レース回顧

神戸新聞杯2018のレース回顧 

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川田 信一
川田 信一
1978年、東京都出身。単撃理論の提唱者・ 趣味で始めたメルマガが、人気薄の単勝を的確に当てることで評判に。わずか半年で2,000人を超える読者が口コミだけで集まる。グリグリの人気馬を迷わず消し、穴馬の単勝を的中し続けている生粋の単勝馬券師。

9月23日(月)に阪神競馬場では、第66回・神戸新聞杯(G2)が行われた。

福永騎手の負傷で乗り替わりとなったワグネリアンと、前走のダービーでは2着だったエポカドーロが同じ単勝オッズ2.7倍と2強を形成。エタリオウが離れた3番人気でこれらを追う形となった。

終わってみれば、ダービー馬のワグネリアンが完勝。強烈な末脚を繰り出したエタリオウが2着に入り、友道厩舎のワンツーフィニッシュ。勝った藤岡康太騎手は、この勝利で区切りの500勝を達成したが、メモリアル勝利よりも、無事に代打騎乗を果たせたことへの安堵感漂うインタビューが印象的だった。

エポカドーロが4着に敗れたことで、3連単は1万650円と、この組み合わせにしては好配当となった神戸新聞杯だったと言えるのではないだろうか。

勝ったワグネリアンは次走でも力を発揮できるのか? メイショウテッコン好走の理由など、ここからは各馬の走りについて振り返っていきたい。

神戸新聞杯2018の各馬の勝因・敗因・次走展望

1着:ワグネリアン

平成最後のダービー馬となったワグネリアンは、神戸新聞杯を秋初戦に選択。残念ながら、福永騎手が落馬負傷のため、急遽、藤岡康太騎手へ乗り替わりとなったものの、その影響を感じさせない走りで見事に勝利を掴んだ。エポカドーロと並んでの1番人気という支持だったが、最後にメイショウテッコンをきっちりと差し切り、完勝と言えるレース内容だったのではないだろうか。

乗り替わりを不安視する声もあったが、追い切りにも藤岡康太騎手が騎乗していたこともあり、スタートからラストまで問題点は見当たらなかった。道中で多少かかる面も見せていたが、それでも比較的スムーズな競馬で、前を行くメイショウテッコンをきっちりと差し切ってみせた。後ろから追い込んだエタリオウの追撃も封じ込み。着差以上の強さを感じるレースぶりだったと言える。

代打騎乗にプレッシャーのかかるなか、藤岡康太騎手は、その役目を見事に果たした。この勝利が区切りの500勝。今年はキャリアハイ確実としそうな勢いで、勝ち星を重ねており、ダービー馬の背中を感じて更なる飛躍が期待できる。残念ではあるが、しかし当然でもあり、このあとは天皇賞(秋)を、福永騎手で目指すと陣営から発表があった。乗り手を選ばないタイプだが、万が一福永騎手の復帰が遅れたとしても、藤岡康太騎手ならば力を発揮してくれそうである。

データ分析からは、馬体重データに不安を残していたものの、当日は460キロとピッタリ条件をクリアできた。夏を越え、一回りパワーアップできていたようだ。

近年のダービー馬は、神戸新聞杯以降、古馬の壁に阻まれることが多い。どこまで通用するのか、次走が試金石になるだろう。

2着:エタリオウ

トライアルの青葉賞で2着に入り、ダービーへの出走も果たしていたエタリオウ。そのダービーでは後方から強烈な末脚で追い込み13番人気ながら4着と好走していた。

今回はデムーロ騎手を迎え、陣営の勝負気配を感じるレース前だったと言っていいだろう。賞金的にも菊花賞への出走が叶う立場であったが、どこまで仕上げ切ってくるのか、個人的に注目していた馬だった。

ゆったりとしたスタートを切り、最後方からの競馬をデムーロ騎手は選択。最後の直線だけで11頭を抜き去って2着での入線となったが、ダービーで見せた末脚は今回も健在だった。レースの性質上、差し馬が好走しやすいレースであるものの、ギアがかかってからの伸びは一頭だけ別次元だったように感じる。上がり3ハロンタイムは33秒9で、全メンバー中唯一の33秒台だった。

