レース回顧

レパードステークス2018のレース回顧 

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川田 信一
川田 信一
1978年、東京都出身。単撃理論の提唱者・ 趣味で始めたメルマガが、人気薄の単勝を的確に当てることで評判に。わずか半年で2,000人を超える読者が口コミだけで集まる。グリグリの人気馬を迷わず消し、穴馬の単勝を的中し続けている生粋の単勝馬券師。

8月5日(日)に新潟競馬場では、第10回・レパードステークスが行われた。前走のユニコーンステークスでは、2番人気に支持されるも9着と敗れていたグリムが、今回はスタートからハナに立つと、そのまま逃げ切り見事に優勝。テン乗りの内田騎手が完璧ともいえる手綱さばきでグリムを初重賞制覇に導いた。

10番人気のヒラボクラターシュが大外から追撃をみせて2着に入り、先行集団で粘りをみせた9番人気のビッグスモーキーが3着となった。上位人気では2番人気のドンフォルティスが4着までに入るのがやっとのレースで、今年も波乱の決着。今まで3着内を外すことがなかった1番人気すら馬券圏外に飛んだことで、馬連は2万3100円の超高配当、3連単は67万馬券で、2年連続の大波乱となった。また、10年目にして初めて3連複は10万オーバーの配当になり、逃げ馬も初めて勝利するなど例年の傾向が通用しないレースに変貌を遂げつつある印象だ。

なぜ今年も大波乱決着になったのか? 上位着順馬好走の理由、人気馬はなぜ負けたのか? レース全体の分析と合わせて振り返っていきたい。

レパードステークスのレース分析

揃った綺麗なスタートを全馬が決めると、内からグリムやフロリアヌスが先頭争いへ。2番手グループはアルクトス、イダペガサス、ビッグスモーキーが続く展開に、その外からヒラボクラターシュが追走して向こう正面へ。

先頭は新馬戦以来の逃げを打ったグリム、その後ろをフロリアヌスとビッグスモーキーが続いていく。前半1000mの通過は61秒9とレパードステークスでは平均的なペースと落ち着いて3コーナーへ。

後方待機の1番人気グレートタイムは既に鞍上の手が動き、手ごたえが怪しい。それに続いた3番人気のアドマイヤビクターも同様に追い出しを開始する。4コーナーから直線を向くと、インをロスなく進んだグリムが1馬身のリード、外へ持ち出したヒラボクラターシュが追撃を開始。フロリアヌスは後退していくが、ビッグスモーキーは粘りを見せるものの、グリムの勢いは止まらない。大外からドンフォルティスやグレートタイムが迫るが、その差は詰まらないままグリムが逃げ切った。

終わってみれば4コーナーを5番手以内で回ってきた3頭が上位を占めたように、先行馬に有利なレースとなった印象だ。レパードステークスでは多くある展開の一つで、昨年も12番人気のサルサディオーネが2着粘っている。逃げ馬が馬券に絡むことが多いレースで、その逃げをグリムが担ったのでは後続から差し馬には厳しいレース展開になったと言えるだろう。

レパードステークス2018の各馬の勝因・敗因・次走展望

1着:グリム

勝利騎手インタビューで内田騎手が語っていたように、1600mのスピードがあったおかげで楽に先行できていた。逃げ馬も不在で、先行馬も比較的外目の枠に入っており、枠なりでの逃げを打つことが出来た。前走では包まれる不利で脆さをみせていた点も内田騎手は把握していたようで、その結果が逃げという選択になったのだろう。

陣営が前走の反省を見事に今回のレースで生かしてきていた。素晴らしい準備のたまものと言っていいだろう。もともとユニコーンステークスではルヴァンスレーヴに次ぐ2番人気に評価されていた実績馬。これで3歳ダート戦線から一歩抜け出し、秋は古馬との争いに加わっていく。逃げるという選択肢が増えたことは、ライバルのルヴァンスレーヴを完封できる可能性だってある。当然ながらコース形態や、メンバー構成にも影響を受けるが、並ばれてから抜かせない根性は一級品だと評価したい。

