レース回顧

ローズステークス2018のレース回顧 

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川田 信一
川田 信一
1978年、東京都出身。単撃理論の提唱者・ 趣味で始めたメルマガが、人気薄の単勝を的確に当てることで評判に。わずか半年で2,000人を超える読者が口コミだけで集まる。グリグリの人気馬を迷わず消し、穴馬の単勝を的中し続けている生粋の単勝馬券師。

9月16日(日)に阪神競馬場では、第36回・ローズステークスが行われた。

今年のフラワーカップ勝ち馬、カンタービレが早め先頭から後続を完封し優勝。オークス大敗から見事に巻き返してみせた。2着には差し脚の目立ったサラキア、3着にはインを上手く立ち回ったラテュロスが入り、上位3頭には秋華賞への優先出走権が付与された。

前走大敗から巻き返したカンタービレの勝因は? なぜサトノワルキューレは伸びなかったのか? 大穴ラテュロスはなぜ好走できたのか? 気になる点が多かった今年のローズステークス。ここからはレースの流れと各馬に走りについて振り返っていきたい。

ローズステークスのレース分析

好スタートを決めたラテュロスやオールフォーラヴが先頭を伺うが、外からゴージャスランチがハナを主張する。それを外からカンタービレが追うような形で前半戦が過ぎていく。前半1000mの通過タイムは59秒9で、ここ5年だと最も遅かった。

残り600m付近からペースが一気に上がる。これは例年のローズステークス通りの流れだったが、ラスト400mで更に加速すると、最後までペースは落ちなかった。いわゆるスローペースからのヨーイドンの競馬になった形と言っていい。これでは後方から進めた馬たちには不利で、サトノワルキューレも届かないはずだ。その中でも比較的、前目につけていたサラキアやラテュロスだけが馬券圏内まで伸びて来られた。

絶好調で何に乗せても勝ってしまう、そんなルメール騎手を象徴するかのようなレースだったと言えるだろう。ルメール騎手ひとりで他の騎手全員をなぎ倒したようなイメージである。

ローズステークス2018の各馬の勝因・敗因・次走展望

1着:カンタービレ

フラワーカップの勝ち馬で、前走のオークスでは13着に敗れていたカンタービレ。今回はルメール騎手を配し、勝負気配が漂っていたものの、当日は5番人気と低評価だった。前走で大敗していたことが理由と考えられるが、結果は2着に0.2秒差をつける快勝。秋初戦を見事に勝利で飾った。

レースは今まで通り、好スタートから先行ポジションを確保すると、4コーナーでは早め先頭に。差し有利のローズステークスながら、前日や当日も馬場コンディションとしては先行馬が有利だった。それをルメール騎手はわかっているかのような騎乗ぶりで、差してくるサラキアを見事に完封してみせた。鞍上のファインプレーもあるが、あのポジションから上がり3ハロンタイム33秒6では後続も追い付かない。オークス敗退後、夏場に上手く立て直してきた印象である。

今年はオークス上位馬が不在で、ファンの意識が夏の上がり馬に向いていたのだろうか。たしかにデータ分析記事においても、オークスで二けた着順だった馬は不振傾向にあった。それを跳ね返しての好走どころか完勝してしまうあたりは、このデータが逆に有効だったのだろう。道中のポジション取りについても、他馬から競られることもなく、楽な競馬が出来ていた。

このまま無事ならば、次走は秋華賞に駒を進めるだろう。例年のローズステークスであれば差し馬が勝って、秋華賞では届かないという流れになる。ただ、今年は先行して押し切り、カンタービレはローズステークスを制した。アーモンドアイの存在で秋華賞では人気を落とすと思われるが、このレースぶりからは侮れない馬となるだろう。3冠を阻止できるなら、この馬かもしれない。

2着:サラキア

前走の青島特別をレコードタイムで圧勝し、ローズステークスへ挑んだサラキアは、カンタービレを追撃するも届かず2着に敗れた。それでも、賞金的に秋華賞への出走には権利を取る必要のあった立場。賞金加算と権利が取れて、まずは一安心といったところだろう。春のトライアル戦では4着が2度も続き、馬だけでなく池添騎手自身も悔しい思いをしていたはず。遅れてきた大器がいよいよG1のステージへ駒を進める。

