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7月8日（日）に福島競馬場で行われた七夕賞は、メドウラークが11番人気の低評価を覆して優勝。3コーナーから勝ち馬とともに捲る競馬を見せた4番人気マイネルサージュが2着。最低人気のパワーポケットが3着に入り、大波乱決着となった。
今年の出走馬は12頭と、例年に比べ少頭数ながら、7番人気までの馬が単勝オッズ10倍以内に支持される大混戦。それを象徴するかのように、勝ったメドウラークは単勝100.8倍、3着のパワーポケットは138.1倍と、単勝万馬券の馬が2頭も馬券に絡む結果となった。3連系の馬券まで仕留めるのは、相当困難だったはずである。
2分0秒8での決着は、ここ5年と比べても遅いタイムだったが、1000ｍ通過タイムは58秒2とハイペース。つまり、「最後まで粘り切るスタミナ」が問われるレースだったということだ。良馬場発表ながら降り続いた雨の影響で、実際はかなりタフな馬場状態だったと考えられる。
3番人気のプラチナムバレットは4コーナーで落馬し、競走中止。1～2番人気のサーブルオール、レイホーロマンスも揃って馬券圏外に敗れ去った。上位人気勢はなぜ負けたのか？一方で、メドウラークやパワーポケットが激走した理由とは？レース全体と各馬について考察していこう。
目次
七夕賞2018のレース分析
揃ったスタートからマイネルミラノが抜け出すと、ワンブレスアウェイやバーディーイーグル、シルクドリーマーがそれを追いかけ、前半1000ｍは58秒2とハイペースに。3コーナーなかばから先行勢は手ごたえが怪しくなり、脚を溜めていた後方待機勢が進出を開始すると形勢は逆転する。
直線入り口で先頭を射程圏に捉えていた1番人気のサーブルオールは、仕掛けが早かったのか、さらに後ろから来たメドウラークとマイネルサージュの差し脚に屈した。3着に追い込んだパワーポケットは、道中は中団に待機し、脚を溜めていたタイプ。その戦術が奏功したうえ、最軽量ハンデも生きたことが3着激走につながったと判断できる。
レース前のデータ分析記事でマイナス条件に該当していた馬が多数好走。6歳・7歳馬での決着や、軽ハンデ馬が複数に絡んだことなどもあり、例年にない決着構図の七夕賞となった印象だ。ここからは、当日の傾向やデータ分析と照らし合わせ、その他の馬についての勝因・敗因も振り返っていく。
七夕賞2018の各馬の勝因・敗因・ 次走展望
1着：メドウラーク
前走の米子ステークスでは12頭中11着と大敗していたが、近走で馬券に絡んだレースを振り返ると、激走を示唆する共通点が確認できる。6番人気3着の都大路ステークスは不良馬場、9番人気3着のカシオペアステークスは不良馬場、さらに9番人気3着のアンドロメダステークスは重馬場と、馬場が渋ったタフな競馬では軒並み馬券に絡んでいたのだ。今回は良発表ながらも直前に回復したばかり。タフな馬場がバッチリ合ったのだろう。
馬場だけでなく、コース適性の高さも示していた可能性がある。近4走負けたレースはすべて阪神で、馬券に絡んだレースはすべて京都だった。直線に坂のあるコースでの出走があった場合は今後も軽視していいが、最後の直線が平坦な競馬場かつ、重い馬場であれば再び激走する可能性が高いと考えたほうがいい。次走以降もこの特徴を覚えておこう。
データ分析の観点で振り返ると、穴馬としてプラス評価だった「関西馬」に該当していた。今年は4頭しか出走がなく、まったく拾えない馬かと言われると、そうではなかったはず。来年も関西馬には注意したい。
2着：マイネルサージュ
今年に入ってから復調気配だったマイネルサージュは、前走勝利の勢いを生かし、このレースでも2着に好走した。前走の福島民報杯同様にペースが速くなり、この馬向きの展開になったとはいえ、2走続けての好走は評価できる。6歳になって充実期を迎えているようにも感じられるだけに、次走以降の伸びにも期待したいところだ。
昨年は丸々1年間、馬券に絡めないレースが続いたが、年明け初戦の白富士ステークスで鞍上が乗り替わると、立て続けに馬券圏内へ好走。次走以降も津村騎手や三浦騎手であれば、好走できる可能性は高いと判断できる。
