レース見解

ジャパンカップ2018スワーヴリチャードは巻き返せるのか

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川田 信一
川田 信一
1978年、東京都出身。単撃理論の提唱者・ 趣味で始めたメルマガが、人気薄の単勝を的確に当てることで評判に。わずか半年で2,000人を超える読者が口コミだけで集まる。グリグリの人気馬を迷わず消し、穴馬の単勝を的中し続けている生粋の単勝馬券師。

前走天皇賞(秋)では、東京優駿以来となるスワーヴリチャードとレイデオロの再戦に注目が集まり、オッズも二強状態を形成していた。

しかし、蓋を開けてみればスワーヴリチャードは見せ場らしい見せ場もなく10着と大敗。レイデオロを筆頭に、サングレーザー、キセキ、アルアイン、同世代の4歳馬たちが上位独占していたことを考えると、いささか食い足りない内容と言えるのではないか。

スワーヴリチャードを弁護するのであれば、スタート直後に受けた不利の影響が大きかったため、参考外の一戦との見方もできる。また、ジャパンカップを見据えた仕上げで臨んでいた可能性も否めない。

天皇賞(秋)で1番人気に推されていたこと思えば、一戦の凡走で見限るのは早計かもしれないが、果たしてジャパンカップでは狙い目となり得るのだろうか?

ここからはデータ分析を交えながらスワーヴリチャードについて検証していこう。

[騎手]G1惜敗続きの鬱憤を晴らせるか

東京芝2400mにおいてM.デムーロ騎手は、勝率21%、連対率35%、複勝率56%という成績で、複勝率56%はJRA所属騎手のなかで1位の数値だ

ジャパンカップは2008年にスクリーンヒーローで制している実績があるが、他に目ぼしい活躍と言えば2016年2着のサウンズオブアースくらいなので、イマイチ結果を残せていない。

ただし、この件に関してはM.デムーロ騎手に限った話ではなく、世界的な名手が来日する時期ということもあり、実力のある騎手でも思うように結果が残せていないようだ。

今年のJRA・G1レースでは勝ち切れないモドカシイ結果が多い点が少々気になるが、大阪杯を制したスワーヴリチャードとのコンビであれば、あと一押しが叶うかもしれない。

騎手 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
戸崎圭太 18% 37% 46% 91% 84%
C.ルメール 26% 38% 50% 57% 75%
蛯名正義 16% 24% 31% 139% 70%
M.デムーロ 21% 35% 56% 52% 100%
柴田大知 7% 16% 23% 23% 63%
内田博幸 7% 13% 25% 64% 88%
川田将雅 23% 46% 50% 69% 90%
吉田豊 10% 19% 23% 81% 60%
田辺裕信 7% 13% 20% 38% 41%
岩田康誠 14% 21% 24% 207% 91%
池添謙一 25% 31% 38% 178% 78%
松岡正海 5% 17% 22% 47% 79%
石橋脩 9% 16% 31% 55% 176%
北村宏司 6% 9% 15% 23% 55%
福永祐一 11% 11% 32% 82% 73%
柴山雄一 5% 18% 26% 142% 76%
三浦皇成 6% 16% 31% 15% 64%
吉田隼人 13% 25% 31% 49% 80%
武豊 11% 11% 17% 38% 24%
H.ボウマン 25% 25% 38% 186% 58%

※東京芝2400m 2015年以降の集計結果

[厩舎]東京優駿2着の舞台

東京芝2400mにおける庄野靖志厩舎の成績は、勝率0%、連対率33%、複勝率67%となっているが、【0-1-1-2】と述べ4頭による成績のため、データ的に得手不得手を判断することは難しい。

庄野靖志厩舎は栗東所属ながら関東遠征実績は豊富で、東京の重賞も目黒記念(2008年)、武蔵野ステークス(2014年)、共同通信杯(2017年)、アルゼンチン共和国杯(2017年)と4度制している。

ジャパンカップには初出走となるが、同舞台で行われる東京優駿で2着歴のあるスワーヴリチャードであれば、悪いイメージは持っていないはず。開業13年目にしてJRA・G1初制覇を達成した思い入れのある馬なので、調教師の意気込みも相当なものだろう。