レース内容を振り返っていくと、今年は先行馬に有利な馬場とペースだった。例年のローズステークスであれば、もう少しペースが速くなり、差し馬有利になる。それとは逆の展開で2着に来たのは立派で、負けはしたものの、強い競馬をしていたのはむしろサラキアの方だったと言ってもいい。今回は出遅れ癖も以前より解消されており、ひと夏を超えた成長を感じるレース内容だった。ただし、サラキアのレース内容が、例年ならば秋華賞で不要とされる差し脚の届かないタイプ。この傾向を払拭できるか、その走りに注目したい。

次走はいよいよ本番の秋華賞。ライバルとなるのは奇しくも同馬主シルクレーシング所有のアーモンドアイだ。それだけではなく、関屋記念から秋華賞へ進むプリモシーンも出走を予定している。牡馬ではブラストワンピースも菊花賞の中心的存在で、今年のシルクは一味違う印象を多くのファンが持っているはずだ。アーモンドアイに引き連れられれば、3頭で決着する可能性も十分にある。成長を感じるサラキアなら、秋華賞でも好走してくることだろう。

3着:ラテュロス

昨年のアルテミスステークス3着馬で、この夏は500万条件を函館で勝利していたラテュロス。前走は1000万条件のHTB賞で4着だったが、距離短縮で3着に激走してみせた。単勝オッズは88.2倍の13番人気。波乱の立役者となった。

ここ2戦は逃げる競馬で好走していたが、今回は今までと比べても位置取りは後方になったと言える。この形でも結果が出たことは、陣営も収穫となっただろう。それでも、先行馬有利な流れの中で、インをロスなく回った鞍上の好騎乗も光ったはず。全てが噛み合った結果とも言えるだろう。

ここまで夏場を休養に充てずに4戦を消化。馬体重も今回がマイナス12キロで、ローズステークスの権利取りが目標になっていた感は否めない。今回のレースとしては満点評価でも、本番に向けておつりが残っているのだろうか。厳しい戦いを余儀なくされそうである。

6着:サトノワルキューレ

春はフローラステークスを勝ち、今回のメンバーではオークス最先着馬だったサトノワルキューレ。1番人気の支持を集めていたが、差し脚届かず6着に敗れた。

例年のローズステークスであれば、3着以内に入ってきていただろう。しかし、今回は展開が向かなかったと評価したい。また、目標はあくまで秋華賞で、サトノワルキューレは権利がなくても賞金順で出走が叶う立場。最後は追うのをやめていたように、無理をさせなかったようにも見て取れた。

それでも上がり3ハロンタイムは33秒1と末脚は強烈なものがある。当然次走は秋華賞ということになると思うが、東京の芝2000mといった舞台が合っていそうな印象が強い。スピードだけでなく、スタミナも問われる天皇賞(秋)が舞台としては適性がありそうだ。秋華賞で負けても、コース適性の問題と、あらかじめここに記しておく。

それでも今回に関しては、休み明けかつ、無理をさせない競馬だった。秋華賞では、展開が嵌れば巻き返してくる可能性がある。軽視は禁物だ。

9着:オールフォーラヴ

今年の春は、忘れな草賞を制し、強力な先行馬として最終的には3番人気の支持を受けていたオールフォーラヴ。理想的な流れで直線を迎えたが、伸びることなく馬群に沈んだ。

この馬はこれまでに速い上がり3ハロンタイムで走れたことがなく、今回も自身としては34秒7と速めのタイムではあった。しかしこのあたりが限界なのだろう。スローペースになった展開が向かなかった。また、今回は馬体重もプラス22キロと大幅増で、太目残りだった印象もある。一叩きされた次走以降、巻き返してくる可能性もありそうだ。

それでも秋華賞に駒を進めたとして、やはり34秒台前半の脚は必要となってくる。自らレースを作って後続を完封できるようでなければ、巻き返すのは厳しいだろう。

まとめ

今年のローズステークスは、スローペースで先行馬有利。しかも、前日から芝は内枠や先行馬に有利な上位だった。条件次第で、上位6頭は着順が入れ替わる可能性もあったと言えるだろう。

これと似たペースだった2012年の勝ち馬はジェンティルドンナ。2着がヴィルシーナと、次走の秋華賞でも同じ着順となっている。今年はアーモンドアイに注目が集まることで、ローズステークス組が軽視されそうなのが、今の競馬界の流れだ。終わってみれば、ローズステークス上位組がそのまま秋華賞でも好走した。なんてことが起こってもおかしくないことは頭の片隅に置いておきたい。

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