力だ。

富士ステークスで【3-3-1-7】勝率21%、複勝率50%、という好成績を残しているのがディープインパクト産駒。そのディープインパクトの母父がAlzaoなので、全体的に成績の底上げをしている可能性は否めないが、そのほかにもキングヘイロー産駒のシャイニープリンスが2年連続二桁人気で激走したり、母父ダンシングブレーヴのクラレント、レッドアリオン兄弟が共に好走したりと、非常に相性が良い血統だ。

少し補足をすると、不良馬場で行われた2017年を除けば、ディープインパクト産駒は2012~2016年まで毎年馬券に絡んでいる。今年も良馬場で開催されるようならば、ディープインパクト産駒には要注意だろう。

血統 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
Lyphardあり 14% 28% 36% 93% 150%
Lyphardなし 4% 8% 14% 29% 94%

※富士ステークス2008年以降の集計結果

[まとめ]紐荒れによる高配当ならば期待できる

ここまでのデータを振り返ってみよう。

人気:単勝10番人気以下の食い込みに注意

年齢:4歳馬が中心

間隔:差異はないが、中3週以内の古馬は軽視

斤量:4歳以上は57~58㎏、3歳馬は54kg

馬体重:関係なし

脚質:軸にするならば上がり3ハロンタイム上位になりそうな馬

前走距離:1600m以上のレースを使っていた馬

血統:Lyphard持ち、特に良馬場ならばディープインパクト産駒

これらのデータを用いて馬券を組み立ててみると良いだろう。単勝10番人気以下の激走が頻繁に見られる重賞なので、無理に絞り込まず、手広く流してみるのも悪くないかもしれない。ただし、あくまでも勝ち馬は人気に支持されることが多いということを忘れないように。

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