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福永騎手悲願のダービー制覇を成し遂げたワグネリアン。春はダノンプレミアムに敗れ、皐月賞でも小回りコースが合わず評価を落とし、5番人気でのダービー制覇となった。
ワグネリアンも例年通り、関西馬の王道ローテーション、神戸新聞杯から始動の予定である。鞍上の福永騎手が落馬負傷で急遽、藤岡康騎手への乗り替わりが発表された。
ダービーを勝ったような馬であれば、運があるといいたいところだが、さすがにこの乗り替わりは不運と判断せざるを得ない。
それでもこの困難を乗り越えて、勝利をつかむことができるのか、過去10年のデータを参考にワグネリアンを解析していこう。
目次
[騎手]マイナス評価の乗り替わり
阪神芝2400mにおける藤岡康騎手は勝率6%と、あまり結果を残せていない。複勝率だけでなく、単複ともに回収率も低くなっている。今年は先週の甲武特別で1番人気のインヴィクタに騎乗し4着だった。
最後に馬券に絡んだのは2015年のゆきやなぎ賞をアルバートドックで制するとこまでさかのぼる。この乗り替わりは、はっきりとマイナスに作用するだろう。
過去の神戸新聞杯では、2015年のアルバートドックが4番人気7着で、これが最高着順となっている。馬券圏内に入れたことは一度もなかった。
日ごろからワグネリアン追い切りにも騎乗していたようだが、今回は前哨戦らしい競馬を心がけるのではないだろうか。軸というよりも相手向きな存在と言えそうだ。
騎手 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回収 | 複回収 |
---|---|---|---|---|---|
M.デムーロ | 29% | 55% | 58% | 92% | 84% |
ルメール | 38% | 54% | 63% | 166% | 104% |
福永祐一 | 18% | 38% | 47% | 163% | 98% |
幸英明 | 11% | 23% | 26% | 108% | 57% |
川田将雅 | 9% | 24% | 33% | 85% | 80% |
浜中俊 | 11% | 26% | 44% | 92% | 105% |
松若風馬 | 13% | 22% | 30% | 316% | 160% |
和田竜二 | 5% | 19% | 33% | 23% | 109% |
四位洋文 | 11% | 22% | 39% | 120% | 188% |
松山弘平 | 7% | 15% | 22% | 97% | 61% |
武豊 | 10% | 14% | 43% | 228% | 137% |
藤岡佑介 | 13% | 20% | 27% | 388% | 60% |
岩田康誠 | 6% | 11% | 28% | 13% | 61% |
小牧太 | 5% | 9% | 14% | 38% | 30% |
松田大作 | 11% | 22% | 33% | 211% | 411% |
国分恭介 | 10% | 20% | 30% | 129% | 122% |
岩崎翼 | 9% | 18% | 18% | 80% | 30% |
藤岡康太 | 6% | 6% | 13% | 20% | 16% |
秋山真一郎 | 6% | 6% | 11% | 53% | 33% |
戸崎圭太 | 17% | 17% | 33% | 51% | 153% |
高倉稜 | 10% | 10% | 10% | 31% | 15% |
三津谷隼 | 17% | 17% | 17% | 1926% | 270% |
柴田大知 | 33% | 33% | 33% | 170% | 43% |
森裕太朗 | 17% | 17% | 17% | 908% | 161% |
坂井瑠星 | 20% | 20% | 20% | 88% | 32% |
北村宏司 | 100% | 100% | 100% | 260% | 130% |
柴田善臣 | 100% | 100% | 100% | 3850% | 670% |
北村友一 | 0% | 9% | 14% | 0% | 69% |
太宰啓介 | 0% | 13% | 20% | 0% | 193% |
シュタルケ | 0% | 33% | 50% | 0% | 91% |
※阪神芝2400m 2015年以降の集計結果
