レース回顧

セントウルステークス2018のレース回顧 

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川田 信一
川田 信一
1978年、東京都出身。単撃理論の提唱者・ 趣味で始めたメルマガが、人気薄の単勝を的確に当てることで評判に。わずか半年で2,000人を超える読者が口コミだけで集まる。グリグリの人気馬を迷わず消し、穴馬の単勝を的中し続けている生粋の単勝馬券師。

9月9日(日)に阪神競馬場では、第32回・セントウルステークスが行われた。

今年の高松宮記念勝ち馬で、前走は香港のG1チェアマンズスプリントにチャレンジしたファインニードルが、1番人気に応えて優勝。昨年に続いての連覇を飾った。2着には3歳牝馬のラブカンプー、3着には直線で追い込みを見せたグレイトチャーターが入り、馬連は730円で1番人気決着。3着のグレイトチャーターが7番人気だったものの、平穏な決着だったと言っていいだろう。

データ分析記事では不利な項目が多かったラブカンプーは、なぜ好走することができたのか? 3着グレイトチャーターの好走理由は? ここからレース全体と各馬の走りについて振り返っていきたい。

セントウルステークスのレース分析

内から絶好のスタートを決めたラブカンプーが枠なりに先頭へ。それを追うネロやラインスピリット、ダイアナヘイローあたりも先行争いに加わっていく。さらにその外からはファインニードルも先行グループに続いた。

先頭争いは、ラブカンプーとネロの決着がなかなかつかない。3番手以下を大きく離し、600mを通過したあたりで、わずかにラブカンプーが前へ出てきた。それでもここまでにぺースが上がりすぎてしまい、重馬場ながら前半600mは33秒3とハイペース。そのまま2頭が引っ張る形でレースは後半戦へ。

残り400m地点ではラブカンプーが先頭で、2番手にネロの形は変わらない。外からファインニードルが進出を開始し、残り200mで先頭を射程圏に置くと、このあたりからネロの手ごたえが怪しくなって後退していく。

残り100mで内からコウエイタケルが抜け出しを図るが、差は詰まらない。外からグレイトチャーターも凄い脚で追い込んでくる。それでも先頭までは遠く及ばない。ファインニードルはセーフティリードを広げ、楽にゴール板を通過した。粘るラブカンプーは、差し馬を振り切って2着を確保。それに届かず、グレイトチャーターは3着で入線した。

勝ちタイムは1分8秒8で、重馬場にしては速いタイムだった。スピードだけでなく、粘り強さも問われるタフなレースになったと言えるだろう。

セントウルステークス2018の各馬の勝因・敗因・次走展望

1着:ファインニードル

今年の春に高松宮記念を制し、前走は香港のチェアマンズスプリントへ挑んで4着だったファインニードル。その時以来の秋初戦をセントウルステークスで迎えた。

夏の上がり馬たちに勢いがあったせいか、単勝オッズは3.4倍と、過剰な人気は集まらなかったようだ。レースでは外枠スタートだったこともあり、他馬の出方を見ながら終始余裕のある競馬で、2着のラブカンプーに1馬身1/2差を付け完勝。追えば更に差は開いた印象が強く、本番を見据えたレースとしては満点の内容だったと言える。

川田騎手のコメントにもあったように、スプリンターズステークスにダメージを残さないよう無理のない競馬だった。また、雨で重馬場だった点はアドマイヤムーン産駒にプラスに作用していたはず。そういった運も持ち合わせていた。

これまでを振り返ってみても、馬場状態は問わない、直線坂の有無も問わない、場所も問わない、左右どちら回りも問わないといった形で、わずかなスキも見当たらない。直近は川田騎手が騎乗し3連勝中で、相性もバッチリ。スプリンターズステークス本番でも中心的存在で揺るがないだろう。

2着:ラブカンプー

今年のサマースプリントシリーズにおいて、唯一逆転優勝のチャンスを残していたラブカンプー。結果としては、今回の相手が悪かったという表現でいいのではないだろうか。重馬場にしてはハイペースのなかで、ファインニードル相手に2着に粘ってみせた。

データ分析記事でも触れたが、セントウルステークスは軽量馬が不利なレースである。3歳牝馬がG1馬相手に果敢に逃げて、最後まで粘り通しての2着は本当に立派なレースだった。また、今回の競馬で、道悪や直線急坂への対応できたことも収穫と言えるだろう。

