レース回顧

札幌記念2018のレース回顧 

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川田 信一
川田 信一
1978年、東京都出身。単撃理論の提唱者・ 趣味で始めたメルマガが、人気薄の単勝を的確に当てることで評判に。わずか半年で2,000人を超える読者が口コミだけで集まる。グリグリの人気馬を迷わず消し、穴馬の単勝を的中し続けている生粋の単勝馬券師。

8月19日(日)に札幌競馬場では、第54回・札幌記念が行われた。2番人気に支持されたサングレーザーが1番人気マカヒキとの叩き合いをハナ差制して優勝。3着には最後方グループから追い込んだ4番人気のモズカッチャンが入った。

4歳馬の勝利はトウケイヘイローが勝った2013年ぶり。1番人気は今年も敗れ、2012年から7年連続となった。3連単は1万6590円で、馬連も1番人気となり、今年の札幌記念は平穏な決着で幕を閉じた。

サングレーザーは久しぶりの中距離戦を克服。秋に向けて選択肢が増えたことだろう。陣営にとっては嬉しい悲鳴となったはずだ。また、終わってみればディープインパクト産駒のワンツーフィニッシュ。今回は、サングレーザーとマカヒキだけがディープインパクト産駒だった。先週の関屋記念に続いて同産駒勢いが止まらない。この週は北九州記念もディープインパクト産駒のアレスバローズが勝利していた。

勝ちタイムは2分1秒1で、稍重で行われた2016年より0コンマ6秒速いタイム。先行勢が総崩れするようなハイペースで、稍重にしては時計が出たほうではないだろうか。中距離戦線にサングレーザーが参戦するとなると、秋のマイル・中距離G1争いはさらに激化してくることだろう。昨年の雪辱を晴らすためにマイルチャンピオンシップへ向かうのか、それともこの勢いを味方に秋の天皇賞を目指すのか、今後の動向にも注目したい。

札幌記念のレース分析

揃ったスタートを決めると、内からマルターズアポジーが先頭を伺う。その外からアイトーン競りかけて1コーナーへ。その2頭の後ろからネオリアリズム、マイスタイル、スティッフェリオやクロコスミアが続いて向こう正面へ。

中団グループで脚を溜めるサングレーザーはいつもより遅いペースに戸惑いを感じたのか、福永騎手が手綱を抑えかかり気味。その後ろからゴーフォザサミット、サクラアンプルール、アストラエンブレムが続き、前半1000mを通過。1000mは59秒1で通過し、ハイペースのまま3コーナーへ。

残り800m付近からレースが動きはじめるが、マカヒキとモズカッチャンはまだ後方待機のまま。ここでマイスタイルが一気に先頭に出て、マルターズアポジーもスパートを開始。ネオリアリズムもそれを追いかける。4コーナーに入ると、中団待機グループからサクラアンプルール、ゴーフォザサミット、スズカデヴィアスが先頭に襲い掛かかり直線へ。

楽な手ごたえでサクラアンプルールが抜け出しを図るが、内からスティッフェリオやマイスタイルが粘りを見せる。サウンズオブアースも伸びてくるが、その外から一気にマカヒキが前を行く馬たちを捕らえにかかる。残り100mでマカヒキが先頭に立つが、内で脚を溜め続けていたサングレーザーが一気に末脚を爆発させると、前を行くマカヒキへ迫りゴール前へ。さらにその外から追い込んだモズカッチャンもこの争いに加わったところがゴール板だった。

最後はクビの上げ下げで、ハナ差しのいだサングレーザーが優勝。惜しい2着にはマカヒキ。最後によく追い込んだモズカッチャンが3着に入った。

ここからは上位着順馬や上位人気各馬の走りを振り返り、次走以降の狙いについて考察していく。

札幌記念2018の各馬の勝因・敗因・次走展望

1着:サングレーザー

前走の安田記念では5着に敗れ、春はG1奪取とならなかったサングレーザー。休養を挟んで、陣営は札幌記念を選択。距離適性を不安視されたのか2番人気での出走となった。

道中かかる姿を見せていたように、馬もいつもより長い距離に戸惑いを感じていたのだろう。直線でも前がふさがるロスがあり、追い出しが遅れてしまう。結果から考えると、これがかえって良かったのかもしれないが、スムーズさを欠くチグハグな競馬になっていたことは間違いない。

