レース回顧

函館2歳ステークス2018のレース回顧 

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川田 信一
川田 信一
1978年、東京都出身。単撃理論の提唱者・ 趣味で始めたメルマガが、人気薄の単勝を的確に当てることで評判に。わずか半年で2,000人を超える読者が口コミだけで集まる。グリグリの人気馬を迷わず消し、穴馬の単勝を的中し続けている生粋の単勝馬券師。

7月22日(日)に函館競馬場では、第50回・函館記念が行われ、2番人気に支持されたアスターペガサスが、直線で豪快に差し切って優勝した。鞍上の小崎騎手は嬉しい初重賞制覇。2着にはラブミーファイン(7番人気)、3着にはカルリーノ(3番人気)が入り、ナンヨーイザヨイ(1番人気)は9着と力を出せずにレースを終えている。

2着に人気薄が入ったことで、馬連は5880円と好配当。このレースに多い「中波乱」結果になったと言えるだろう。なぜアスターペガサスは力を出し切れたのか? ナンヨーイザヨイやスズカカナロア敗退の理由は? レース全体と各馬の走りについて振り返っていきたい。

函館2歳ステークス2018のレース分析

スタートではロードワンダーが大きく出遅れ、アスターペガサスも行き脚がつかず後方からの競馬になった。先行勢ではラブミーリッキーが先頭へ立つと、それを追ってエムティアンとラブミーファインが続く展開に。スズカカナロアは先行グループの内で脚を溜め、ナンヨーイザヨイ馬群の外を中団で進んだ。前半600mは33秒9とハイペースでレースは後半戦へ。

3コーナーから4コーナーにかけて、逃げたラブミーリッキーの手ごたえが怪しくなり、後退をはじめると2番手につけていたエムティアンとラブミーファインが、それを交わして直線に入る。ラブミーファインは最後の直線でもさらに伸びをみせ、エムティアンを交わしリードをキープ。しかし大外から一気に伸びてきたアスターペガサスの差し足にハナ差およばず敗退した。

勝ちタイムは1分9秒4で、2016年のレヴァンテライオンが記録した1分9秒に次いで2番目に速いタイム(過去10年)。ハイペースでも、これだけの差しは、なかなか決まらないのが函館2歳ステークス。勝ったアスターペガサスは強い競馬だったと言えるだろう。ハナ差2着のラブミーファインも、勝ちに等しい競馬だった。

ここからは上位着順馬や上位人気各馬の走りを振り返り、次走以降の狙いについても考察していこう。

函館2歳ステークス2018の各馬の勝因・敗因・次走展望

1着:アスターペガサス

スタートに難があり、今回もゆっくりとしたスタートになったが、小崎騎手は慌てることなく道中を進む。それに応えたアスターペガサスは最後の直線で豪快な差し脚を見せ

ハナ差の勝利。冷静な騎乗で重賞初制覇となった小崎騎手は、昨年の武者修行が実った形だ。

中竹調教師は2015年のブランボヌールに続き、このレースは2勝目。若手の小崎騎手であっても、継続騎乗をさせた判断は印象的だった。

アスターペガサスはジャイアンツコーズウェイ産駒ながら、軽い走りを見せるタイプ。馬込みも苦にせず、4コーナーでは狭いスペースに突っ込む強い精神力も見せた。目標は朝日杯とのことだが、直線の長い競馬場でどう変わってくるのか。ゆったりした流れへの対応力もカギになってきそう。小崎騎手、中竹調教師はともに函館を得意としていただけに、コース変わりで上手く結果を出せるか、今後も注目していこう。

適性が噛み合って掴んだ勝利である印象が強いだけに、次走以降で人気を集めるようであれば過信は禁物。本当に力を出せる条件なのか、しっかりと見極めていきたい。

2着:ラブミーファイン

1800mから大幅な距離短縮になったが、2着に好走したラブミーファイン。なかなか結果の出ていなかったローテーションで、7番人気と低評価を受けていた。レースでは、追走に戸惑うことなく先行グループを進むと、直線ではさらに伸びを見せる。最後はアスターペガサスにハナ差だけ交わされてしまったが、ハイペースだったことを考えれば強い競馬をしたのはこちらだったのかもしれない。

スタートからゴールまで、ほとんどロスがない競馬だった。ジャスタウェイ産駒は1200m戦で勝ち上がる馬も目立っており、短距離にも適性があるのだろう。この時期に1200m〜1800mをこなし、2着で賞金を積めたことは今後のアドバンテージになる。根本的に持った能力が高くなければ出来ないパフォーマンスと言っていいだけに、次走以降も条件問わず馬券には絡めていきたいタイプだ。

3着:カルリーノ

3番人気に支持されたカルリーノは、前走のような伸びを見せることが出来ず3着に敗退した。スタートから終始ロスのない競馬だったが、直線では思った以上に弾けなかった。新馬戦を決め切れず、一戦多くなったことが影響したのかもしれない。今回はプラス体重での出走だったように、調教で攻めきれなかったのではないだろうか。

マツリダゴッホ産駒は、この開催の上位クラスでも、直線で差し損ねるシーンが目立っていた。適性面で足りなかった部分があるかもしれない。今後は一息入れて立て直してくるはずなので、一変する可能性を秘めている。引き続きマークしておきたい。

8着:スズカカナロア

4番人気に支持されたスズカカナロアは直線で見せ場なく8着に敗れた。スタートを決めると先行グループのインで脚を溜める。最後の直線では末脚を繰り出すことなくレースを終えた。「仕掛けてから頭が上がってしまった」と騎手の談話があったように、頭数が増えて馬が怯んでしまったのかもしれない。

また、レース分析記事でも触れたマイナス要素である、「1986年以降未勝利の鬼門2枠」に阻まれた可能性がある。もしこれが影響したのであれば次走以降はあっさりと巻き返してきてもおかしくはない。この負けだけで大幅に人気を落とすようであれば、警戒しておきたい馬と言えるだろう。

9着:ナンヨーイザヨイ

新馬戦のタイムを評価され、1番人気に支持されたナンヨーイザヨイは9着と大きく敗れてしまった。道中では終始外を回らされるロスの多い競馬になり、直線ではイチゴミルフィーユにぶつけられる不利もあった。スピードに乗り切ることなくレースを終えている印象だ。

人気を背負っていたからか、岩田騎手らしさを感じない消極的な騎乗も気になった。勝ったアスターペガサスは直線で馬群に突っ込んでいったように、通った位置取りの差はあっただろう。負けてしまっても納得である。

エイシンフラッシュ産駒は函館でいまひとつの成績だが、新馬戦は勝利出来ていたように持っている能力は高い。適正のあるコース変わりでパフォーマンスアップは十分に期待できるだけに、人気を落とすようであれば次走以降も狙っていこう。

まとめ

アスターペガサスは出遅れや馬込みで厳しい競馬。ラブミーファインはハイペースの厳しい流れで勝ちに等しい2着。カルリーノは1戦多くなった未勝利組と、馬券圏内に入った3頭は決して条件が良かったわけではなかった。そもそものポテンシャルが高く、次走以降も条件次第では好走してくるだろう。人気で負けたスズカカナロアやナンヨーイザヨイも、敗因がはっきりしていただけに巻き返してくる可能性が高い。

例年に比べて高いパフォーマンスを見せた馬が多く、次走以降も注目して予想していくと良さそうだ。

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