レース回顧

北九州記念2018のレース回顧 

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川田 信一
川田 信一
1978年、東京都出身。単撃理論の提唱者・ 趣味で始めたメルマガが、人気薄の単勝を的確に当てることで評判に。わずか半年で2,000人を超える読者が口コミだけで集まる。グリグリの人気馬を迷わず消し、穴馬の単勝を的中し続けている生粋の単勝馬券師。

8月19日(日)に小倉競馬場では、第53回・北九州記念が行われた。6番人気に支持されたアレスバローズが直線でインを強襲すると、外から迫るダイメイプリンス(4番人気)に1馬身1/2差をつけて優勝。CBC賞に続いて、重賞連勝を飾った。3着にはラブカンプー(7番人気)が粘り込んだ。

勝ったアレスバローズに騎乗した菱田騎手は、今回の勝利が嬉しい重賞初制覇。一度は鞍上を降ろされたアレスバローズで巡ってきた久しぶりの騎乗チャンスを、見事にものにしてみせた。同期ではないものの、先週のエルムステークスでこちらも初重賞制覇を飾った横山和生騎手は同級生。2週連続で同学年騎手が重賞を勝利。来週以降もこの世代の若手騎手たちに注目してみたい。

勝ちタイムは1分6秒6で、1999年にアグネスワールドが記録した1分6秒5まで0コンマ1秒差に迫る好タイム。最後の直線でインに賭け、きれいにスペースが開く「ツキ」も菱田騎手は持っていた。

サマースプリントシリーズは現在のところトップであるが、最終的な決着はセントウルステークスまでもつれることとなりそうだ。次走も注目するようにしよう。

北九州記念のレース分析

揃ったスタートを決めると、内からゴールドクイーンとナインテイルズが先頭を伺う。その後ろへラブカンプーやトウショウピストが続く展開に。さらにその後ろにはダイアナヘイロー、ダイメイプリンス、アクティブミノルが続いていく。

中団グループのインコースに勝ったアレスバローズ、その外にセカンドテーブルやナリタスターワンが続いて前半600mを通過。前半32秒4はここ5年で最も速いタイムで後半戦へ。

4コーナーにかけて先頭を行くゴールドクイーンの手ごたえが怪しくなると、ラブカンプーが早めに先頭へ躍り出る。その後ろをインでじっとしていたアレスバローズが鋭い切れ味を見せ、一気にラブカンプーを交わして先頭へ。外をまわったダイメイプリンスも伸びてくるが、アレスバローズとの差は詰まらない。そのままアレスバローズが1着でゴール。2着にダイメイプリンス。3着にはラブカンプーが粘った。アレスバローズの後ろからインを抜けてきたグレイトチャーターが4着に入り、中団からじりじりと伸びたセカンドテーブルが5着となった。

ここからは上位着順馬や上位人気各馬の走りを振り返り、次走以降の狙いについて考察していく。

北九州記念2018の各馬の勝因・敗因・次走展望

1着:アレスバローズ

前走はテン乗りの川田騎手で重賞を制覇。今回は乗りなれた菱田騎手への乗り替わりで、鞍上弱化感は否めなかったが、それでも菱田騎手はプレッシャーを感じさせない騎乗を披露し、自身の初重賞制覇を飾ってみせた。

もともと出遅れ癖のあった馬だが、前走に続いて今回もスタートをきっちりと決めると、最後の直線では他馬とは別次元の脚を見せた。レコードタイムにコンマ1秒差に迫るタイムでの勝利は非常に価値が高く、6歳となったこのタイミングで充実度が高い印象だ。札幌記念も2頭出走したディープインパクト産駒がワンツーを決め、北九州記念ではアレスバローズだけがディープインパクト産駒。そういった流れもあったのだろう。

これで重賞を連勝したことになったが、秋のスプリンターズステークスに向けては課題が多い。どちらかというと、北九州記念やCBC賞は差し脚が問われるレース展開になることが多く、過去のCBC賞勝ち馬で例えると、ウリウリやシャイニングレイがアレスバローズと同じディープインパクト産駒のスプリンター。セントウルステークスやスプリンターズステークスでは切れ味だけでは勝負にならないため、先行力と粘り強さを得る必要がありそうだ。