調教師 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
(美)堀宣行 28% 36% 47% 100% 89%
(栗)友道康夫 23% 34% 49% 191% 174%
(栗)池江泰寿 11% 26% 32% 109% 62%
(美)国枝栄 4% 25% 29% 7% 199%
(栗)藤岡健一 8% 39% 39% 56% 93%
(栗)音無秀孝 13% 13% 25% 18% 32%
(栗)杉山晴紀 33% 33% 33% 503% 96%
(栗)庄野靖志 0% 33% 67% 0% 126%
(美)菊沢隆徳 0% 11% 11% 0% 21%
(栗)宮本博 0% 17% 17% 0% 66%
(栗)中竹和也 0% 0% 0% 0% 0%
(栗)松元茂樹 0% 0% 0% 0% 0%

※東京芝2400m 2015年以降の集計結果

[血統]人気次第で評価が変わる

東京芝2400mにおけるハーツクライ産駒の成績は、勝数ではディープインパクトに次ぐ2位に位置しているものの、勝率7%、連対率14%という数値は、ほかの種牡馬と比較してみても物足りない数値になっている。

ただし、昨年のジャパンカップはハーツクライ産駒のシュヴァルグランが制しており、2014年には同産駒のヌーヴォレコルトとワンアンドオンリーが優駿牝馬、東京優駿と2週連続でG1勝ちを決めている。大舞台でも格負けしていないことを踏まえると、ハーツクライ産駒の舞台相性が悪いわけではないようだ。

そこで東京芝2400mのG1に出走したハーツクライ産駒を人気で線引きしてみると、5番人気以内【3-2-1-2】、6番人気以下【0-1-1-24】となり、上位人気に推されれば問題なく評価できることがわかった。つまり、スワーヴリチャードも5番人気以内であれば好走に期待が持てるのではないか。

種牡馬 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
ディープインパクト 15% 24% 35% 78% 68%
ハーツクライ 7% 14% 24% 71% 58%
ルーラーシップ 24% 33% 39% 76% 75%
キングカメハメハ 10% 21% 27% 56% 100%
ネオユニヴァース 8% 23% 30% 132% 75%
ジャングルポケット 5% 15% 22% 26% 56%
カンパニー 10% 20% 20% 151% 62%
トーセンホマレボシ 17% 17% 33% 70% 60%
ロードカナロア 33% 33% 33% 56% 36%
ナカヤマフェスタ 0% 0% 9% 0% 40%
Marju 0% 0% 50% 0% 105%
ローエングリン 0% 0% 0% 0% 0%
Galileo 0% 0% 0% 0% 0%

※東京芝2400m 2015年以降の集計結果

[脚質]末脚勝負は苦手

過去10年のジャパンカップにおいて、3着以内に好走した30頭中22頭が前走上がり3ハロン5位以内の脚を使えていた。東京競馬場で開催されることを考慮しても、末脚のしっかりしている馬の方が評価しやすい。一方、前走上がり3ハロン6位以下は【1-2-2-49】と苦戦傾向で、優勝したのは2016年キタサンブラックのみ。

前走天皇賞(秋)は出遅れをリカバリーできず、勝負にならないと見て鞍上のM.デムーロ騎手も最後は流していた。データ的には前走上がり3ハロン6位となるため評価しづらいが、背景を考えると一概に低評価として扱いきれず悩ましい部分を残している。

ただし、スワーヴリチャードの戦歴を眺めてみると、上がり3ハロン1位を計測しているのは負担重量が56キロ以下の場合に限られているので、意外と斤量泣きするタイプなのかもしれない。したがって、末脚勝負になりがちなジャパンカップでは大きな割引要素となってしまう。

前走上がり3ハロンタイム 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
前走1位 10% 14% 29% 60% 73%
前走2位 6% 31% 31% 55% 73%
前走3位 33% 33% 42% 211% 79%
前走4~5位 10% 15% 30% 249% 162%
前走6位~ 2% 6% 9% 7% 37%
前走1~5位 13% 22% 32% 140% 100%

※ジャパンカップ 2008年以降の集計結果

[前走クラス]主要ステップからの参戦ではあるが…

過去10年のジャパンカップにおいて、3着以内に好走した30頭中27頭がJRAのG2以上に出走していた。日本馬でも海外のレースに出走していた馬は帰国初戦となるため分が悪いようだ。

スワーヴリチャードは天皇賞(秋)からの参戦となるので、ジャパンカップでは王道のローテーションと言える。特に4歳馬はショウナンパンドラ(2015年)、エピファネイア(2014年)、ジェンティルドンナ(2013年)が同じ臨戦過程でジャパンカップを勝利しており、ほかにも2010年に1位入選後降着となったブエナビスタや、2009年ハナ差及ばず惜敗のオウケンブルースリなども該当している。

