8月26日(日)に札幌競馬場では第13回キーンランドカップ(G3)が行われる。このレースはサマースプリントシリーズの第5戦に指定されているレースで、ここをステップにスプリンターズステークスでも好走する馬が多い。
2011年にはカレンチャンがここを勝って、5連勝でスプリンターズステークスまで駆け抜けた。ただ、この年を最後に、1番人気が勝っておらず、近年は波乱傾向が強い。昨年は12番人気のエポワスが勝利し、2016年もウキヨノカゼが8番人気で勝利。特に、2008年には最低人気のタニノマティーニが勝利するなど、人気問わず激走する馬が目立っているレースといっていいだろう。
今年は、スプリント戦線で安定感を見せているレッツゴードンキや、モレイラ騎手が騎乗予定のナックビーナス、前走で1600万クラスを快勝したダノンスマッシュなど全部で20頭が出走を予定している。函館で代替開催された2013年を含む、過去10年のデータを用いてキーンランドカップを分析していこう。
目次
[人気]勝てていないが安定感のある1番人気
冒頭でも触れたように、キーンランドカップは1番人気が過去10年で1勝と苦戦しているレースである。2008年に最低人気のタニノマティーニが勝利したように、1番人気と16番人気の勝率は同じだ。
ただし、勝っていないものの、1番人気は複勝率80%と高い安定感を見せている。さらに複勝回収率は107%と極めて高い。馬券圏外に敗れた例としては、昨年のモンドキャンノ(6着)と2010年のビービーガルダン(4着)のみ。モンドキャンノは4.3倍と押し出される形での1番人気だった。このようなタイプには注意しよう。
今年はレッツゴードンキが1番人気になるのだろうか?この段階で1番人気が読めないということは、そこまで支持を集めない可能性がある。昨年のように敗れてしまうのか? 当日の単勝オッズにも注目したい。
人気 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回収 | 複回収 |
---|---|---|---|---|---|
1番人気 | 10% | 50% | 80% | 19% | 107% |
2番人気 | 30% | 50% | 50% | 141% | 93% |
3番人気 | 20% | 20% | 30% | 128% | 60% |
4番人気 | 10% | 10% | 30% | 52% | 67% |
5番人気 | 0% | 0% | 20% | 0% | 61% |
6番人気 | 0% | 20% | 30% | 0% | 118% |
7番人気 | 0% | 0% | 0% | 0% | 0% |
8番人気 | 10% | 10% | 20% | 291% | 157% |
9番人気 | 0% | 10% | 10% | 0% | 61% |
10番人気 | 0% | 0% | 0% | 0% | 0% |
11番人気 | 0% | 0% | 0% | 0% | 0% |
12番人気 | 10% | 10% | 10% | 212% | 55% |
13番人気 | 0% | 10% | 10% | 0% | 63% |
14番人気 | 0% | 0% | 0% | 0% | 0% |
15番人気 | 0% | 0% | 0% | 0% | 0% |
16番人気 | 14% | 14% | 14% | 2305% | 322% |
1~2人気 | 20% | 50% | 65% | 80% | 100% |
※キーンランドカップ 2008年以降の集計結果
[年齢]4・5歳馬を中心に
キーンランドカップ過去10年で連対した20頭中12頭が、4歳もしくは5歳馬だった。7歳以上に関しては、タニノマティーニが数字を跳ね上げているだけであり、過信は禁物である。
基本的には4・5歳馬を中心に馬券を組み立てるといいだろう。また、3歳馬に関しては回収率が見合っていないが、1番人気か2番人気に限定すると、1-1-1-1と一気に安定感が増してくる。また、1200mオープン特別や重賞で好走経験があると3歳馬の信頼度は増すだろう。馬券圏内を外した昨年のモンドキャンノは、1400m以上でしか実績がなかった。7歳以上の高齢馬は、前年の年頭までの間に、スプリント重賞で馬券に絡んでいると好走できそうである。
今年のメンバーでは、3歳馬からダノンスマッシュが出走を予定している。しかし、昨年のモンドキャンノと同様に1400m以上での実績が中心で、キャラクターが被る印象だ。葵ステークス2着のトゥラヴェスーラのほうを上位と取りたい。高齢馬では前走の函館スプリントステークス2着のヒルノマテーラは素直に信頼しても良さそうだ。
年齢 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回収 | 複回収 |
---|---|---|---|---|---|
3歳 | 5% | 9% | 14% | 25% | 19% |
4歳 | 11% | 25% | 39% | 42% | 79% |
5歳 | 11% | 14% | 25% | 126% | 79% |
6歳 | 0% | 9% | 9% | 0% | 49% |
7歳以上 | 6% | 9% | 13% | 570% | 107% |
※キーンランドカップ 2008年以降の集計結果
[間隔]間隔があいても
キーンランドカップは、前走とのレース間隔問わず、好走馬が出ているレースである。そのなかでも1つだけ注意したいのが2週のローテーションで挑む馬だ。2013年にはストレイトガールがこのローテーションで挑み、1番人気で2着に敗れている。その他には、2014年にスマートオリオンが2番人気で7着と敗れた例もあった。
今年の場合は関屋記念からここへ挑むスターオブペルシャのみが該当。穴馬なら馬券に組み込む必要はないだろう。
間隔 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回収 | 複回収 |
---|---|---|---|---|---|
2週 | 0% | 10% | 14% | 0% | 32% |
3週 | 7% | 7% | 7% | 141% | 36% |
4週 | 3% | 10% | 13% | 17% | 42% |
5~9週 | 10% | 17% | 24% | 100% | 67% |
10~25週 | 7% | 14% | 25% | 38% | 71% |
半年以上 | 50% | 50% | 50% | 8070% | 1130% |