菊花賞の行われる京都外回りでは、下り坂を生かした器用さと持続力が問われるため、エタリオウに適しているかと問われると疑問符がつく。イメージとしてはローズキングダムのような馬だと分類しており、菊花賞を取りこぼしたとしても、東京芝で巻き返せるような馬なのではないだろうか。

どちらにせよ、今回の走りにデムーロ騎手が惚れ込むようであれば、継続騎乗が叶うだろう。昨年も神戸新聞杯2着馬のキセキが菊花賞を制しているように、引き続き注目したい馬になるはずだ。

3着:メイショウテッコン

春のクラシック戦線には間に合わなかったものの、白百合ステークス、ラジオNIKKEI賞と連勝し、秋の大舞台へ向け神戸新聞杯にエントリーしてきたメイショウテッコン。ダービー上位組との差はあると考えられたのか、6番人気での出走となった。

レースは五分のスタートから、1コーナーへかけて、前を行くステイフーリッシュを交わすと、2コーナーでは一気に先頭へ。前半1000mを61秒9でスローに落とすと、リードを保ったまま直線を迎える。

直線に向いても脚色は衰えず、坂を上り切るあたりまで先頭をキープ。最後はワグネリアンやエタリオウの末脚に屈したものの、最後の最後まで粘る強い競馬を見せた。

神戸新聞杯を先行して粘り込んだ馬は、菊花賞での好走例も多く、2010年のビッグウィークや、2012年のユウキソルジャー、2015年のリアファルなどが、次走でも馬券圏内に好走できた馬が目立つ。ワグネリアンは天皇賞(秋)を目指すローテーションが発表されているため、メイショウテッコンは次走でも人気を集めそうだが、特に嫌うことなく信頼して良さそうな馬だろう。

松山騎手も、この馬の良さを理解しているように感じる騎乗ぶりだった。次も注目していい馬だ。

4着:エポカドーロ

皐月賞、ダービーと連続の2着で、春のクラシック路線を賑わせた1頭のエポカドーロ。今回は、ダービー馬ワグネリアンと並んで2.7倍の支持を集めていた。

レースはスタートでアドマイヤアルバと接触し、大きく躓くと、一気に後方まで下がってしまう。場合によっては落馬してもおかしくないほどの躓き方だったと感じた。

結果的に普段とは違う、後方からの競馬となったが、それでも4着まで来ていたように、力は示していたと言っていいだろう。先行力や持続力が生きる菊花賞では、侮れない存在だ。今回の負けで人気を落とすようであれば、それはむしろ歓迎材料となりえるだろう。

どの馬にも当然のことだが、力を出し切れば、この世代でトップ争いを出来る馬。最後の一冠を目指し、陣営にも力が入るはず。菊花賞へ駒を進めるようであれば、人気問わず馬券には組み込みたい馬だ。

5着:ステイフーリッシュ

今年の京都新聞杯勝ち馬で、前走のダービーでは10着だったステイフーリッシュ。今回は川田騎手を迎え、4番人気での出走となったが、直線で末脚が冴えず5着に敗れた。

これまでの2勝はいずれも早め先頭から押し切る競馬で勝利。京都で持続力が生きる展開になれば、上位争いに入って来る馬だろう。今回は末脚比べで分が悪かっただけ。条件次第で巻き返してくるはずだ。

まとめ

今年の神戸新聞杯は、各馬が次走へ向けてのいい始動戦を終えることが出来たレースと言えるのではないだろうか。天皇賞(秋)を目指すワグネリアンとしては、急遽の代打騎乗を、藤岡康太騎手でクリア。エタリオウも次走に疲れを残さない、それでいて2着を確保する競馬ができていた。3着のメイショウテッコンに関しても、菊花賞へ向けた予行演習が出来ていたのではないだろうか。

さすがに6着以下に関しては勝負付けが済んだと評価したい。掲示板に入った5頭を中心に、次走以降の競馬を見ていくといいだろう。

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