ただし、気になる点を挙げるならば、前走が休み明け初戦かつ展開的な不利もあったとはいえ、いかんせん負けすぎてしまっていることだろう。もちろん、次走を見据えて疲れを残さない判断を下したと解釈できるが、これが裏目に出る可能性も否定はできない。

前走クラス 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
1600万下 0% 0% 0% 0% 0%
OPEN特別 0% 0% 0% 0% 0%
G3 0% 0% 0% 0% 0%
G2 9% 15% 18% 176% 54%
G1 9% 16% 26% 51% 86%
海外G2以下 0% 0% 0% 0% 0%
海外G1 0% 5% 7% 0% 22%

※ジャパンカップ 2008年以降の集計結果

[馬体重]500キロ以上は苦戦必至

過去10年のジャパンカップにおいて、3着以内に好走した30頭中20頭が馬体重460~499キロの範囲で出走していた。

一方で、馬体重500キロ以上の大型馬は苦戦しており、優勝したのは小雨降るなか行われた2016年のキタサンブラック(536キロ)一頭だけ。ちなみに、2016年は2着サウンズオブアースも502キロだったことを考えると、例年とは少し異なる適性を問われた可能性もありそうだ。

スワーヴリチャードは前走天皇賞(秋)出走時の馬体重が510キロ。4歳になってから馬体重が500キロを下回ったことはないので、レース傾向と照らし合わせると推奨しづらい。

馬体重 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
400~419kg 0% 0% 0% 0% 0%
420~439kg 0% 17% 17% 0% 85%
440~459kg 6% 12% 12% 54% 20%
460~479kg 19% 27% 31% 131% 62%
480~499kg 5% 10% 18% 79% 84%
500~519kg 0% 5% 13% 0% 39%
520~539kg 7% 7% 7% 27% 10%
540~ 0% 0% 50% 0% 60%

※ジャパンカップ 2008年以降の集計結果

[人気]上位人気であれば問題ない

過去10年のジャパンカップにおいて、1番人気は勝率30%、連対率60%、複勝率80%と好走率が高く、連軸としては頼りになる成績を収めている。

ただし、過去10年で1番人気は3勝しかできておらず、2~5番人気の馬が残り7勝のうち6勝を挙げていた。また、6番人気以下からの優勝となると、2008年スクリーンヒーローの一例しかないので、基本的には上位人気に支持されている馬を中心視して良さそうだ。

スワーヴリチャードは通算でも5番人気以下になったことはなく、前走1番人気を裏切る形で凡走していたとはいえ、一戦で見限られてしまうような馬でもない。ある意味、馬券的妙味が生まれる可能性ができたと、前走の敗戦をポジティブに捉えられるのではないか。

人気 勝率 連対率 複勝率 単回収 複回収
1番人気 30% 60% 80% 95% 102%
2番人気 10% 30% 50% 34% 72%
3番人気 10% 20% 20% 66% 49%
4番人気 30% 30% 30% 369% 74%
5番人気 10% 20% 20% 133% 48%
6番人気 0% 10% 40% 0% 143%
7番人気 0% 20% 20% 0% 89%
8番人気 0% 0% 10% 0% 53%
9番人気 10% 10% 10% 410% 71%
10番人気 0% 0% 0% 0% 0%
11番人気 0% 0% 10% 0% 122%
12番人気 0% 0% 0% 0% 0%
13番人気 0% 0% 0% 0% 0%
14番人気 0% 0% 10% 0% 166%
15番人気 0% 0% 0% 0% 0%
16番人気 0% 0% 0% 0% 0%
17番人気 0% 0% 0% 0% 0%
18番人気 0% 0% 0% 0% 0%

※ジャパンカップ 2008年以降の集計結果

[まとめ]条件が整わない限り軽視が妥当

ここまでのデータを振り返ってみると、勝ち負けができるほどの一変を期待するのは少々酷なようだ。どちらかと言えばマイナス要素が目立つため、ヒモ扱いに留めておく方が賢明ではないか。

基本的には持続力勝負が向くタイプなので、高速馬場の瞬発力勝負では天皇賞(秋)の二の舞となるだろう。逆に悪天候で上がりが掛かる展開になれば台頭する可能性は充分にあるため、当日の天候や馬場状態にも意識を向けておきたい。

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