※キーンランドカップ 2008年以降の集計結果
[斤量]56キロ以内から
キーンランドカップ過去10年馬券圏内に入った30頭中28頭が斤量56キロ以内だった。
昨年もネロ、ノボバカラ、シュウジが揃って馬券圏外に敗れており、人気を集める実績馬にとって、大きくマイナスと作用するデータなのだ。
今年はキングハートとムーンクエイクがこのデータに該当する。1着の可能性は限りなく低くなるデータと言えるだろう。
斤量 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回収 | 複回収 |
---|---|---|---|---|---|
51kg | 11% | 11% | 22% | 62% | 34% |
52kg | 0% | 0% | 0% | 0% | 0% |
53kg | 0% | 9% | 9% | 0% | 10% |
54kg | 12% | 22% | 29% | 112% | 99% |
55kg | 0% | 0% | 20% | 0% | 40% |
56kg | 6% | 11% | 17% | 272% | 76% |
57kg | 0% | 0% | 11% | 0% | 18% |
58kg | 0% | 25% | 25% | 0% | 90% |
59kg | 0% | 0% | 0% | 0% | 0% |
※キーンランドカップ 2008年以降の集計結果
[馬体重]500キロ未満を狙う
キーンランドカップ過去10年で、500キロ以上の馬体重だった馬が4勝している。これは見出しの内容と逆のことを言っているように感じるが、近年の傾向に変化がみられる。
2014年以降、つまり2013年に改修工事があった以降、500キロ未満の馬が連勝中なのだ。また、このタイミングから先行馬が不利なレース傾向に変わっており、パワーで押し切る大型馬有利から、スピードや加速力を生かせる小型馬向きのコースに変わったのかもしれない。
今年のメンバーではムーンクエイクやナックビーナス、キャンベルジュニアといった上位人気になりそうな馬たちが、このデータに該当している。当日の馬体重はしっかりとチェックするようにしよう。
馬体重 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回収 | 複回収 |
---|---|---|---|---|---|
500キロ未満 | 6% | 13% | 19% | 214% | 79% |
500キロ以上 | 8% | 13% | 21% | 41% | 48% |
※キーンランドカップ 2008年以降の集計結果
[脚質]ラスト600mを速く駆け抜ける馬は?
キーンランドカップ過去10年で連対した20頭中15頭が、上がり3ハロンタイム5位以内の競馬をした馬だった。ここ4年は連勝中で、改修工事後この傾向がさらに強まっている。
今年のメンバーでは、レッツゴードンキやナックビーナスは粘り強さやしぶとさを生かしたいタイプ。このデータから考えるとマイナスの評価となりそうだ。速い上がりが使えるムーンクエイクも初のスプリント戦に対応できるか不安が残る。
そうなると葵ステークスで鋭い切れ味を見せていた3歳馬トゥラヴェスーラが良さそうだ。札幌記念も勝利した福永騎手が、今週も好騎乗を見せるのか、注目したい1頭である。
上がり3ハロンタイム | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回収 | 複回収 |
---|---|---|---|---|---|
1~5位 | 13% | 29% | 40% | 422% | 167% |
6位~ | 3% | 4% | 8% | 13% | 15% |
※キーンランドカップ 2008年以降の集計結果
[前走]安定は重賞組、逆転は1600万組
キーンランドカップ前走も重賞に出走していた馬が強いレースで、過去10年の連対馬20頭中13頭がこのデータに該当する。
特に、前走オープン特別だった馬は苦戦しており、特に主要なステップレースとなるUHB賞から馬券に絡んだのはストレイトガール(2013年1番人気)のみ。1600万クラスから昇級戦で挑む馬は、前走で速い上がり3ハロンタイムで勝っている方がよく、先行して勝った馬は、函館から札幌へのコース変わりがマイナスに作用している印象だ。
今年のメンバーではダノンスマッシュが1600万クラスからの昇級戦を予定している。快勝であったものの、このメンバー相手に差し切るような脚を披露できるのだろうか。厳しい戦いを強いられそうだ。
前走クラス | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回収 | 複回収 |
---|---|---|---|---|---|
1000万下 | 0% | 0% | 0% | 0% | 0% |
1600万下 | 10% | 30% | 40% | 291% | 116% |
OPEN特別 | 4% | 7% | 11% | 332% | 76% |
G3 | 8% | 15% | 23% | 38% | 61% |
G2 | 20% | 20% | 20% | 96% | 34% |
G1 | 7% | 21% | 36% | 40% | 96% |
※キーンランドカップ 2008年以降の集計結果
[血統]サンデーサイレンス系を持っていたほうがいい?
2013年の改修以降、ここ4年のうち3年でサンデーサイレンス系の血を父か母父に持つ馬が勝利している。また、連対馬に対象を広げると、8頭中7頭がこのデータに該当していた。
今年のメンバーでは、ムーンクエイク、ダノンスマッシュ、キャンベルジュニアがサンデーサイレンス系の血を父か母父に持たない出走馬となりそうだ。これらは3着までの候補としておきたい。
[まとめ]上位人気馬にマイナス多い 今年は波乱の年?
ここまでのデータをまとめよう。
人気:問わない 1番人気の単勝オッズ注意
年齢:4・5歳馬を中心に 3歳は人気のみ
レース間隔:問わない
斤量:56キロ以内<
馬体重:500キロ未満
脚質:上がり3ハロンを上位で駆けられる馬を
前走:重賞組安定 逆転候補は1600万
血統:父もしくは母父にサンデーサイレンス系
これらのデータを駆使し、大胆な絞り込みをおこなうと良さそうだ。波乱になりそうなデータが揃っているが、世間的にはルメールやモレイラに人気が集まりそう。これらが負けたとしても、的中するように手広く馬券を組み立てたい。