また、ここ2戦は前半にペースが流れるレースだったことも覚えておきたい。「充実しているから」「七夕賞で連対した馬だから」といって次走以降も安易に評価してしまうのは、非常に危険と言える。直線の切れ味を問われるようなレースでは凡走することも考えられるだけに、今度は馬の特性がレース性質にマッチしているかどうかを慎重に判断したい。
事前データ分析を振り返ると、この馬は「前走1着馬は馬券圏内に走れてもアタマまでは厳しい」というデータに該当していた。馬券に絡めた馬は、「前走が重賞やオープン特別だった」場合に限定されており、福島民友杯勝ち馬のマイネルサージュは、しっかりこのデータに該当していた。よって、来年以降もこのデータに注目して損はない。
3着：パワーポケット
最低人気の評価に反して3着に好走したパワーポケットは、荒れた馬場や軽ハンデを最大限に生かしきったという印象。道中は荒れた馬場の内側をロスなく立ち回り、タフな馬場を得意とするエンパイアメーカー産駒の適性を見せた。これまでダート路線や障害路線を中心に歩んできたが、結果が出ずに芝重賞の七夕賞へ挑戦。軽ハンデ、天候や馬場、ローテなど、プラスに作用する条件がすべて揃っての好走だった。
今年のメンバーで唯一、「前走が1600万条件だった馬」という好走条件に該当。過去の好走馬に共通する「1000万条件で勝った実績しかなかった」の部分には該当しなかったものの、しばらく勝利から遠ざかっており、ほぼ同等に扱うこともできた。1600万での勝利もダートだったように、「実績のない前走1600万出走馬」という括りだけを見れば、好走データに該当していたと判断できる。来年以降も格上挑戦してくる馬には警戒したい。
しかしながら、今回のように好条件に恵まれるケースはそうそうないので、次走以降のパワーポケットはちょっと狙いにくいかもしれない。自己条件で負ける可能性も視野に入れておいたほうがよさそうだ。
4着：サーブルオール
抜けた1番人気に支持されながらも、4着に敗れたサーブルオール。差し損ねた前走を考慮し、戸崎騎手は比較的、前目の競馬で4コーナーを迎えたが、伸びを欠いてしまった。それでも4着と力を示したとはいえ、結果的に位置取りや仕掛けが早かった印象は否めない。
ここ2走続けての敗戦は、馬場の影響が大きかったように感じる。最後の直線で口を割って走りにくそうにしている姿が印象的だった。東京と中山でのみ勝利しているように、ローカルの荒れ馬場が得意でないのは明らか。秋以降は綺麗な馬場で巻き返してくる可能性が高いと考えたほうがいいだろう。次走以降についても、切れ味が生きそうな馬場であるか否かが結果に大きく作用しそうだ。
レース前のデータ分析記事では、2倍台の単勝オッズで出走した馬の不振を伝えていた。レコンダイト、キャプテントゥーレに続いてサーブルオールも敗れ、負のデータが生きてしまった格好になる。単勝万馬券が出るほどの大荒れレースになりやすい七夕賞ゆえに、来年以降も明らかな過剰人気馬には注意を払ったほうがいいだろう。
6着：レイホーロマンス
2番人気に支持されたレイホーロマンスは、向こう正面から手ごたえが怪しく、最後の直線で盛り返したものの6着に敗れた。これで3戦連続して人気以下の着順と、厳しい結果が続いている。サーブルオール同様に走りにくそうに追走していたので、おそらく馬場が合わなかったのだろう。速すぎた前半のペースも向かなかった印象。牝馬限定のスローペースの競馬になったときに、果たして巻き返してこられるかどうか。
このレースで6年連続して馬券に絡めていなかった牝馬は、今年も結果を残せなかった。これまでの実績や前走の人気を問わず、来年以降も「牝馬は過信禁物」と覚えておきたい。
まとめ
単勝万馬券の二桁人気という超人気薄が2頭も馬券に絡んだように、今年も「らしさ」を見せた七夕賞。マイナスデータに該当していた馬の好走もあり、的中させるのは至難の業だが、穴馬を選択するためのデータをいくつもピックアップできていたので、まったく太刀打ちできないというわけではなかった。関西所属の穴馬や、格上挑戦馬は来年以降もマークが必要と考えたい。また、過剰に人気を背負った馬を疑ってかかることも忘れないように。その一方、前走オープン以上で勝利している馬の好走率は高いので、条件に該当する馬は、人気の有無にかかわらず押さえておいたほうが良いと結論付けたい。