ネロとの先行争いが、もっと早く落ち着いていれば、もう少し粘れたかもしれないが、ネロ相手にこれだけやれたということ自体、馬の成長も感じる。

本番に向けては、走り続けている馬体に、おつりが残っているのか? ということになりそうだ。調整しやすい軽量牝馬なら、問題なさそうではあるが、精神面でのカバーがなければ闘争心が潰えてしまう可能性もある。そこはスプリンター厩舎、森田調教師の手腕に期待したいところだ。

3着:グレイトチャーター

前走の北九州記念では14番人気で4着と好走していたグレイトチャーター。今回は相手強化と斤量増が重なったものの、7番人気ながら3着に好走してみせた。今回は更に着順を上げたことで、北九州記念がフロックでなかったことを証明できたはずだ。

それでも、直線で外に持ち出すために、仕掛けが遅れた点など、課題は残っており、全ての要素が噛み合っていたわけではなさそうである。北九州記念のように内をロスなく運べれば、次走のスプリンターズステークスでもチャンスがありそうな予感のする馬だ。中山の芝で好走歴もあるように、走れる舞台であることは間違いない。次走も今回のように人気を集めなければ、2,3着候補として馬券に加えておきたい1頭と言えるだろう。

4着:コウエイタケル

11番人気の低評価ながら、直線では見せ場十分だったコウエイタケル。小牧騎手は良馬場なら勝っていたと話すほどで、直線の手ごたえは相当良かったのだろう。

インをロスなく進んだとはいえ、前目につけた馬にとって、決して楽な流れではなかったはずだ。次走以降、さすがにG1の舞台では敷居が高そうであるものの、G3やオープン特別ではいつ勝ってもおかしくない競馬が出来ていた。

楽に先行できる展開が見込めるレースであれば、忘れずに狙いたい馬と言えそうだ。

5着:ラインスピリット

9番人気ながら5着に好走したラインスピリット。近年のラインスピリットは、どちらかというと10月から3月にかけて、涼しい時期に好走することが多くなっている馬である。今年の夏は、馬券に絡んでいないものの、掲示板付近での好走が多く、状態面も上向きだったのかもしれない。

これからの時期は、ラインスピリットにとって得意な季節となってくる。人気を集めないタイプだと思うので、引き続き狙っていくといいだろう。

6着:ネロ

前走はダートのクラスターカップで好走していたネロだが、久しぶりの芝でも存在感を示した印象だ。さすがに地方の交流重賞を転戦しただけに、中央のG2で先行するのには苦労していた様子。とにかく前へと指示が飛んでいたようだが、ラブカンプーとの争いも激化したことで直線まで余力を残せなかった。

それでも着差は0.4秒と僅かであり、先行馬に楽な展開でもなかった。昨年勝利している京阪杯あたりでは、今年も馬券圏内に好走してくる予感がする。メンバー次第でまだまだやれそうなだけに、この敗戦で見限らないほうがいいだろう。

11着:ダイアナヘイロー

得意の阪神に、コース変わりだったが、渋った馬場に脚を取られたのか11着と大きく敗れてしまったダイアナヘイロー。重馬場は初経験だったように、理由として理解できなくもない。ただ、レース中に鼻出血を発症していたことが後に判明したようで、この敗戦はノーカウントとできるかもしれない。それでも、今回で福島厩舎から転厩後4戦続けて見せ場なし。理由はどうであれ、負けすぎではないだろうか。

引き続き武豊騎手が騎乗するようであれば、チャンスはあるかもしれない。もし乗り替わってしまうようならば、いよいよ武豊騎手にも見限られたと判断していいだろう。

まとめ

今年のセントウルステークスは、ラブカンプーとネロの先行争いが激化したことで、重馬場にしてはハイペースだった。さまざまなマイナス条件を乗り越えて好走したラブカンプーが一番強い競馬だったはず。本番におつりが残っていれば好走してくるだろう。

勝ったファインニードルもレース内容的には完勝だったと言っていい。本番でも中心として考えていいだろう。グレイトチャーターやコウエイタケル、ラインスピリットも条件やメンバー次第では、次走以降も好走する可能性が高い。タフな展開を上位に入線できた馬たちの次走にも注目しよう。

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