レース見解

札幌2歳ステークス2018のレース回顧 

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川田 信一
川田 信一
1978年、東京都出身。単撃理論の提唱者・ 趣味で始めたメルマガが、人気薄の単勝を的確に当てることで評判に。わずか半年で2,000人を超える読者が口コミだけで集まる。グリグリの人気馬を迷わず消し、穴馬の単勝を的中し続けている生粋の単勝馬券師。

9月1日(土)に札幌競馬場では、第53回・札幌2歳ステークスが行われた。6番人気の評価を受けていたニシノデイジーが、直線で抜け出すと、前を行くナイママをクビ差とらえて優勝。初重賞制覇を飾った。

2着には4番人気でホッカイドウ競馬所属のナイママ、3着には1番人気に支持されたクラージュゲリエが入り、3連単は8万7570円と好配当に。人気薄がともに連対したため、馬連でも8770円という配当になった。

1番人気のクラージュゲリエはなぜ敗れてしまったのか? ニシノデイジー好走の理由は? ここからレース全体と各馬の走りについて振り返っていきたい。

札幌2歳ステークスのレース分析

全馬が綺麗に揃ったスタートを決めると、先行争いはいきなり激化する。内からラバストーンが先頭を伺うものの、セントセシリアやナンヨーイザヨイ、ラブミーファインも譲らない。4頭が横に広がったまま1コーナーへ。その後ろにはアフランシール、ダディーズマインド、ウィクトーリアが続き、7頭が先行集団を形成した。

2コーナーに入るとラバストーンがコーナーワークで先頭へ。例年であればこのあたりからペースが緩むのだが、今年は緩まないま向こう正面へ入っていく。800mを通過したあたりか、外を通ってナイママが進出を開始。勝ち馬のニシノデイジーやクラージュゲリエもこのあたりから動き始める。4着のエメラルファイトも、ここで置かれることなく進出を開始した。

3コーナーを迎えると、2コーナーから向こう正面で先行した馬たちが後退していく。息が入らなかった分、先行馬には厳しい流れになったのだろう。4コーナーの入口で、早くもナイママが先頭へ。これを追ってニシノデイジーも手ごたえ良く直線を迎える。

直線を向くと前を行くナイママへニシノデイジーが襲いかかる。手ごたえはニシノデイジーだが、ナイママもしぶとさをみせて粘り込みを図るところへ、外からクラージュゲリエも迫ってきた。それでもニシノデイジーの脚色がいい。残り200mで先頭に立つと、そのままナイママを競り落とし優勝。競り合いを最後まで粘ったナイママが2着。直線でヨレてまともに追えなかったクラージュゲリエが3着に入った。

勝ちタイムは1分50秒1で、札幌2歳ステークスにしては珍しく、後半よりも前半1000mのほうが速いタイムになり、後半のスタミナが問われるタフなレースになった。上がり3ハロンタイムは37秒6で、函館競馬場で行われた札幌2歳ステークスを除くと過去10年で最も遅いタイム。後半が1秒5も減速したことで、瞬発力が問われない展開になったと言えるだろう。

これは2010年の結果と似ており、勝ち馬オールアズワンは、その後大きな結果を残せていない。瞬発力が重要な近年のクラシック路線とは、問われた適性が異なる。上位に入線した馬たちの今後には、疑いの目を持っておいたほうが良さそうだ。

札幌2歳ステークス2018の各馬の勝因・敗因・次走展望

1着:ニシノデイジー

新馬戦ではラブミーファインよりも人気を集め、2着に敗れていたニシノデイジー。2戦目は1.5倍と圧倒的な支持を集め快勝していた。初めての札幌競馬場にも動じることなく、スタートからゴールまで、まるで優等生のような競馬だった。

勝浦騎手は決してこの舞台が得意だった騎手ではない。むしろ苦手としていた舞台に分類されるだろう。それでも結果を残せたのはハービンジャー産駒のおかげかもしれない。札幌芝1800mにおけるハービンジャー産駒は勝率16.4%で勝利数はキングカメハメハ産駒をおさえて1位だった。洋芝で活躍を見せる同産駒らしい走りだったと言っていいだろう。

騎手談話にもあったように、ロスなくスムーズな競馬が出来ていた。成長の余地を残すというのは、直線で少しヨレるシーンがあったことを言っているのだろうか。ここからは洋芝ではない馬場への対応や、瞬発力の問われるレースに対応できるかがカギになってくる。近年稀なスタミナの問われるレース展開となった今年の札幌2歳ステークスの勝ち馬だけに、ここからは厳しい道のりが待っていそうである。それでもスタミナの問われるタフなレースでは、上位に浮上してくるはずだ。人気を落としても、適性があるかどうか必ずチェックするようにしたい。