この連勝で一気にスプリント戦線の中心に躍り出たように感じるが、問われる適性がずれていくだろう今後のレースでは過信は禁物。初重賞制覇を飾った菱田騎手が引き続き騎乗するとなると、プレッシャーは大きくなる一方。それでもうまく乗りこなすには騎手の成長も必要になるだろう。

2着:ダイメイプリンス

前走のアイビスサマーダッシュを楽勝し、ここへ挑んだダイメイプリンス。1200mへの距離不安がオッズに現れたのか、4番人気での出走となった。結果は2着と好走できたわけだが、ダイメイプリンスの分析記事でも触れたように、距離をこなせる資質は備えていた馬なのだ。主戦の秋山騎手が、中京芝1200m戦を苦手としており、新潟の直線競馬は得意。今回の小倉に関してはその間くらいの成績となっており、ダイメイプリンスが結果を出せるかどうかは秋山騎手の腕にかかっていると言っても過言ではなかった。

また、1000m戦に近いような、スプリント力の試されるハードなレースほど好走している。今回もゴールドクイーンとラブカンプーが先行争いをしたことで前半はハイペースで流れた。これも好走の要因のひとつと覚えておきたい。先行馬不在でペースが緩むようなことがあると崩れる可能性を秘めている馬。次走のレース選択と、出走馬の展開、秋山騎手の成績を確認してから馬券に組み込むか判断するといいだろう。

3着:ラブカンプー

今回で3戦連続重賞馬券圏内となったラブカンプー。和田騎手への乗り替わりが嫌われたのか、前走よりも人気を落としての出走となった。前半600mが32秒4と、ハイペースで先行馬が総崩れになるなか、最後まで粘りを見せた印象だ。葵ステークスで敗れていたゴールドクイーンが16着に敗れた流れを、3着に残すのだから、相当状態がいいのだろう。それと、力をつけつつあるのかもしれない。どちらにしても今年の北九州記念では一番強い競馬を見せた馬と評価したい。

次走はセントウルステークスへ進むのだろうか。ここ3戦は京都・新潟・小倉で最後の直線に坂が無いコース。坂のある阪神では結果が出ていないだけに、次走以降は厳しい競馬が続いていくことだろう。負けることがあっても、秋の京阪杯では巻き返してくるに違いない。その時まで、平坦巧者であることを忘れないようにしたい。

充実期であることにより、次走も好走する可能性を秘めていても、コース変わりはプラスに作用しないはず。次走以降は割り引いた評価を下したい。

4着:グレイトチャーター

14番人気ながら4着に好走したグレイトチャーター。しかし、これはハイペースの恩恵と、アレスバローズの通ったインを進むことが出来たことでの4着である。すべてが噛み合っての4着なので次走以降は過信しないようにしたい。

6着:アサクサゲンキ

2番人気に支持されたアサクサゲンキは見せ場なく6着に敗れた。これまで騎乗した和田騎手や武豊騎手と比べると、松若騎手と手が合っていない印象だ。しっかり溜めることで最後に切れ味を見せるタイプ。おまけに松若騎手はこの日、斜行による制裁を受けて流れも悪かった。改めて乗り替わるようであれば変わり身をみせるかも。

7着:ダイアナヘイロー

1番人気に支持されたダイアナヘイローは直線でも伸びを欠き7着に敗れた。特にロスのある競馬ではなかったように、今回の負けは不可解だった。ただ、最近の競馬を見ていると1200m戦は忙しいように感じる。距離延長で狙うといいだろう。

まとめ

アレスバローズやダイメイプリンスは、自身の得意パターンと一致したレースになったことで、今回好走することが出来た。ラブカンプーに関してはハイペースのなかで強い競馬を見せていたが、坂のあるコースでどう変わるのか? 判断が難しい馬となりそうだ。その他の馬に関しても、今回の展開が合わずに負けた馬も存在している。次走以降、レースで問われる資質の差を考慮して判断を下すといいだろう。思いがけない穴馬に出会えるかもしれない。

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