レース回顧

シリウスステークス2018のレース回顧 

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川田 信一
川田 信一
1978年、東京都出身。単撃理論の提唱者・ 趣味で始めたメルマガが、人気薄の単勝を的確に当てることで評判に。わずか半年で2,000人を超える読者が口コミだけで集まる。グリグリの人気馬を迷わず消し、穴馬の単勝を的中し続けている生粋の単勝馬券師。

9月29日(土)に阪神競馬場では、第66回・シリウスステークス(G2)が行われた。

2番人気に支持されたオメガパフュームが、4コーナーからまくり気味にスパートを開始すると、直線で先頭を行くサンライズソアを交わして優勝。道中最後方から追い込んだウェスタールンドが2着に追い込み、先行していたサンライズソアが3着に粘り切った。1番人気に支持されたグレイトパールは11着と大敗。これで2連敗となってしまった。

勝ちタイム2分1秒6は、過去10年で最も速く、1000m通過も60秒4で、これも最速タイムだった。不良馬場でも重に近い馬場だったことが想定され、よほど脚抜きの良い状態だったのだろう。それにハイペースが拍車をかけた形だ。

シリウスステークス2018の各馬の勝因・敗因・次走展望

1着:オメガパフューム

前走のジャパンダートダービーでは、ルヴァンスレーヴの2着に好走し、2番人気の支持を集めていたオメガパフューム。4コーナーで一気にまくると、直線で末脚一閃。先頭で粘るサンライズソアを交わし去ると、猛追するウェスタールンドをクビ差凌ぎ、見事重賞初制覇を飾った。

和田騎手はシリウスステークスを通算3勝目とし、見事にテン乗りを決めた形に。オメガパフュームを管理する安田翔調教師は、重賞挑戦3戦目で早くも重賞初制覇となった。開業1年目のスピード達成である。

レース内容を振り返っていくと、今回はペースが速くなったこと、和田騎手の好騎乗が重なっての好走である点は忘れてはならない。グレイトパールが馬群に沈む展開のなかで、見た目には高いパフォーマンスのように感じる。しかし、そういった背景があったことによる好走である。次走以降については、レース内容やメンバー構成をしっかりと見極める必要があるだろう。

また、G1の舞台になれば、多少のハイペースだとしても、先行して崩れないスタミナを持った馬たちが多く出走してくる。それをまとめて交わし切れるかどうかというと、ジャパンダートダービーで負けたルヴァンスレーヴですら現状では疑問符が付くレベル。

これまでの戦歴を見ても、負けているのは東京と大井で、直線の末脚比べだと分が悪そう。ただ、これでやるべき競馬は見えたように、道中はロスなく進み、4コーナーで捲り切って後続を封じる。マークされる立場に変わっても、今回のような競馬ができるのかがカギとなりそうだ。

斤量アップに相手強化。今回同様の走りが、次走以降もできると過信しないようにしたい。

2着:ウェスタールンド

1年以上の休養を挟み、夏の函館ダート戦で復帰すると、1000万、1600万と連勝しシリウスステークスにたどり着いたウェスタールンド。ダートに矛先を変えてからは2連勝中だったが、今回は7番人気という低評価を覆し2着に好走してみせた。

ウェスタールンドもオメガパフューム同様、ペースの恩恵を受けていた感は否めない。道中では最後方からの競馬で、先行馬の多くが崩れるなかでの好走だった。最後の直線では、外ではなくインに進路を取り、バテて後退してくる馬たちをかいくぐる形で先頭争いに加わっていく。その際にブレーキをかける不利も見受けられた。これがなければ1着は入れ替わっていた可能性もあるように惜しい競馬だったことも間違いない。

次走以降については、これもオメガパフュームと同様である。後方待機で交わし去ることのできるような、軽いメンバー構成にはならないはず。過信は禁物だ。

3着:サンライズソア

デムーロ騎手からのバトンタッチを受けてルメール騎手が騎乗したサンライズソア。グレイトパールとともにトップハンデを背負うことになったが、なんとか3着を死守してみせた。