[厩舎]コース成績トップも、神戸新聞杯は未勝利
阪神芝2400mにおける友道厩舎は勝率23%で、複勝率は60%を超える安定感示している。
今回のメンバーでは、このコースを選択し、出走させることが多い厩舎と言っていいだろう。春もアザレア賞をスーパーフェザーで勝利。ゆきやなぎ賞では同厩舎のエタリオウが2着に好走していた。
神戸新聞杯の過去10年を振り返ってみると、2011年フレールジャックで3着に入ったのが最高着順である。2009年にはアンライバルドが1番人気で4着に敗れており、1番人気が馬券に絡まなかったのは、唯一の敗戦をアンライバルドで記録してしまった。それでも、他の出走馬は人気相応に走っており、上位人気のワグネリアンなら大崩れすることはなさそうだ。
調教師 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回収 | 複回収 |
---|---|---|---|---|---|
(栗)友道康夫 | 23% | 47% | 63% | 66% | 95% |
(栗)藤原英昭 | 22% | 44% | 56% | 92% | 113% |
(栗)矢作芳人 | 14% | 21% | 21% | 57% | 29% |
(栗)清水久詞 | 8% | 17% | 50% | 97% | 96% |
(美)藤沢和雄 | 25% | 50% | 50% | 55% | 52% |
(栗)松田国英 | 0% | 25% | 50% | 0% | 88% |
(栗)須貝尚介 | 0% | 18% | 27% | 0% | 50% |
(栗)渡辺薫彦 | 0% | 0% | 18% | 0% | 190% |
(栗)浅見秀一 | 0% | 0% | 0% | 0% | 0% |
(栗)高橋義忠 | 0% | 0% | 0% | 0% | 0% |
※阪神芝2400m 2015年以降の集計結果
[血統]ディープインパクト産駒なら強い?
阪神芝2400mにおけるディープインパクト産駒は勝率16%で、勝利数ともにメンバー中トップの種牡馬である。ただし、これをクラス別に見てみると、困った傾向が見えてきた。
集計期間中11勝しているのだが、そのうち10勝が未勝利もしくは500万クラスだったのである。昨年のサトノアーサーも3番人気で3着だった。勝ったことがあるのは2016年のサトノダイヤモンドのみである。
例年、神戸新聞杯には多くのディープインパクト産駒が出走してくるが、上位の種牡馬のなかでも、とにかく成績が悪い。コース適性はあっても、レース適性が低いことを覚えておくといいだろう。ワグネリアンに付け入る隙があるとすれば、ここなのかもしれない。
種牡馬 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回収 | 複回収 |
---|---|---|---|---|---|
ディープインパクト | 16% | 25% | 37% | 130% | 89% |
キングカメハメハ | 14% | 28% | 35% | 84% | 82% |
ステイゴールド | 8% | 21% | 27% | 93% | 59% |
ハーツクライ | 7% | 20% | 30% | 16% | 50% |
マンハッタンカフェ | 6% | 12% | 27% | 43% | 100% |
ベーカバド | 20% | 20% | 40% | 192% | 114% |
※阪神芝2400m 2015年以降の集計結果
[脚質]差し馬有利なレースだが
神戸新聞杯における過去10年の勝ち馬10頭中9頭が上がり3ハロンタイム3位内の馬だった。
ワグネリアンは弥生賞までの4レースで上がり3ハロンタイム1位もしくは2位で走れている。前走のダービーでは6位のタイムながら優勝。ペース判断をうまくおこなった鞍上のファインプレーと言っていいのではないだろうか。差し一辺倒というわけではなくなっている。
このレースを勝ちにいくのであれば、ダービーのような工夫が必要かもしれない。しかし、今回はアクシデントによる乗り替わりかつ、本番に向けた前哨戦である。後方待機で直線だけの競馬に徹しても、レース傾向と一致するため、好走してくる可能性は高そうだ。
上がり3ハロンタイム | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回収 | 複回収 |
---|---|---|---|---|---|