内枠で揉まれないことが条件になるものの、古馬相手でも戦っていけることだろう。

2着:ヒラボクラターシュ

レパードステークスでは不利とされていた8枠から、最後はグリムに差し返されたものの、あわやというシーンを演出し2着に好走したヒラボクラターシュ。もちろん、外枠で包まれることなくスムーズな競馬が出来たことで、この走りができた可能性もある。しかし、勝ったグリムと通ったルートの差を考えれば勝ちに等しいと評価できるのではないだろうか。

負けてしまったものの、本当に強い競馬だった。この競馬ができれば、古馬相手でも通用するはずだ。

3着:ビッグスモーキー

9番人気の評価を覆し、3着と好走してみせたビッグスモーキー。ただ、今回は先行馬に有利なコース形態や、レース展開の助けがあった印象だ。

1600mでの全日本2歳優駿では追走に苦労し、前走の安達太良ステークスでも後ろから来た差し馬に交わされていたように、競馬場次第で結果が変わってくるタイプ。京都や新潟といった先行馬に有利な競馬場が合うだろう。自己条件に戻れば当然人気を集めることになると思われるが、メンバー次第では脆さを見せる可能性もある。過剰評価しないよう、注意したい馬と言えるだろう。

4着:ドンフォルティス

2番人気に支持されたドンフォルティスは前の止まらない展開に泣いて4着に敗れた。内枠でインをロスなく進み、直線でもスムーズに外へ持ち出したが、それでも届かないレース展開。上がり3ハロンタイムも上位だったように、ドンフォルティスの競馬は出来ていたと考えていいはずだ。

もともと短い距離での勝ち星もあるように、1800mがギリギリな印象。距離短縮になるタイミングを狙いたい。差しの決まりやすい東京や阪神なら高いパフォーマンスを発揮しそうである。

6着:グレートタイム

10年目の節目で、連対率が100%だった1番人気で敗れるという不名誉な結果になったグレートタイム。レパードステークスでは8枠が不利とはいえ、2着にヒラボクラターシュが入っていることを考えると言い訳にはできない。スタートから行きっぷりも悪く、後方からの競馬になり、3コーナーでも手ごたえが怪しかった。最後の直線ではわずかな伸びを見せたものの、結果は6着。

度重なる遠征競馬で馬もフレッシュさを欠いていたのかもしれない。休み明けにパフォーマンスが良いことが多く、休養を挟んで自己条件なら巻き返せる可能性は十分にある。この負けで見限らないようにしたい。

9着:アドマイヤビクター

ダートでの勝ちっぷりが評価され3番人気での出走となったアドマイヤビクターは見せ場なく9着に敗れてしまった。スタート直後にオノリスから接触を受けて後方に下がってしまい、その段階で走る気をなくしていたのかもしれない。3コーナーでジョッキーが促すが、伸びる気配なくレースを終えている。

データ分析記事でも触れたように、どんなパフォーマンスを披露していようと、前走が500万クラスだった馬は、逃げ馬でない限りこのレースでは通用しない。まだまだキャリアも浅くこれからの馬。次走以降は自己条件からのやり直しになるが、中京や阪神で狙いたい。京都では取りこぼしがありそうな予感がする。

まとめ

グリムの逃げ切りで終えた今年のレパードステークスだが、次走以降の注目としてはヒラボクラターシュを上位としたい。コース形態や、レース展開の不利を受けながらの競馬で、勝ちに等しい2着と言っても過言ではないだろう。

3着のビッグスモーキーはその恩恵を受けたタイプ。過剰評価は禁物だ。負けたドンフォルティスやグレートタイムも条件が変われば次走以降も上位候補としていい。グリムは人気が予想されても、脆さを出さない条件なら次走も注目だ。

2年続けて大波乱になったレパードステークスだが、来年以降もカギになるのは「逃げ・先行馬」となりそうだ。人気問わず、馬券に絡む馬をチョイスして的中を目指していこう。

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