また、データ分析記事で触れた「穴馬の条件」を唯一満たしていた馬だった。時間があればぜひ札幌2歳ステークスの見解記事にも目を通しておいてもらいたい。この方法は来年も有効だろう。

2着:ナイママ

前走では圧倒的な人気に支持されていたアガラスを相手にしなかったナイママ。道営所属馬で、人気を集めなかったが、ファンの期待を良い方向で裏切り、2着に好走した。タフな展開を早めに動いて、最後まで粘り切ったレース内容は「負けて強し」だったと評価したい。

陣営は川崎競馬への移籍を発表したが、それに伴い五十嵐騎手からの乗り替わりになってしまうことだろう。この馬の良いところを引き出してきた五十嵐騎手が乗れないのは大きなマイナス。今回も、5着までを内枠の馬が占めながら、大外枠だったナイママは2着。ロスの少ないコース取りをするため、スタートからすぐに内へ入れて脚を溜めていた。こういったレースを出来る騎手への乗り替わりなら良いが、そうでなければこの先は厳しいレースが続いていくことだろう。今回は少しだけ仕掛けが早かったが、それは結果論。とにかく強い競馬だった。

3着:クラージュゲリエ

モレイラ騎手から手綱を託され1番人気に支持されたクラージュゲリエ。道中から直線まで、終始幼さをみせて3着に敗れた。

競馬までの間もテンションが高く、レースでもヨレたり、コーナーもうまく回れていなかった。粗削りな競馬で3着まで来たのはポテンシャルの高さが物語っているのだろう。レース展開も、瞬発力が問われなかったことで、クラージュゲリエの得意なパターンにはならなかった。つまり、力を出し切っておらず、それでいてこのパフォーマンスを発揮したということになる。このあたりが改善されれば、さらにレベルの高い走りを見せることだろう。

小回りよりも、広い東京や京都が合いそう。秋以降の伸びしろに期待したい。

4着:エメラルファイト

新馬戦ではミディオーサを破り、札幌2歳ステークスへ駒を進めたエメラルファイト。8番人気という評価に反し、4着に好走してみせた。

兄にはエメラルエナジーやエメラルスターなど、母セトウチソーラーは活躍馬を多く輩出している。スタートでは少し遅れてしまい、後方からの競馬になったが、結果的にはこの展開が向いた印象だ。

スタミナが問われる展開が良かったということであれば、切れ味の問われる展開は向かないだろう。今回同様スタミナの問われる展開は大歓迎。兄のようにダート変わりでも走れそう。レース適性と照らし合わせて次走以降も狙っていきたい。

5着:アフランシール

函館の新馬戦を快勝し、今回は3番人気に支持されたアフランシール。道中ではかなりかかってしまっていた。今回が2走目で、ハミを噛み続けていたとのこと。岩田騎手の指示に歯向かう姿がレース映像でも印象に残った。

今年の札幌2歳ステークスは2コーナーで先行していた馬たちが全滅。それでいて5着ならよく走ったと言えるのではないだろうか。

姉にブランボヌールがいる血統だけに、距離は短いほうがいいはず。スピードのある馬なので、マイルや1400mへ距離短縮するようであれば改めて狙ってみたい。問われた適性が合わなかっただけで、弱い馬ではない。次走以降も注目していこう。

7着:ウィクトーリア

クラージュゲリエに迫る2番人気に支持されたウィクトーリアは、見せ場なく7着に敗れた。2コーナーで先行していたなかの1頭で展開も向かなかったのだろう。今回は逃げずに競馬ができたことは収穫だったはず。前走でレコードタイムを記録しているだけに疲れもあったのかもしれない。一息入れた次走の巻き返しに期待したい。

まとめ

今年の札幌2歳ステークスは、例年に比べて道中のペースが落ちず、タフな展開になった。これと似た結果になった2010年のオールアズワンはその後に大きな活躍を見せていない。次走以降は負けた馬のなかから、逆転を狙う馬に妙味がありそうだ。

また、データ分析記事で触れた穴馬条件を満たしたニシノデイジーが、今年の札幌2歳ステークスを制している。今年はニシノデイジーのみが該当馬だった。来年以降もこのデータを生かして穴馬を狙っていこう。

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