これだけのハイペースを2番手で追走しながら3着に残すあたりは、ルメール騎手の好騎乗もあったとはいえ、立派な内容だったと感じる。逃げたコパノリチャーリーは12着、早めに競りかけてきたグレイトパールも11着に沈む展開を3着なら、評価に値するだろう。

過去10年で最も速い前半1000mのタイムだったように、似たペースの2016年で好走したアポロケンタッキーは、年末に東京大賞典を制することとなる。同じローテーションをたどるようであれば是非とも注目したい馬となりそうだ。

好走したこの結果を受けても、次走はルメール騎手やデムーロ騎手が騎乗するようであれば、引き続き信頼度の高い馬と言えそう。そのあたりは次走以降の馬券取捨にも参考にしたい。

4着:ヒラボクラターシュ

今年のレパードステークスで2着に好走し、前走ではラジオ日本賞を制していたヒラボクラターシュ。今回は8番人気ながら4着と、健闘したとの評価でいいのではないだろうか。

前走のラジオ日本賞ではヨシオやクィーンズサターンといった重賞でも好走歴のある馬たちを破っており、3歳馬ながら力は上位。レパードステークスでは10番人気で2着に好走していたように、人気問わず走れるタイプだ。

今回はハイペースのなかを、サンライズソアと先行するレースとなったが、決してヒラボクラターシュに楽な内容ではなかった。4着を好走ととらえるのか、3着との差を考え凡走と考えるのか。意見がわかれるところだと思うが、G1以外に限定するならば、次走でも上位候補としたい。サンライズソアはG1級、オメガパフュームやウェスタールンドは展開が向いた馬。ヒラボクラターシュも、G3やG2あたりまでなら、展開次第になるものの、今回の連対馬たちを逆転できることだろう。

この馬は年明け、しかも3月にデビューしたばかりで、まだ半年しか経っていないなか、古馬に混じって好走できている。そう考えると、まだまだ奥がありそうで、成長次第では、今回の回顧をいい意味で裏切る可能性もある。

5着:コスモカナディアン

今年の東海ステークスでは、テイエムジンソクの2着に好走したことのあったコスモカナディアン。今回は12番人気で、単勝オッズ154.9倍という評価ながら、5着に好走してみせた。とはいえ、中団待機で着を拾いに行った感は否めない。先行馬が崩れ、ちょうどいいポジションで5着に来てしまった、という評価が妥当だろう。

この馬でも先行できるメンバー構成で、軽ハンデ。これくらいの条件が整わないかぎり馬券圏内は遠そうである。

11着:グレイトパール

ダートに転向し、6連勝で重賞まで連勝を飾った経験のあるグレイトパール。前走の平安ステークスで、初めてダートでの敗戦を喫したが、今回はさらに大きく崩れ、11着という結果に終わった。

1番人気での出走も、単勝オッズは2.9倍。初ダートの500万で5.4倍だった時に次ぐほどの支持しか集められなかったのだ。

また、今回に関しては、ハイペースになったことで、グレイトパールに向いた展開だったと感じるだけに、想定以上の敗戦だった。馬体重もマイナス20キロと大きく絞ってきたが、それも叶わず。仁川ステークスで勝利したこともある舞台なら、「芝スタートが向かなかった」とも考えづらい。

メンバー構成も決して高いわけではなかったのにも関わらず、この結果。立て直しにはしばらく時間がかかりそうだ。

まとめ

今年のシリウスステークスは、なんといっても過去10年で最速タイムの1000m通過タイムだったことによる、ハイペース競馬だったことを覚えておきたい。連対馬2頭に関してはその恩恵が大きかった。最も強い競馬で、次走に繋がりそうなのは、3着のサンライズソア。一線級と張り合えるのは、むしろこちらのほうだろう。4着のヒラボクラターシュはメンバー問わず、今後も好走してきそう。グレイトパールは立て直しに時間がかかりそうだ。

今年は1か月後に京都でJBCが行われる。その影響で、みやこステークスの開催がないため、地方に活路を見出す馬も出てくるかもしれない。

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