本来なら負けてもおかしくなかったレース内容にもかかわらず、最後は伸びを見せ、ハナ差しのいで勝ったのだから、馬は着実に力を付けているのだろう。直線で1頭分だけスペースが生まれたことや、クビの上げ下げで勝ち切るあたり、今年の福永騎手はやはり何かを持っている。

今回の勝利に関しては、洋芝適性があったことで距離もこなせた可能性があり、中距離戦線でもこのまま通用するということが証明されたわけではない。負けていたかもしれないレース内容でも、勝ち切る運があったことは次走以降の予想をする際には注意するようにしよう。

2着:マカヒキ

前走のジャパンカップから9か月ぶりの実戦となったマカヒキ。国内ではダービー以降勝てておらず、4.3倍と押し出される形での1番人気になっていた。結果はクビの上げ下げでハナ差敗れてしまったが、3コーナーから直線にかけては大外を回ることになり、ロスも多かった。それでもこの差での負け、かつ半年以上の休み明けなら十分に力を示したと言っていいのではないだろうか。

道中の走りを見ていても、スタートから前半はぼんやりと走っていたように感じただけに、一叩きされた次走は更に上昇してくることだろう。ペースの恩恵も少なからず受けていたはず。言い訳の効かなくなる次走がマカヒキにとっての試金石となりそうだ。

3着:モズカッチャン

ドバイシーマクラシック6着以来の実戦となったモズカッチャン。道中は行きっぷりが今一つで3コーナーまで最後方待機。直線で最後だけ競馬をしていた姿は、いかにも休み明けっぽさを見せた内容だった。

直線を向いてからもスペースがなく、追い出しを我慢することになり、決してスムーズな競馬ではなかった。それでも3着に来られるあたりは実力の違いなのだろうか。休み明けということを考えれば及第点の結果ととらえて良さそうだ。

また、モズカッチャンは今回初めて休み明けで馬券に絡んだ。このあたりは充実している証拠かもしれない。秋の牝馬路線では、中心的存在であることは間違いなさそうだ。

4着:サウンズオブアース

13番人気での出走となった古豪サウンズオブアース。直線入口では、まさか!? と思わせる手ごたえだったが、わずかに及ばず4着に敗れた。

これで昨年に続いて札幌記念は4着。洋芝が合っているのだろうか。やはり、昨年同様、秋の中央開催では力が足りないかもしれない。この好走は洋芝適性でのものなので過信しないようにしたい。

5着:スティッフェリオ

先行勢が総崩れするなか、最後までバテずに存在感を示したスティッフェリオ。4コーナー3番手から、早めの仕掛けだったのにもかかわらずここまで残せたのは陣営も収穫の多いレースになったのではないだろうか。

最近の勝利はいずれも1800m戦だったように、距離が若干長かったかもしれない。このまま毎日王冠へ進むようであれば面白い1頭となりそうだ。

13着:ミッキースワロー

初の洋芝と休み明けで、最後の直線では騎手も追うことをやめていた。ペース的には問題なかったはずだが、最後まで競馬をしていないことを覚えておきたい。

2200m戦で好走する馬なのでオールカマーへ挑戦するようであれば巻き返し必至。照準はそちらに合わせているのかもしれない。

まとめ

馬券圏内に入った3頭は、展開一つで結果も違ったことだろう。それでも休み明け初戦を、3頭とも良い形で終えたのではないだろうか。改めて3頭が戦うことがあったとしても、今回の結果と同じにはならないだろう。

上位好走馬のなかではスティッフェリオの存在に注目したい。不利な状況下で、このメンバー相手に強い競馬だった。次走以降、1800mへの距離短縮で狙うと良さそうだ。

データ分析における振り返りとしては、前走重賞出走でなかった馬は、今年も馬券に絡まなかった。また、父もしくは母父にサンデーサイレンス系の血統を持つ馬が今年も勝利している。このデータは逆手に取ると、2,3着にはサンデーサイレンスを持たない馬が入ることも示唆していた。相手選びのデータとして、来年以降は活用できそうだ。

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