今回1~3位 | 28% | 56% | 75% | 141% | 188% |
今回4~18位 | 1% | 2% | 5% | 1% | 10% |
前走1~6位 | 9% | 17% | 25% | 44% | 55% |
前走7~18位 | 2% | 7% | 11% | 5% | 35% |
※神戸新聞杯 2008年以降の集計結果
[前走]安定のダービー組
神戸新聞杯における過去10年の勝ち馬10頭すべてが前走で1600万条件もしくは重賞に出走していた馬だった。特に、ダービーだった馬は、10頭中8頭が該当。やはり中心はダービー組と考えていいだろう。
また、ダービーで連対を果たしていた馬は、複勝率90.9%と、馬券圏内を外したのは1頭のみ。2008年のスマイルジャックが4番人気で9着に敗れており、その他の馬については、全て3番人気以内だった。
ダービーを勝っていて、神戸新聞杯に駒を進めた馬は、過去10年で5頭。レイデオロ、ワンアンドオンリー、オルフェーヴル、ディープスカイが勝利し、エイシンフラッシュは2着と、連対率は100%である。ワグネリアンが大崩れするところは想像できない。
前走クラス | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回収 | 複回収 |
---|---|---|---|---|---|
未勝利 | 0% | 0% | 0% | 0% | 0% |
500万下 | 0% | 0% | 0% | 0% | 0% |
1000万下 | 0% | 7% | 17% | 0% | 58% |
1600万下 | 20% | 20% | 20% | 160% | 48% |
OPEN特別 | 0% | 0% | 11% | 0% | 41% |
G3 | 8% | 17% | 25% | 200% | 93% |
G2 | 0% | 0% | 0% | 0% | 0% |
G1 | 16% | 28% | 36% | 30% | 62% |
※神戸新聞杯 2008年以降の集計結果
[馬体重]ひと夏超えて、パワーアップで出走できれば
神戸新聞杯において、過去10年の3着内馬30頭中28頭が460キロ以上の馬体重だった。勝ち馬に関しては、500キロ前後だった馬が多い。また、460キロ以上だった馬は10-10-8-93という成績で、連対するには必須データと言っていいだろう。
ワグネリアンは、デビューから一貫して450~454キロの範囲内で競馬に出てきている。このままだとマイナス傾向と一致してしまいそうだ。軽量馬だった馬は、2011年のフレールジャックが442キロで3着。上位人気だったヒストリカルは7着に敗れている。この範囲にギリギリ該当できたオルフェーヴルでも460キロだった。ここを下回らないか、当日のパドックでは必ずチェックするようにしたい。
馬体重 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回収 | 複回収 |
---|---|---|---|---|---|
460キロ以上 | 8% | 17% | 23% | 39% | 56% |
460キロ未満 | 0% | 0% | 7% | 0% | 14% |
※神戸新聞杯 2008年以降の集計結果
[人気]1番人気は複勝率90%
神戸新聞杯における勝ち馬10頭のうち9頭は1〜3番人気以内の支持を受けていた馬だった。さらに、昨年は馬券圏内を独占している。ダービー馬であることから、当然1番人気になることだろう。勝率は70%で、複勝率は90%と驚異的な成績だ。
ただし、唯一敗れているのが、ワグネリアンと同じ友道厩舎だったアンライバルドである。友道厩舎にとって、神戸新聞杯が鬼門のレースとなっているようであれば、今回も負けてしまうこともあるだろう。しかし、ワグネリアンはダービーまで制した馬。このジンクスを破ってくれると願いたい。
[まとめ]乗り替わりで妙味が増すなら
ここまでのデータを振り返ると、気になるのは馬体重データということになるだろう。このまま馬体重が増えずに出走となると、データ的には3着までということになる。しかし、ダービー馬は連対率100%。大崩れすることは考えにくい。
藤岡康騎手への乗り替わりはプラスではないが、ワグネリアンのこれまでの実績面で考えると、勝ち負けの候補となるはずだ。乗り替わりを嫌うファンも少なからずいるだろう。そこに配当妙味が期待ができるかもしれない。